2010年4月15日 第93回「今月の言葉」
脚本分析・・・オバマ大統領は大丈夫か? PART③

 ●(1)オバマ大統領の「脚本分析」は、ひとまず、今回を最終回としたいと思います。

 私(藤森)が、日ごろから感じていることは、心理学、特に「交流分析」を深く勉強している多くの人が、ご自分の「脚本」を分析しようとしない「不可思議さ」です。
 私たちは残念ながら、極端な偶然・・・多くの場合、病気や怪我などで「死」に直面する場合を除いて、自分自身の「脚本」に取り組んで、歪んだ「脚本」を変えない限り、私たちの人生は、「脚本」に書かれたようにしか生きられません。
 それを知り、それに取り組むのが「交流分析」の目的であるのに、寡聞にして、「本気」で取り組んでいる、あるいは、取り組んだ人を、ほとんど私(藤森)は知りません。
 コンピューターのプログラムにミスがある場合、ミス(バグ)の場所を探して、そこを正しいコンピューター言語に書き換えます。人間もそれと同様に、「脚本」を分析し、歪んだ部分を発見して、自分が好むようなものに書き換える(これを「交流分析」では「リプログラミング(脳の再編成)」といいます)ことこそが重要です。

 しかし、ほとんどの人(学者、専門家やセミナーなどで詳しく学んだ人)は、「交流分析」を学んだり、研究を続けるが、本来の「交流分析」の目的に取り組もうとしません。ということは、多くの方は「脚本」が人生に与える「本当の意味」を、あまりご存じないと「解釈」せざるを得ません。「本当の意味」が理解できていれば、心の底から取り組もうと思うはずです。いや、取り組まざるを得ないはずです。
 喩えて言えば、財布に穴が開いていれば、財布の穴を塞ごうとするはずです。それと同様、「脚本」の意味を真に理解すれば、「脚本」の穴を塞ごうとするのは当然のことです。
 そこで、「脚本」が人生にどんな影響を与えるのかを具体的に知っていただきたいと思い、詳しく解説しています。

 最後に、「女優 ハル・ベリー」の「生い立ち」と、その生い立ちが人生に与えている「巨大な影響」も併せてご紹介しますので、「脚本」が人生に与える影響を十分に噛み締め、理解されることを祈っています。願わくば取り組まれることを。

 なお、「精神分析」では、人生の「基礎」は小学校に上がるまで、つまり6歳までに形成されるといいます。同様に、「交流分析」でいう「脚本」も、6歳までにほぼ完成されると考えてください。
 そのために、いくら「意識的」に考えたり、想像したりしても、及ばない範囲、つまり「無意識」の問題であることを理解することです。しばしば聞く言葉は「そういうつもりではない」ですが、「そういうつもり」は意識の問題ですが、人間の行動を規制しているのは「無意識」です。ですから、いくら「意識的」に考えたり、行動をチェックしてみてもダメです。「無意識」、特に「深層心理」に取り組むことです。

 ただし、「脚本」を書き換える作業(リプログラミング)は、「交流分析」ではできません。「交流分析」は「理論」であって、実際の作業は他の「技法」を活用することです。活用する「技法」は沢山ありますので、その状況に合わせて、その状況に有効な「技法」を活用することです。「交流分析」の真髄にいくら徹しても、それは単に理論的にわかったというだけのことです。変わるための工夫をしなければ、わからないこととほとんど同じです。

 そのために理解すべき課題は、私が連載させていただいている「イーマ」のホームページに詳しく解説してありますので、それを参考にすることをお薦めします(<このHPの表紙>から、<リンクしているイーマのホームページ>をクリックしてください)。

●(2)さて、オバマ大統領の「脚本分析」ですが、私(藤森)は、アメリカの歴史や現状をほとんど全く知らない人間です。ましてや、英語のこともわかりません。そういう意味で、これから解説することに、万一、ミスがありましたら、ご一報賜れば幸いです。

 オバマは、2008年11月の「受託演説」の最後に、下記の演説をしました。「深層心理」を専門にする私(藤森)にとっては、非常に重要な部分、見過ごすことのできない部分に思えますので、ご紹介します。

・・・(略)・・・そして、そのたゆまぬ支えがなければ私が今夜ここに立っていることはなかっただろうと思われるのが、16年来の私の友人であり、わが家の強い支えであり、私の生涯の伴侶であり、この国の次期ファーストレディでもあるミシェル・オバマです。
 サーシャとマリア、君たちには想像もつかないほど、お父さんは君たちふたりを愛しているんだ。それで、君たちには新しく飼う子犬をあげることにしたから、ホワイトハウスに一緒に連れて行こうね。
 そして、もうこの世にはいないのですが、祖母は今も見守ってくれているはずですし、私という人間をつくり上げてくれた家族も一緒に見守ってくれているはずです。今夜ここに彼らがいたらと思わずにはいられません。、私が彼らから受けた恩は計り知れないものなのです。
 妹のマヤと姉のアルマ、そして兄弟姉妹全員へ。これまでみんなでいろいろな援助をしてくれて本当にありがとう。みんなに感謝しています。・・・・・(後略)・・・・・
(「オバマ演説集」朝日出版社)

