2016年5月15日 第166回「今月の言葉」
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●(1)舛添都知事の出張旅費問題は、どう見ても異常だと思っていました。
しかも、ちょうど同じタイミングで、ウルグアイの前大統領が来日し、ムヒカ氏の素晴らしい言動を知るにつけ、舛添知事はあまりにも異常・・・品性が無いと、私(藤森)は率直に思いました。もちろん、それは、単に、多額の出費をしているというだけのことではなく、状況から判断してのことでしたが、とは言え、主として、多額の出費が中心でした。 ところが、その後、種々様々な情報に触れるに連れて、逆転に次ぐ逆転、大変複雑な様相を呈してきました。と言うよりも、ハチャメチャな状況になってしまいました。 当初、私は、豪華大名旅行と批判される旅行費の多額さには、特にムヒカ氏のおっしゃること(下記の2)と比較して、かなり品性がいかがかと思いました。が、むしろ、この程度は当然の費用だという下記の曽野先生のお考え(3)を知って驚くと同時に、そういうことならば、あまりにも実情に相応しくない規則を変えるべきだと思うと同時に、出費ついては妥当であることを理解しました。 私のように、旅行するときは「民宿」を利用する人間にとっては、「外交」というものは全く分かりません。それ故、立場のある人たち(メディア関係や外交関係を理解している人たち)の率直な意見というものを大事にしたいものです。 下記の(5)の【全国知事緊急アンケート】によっても、東京都知事であれば、豪華大名旅行だという批判は、全く当たらないと思いました。 いずれにしましても、批判をするということは、事態をよく知らないと簡単にできるものではないと同時に、批判する以上は、違う情報に触れたならば、違う情報に対して率直に耳を傾ける謙虚さが必要であることを、改めて痛感しました。 まず、ムヒカ氏のおっしゃることをご覧ください。 ムヒカ氏のおっしゃることは、とても東洋的ですね。仏教や儒教の話をお聞きするようです。仏教に「八大人覚」というのがあり、道元も最後の教えとしたそうです。「①少欲」~「⑧知足」・・・・・「①多くの利を求めない」~「⑧足るを知る」 ●(2)平成28年4月7日、東京新聞「世界一貧しい前大統領・ムヒカ氏」 <幸せ追及 日本で絵本に> ムヒカ前大統領が「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれるようになったきっかけは、大統領在任中の2012年にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で行った演説だ。 「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に多くを必要とし、もっともっとと欲しがることです」「乗り越えなければならないのは私たちの文明のモデルであり、見直すべきは私たちの生き方なのです」。ムヒカ氏は居並ぶ各国首脳を前に、大量消費社会やグローバリズムを批判し、世界の注目を集めた。演説は、日本でも子ども向けの絵本にまとめられた。 「質素な生活は自分のやりたいことをする時間が増える。それが自由だ」。6日、報道陣の前に姿を見せたムヒカ氏は青いシャツにデニム、こげ茶色のブルゾン姿。ノーネクタイは大統領任期中も含め貫徹している。公邸には住まず、報酬の9割を慈善団体に寄付。現在も首都郊外の自宅で畑を耕しながら上院議員の妻と2人で暮らす。 戦争やテロ、貧困や格差、気候変動や環境汚染など世界が抱えるさまざまな問題に関して、説くように持論を語ったムヒカ氏。「もはや一国で解決できる問題ではないが、世界全体での合意は存在しない。世界的な政治決断が求められているにもかかわらず、私たちはそれを下せずにいる」 何かを追い求め続けることに束縛され、本当の幸せとは何かを見失っていないか。ムヒカ氏は問い掛ける。「世界は多くの富を抱え、技術も進歩した。しかし、資本主義は盲目で、だれもそれをとめることはできない。それが資本主義の『美しき悲劇』だ。私たちは幸せに生きているのだろうか」 ホセ・ムヒカ氏・・・・・1935年、ウルグアイの首都モンテビデオ郊外の貧しい家庭に生まれた。10代から政治活動を始め、60年代初期に当時の独裁政権に対抗するゲリラ組織に参加。投獄は4回、72年の最後の投獄は約13年間に及んだ。94年に下院議員に選出。農牧・水産相を経て、2010年に大統領に就任。13、14年にノーベル平和賞にノミネートされた。15年、任期満了で大統領を退任した。 |
