2014年2月15日 第139回「今月の言葉」
カウンセリングとは何か(危険度)

●(1)私たちは、一般に、「危険度」を分類することなく「危険」という言葉が使われているように思えます。そこで、まず、「危険度」を次の3段階に分けて考えてみます。

「危険度Ⅲ」・・・・・例えば、エベレスト山を登頂することを考えてみます。どんなに気をつけても、常に、危険と隣り合わせです。ヨットで太平洋を横断することも、未開のジャングルを探検することも、常に、命の危険と隣り合わせです。

 どんなに登山やヨットの大ベテランでも、また、ジャングルの探検に熟練していても、危険と隣り合わせです。どんなに十分な準備をしていても、どんなに配慮を十分にしていても、やはり危険と隣り合わせであることは間違いありません。

 上記は極端なケースですが、「危険度Ⅲ」は、命はともかく、実際に「危険」があるものを意味します。

「危険度Ⅱ」・・・・・私(藤森)が一番イメージするものは、バンジージャンプやジェットコースターです。もの凄く怖いですが、ほとんど危険なことはないのではないでしょうか。

 時折、例外的な事故は起きているようですが、実際は、ほとんど危険ではありません。
 私は、絶対にバンジージャンプはやりませんが、万一、絶対にやらなければならない何かの事情があったとします。その場合、「恐怖心」はとてつもなく大きいですが、ジャンプ台から、エイ!、ヤッ!と足を1歩踏み出す最低限の勇気は持っていると思っています。

 つまり、「恐怖の度合い」が高い割りに、かなり「安全度」の高いものであり、度胸さえあれば簡単にできるものを意味します。
 ジェットコースターも同様です。一回転するようなかなり怖いものもあるようですが、乗ってしまえば、キャーキャー喚いても、5分か10分くらいで無事に終了します。

「危険度Ⅰ」・・・・・深さが30センチくらいの川を渡るようなもので、危険もなければ、怖さも無いような場合を意味します。遊園地などで、手綱を引く人がいるロバやポニーに乗るようなものです。

 つまり、「怖さ」を感じるようなことはほとんど全く無く、「危険度ゼロ」の場合を意味します。敢えて言えば、幼稚園児が、少し、怖がる程度で、側にいる親が、笑いながら見ていられる程度のケースを意味します。

 ロバやポニーなども、動物が大嫌いな人や、幼児には、少々、怖さを感じるかもしれませんが、現実的に、怖いことは全く無いと言えるものです。

●(2)さて、カウンセリングで自己成長に取り組みますと、長年、歩いてきた道は問題を起こしているために、その生き方を変える必要が生じてきます。ところが、通いなれた道を変えることは、未知の世界、まるで未開のジャングルを進むような恐れや不安を抱くものです。

 もちろん、危険度はゼロですが、知らない道という意味では、未開のジャングルを進むような不安があるようです。つまり、「③の危険度Ⅰ」であるにもかかわらず、「①の危険度Ⅲ」や「②の危険度Ⅱ」のように思えてしまうことから、取り組むことの困難さを感じてしまうようです。

 私(藤森)の場合は、あらゆる面で人生に行き詰っていましたので、人生が楽になるならばどんなことでもやるぞという覚悟がありましたが、多くの方は、多分、そこまでの行き詰まりではないのでしょうね。

 恐ろしいことでもなんでもありませんが、ほとんどの方は、バンジージャンプをするくらいの不安を感じるようです。
 それを、いかにして、その方のペースに合わせながらも、自己成長に取り組む覚悟・・・・・小川を渡れば、靴や靴下は濡れますが、危険なことは全く無く、メリットが多い自己成長に取り組む覚悟・・・・・というほどのことではありませんが、「通い慣れた道を変更」する気持ちになっていただくか、これがカウンセリングではとても大事だと痛感しています。

●(3)もう一つは、「沽券」です。
 <「トピックス」「私説・曽野綾子・論④ー④」「沽券についての一考察」>をご参照ください。ご自分を変えるということは、どうしても、ご自分の中の好ましくない部分を直視する必要があります。変えるということは、好ましくないからで、良い部分は変える必要がありません。
 好ましくない部分は、自分自身の人生を歪めていたはずですし、周囲からヒンシュクを買っていた可能性もあります。もしそうだとすると、その性格傾向にかなりこだわってきたはずです。
そういう・・・・・良し悪しは別にして、軋轢がありながらも維持してきたということは、強いこだわりや意地があるわけですから、それを認めて修正しようと決断することは、思った以上に難しいものです。

 そうすると、「危険」だと思うことと、「沽券」とが絡み合ってしまって、何がなんだか明確でなくなり、とにもかくにも、自己成長することは大変難しいという錯覚を感じてしまう強い傾向があります。

 これらをいかにして乗り越えて、本来の自己成長に向き合っていただくか・・・・・これがカウンセリングにとって、極めて重要なことです。

く文責:藤森弘司>

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