●(3)上記の「たゆまぬ支え」は、<the unyielding support(アンイールディング・サポート)>となっていて、<unyielding>の単語の訳として<屈することのない、揺ぎない>とあります。

 また、「わが家の強い支え」は、<rock of my family>となっていて、<rock>の単語の訳として<堅固な支え、よりどころ>とあります。

 英語では、こういう言葉が普通に使われるのかもしれませんが、オバマの「脚本」がわかる私にとっては、非常に不自然な表現に思われます。何故ならば、多くの場合、「無意識」、特に「深層心理」の中にあるものとは反対のことを「表現」したくなるものです。

 「親に見捨てられたと感じていた」オバマが、「親の愛」を知るわけがありません。「親の愛」を知らなくても、愛情が大切であることがわかり、学問を積めば、いくらでも「愛情表現」ができると思うのは「完全な間違い」です。
 もしそうであるならば、学問の深さに「比例」するはずですが、多くの場合、「学問」に「反比例」します。私が尊敬する「曽野綾子先生」は、エッセイの中で、しばしば、「東大法学部」を批判しています。東大法学部を卒業した人たちならば、理論・理屈ではこういうことを十分にわかっているはずです。日本が置かれた厳しい状況も十分に分かっているはずです。
 そういう人たちの多くが、今、「事業仕分け」をされようとしています。また、どう見ても人間性がすばらしいとは思えない人が多くはないでしょうか。一例ですがご参照ください<第11回「トピックス」「舛添を激怒させたあの一言」>

 「脚本分析」して、書き換えない限り、「人間性」、それも表面的な部分ではなく、より深い部分を変えるには、学問だけでは不可能です。どんなにボランティア活動をしようが、社会に貢献しようが、命をなげうって活動しようが、学問的に立派な業績を上げる学者であろうが、どんなに宗教的な活動や宗教的な学識が深まろうが、本来の人間性とは全く関係ありません。
 その決定的な証拠として、亡くなるときの「死亡原因」を見れば、いかにその人が、自分の人生を生きていないかがよくわかります。しかし、「弱小ホームページ」とはいえ、社会に公開しているこのホームページでは、これ以上、詳しく解説すべきことではありませんので、さらに詳しくお知りになりたい方は、セミナーなどで個人的にお尋ねください。

 さて、英語表現としては普通のことかもしれないですが、「深層心理」を専門にする私(藤森)は、ここは「看過」できない部分です。むしろ「壊れやすい」からこそ、「rock of my family」と言いたくなるのです。

 さらに重要なことは、<君たちには想像もつかないほど、お父さんは君たちふたりを愛している>と強調するおかしさ。  「親に見捨てられたと感じていた」オバマは、親に愛されていない・・・というよりも、「親に冷たくされた」わけですから、自分が親の立場になったからといって、どうして「子供」を愛せるでしょうか。愛し方を知らないはずですから。
 「体験していない」ことでもできると思うことは、体験がないのに、ある日、突然、「アラビア語」が話せるというくらいにおかしなものです。

 私(藤森)の父は、私が子供のころ、いろいろなことに手を出しましたが、ことごとく失敗しました。お陰で私は「失敗」の仕方を学んだので、失敗ばかりの人生を、私自身が生きてきました。ですから、私は「失敗」する方法は、一冊の本をかけるくらい詳しく知っていますが、残念ながら「成功の仕方」は知りません。私の人生は、父と同様、ことごとく失敗してきました。
 その結果、「脚本」に取り組まざるを得ないほど、人生が追い込まれました。「人格」も破綻したお陰で、結果的に「自己成長」に取り組むことができました。まだまだ道半ばですが、私の人生で唯一の「成功体験」です。

 体験しなければわからないことの例をもうひとつ挙げてみます。
 アフリカで、野生の動物、たとえば象やライオンの親が殺されて、乳幼児くらいの子供が残された場合、その子を一生懸命に育てても、野性に返すほうが遥かに大変だといわれます。
 何故ならば、「餌」の取りかたなど、本来の野性性を知らないからです。野生の動物ですから、大きくなれば勝手に餌を取れるようになると思われがちですが、経験していないことはわかりません。それを経験させ、野生の世界で生きられるようにすることが非常に大変です。それは当然のことです。刷り込みの一番大事な時期に「野性性」を体験していないのですから、年を取れば取るほど「野性性」を回復させることは困難を極めます。
 
●(4)さらに、私の独断と偏見で申し上げれば、あらゆる「宗教」や「心理学」「哲学」などの「学問」の行き着くところは、「両親の有り難さ」・・・一般的に言えば「両親への感謝」が実感できるようになることだと思っています。
 そういう私の思想・考え方から読み解いてみると、オバマの上記の演説から「両親」に関する言葉が全く出てこないことに不自然さを感じずにはいられません。どんなことがあろうとも、直接「両親」から全ての素質を、私たちはいただいています。「両親」を抜きにして、この世の一切の価値はありません。