●(3)平成28年5月20日、週刊ポスト「昼寝するお化け」(曽野綾子)
<随行の資格> 舛添東京都知事が、2015年秋に、5泊7日の日程で、都庁職員と共に20人でパリとロンドンを視察に訪れた時の費用、5千万円あまりが高すぎる、と世論の非難があることを新聞は伝えた。主にインターネットの無記名の意見がそうだ。 それによると知事はファーストクラスで飛行機に乗り、ホテルではスイートルームに泊まった。 知事が1泊19万円のスイートルームに泊まったということにも文句を言っている人がいるようだが、それも常識の範囲だ、と私は思う。 私は今までに随分、外国取材をしたが、かなり若い時から出版社や新聞社に費用を出してもらうことを止めた。作家は自費で次の作品のための取材をするのが、いわば義務だと思っていたからである。 私の取材目的は多くの場合、途上国の貧しい社会だったが、たった一度、イタリアで長期間、たくさんの人々に会って話を聞く必要があった。ヴァチカンの関係者や、かつて爵位を持っていたという世俗の人もいた。 面会の相手の所に行くには紹介状を書いて貰い、事前に日時の約束を取る。たいていの相手は気さくに私に会ってくれたが、多くの人たちが、会話の初め頃に、それとなく、「ローマではどこにお泊りです?」と聞くのに、やがて私は気がついた。初めの数回は、単なる社交的な話題の成り行きかと思っていたが、やがて私はその質問は、私の一種の身分をそれとなく調査しているのだ、とわかるようになった。 私はその時、古いビンチョ門の近くの、一流の上ではなく、一流の中くらいのホテルに泊まっていた。取材のためにポーランドなどに数週間旅をした後だったので、日本からの郵便を、そのホテルで受け取りたかったのである。つまりそういう事務をきちんとしてくれるのは、当時、一定レベル以上のホテルだけだった。 しかし着いてみると私の泊まることになったホテルは意外と高いので、実は私はすぐに逃げ出すことを考えていた。1、2晩泊まったら、それとなくどこかのペンションにでも移ろうと思っていたのである。しかしイタリア社会のこの現実に気がついて、私が安宿に移れなくなってしまった。 私には値段が高過ぎても、このホテルは対外的には適切な所だったらしく、私は取材先のイタリア社会から冷たくあしらわれることはなかった。当時ヴァチカンから日本に送られた大使が、その時偶然ローマに帰っていらしていたので、私はいろいろとご紹介を頂いたお礼を言うために短時間お目にかかったが、この率直なドイツ人大使は、私の宿泊先の宿の名前を聞くと眼を丸くして「ううう、よくあんな高いホテルに泊まっていますね」と言って下さった。言うまでもなく、そういう率直な方もおられたのである。 私たち庶民は、個人的にどれだけでも質素であったり、質素どころかケチを趣味としていてもいいと私は思うし、また知事の旅費その他は、私たちの都民税なのだから、私だって「ムダはしないでくださいね」と言いたくなる。私でも昨年度、都民税をだけでも2百2十万円を超えた額を払っているのだ。しかし私は知事の今回の支出は適切だし、今後もこれくらいの旅の仕方は常識だと思う。 知事、それも東京都知事ともなれば、むしろ決して安宿に泊まってはいけない、ということは世界的な常識だ。一流ホテルのスイートルームに泊まることも、飛行機でファーストクラスに乗ることも、むしろ当たり前である。それを非難するのは、外交をしらない非常識な庶民の感覚だ。 今回の旅行では、知事を外部から個人的に或いは公的にホテルに訪ねて来た人は一人もいなかったから、スイートルームは不要だったとマスコミは書いているが、都庁の関係者同士で、連絡しなければならないことは常にあっただろう。そんな時、ベッドが乱れたままの部屋に事務用の職員を通すことはできない。 日本の都知事は、対外的には大変偉い人なのである。都の年間予算は13兆円で、これはインドネシアの国家予算に匹敵するのだそうだ。別に金で相手の人格を決めるのではないが、舛添知事が旅行するということは、インドネシアの大統領が動くことと同じだという考え方もできるのかもしれない。