2015年1月15日 第150回「今月の言葉」
典型的な例として、例えば女性が男性に侮辱されたとします(男性が女性に侮辱された場合でも結構です)。最近の女性のことは分かりませんが、昔ならば、多分、多くの女性が泣いたことと思います。「悔しい」と泣きながらハンカチを握り締める場面を想像してみてください。 では、何故、泣くのでしょうか?これが重要です。 私自身の実例を交えながら、日常生活で極めて重要な「ラケット感情」について、次回、詳しくご説明申し上げます。>>> |
●(2)さて、上記のように、前回、「ラケット感情」とは「ニセの感情」であると説明しました。特にマイナスの感情の場合、私たちは、通常、本来の感情を味わわず、ニセの感情を味わっているものです。
上記の例で説明しますと、<<<例えば女性が男性に侮辱されたとします(男性が女性に侮辱された場合でも結構です)。最近の女性のことは分かりませんが、昔ならば、多分、多くの女性が泣いたことと思います。「悔しい」と泣きながらハンカチを握り締める場面を想像してみてください。>>> こういう場合、本来は悔しいのですから「怒り」を出すべきですが、特に、日本という国は女性の怒りは非常に出しにくいものです。「怒り」を出せば嫌われたり、女のクセになどとヒンシュクを買いかねません。 例えば、梅雨のシトシト雨が降る家の中でボンヤリしていると「虚しさ」や「寂しさ」を・・・昔、私(藤森)は、よく味わいました。 一つ一つの状況に対してどのように感じるか、どのように受け止めるかはその人の自由であるにもかかわらず、私たちは、乳幼児時代の家庭環境の影響によって、固有の受け止め方をするクセがついているものです。 よくあることですが、カウンセリング中に「分からないこと」があった場合、「分かりません」とか、「教えてください」とか言えば済む単純なことであるにもかかわらず、「分かりません」と言うことに困難を極め、苦しんだり辛くなったりする方がとても多いです。 以上のことを前提にして、下記の専門的な解説をご覧下さい。 禅語にある次の言葉は、まさに「ラケット感情」から自由になることを意味していると、私(藤森)は解釈しています。 <「随処作主 立処皆真」・・・随処(ずいしょ)に主となれば 立処(りっしょ)皆真(みな・しん)なり>(臨済録) 自分の置かれた場所で、隙のないように精いっぱいやるなら、どこにあっても真実のいのちにめぐりあえる・・・というほどの意味です。よく主体性を持て!といわれますが、主体性を持つとは、随処に(どこにでも)自分を投入して惜しまぬ愛情だと思います。すると、随処に意味を発見できます。真実のいのちにめぐりあえるのです。そこに生きがいを感じます(「禅語百選」松原泰道著、祥伝社)。 ここでいう「随処(ずいしょ)に主」となるためには・・・逆に言えば、「随処(ずいしょ)に主」となれないのは、交流分析でいう「ラケット感情」のためであるというのが私(藤森)の考えです。「ラケット感情」が邪魔をするために、私たちは「随処(ずいしょ)に主」となれないのです。 |
●(3)<Ⅱ:ラケットの周辺>・・・この(3)から(7)は<「交流分析上級者講座」杉田峰康先生著、発行:自己回復総研>によります。 1)Racket・・・脅迫、ゆすり、詐欺、不正な行為、恐喝、ごまかし Racketeer・・・マフィア、暴力団、ゆすりこのように考える理由は、ラケット感情は本人の意志・感情を無視して、強制的にラケット感情に浸らせるからです。例えば、「虚しさ」が強い人は、何があっても「虚しさ」に浸らせられます。「怒り」のラケット感情が強い人は、私(藤森)自身が若いときにそうでしたが、何があっても、面白くないと感じると腹が立ちました。「直ぐ怒る」という体験、あるいは、直ぐ怒る人に怒られた体験がある人は、結構、多いのではないでしょうか? 今は、私は、ほとんど怒ることが無くなりましたが、昔は、本当にイライラばかりしていました。ただ、やたらにムシャクシャしていましたが、今は、ほとんどが「ああ、そう」で済むようになりました。 昔は、ムシャクシャする自分自身にも腹が立つほどでした。まさに、無意識の底から強制的、マフィア的にイライラさせられていました。本当は、自分がイライラしているので、「~させられた」という言い方は間違いですが、実感としては「させられている感じ」でした。