 オバマの生い立ちから考えれば、両親が削除されていることはよくわかります。しかし、「削除」したままの「幸せ」は、「幸せぶりっ子」です。アメリカ的かどうかわかりませんが、全米に向かって、いかに自分が幸せであり、家族を大切にし、家族に支えられているかを強調することは、政治家としては重要なことなのかもしれませんが、私には、オバマが強調すればするほど、「脚本」通りになる「確信」が持てます。つまり、強調していることとは「逆」の人生になることが強く予感されます。

 今まで、アメリカの大統領が就任するというようなことに関心を持ったことがないので、歴代の大統領がどんな受託演説をし、どんな就任演説を行ったのか、私には全くわかりません。
 そういうことを抜きに考えるならば、受託演説の時の、「君たちには想像もつかないほど、お父さんは君たちふたりを愛している」と言ってみたり、「君たちには新しく飼う子犬をあげることにしたから、ホワイトハウスに一緒に連れて行こうね」などと敢えて言うことの不自然さ、世界のいろいろな国に軍隊を派遣し、時には戦争をしたり、テロと戦ったり、CIAが暗躍したり、世界の警察官を自認し、世界を相手にする極めて困難なアメリカ大統領の職に就かんとする人間が、いくら演出とはいえ、そんなことはどうでも良いように思えるのですが・・・・・。どうでも良いことを「強調」せざるを得ないほどの(失礼)「酷い脚本」の持ち主であるからだと言わざるを得ません。

 私(藤森)の「脚本」と良い勝負ができるくらいに「酷い脚本」ですが、(前回にも述べましたが)私と決定的に違うのは、オバマは頭が良くて、私は頭が悪いことです。その結果、「王子のオバマ」「乞食の私(藤森)」になっています。

 しかし、ここからが面白いことです。私は還暦まで乞食のような失敗ばかりの人生を生きてきたお陰で、晩年になって、人生にとって、あるいは人間にとって、「一番大事なことは何か?」ということに気づくことができました。そのお陰でなんとか、人生の最後を穏やかに過ごせそうです。安らかに人生を終えることができそうです。
しかし、これだけ良い思いをしたオバマの人生は、これからどんでん返しをして、
「悲惨」になります。いつ、どこで、どのような結末を迎えるかを予想するのが「脚本分析」でありませんが、オバマの「脚本」が詳しくわかるだけでなく、アメリカの現状なども詳しくわかり、いろいろな情報が入手できますので、(勇み足を許していただければ)かなり正確に予想することができます。

 さらにオバマの将来を予感させるような資料をご紹介します。

 ●(5)平成20年8月15日・22日号、週刊ポスト「池上彰の鳥の目、虫の目」(あるときは国際情勢を俯瞰し、あるときは人々の暮らしの視点からニュースを考えるコラム)

 <補助金90億円の受け取り拒否!オバマ候補「金権選挙」の皮算用><ヒラリー、オバマを支援>  アメリカ大統領選挙の本選挙は今年11月。これまでの「選挙活動」は、民主党や共和党の候補者になるための予備選挙でした。
 共和党はマケインが早々と候補に決まっていましたが、民主党は、オバマとヒラリーが最後まで激しく争いました。あまりに激しい戦いだったので、オバマが候補者に決まった後も、両者の間の溝が埋まらず、ヒラリーの支援者はオバマにそっぽを向くのではないかと言われていました。
 
 民主党の大統領候補がオバマに決まると、ヒラリーは「撤退宣言」を出して公の場から姿を消します。「やはりヒラリーはオバマを応援しないのか」という観測が流れたのですが、6月末になって、ヒラリーは再登場。オバマの支持者の前に姿を見せ、オバマを支援することを宣言。二人は抱き合って今後の共闘を誓いました。
 これをきっかけに、オバマの支持率は急上昇。6月末時点ではマケインを大きく上回りました。ヒラリー支持者がオバマを応援するようになった結果だと見られています。

 と、ここまでは美しい話ですが、7月9日、オバマは、自分の資金集めのパーティーで、ヒラリーへの資金援助も呼びかけました。ヒラリーは、オバマとの激しい予備選挙で政治資金を使い果たし、私財まで投じたのですが、それでも足りず、日本円にして20億円以上の借金を抱えています。その借金返済に協力してほしい、というわけです。

 ヒラリーがオバマへの支援を打ち出す一方、オバマは支持者にヒラリーへの資金援助を呼びかける。お金でつながった二人だったのですね。オバマの公式ホームページには、早速「ヒラリーありがとう」という欄が登場し、インターネットでヒラリーへの政治献金ができるようになりました。この手際の良さ。
 と同時に、この動きは、アメリカ大統領選挙には莫大な資金が必要になっていること、その資金をインターネットの草の根献金に頼るオバマが有利であることを示しています。

 <大統領選挙は金がかかる>

 政治には金がかかるのは日本もアメリカも同じですが、アメリカの場合、群を抜いています。選挙運動に日本のような規制がほとんどないため、候補者がテレビ広告を大量に打ちます。これに多額の資金がかかるのです。