少なくとも日本以外の国にはそういう見方もあるだろう。 長い年月、学校の教師たちは、「人間誰も同じ」と教えてきた。先生も友達も同じ人格だと教えてきたのである。個人としてはその通りだ。しかし組織としてのポストや扱いでは、ほとんどの場合格差がつく。民主主義の国アメリカでも、大統領府では、一番偉い人と次に偉い人との順位がはっきり定められている。軍も、あらゆる会社などの組織も、平等では動かない。誰か上の人の命令で動かねばその機能が発揮できない。だからと言って、個人の尊厳が失われるわけではない。 もちろん国家も、社会も、個人も、金力だけでその資質を計られるわけではない。その他に、歴史や文化などに対する教養、世界に対する貢献度、徳性など、あらゆる要素が加わるが、とにかく都知事は否応なく世界でトップクラスの地方行政組織の長である。そういう人は、ファーストクラスで旅行をし、スイートルームに泊まるのはごく常識的なことだと教えてくれる日本人教師や親があまりいなかったのだろう。 ただお供に能無し役人や、単なるお友達をお連れになってはいけない。しかしほんとうは総理や都知事は、公用でお出かけの時、知人で「眼のある人たち」に自費を出させて同行するといいと思うことが多い。そうすれば、現場で専門家の意見が聞ける。 能無し役人を排除する方法は簡単だ。公務員の出張なら、帰国後、全員がレポートを出さねばならない。そのレポートの中に、訪問先の国が寄越したパンフレットや、誰もが見られるインターネットの記事などからの引用文を一ヵ所でも引き写した人は、この手の旅に随行する資格がない人だった。どんな点でもいい。その人にしか発見できなかった点を報告してこそ、初めて都がお金を出して知事につけるだけの価値があった人なのである。 知事が週末に別荘まで公用車で送り迎えさせていた、という話も出たが、休みの日は別荘で過ごすと知事が決めているなら、週末に送り、週の初めに迎えに行くことも当然だろう。他人の生活をあまりとやかく言わないことだ。 |
●(4)曽野先生のこのエッセイを読んで、私(藤森)はビックリ仰天しました。
ファーストクラスの飛行機も、スイートルームに泊まることも、知事として当然のことだったのですね。まず私の世間知らずを反省します。 しかし、そうであるならば、①特にメディアの批判はかなり嫌らしいものを感じます。もう少し、理性的に報道してほしいものです。下記の(8)にあるように、石原都政の時は、こんなレベルではなかったとのことです。叩ける時は、叩きまくる姿勢は情けないですね。メディアのほうに「品性」が無さ過ぎます。 ②実態と余りにもかけ離れた規則をかえるべきではないのでしょうか。私の記憶では、宿泊代の上限が、1泊わずか4万円ちょっとです。4万円が上限であれば、20万円のスイートルームは、庶民感情として批判したくなります。申請すれば許可が出るとは言え、余りにも実態と離れすぎています。 さて、下記のアンケートによると、<<渡航にファーストクラスを使っていたのは東京、岩手、茨城、群馬、愛知の5知事>>だそうです。 次の(5)をご覧ください。 |
●(5)平成28年5月12日、産経新聞、インターネット
<【全国知事緊急アンケート】海外出張費、舛添都知事が突出 唯一1泊10万円の上限超え ファーストクラス利用は5人 > 東京都の舛添要一知事の海外出張費が「高額すぎる」と批判を集めている問題に絡み、産経新聞は全国の知事に緊急アンケートを実施した。回答のあった45都道府県のうち、渡航にファーストクラスを使っていたのは東京、岩手、茨城、群馬、愛知の5知事。条例に基づく規定を上回り、1泊10万円を超える超高級ホテルに泊まっていたのは舛添氏のみだった。東京都の突出ぶりがうかがえる一方、規定はファーストクラスに乗れるのにビジネスクラスにする「倹約型」の知事も多く、各自治体の“意識の差”が浮き彫りになった。 アンケートでは就任以降の海外出張回数や随行人数、航空機の座席ランクなどを質問。震災対応に追われる熊本、大分を除き、「文書保存期限の5年以内」「直近10回」など確認できる範囲内で、各自治体から回答があった。 これによると、就任以降の海外出張の回数が最も多かったのは鹿児島県知事(3期)で34回。最も少なかったのは島根県知事(同)の2回だった。 