2)Reaction(反応) あるいは、ほとんど平静でいて、後からドッと虚しさや悲しさ、罪悪感に襲われたりするものです。それがために 「喪に服する」期間が1年あるのですが、現在は葬儀が終わると、直ぐに社会復帰してしまい、喪に服して、十分に「実感」を味わわない・・・味わえないために、その後、一般的に言われる「心身症」やいろいろ・・・原因不明?な症状に悩まされるものです。特に現代は、身内を亡くしても、喪の期間を大事にする習慣があまり無いために、様々な症状・・・意味不明、原因不明の症状に悩まされている人は、結構多いです。西洋医学は、もちろん、東洋医学でも、心理学でも、このあたりの処理・対応の 「理論や処理技法」がほとんど理解されていません。3)Racket(ラケット感情) 親のラケット感情を肩代わりさせられていますので、親のラケット感情を味わっていると、親が心配して「どうしたの?」とストロークをくれます。そのために、ある特定のラケット感情が身についてしまって、何かあると、ある固有の感情・・・例えば、寂しそうな顔をすると、どうしたのと心配してくれるが、楽しそうにルンルン気分でいると、うるさいと言われかねません。 しかし、親も、自分の親から、そして、その親も、その親から・・・投影されていますから、誰かが悪いというものではありません。人間・・・人類の歴史です。 「昔何らかの感情体験をした場面」・・・つまり、投影される場面に遭遇すると、ラケット感情とは関係なくても、ラケット感情が刺激されて、ラケット感情で反応してしまいます。 私(藤森)自身、自分の単なる「思い込み」であることを認識するまでに、大変な苦労をしました。しかし、その困難な壁を乗り越えてみますと、ラケット感情に支配されていたことがよく分かりました。 5)転移(Transference) 昔、私(藤森)が「交流分析」を習い始めた頃のことです。セミナーが終わると、参加者達と喫茶店でいろいろディスカッションをしました。若い人もいますし、年配者も女性もいます。 6)Stamps(スタンプ) 「TA」とは、「交流分析」の略語です(Transactional Analysis)。 <「随処作主 立処皆真」・・・随処(ずいしょ)に主となれば 立処(りっしょ)皆真(みな・しん)なり>(臨済録) |
●(4)<Ⅲ:ラケットの性質>
1)自然な感情をカムフラージュしている 上記の例で言いますと、「弟」が誕生すると、上の子は、止むを得ないことではありますが、「弟」と比べて、愛情ある触れ合いが極端に少なくなります。赤ちゃんには、オムツを交換したり、オッパイを上げたり、また、ぐずれば、直ぐに対応しますが、上の子が甘えても、放っておかれたり、叱られたりしかねません。 私は、よく、小さな二人のお子さんを連れている母子連れを観察します。止むを得ないとは言え、上の子は可哀想だなと、いつもハートを痛めています。 しかし、お母さんに愛されるために、下の子の面倒を見たり、疲れていてもしっかり(?)歩いたりするでしょう。でも、無意識の内に(殺意)を抱いても不思議ではありません。私たち、心理の専門家は、こういう上の子の「敵意」や「怒り」を十分に汲み上げて差し上げることが大切です。 私事ですが、私のために子供の頃、かなり「割を食う」体験が沢山あったはずの兄を、今、大切に思って対応しています。4歳違いの兄は、私のために、かなり、我慢を強いられたはずです。その兄に対して、たとえわずかであっても、このような気持ちで対応できるようになったことを有り難く感じています。 B)“代用”感情・・・おきかえられたニセの感情 C)人工的な感情 2)相手に圧力をかけてストロークを得ようとする B)自ら責任をとりたくないという気持ちから生ずる、強引な威圧的な交流。 3)魔術的な信念に基づいている 例えば、母親のラケット感情である「虚しさ」を植えつけられて(投影されて)、子供の頃、しばしば、ラケット感情を味わうと、母親は放っておけなくて、とても優しく対応してくれます。つまり、「虚しい」というラケット感情は、ストロークを得る手段として成功しています。 そうすると、社会人になっても出てきますが、周囲は、何故、虚しそうにするのか理解ができず、虚しくなるたびに、周囲に理解できず、さらに「虚しく」なってしまいます。 つまり、「ラケット感情」を刺激しあえる関係、共有関係です。これが一般に親しいとか、親友とか、恋人とか、夫婦関係とか、素晴らしいカウンセラーだとか・・・・ラケット感情を強化し合える関係ができます。昔でいう「駆け落ち」などはまさにそうです。こう言いますと、味も素っ気もありませんが、でも、残念ながらそうです。 4)古い、昔の感情生活にしがみついている 5)ラケット常習者 6)人はなぜラケットを持ち続けるのか? B)ラケットと交流 7)ラケットは身体症状として現れることがある |
●(5) <Ⅳ:ラケットとラケット感情>
1)ラケット感情(スチュアート、ジョインズ) 2)ラケット 3)ラケットと脚本 4)ラケット感情と真実の感情 5)未完の状況とラケット感情(トムソン) 6)ラケット行動(イングリッシュ) 7)スタンプ 8)転移(土居)とラケット感情 B)抵抗・・・裸の精神になることへの躊躇 C)なぜ転移は治療に対する最大の抵抗となるか |
●(6)<Ⅴ:ラケット・システム>
1)~5)は省略 6)ラケット・システムの例 ②抑圧された感情 B)ラケットの表われ方 ②身体内感覚 ③ファンタジー C)強化因子としての記憶 |
く文責:藤森弘司>
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