 前回(2004年)の大統領選挙では、ブッシュ、ケリー合わせて10億ドルから15億ドル(約1060億円から約1500億円)を使ったとみられています。
 今回の予備選挙でも、オバマ、ヒラリー共に大量の資金を注ぎ込みました。各州の予備選挙で勝てば政治献金が大量に集まり、敗北が続くと政治献金が集まらなくなって撤退を余儀なくされるからです。
 ヒラリーも、予備選挙でオバマにリードされ始めると、政治献金の額が先細りになっていました。

 <ネットで集める政治献金>

 アメリカの政治献金の集金方法としては、インターネットが大きな役割を演じるようになっています。それぞれの候補者の公式ホームページには、政治献金の欄があります。たとえばオバマのホームページを見ますと、政治献金の寄付額が、10ドル、25ドル、50ドル、100ドル、250ドル、2300ドル、4600ドルに分かれています。寄付したい人は、選んだ金額をクリックし、クレジットカードの番号を入力すれば、それでOK。まるで通信販売を利用するように政治献金が完了するのです。

 ちなみに個人献金は、予備選挙と本選挙で、それぞれ上限が2300ドルと定められています。合計で4600ドルまで寄付できるというわけです。
 オバマの場合、予備選挙中に200万人から政治献金を受け、合計金額が1億ドルを超えています。

 <政治献金は個人献金中心>

 アメリカの個人献金は、候補者以外にも、民主党や共和党の全国委員会に年間2万5000ドル、地方の党組織に年間1万ドルなどと上限が決まっています。
 アメリカも、政治資金の規制が次第に強化されてきました。大口資金を援助してくれた人に政治的見返りをするのを防ぐためです。
 しかし、規制が厳しくなると抜け穴もできます。それがPAC(政治活動委員会)経由の政治献金でした。

 候補者とは別のPACを組織し、資金を集めて政党に寄付するという手法が広がりました。政党は、あくまで「政治活動」をするという名目で大統領候補を支援する費用に使います。
 これでは規制が有名無実になるとして、2002年に「選挙改革法」が成立し、PAC経由での献金額が制限されました。
 また、予備選挙でも本選挙でも、連邦政府からの補助金が出る仕組みがあります。候補者の資金負担を軽減するのが目的です。

 <「5億ドルの男」という呼称>

 大統領選挙の本選挙の場合、それぞれの候補者は、連邦政府から8500万ドル(約90億円)を受け取れます。ところがオバマは、この資金を受け取らないと宣言したのです。
 というのは、連邦政府から資金を受け取った場合、支出額は、この限度内でなければならない決まりがあるからです。オバマは、これを嫌いました。
 つまり、本選挙では90億円以上を使うということを明らかにしたようなものです。

 これまで本選挙で政府からの補助金受け取りを拒否した候補はいません。オバマが、初の候補なのです。
 一方のマケインは、政府からの補助金を受け取る方針を明らかにし、オバマを「金権候補」として批判しています。そんなオバマについて、アメリカのマスコミは、「5億ドルの男」というニックネームをつけました。日本円にして約530億円。オバマは、これからこれだけの資金を集めて、選挙戦に使おうとしているというのです。

 アメリカ大統領選挙のあまりの「金権選挙」ぶりには気が遠くなりますが、多数の支持者から少額の資金援助を得て選挙活動をまかなうというのは、民主主義そのもの、と言うこともできます。これが、オバマの強みなのでしょう。

 (藤森注・・・・・私は、何かの本か週刊誌だったか忘れましたが、オバマは小口の献金を集めたかのように思われているが、実は、大口献金のほうが多いということを読みました。その資料をいくら探しても見つからないので、私の記憶違いということにしておきますが、これだけ多額の献金を考えれば、大口の献金説に妥当性があるように思えます。
 確か、全米自動車労組などがオバマを強力に応援したはずです。こういう金権体質もオバマの「脚本」に影響されています。お金に窮乏した人間は、お金に対するこだわりが強いものです。何かの「劣等感コンプレックス」を持っている人は、必ず、それに対する強いこだわりがあります。たとえば「学問」に対する「劣等感コンプレックス」がある人は、「大学」とか「大学の偏差値レベル」ということに強いこだわりがあります。
 「いじめられっ子」は肉体の改造や強くなることにこだわります。あるいは、「学問」や「経済力」などで見返そうと思うかもわかりません。「アディクション(嗜癖・しへき)」も、それにこだわる由来があるものです。

 どう考えても、貧しい育ちをし、黒人のオバマが、連邦政府から8500万ドル(約90億円)もの大金を受け取れるのに、それを断る、しかも、史上初めてというのは、異常としか思えません。これだけの「金権体質(数百億円!)」「アメリカ大統領」「ノーベル賞受賞」。ありったけの「運」を使い果たさないほうが不思議です。「チェンジ!」「イエス、ウイ、キャン」と絶叫しただけで、過去にほとんど実績のないオバマが、あっという間に「金権体質」などと呼ばれるほど、巨額のお金を自由に使えるような立場になりました。人生が狂わないほうが私にとっては不思議に思えます)