1回の出張費が5千万円を超えたのは東京都と福島県のみで、最高額は舛添氏のロンドン・ベルリン出張の6976万円。2位は福島県の内堀雅雄知事のミラノ万博出張で6227万円、3位は舛添氏のパリ・ロンドン出張で5042万円だった。福島県は食の風評被害の払拭に向けたイベントに約5300万円を支出。それが出張費に含まれており、旅費、宿泊費などの割合は少ない。 渡航時にファーストクラスを使っていたのは舛添氏、岩手の達増拓也氏、茨城の橋本昌氏、群馬の大沢正明氏、愛知の大村秀章氏の5知事のみ。北海道や新潟、大阪など13知事は規定上は同クラスに乗れるが、ビジネスクラスを利用していた。随行職員はエコノミークラスが一般的だが、12都道府県ではビジネスクラスも併用。「部長級以上」など幹部に限るケースが多かった。 1泊あたりの宿泊費が最も高かったのは舛添氏で19万8千円(パリ・ロンドン、スイートルーム)。次いで福岡県の小川洋氏の8万8千円(ロンドン、デラックスルーム)だった。一方で千葉、埼玉、奈良など11県では条例に基づいて定める上限額を超えないよう工夫し、最高でも1泊3万円程度に収めていた。 1回の随行人数が最も多かったのは沖縄県の翁長雄志知事のシンガポール出張で32人。少なかったのは鳥取県の平井伸治知事の0人で、計27回にわたり“一人旅”を繰り返していた。 |
●(6)平成28年5月17日、HARBOR BUSINESS Online、
<既出情報を総動員して舛添都知事を執拗に叩く日本メディア――江藤貴紀「ニュースな事情」 > 都知事舛添要一氏へ批判が集中している。いちおうの契機は、湯河原にある別荘へ公用車で知事が通っている旨の『週刊文春』による報道だ。それはそれで、立派なスクープでいいだろう。だが何点か、疑問が浮かび上がる。 例えばエピソードのうちいくつか(美術品、出張費、家賃)は、従来にも報道されていた。なのに何故いま取り上げるのだろうか。 それに、美術品についても、手前味噌ながら筆者が2014年11月に指摘して、ネットでもプチ炎上のようになっていた。 (参照:舛添都知事にも2400万流用疑惑!相次ぐ政治資金問題、なぜかくも露呈し易いのか?――江藤貴紀「ニュースの事情」) (参照:舛添東京都知事 質問へ「時間の無駄だ!税務署で聞け!」外国特派員協会で、美術品購入など3190万円の政治資金流用に関して回答拒絶 エコーニュース) また、海外への高額出張費に至っては東京都のHPにも記載があるほどだ。 例えば2014年のロンドン出張は6900万円である旨などが都のHPで公表されていた(なお、筆者も旅費交通費については2015年、東京都へ情報公開請求をかけたが、それでもあくまでも個人的な感覚ながら、「すでにHPで書かれている内容そのものを書くのはネタとして詰まらない」と思い、記事にしなかった経験がある)。 文春報道では新しい面もある。単に美術展で買い物をしたというだけでなく、実際に足を運んで口を割らせているから立派なことだろう。一方で、報道が事実とすると、気になるのは(不自然なほどの)店舗関係者の口の軽さだ。 すなわち、千葉のホテル関係者の証言がキッチリ取ってあり、政治資金収支報告書に記載の会議は開かれていなかったこと、子供連れで泊まったこと、グレードの高い部屋に宿泊したことが記されている。また美術品については、実際の店舗関係者の証言として「舛添氏担当の店員まで付いています」とある。 もちろん、これも文春記者の口割りの上手さであり、優秀さの証ではある。だが一方で(公人だとしても)、よくもペラペラと常連客のことをしゃべるな、という感も持つ。もし筆者なら、こんなに口の軽い関係者がいて秘密がダダ漏れの店は決して使いたくはない。さらに、公人が落ち目になった途端、それまで語られていなかった情報についてベラベラと証言が出て来るような社会には、生きづらさを感じる。 ◆なぜ急に舛添バッシングに火が点いたのか? さらにダメ押しで言うと、恐らく誰もがこの角度から写真を取られたらみっともない表情になるであろうアングルで――すなわち、会見のマイク下にリモートコントロール式の小型マイクを仕掛けて撮影された舛添氏の釈明動画を掲載するなど、品位を欠いた印象操作とも言える報道も目についた。