<いけがみ・あきら・・・・・1950年長野県生まれ。慶応大学卒業後、73年にNHK入局。報道局社会部記者などを経て、94年から「週刊こどもニュース」のキャスターに。わかりやすく丁寧な解説が人気を集める。05年よりフリージャーナリスト。近刊に『14歳からのお金の話』『「見えざる手」が経済を動かす』がある>

 ●(6)平成22年3月25日、読売新聞「オバマ支持 回復の兆し」

 <医療改革 世論は好感>

 <共和党、中間選挙へ反撃態勢>

 【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領が内政上の最大懸念としてきた医療保険制度改革法が23日、大統領の署名で成立した。オバマ政権は、歴代民主党政権が成し得なかった「歴史的成果」を追い風に、一気に求心力の回復を図る構えだ。しかし、改革法案の審議の過程でオバマ政権との亀裂を決定的に深めた共和党や保守勢力は、11月の中間選挙をにらみ、早くも反撃態勢を固めつつある。

 「我々は、大志を萎縮させるようなことはしない。疑念や不信に陥らなかったからこそ、今の我々がある」
 大統領は23日、ホワイトハウスで行われた署名式で高らかに宣言し、民主党関係者からの拍手と称賛を浴びた。「チェンジ(変革)」の旗手として米国民の期待を集めた就任式から1年余り。記者団の間からは、「大統領は、当時の輝きを取り戻した」との感想まで出た。

 実際、ギャラップ社の世論調査では、大統領自身の支持率は、下院が法案を可決した直後の22日の時点で51%と、数日前に就任以来最低の46%を記録したのに比べ、若干持ち直していることが分かった。
 また、同社とUSAトゥデー紙が23日発表した合同世論調査では、法案可決を「評価する」との回答が49%に上り、「評価しない」とした40%を上回った。可決前の各種調査では法案への不支持が上回っていただけに、世論の風向きに変化の兆しがあるのは事実だ。

 大統領としては、法案の成立を受けて医療保険改革を直ちに軌道に乗せ、改革への国民の評価を定着させたい考えだ。署名式の演説でも「国民皆保険」の実現に向け、従業員の保険料を負担する小規模事業者への税控除や、既往症を持つ人々の保険加入促進に即刻着手するとアピールした。

 <14州の司法長官が法の無効訴え提訴>

 一方、不安材料も少なくない。フロリダ州など計14州の司法長官は23日、連邦政府を相手取り、同法の無効確認を求める訴えを連邦地裁に起こした。国民の保険加入を義務付けた同法は、「個人の自由と州の主権を侵害し、憲法違反だ」というもので、ビル・マッキカラム同州司法長官がテキサスなど他の12州の長官の提訴を取りまとめた。バージニア州の長官も同様の訴えを別に起こした。

 法律専門家は、訴えが認められる可能性は低いとみている。ただ、14人の長官は1人を除き全員が共和党員で、マッカラム氏は州知事選立候補も取りざたされ、訴訟は中間選挙をにらんだ共和党による巻き返しという政治色が強い。
 共和党や保守勢力は、次なる焦点に浮上している移民制度改革でも、オバマ政権が不法移民に寛容な政策を打ち出してくる公算が大と見て、早くもけん制の構えを強めている。医療制度改革の「歴史的業績」が、直ちに中間選挙で追い風となるかどうかは未知数だ。

 ●(7)上記の「医療改革」は、もちろん、すばらしい政策だと思います。また、そうあるべきものだと私(藤森)は思います。
 しかし、良い政策が必ずしも「正しい」とならないところが難しいところです。私が思うに、この「医療改革」には、二つの間違いがあるように思えます。①その国には、その国の歴史的背景があります。ただ単純に、今考えてみて「正しいこと」だから正しいとならないものがあります。その一つが、この改革です。
 「個人の自由と州の主権を侵害し、憲法違反だ」という訴えは、確かに13州の長官が共和党員であり、「中間選挙」をにらんだ政治色が強いのは事実でしょう。
 しかし、たとえ「政治色」がいくら強くても、アメリカの文化に合わない主張であれば、むしろ彼ら自身が有権者から反感を買うはずです。いくら利害打算が働いたとしても、それが国民感情を刺激しなければ、党利党略にもならないはずです。
 つまり、「個人の自由と州の主権を侵害し、憲法違反だ」という訴えは、国民感情に訴える効果があるからこそ、党利党略で訴えたはずです。「国民皆保険制度」は、われわれ日本人には当然のことのように思っていますが、アメリカは驚くほどこういう精神構造を強く持っていることを理解しないと、共和党員の感情の理解は難しいでしょう。
 
 日本でも、自民党は、多分、党利党略で、民主党の鳩山総理大臣と小沢幹事長の「金」の問題を強烈に攻撃しているはずです。しかし、歴史的背景を考えれば、自民党のほうがはるかに根の深い大きな問題であることを国民はわかっているので、民主党の支持率が下がっても、自民党の支持率が上がらないのです。  政治に関する「金」の問題は、戦後の日本の歴史的背景を考えれば、自民党の攻撃に胡散臭さを感じるのは当然です。せめて、金の問題に全く縁の無さそうな若手を総裁や幹事長に抜擢して、民主党の「金」の問題を追及すれば、かなり効果があったように思われますが、大変失礼ながら、自分たちも関わってきたように思われる自民党のベテラン国会議員がいくら攻撃しても、「目くそが鼻くそ」を笑っているように思えてしまうのではないでしょうか?