フェアネスの感覚があるジャーナリズムであるならば、このような作為的な画像を面白がって取り上げるのではなく、舛添が「溺れた犬」にようになる前に、先陣を切って真相に切り込んだ報道をすべきだったろう。いまやっているのは、「おぼれた犬を叩く」ような弱いものいじめにすぎないのではないか? 既に報じられていたことをいまさらながらに再点火し、「関係者証言」で一斉に袋叩きにし、印象操作とも言えるような映像を流す。これらの事象をまとめると、野々村竜太郎元議員を執拗にネタにし、ベッキーを完膚なきまでに叩きのめしたものと同根のものを感じる。さらに言えば、①単に、政権とオリンピックの費用負担を巡って対立関係にあるという意味での相対的弱者(舛添氏)を②パナマ文書やら東京五輪招致に関する不正疑惑などの重要ニュースよりもウェイトを大きく割いて糾弾しているように思えてならない。 <文/江藤貴紀(エコーニュースR)> 【江藤貴紀】情報公開制度を用いたコンサルティング会社「アメリカン・インフォメーション・コンサルティング・ジャパン」代表。東京大学法学部および東大法科大学院卒業後、「100年後に残す価値のある情報の記録と発信源」を掲げてニュースサイト「エコーニュース」を立ち上げる。 |
●(7)なんだかグチャグチャになってきました。
しかし、最初に感じた私の直感、ムヒカ氏と比較して、何か「品性」がいかがかと思った直感は当たっていたことになります。 そして、それは結果的に正しかったことになります。 ただし、私たちは、舛添知事の胡散臭いいろいろな問題と、<<インドネシアの国家予算に匹敵>>する都知事の渡航費用や宿泊代の問題を混同して批判することは止めるべきです。 しかし、しかし、です。 もしかしたら、周囲にそういういい加減な人間が多いからなのだろうか。私のようにチマチマ生きている人間には想像を絶する「無神経さ」です。これほどいい加減なことが通用すると考える人間性が全く理解できません。 ●(8)平成28年5月17日、東京新聞「トカゲのシッポ?」(中野晃一・上智大学教授) にわかに舛添要一東京都知事が辞任に追い込まれそうな雰囲気が出てきました。多額の海外出張経費や公用車による別荘通いが批判されていたところに、今度は国民の税金が含まれる政治資金で家族旅行をしていた疑いを週刊文春が報じたのです。温泉リゾートでの家族の宿泊を会議費として、家族と回転ずしや天ぷらなどを食べた費用も経費として計上していたというのです。 政治資金の虚偽記載は無論問題ですが、あまりせこい話であるのに驚きます。都知事としての豪遊や公私混同もまた批判されるべきですが、石原慎太郎元都知事はこんなものではなかったのに、最後までメディアの追及がなかったことを思い返したりもします。 舛添知事をかばうのではありません。むしろ、かつて代表を務めた「新党改革」が、借金返済に使うのを禁じられている政党助成金や立法事務費で借金返済を行った疑いがあることが取り沙汰されるなど、カネの問題が命取りになるのは時間の問題とさえ言われた人です。なぜ今なのか。 五輪開催地の選考で、フランスの捜査当局が調べている日本の裏金工作疑惑を英紙が報じました。招致演説で原発事故は「アンダー・コントロール(制御されている)」と言った最高責任者は安倍晋三首相です。まさか都知事追及でうやむやにする作戦ではないですよね。 ●(9)平成28年5月16日、日刊ゲンダイ「必ずこういう事態になると思った」 <「新党改革」時代の公金不正を告発した元側近が激白> ・・・舛添の元側近だった元参院議員の矢野哲郎氏だ。 舛添が14年の都知事選に出馬表明した際、本紙の取材に「いずれ前任者(猪瀬直樹前知事)と同じになる」と予言していた矢野氏。あらためて今回の騒動について話を聞くとこう言った。 「あの(新党改革)時から(舛添は)政党助成金などの公金を〝不正”利用していたわけですよ。だから、都知事になれば必ずこういう事態になると言ったわけで、実際、その通りになった。そもそも新党改革は総会も役員会も一度も開かれておらず、党の活動実績もほとんどなかった。(収支報告書にある)ホテルや飲食店で会議を開いたこともありません」 以前からカネに汚い男だったとすると、ほかにも疑惑が出てきそうだ。 |
く文責:藤森弘司>
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