 私が、強くこの気持ちを抱いたのは、中国で麻薬の密輸を企てた日本人3人が「死刑」の判決を受け、処刑された報道がきっかけです。1.5キログラムの麻薬所持で「死刑」は厳しすぎないかという意見に対して、ワイドショーのあるコメンテイター(弁護士)が、「中国にはアヘン戦争でメチャクチャになった歴史的背景があるから、アヘン所持には厳しいのだ」と発言していたのを聞いて、私は「なるほど」と思いました。
 その時、そのコメンテイター(弁護士)が「日本の場合には、木造家屋なので、放火に対しては、死人が出なくても、大変厳しい判断(確か死刑)がなされる場合がある」と発言していました。その発言を聞いて、その国固有の問題や歴史的な背景を理解しないと、正しい判断はできないものだと思いました。

 日本では「政教分離」が常識ですが、諸外国の多くの国では違うのではないでしょうか。
 オバマの就任演説で、ロバーツという神父か牧師か、そういう立派なキリスト教の立場の人が宣誓式に立ち会いました。しかし、彼は、宣誓の言葉の順番を若干間違えました。
 後日(翌日?)、就任が無効になるといけないからと、ホワイトハウスで「宣誓」をやり直しました。日本では、織田信長のお陰で「政教分離」ができましたが、諸外国ではこのように「政教一致」が多いのではないでしょうか?
 良し悪しは別にして、こういう歴史的背景を考慮しなければ、その国のいろいろなことは、真に理解できないことと思います。

 ですから、「国民皆保険制度」というわれわれの文化から考えれば非常にすばらしい制度であっても、アメリカの西部開拓史や独立戦争などを考えると、特に伝統を強く意識する層(共和党員や保守勢力など)には、「個人の自由と州の主権を侵害し、憲法違反だ」などと言いたくなる背景があるのでしょう。かなり「過激」かもしれないが、でも「国民感情」を刺激するだけの根拠や、それなりの正当性があるのでしょう。
 しかもそれが黒人のオバマであるということは、(残念なことではありますが)かなりのアメリカ国民の感情を刺激するはずです。人間の深層心理とはそういうものです。
 
②もう一つの理由は、今、世界の経済は疲弊しています。中国がいいと言っても、国内問題はかなり深刻なようです。ヨーロッパでも特に、「ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン」がかなり悪いようです。日本はいうまでもなく、アメリカもかなり悪いようです。
 覇権国家アメリカは、少なくても、2020年以後、「覇権」は中国に取って代わられるだろうと言われています。表向きの数字以上に国家が傷んでいます。住宅を取り上げられて困窮している国民が多数いて、その悲惨な様子は、映画<「キャピタリズム」(今月の映画、第89回ご参照)>に詳しく紹介されています。

 つまり、十分に豊かな人たちは良いでしょうが、生活が苦しくなってきているアメリカ国民、精一杯のところで頑張っている人たちが、このような制度によって、さらに税金を取られるとなると、怒りを爆発したくなるのではないでしょうか。
 つまり、アメリカが傷んでいて、生活困窮者が増えているからこそ、「国民皆保険制度」は必要ですが、また逆に、そういう国家が疲弊しているときには、さらに負担を増加させるこの制度は、国内に厳しい対立を生じさせてしまうのではないでしょうか。
 アメリカ的な文化に相応しくないといわれる制度が、最も経済状況が厳しいときに成立させるのは、いかに良い制度であっても、重大な問題を孕んでいるように思えてなりません。なんといっても「100年に1度の不況」と言われています。私たちは「100年に1度の不況」と言う言葉に騙されています。「100年に1度」とは、「世界大恐慌」なはずです。
 いずれにしても、そういうタイミングでの負担増です。深層心理をかなり刺激しているはずです。

③そして、言いにくいことですが、そして、残念なことですが、そういう歴史的背景を無視し、疲弊した経済状況の中、負担を増加させる制度を強行する大統領が「黒人」であるということを、一部の過激的な国民にはどのように映るでしょうか。
 人気のあったクリントン元大統領でさえ手をつけることができなかったほどの制度であるのに、オバマ大統領が歴史的偉業を成し遂げたのですから・・・・・どうしても「脚本」を意識せざるを得ません。一方で拍手喝采、一方で恨みを買うという何ともやりきれない制度です。
 日本の法人税の減税などもそうかもしれません。多くの国民が疲弊しているときに、外国との競争力をつけるために必要なこととはいえ、法人税を大幅に減税する(多分、近いうちに?)のも、アメリカの「皆保険制度」に似ているかもしれません。

●(8)上記(平成22年3月25日、読売新聞「オバマ支持 回復の兆し」)の記事を見ると、オバマ大統領が法案に署名をしている写真が載っています。その写真をみると、ペロシ下院議長が覗き込んでいますが、それはまるで、「ワアー凄い!ステキ!!」とでもいう様子が感じられます。このように、大賛成という国民と、大反対という国論を二分する制度になってしまって、火種を残した感じがします(あくまでも「脚本」の立場から)。

 その前日、下院の議会でオバマ大統領は、法案を通すための演説をしましたが、ペロシ議長から紹介されて登壇したときのオバマは、やや穿ってみますと、驕った雰囲気が感じられました。驕っていたというよりも、「尊大さ」が私(藤森)には感じられました。それは私のように「独断と偏見」でものをいう人間には、「虚勢」を張っているように思えてなりません。
 私が専門とする「深層心理」、つまり「脚本」のレベルで考えると、私たちは「脚本」を離れて生きることはできません。特別に取り組んで鍛えた、非常に稀な人を除いて、「脚本」から脱却することは不可能です。これはある場合、「遺伝」などと言われたりすることもあります。
 真に「名僧・高僧」と言われる人たちは、私が知る限りでは、必ず、病気や怪我などで「死」ぬほどの体験をしています。仄聞するに、私が尊敬する「曽野綾子先生」も、死ぬほどの体験(病気?)をされているようです(間違っていたらごめんなさい)。

 さて、ここで私が日ごろ尊敬している曽野綾子先生の興味深いエッセイをご紹介します。

 ●(9)平成21年だと思われます。一生の不覚で、週刊ポストの発効日と、2ページにわたるエッセイの2ページ目が紛失されています。不覚をお許しいただいて、エッセイの内容から、大体の発効日を推測してください。

 週刊ポスト「昼寝するお化け」(曽野綾子著)

 <私生活覗き>

 私も凡庸に他人の生活を覗くのが好きなのだが、噂を元に興味をかき立てるのは好きではない。全く根拠がないデータを元に考えても時間潰しになるだけだからだ。
 しかし、他人の生活を、信頼できる資料に基づいて推測するのは楽しい。「タイム」の5月4日号は「オバマの百日」を特集した。オバマが公的な生活の背後でどんな暮らしをしていたかを見せる写真の部分はキャリー・シェルの撮影になるものだ。この手の写真を通じて、我々は不法侵入をしなくても、大統領の執務室に入ったように詳細を見ることができる。
 
 写真とはよく言ったもので、人間の性格以外のものなら、かなり真を写す。文章による記事はいくらでも偏向した内容にできるが、報道写真は、流れを大きく変えることは普通できない。
 沖縄で行われた一つの集会に、主催者は十万人を越す人が集まったと発表した。しかしその写真を細かく分析した警備会社は、実数は四万ちょっとだと端数まで出したこともある。

 朝日新聞が、旧日本軍の残虐の証拠として、大陸で毒ガスを使ったという写真を発表したこともあった。その写真が載った新聞が配られた日の早朝、私の家では夫がおかしそうにその記事を私に見せに来た。これは一目瞭然で毒ガスではないという。理由は平地に煙が立ち上がっているからだ。毒ガスは空気より重いものだから、有効に使おうとしたら、谷間のような狭いところで低い空間に濃く溜まるようにせねばならない。平地では、その日が無風としても、拡散してしまって効果がない。当時、毒ガスの見分け方と使われ方は中学で習ったので、皆知っているという。
 やはりこれはガセネタで、後で大きな問題になった。

 オバマは天を支え続ける巨人アトラスのような仕事を、自分から望んで抱え込んだ人物である。その途方もない重い責任を、彼は「イエス、ウィ、キャン」と引き受けた。私には理解できない恐ろしい自信で、個人としてはほとんど暴挙に近いとさえ私は感じている。普通の神経なら、自分には、人類の未来を左右する才能があるとも、またその任に就きたいとも願わないものだろうが、政治家という人たちの神経は違うのである。

 その意味で私はこのごろ、政治家の世襲に次第に賛成と言いたい気持ちに傾いて来た。こんな恐ろしい仕事を自ら望んでやりたいと言ってくれるような人たちはなかなかいるものではないだろうから、そういう種族は大切に保存すべきだとういう思いである。

 私はオバマ個人にはほとんど関心がない。しかしイスラム系の名前を持ったアフリカ系黒人が手にした、アメリカ大統領という社会的背景と機能には、興味を持つのである。私自身がアフリカの文化と、民主主義以外の心情を持つ世界に関心があるからだ。

 写真によると、オバマは左利きであった。クローズアップした写真では、議会での演説の草稿に最後まで自分で手を加えている。漢字の読めない総理と違って、オバマがかなりの能力を持った書き手であることは、その著書『マイ・ドリーム』で私は知った。演説の草稿を検討することは、小説の推敲とはまた違った無限の危険を内包した、一種の戦いなのだろうと思う。

<後略>

 ●(10)平成15年3月3日、日刊ゲンダイ「第一線美女を解剖する」

 <女優 ハル・ベリー>

 “007シリーズ”の20作目「ダイ・アナザー・デイ」が8日に公開される。世界各地で大ヒット中のこのアクション大作は女優、ハル・ベリー(34)が出ていることで話題だ。オスカー女優初のボンドガールである。

 <オスカー女優で初のボンドガールの迫力>

 <トラボルタ絶賛のボディー>
 昨年、黒人初のアカデミー最優秀主演女優賞を「チョコレート」で受賞した。この作品で彼女は死刑囚の夫に続き息子まで亡くした薄幸の人妻を熱演した。
 今回は百八十度性格が異なるボンドガールに挑んだ。ハル・ベリーは男をたらしこむだけのセクシーな女ではなく、自分で考えて行動する自立した強い女を演じている。米国家安全保障局のエージェントの役だ。
 「華奢なボディーにこぼれ落ちそうな巨乳が魅力的です。30歳を越えて美貌にもさらに磨きがかかった。それにキビキビとした動きには脱帽。どのシーンでも動きがシャープです。あのジョン・トラボルタが“こんなに美しいボディーを今まで見たことがない”と絶賛しただけのことはある」(映画ライター)
 今回は主役のボンドを食ってしまった。
 すでに彼女を主役にしたアクション映画も企画中。
 GWには「X-メン2」も公開される。

 <男に虐待され続けた半生>家庭内暴力で4年後に離婚「離婚後はうつ病彼女は睡眠薬自殺を図りました。殴られて左耳の聴力を8割も失った。男運は最低だ。
4歳で両親が離婚アル中の父親は母や姉を虐待してハル・ベリーの愛犬を半殺し
 最初の結婚は92年。相手はメジャー・リーガーのデービッド・ジャスティスだが、家庭内暴力で4年後に離婚。
 「離婚後はうつ病になってしまった。彼女はガレージで2匹の愛犬を車に乗せてエンジンをかけ、ホースで排ガスを引き込む寸前で自殺を思いとどまった」(女性誌記者)
 2年前にR&B歌手のエリック・ベネットと再婚した。ベネットにはかつて付き合っていた女性との間にできた10歳の娘がいた。不運にもその女性が自動車事故で死亡。ハル・ベリーが娘を養子にした。

 「昨年4月、映画『ダイ・アナザー・デイ』を撮影中に夫の不倫が発覚し、ショックのあまり、彼女は睡眠薬自殺を図りました。不倫は夫のセックス中毒が原因と考えてベネットを強制入院させたのですが、彼の女好きは以前のままです」(芸能ライター)
 ハル・ベリーにはかつて同棲していた相手がいた。この男には殴られて左耳の聴力を8割も失った。男運は最低だ。
 そんな彼女を支えるのは映画「ブルワース」(98年)で共演したウォーレン・ベイティ。夫のことを相談するうち親密な関係に発展した。
 「ベイティは名うてのプレーボーイ。妻で女優のアネット・ベニングとは4人も子供をつくったが、今はハル・ベリーとの熱烈キス写真を撮られるほど彼女に夢中になっている」(事情通)

 <ミスコン出身の元モデル>

 68年8月14日、米オハイオ州クリーブランド生まれ。黒人の父と白人の母の間に2人姉妹の妹として生まれる。4歳で両親が離婚し、看護婦の母に育てられた。
 「父が戻ってきたのは彼女が10歳の時。アル中の父親は母や姉を虐待してハル・ベリーの愛犬を半殺しにしたそうです。同居が長引けば自分が酒や麻薬におぼれていたと告白したこともある」(スポーツ紙記者)

 85年、17歳でミス・ティーン・オール・アメリカンに選ばれ、翌年、準ミス・アメリカに選ばれて芸能界入り。89年にコメディードラマ「リビング・ドールズ」の主役で注目され、91年に「ジャングル・フィーバー」で映画デビュー。
 アクションもシリアス物も何でもこなす。「ソードフィッシュ」でトップレス姿を披露。「チョコレート」では全裸セックスシーンに挑戦。今後も磨きあげたボディーを出し惜しみする気はなさそうだ。

 ●(11)書けばきりがないので、この辺りで結論を出したいと思います。オバマの人生は、社会的に非常にすばらしい・・・というよりも最高級の人生を生きていると言えますが、その中に脆さ・危うさを包含しているよう思えます。

 社会的な評価は、往々にして、その人の深層心理を反映しています。深層心理とは反対の形を取りながら、社会的な評価をうけるような生き方をするものです。ですから社会的に評価を受けるような業績を上げながらも、その背後に隠れている「脚本」を感じさせるものが潜んでいるものです。それをどう読み取るか、その難しさはありますが、「脚本」を感じさせるものは、絶対に隠し通せるものではありません。

 オバマが両親の愛情に恵まれない生い立ちであることがハッキリしていること、そして、その後の人生も明確であり、そしてさらにはほとんど業績を上げることなく猛烈なステップアップをしています。
 そして、そのいずれもが大成功を収めています。こういう場合、どこかでうますぎる人生の「帳尻」を合わせたくなり、そのため、どこかで何かを起こして「挫折」するような予感がしてなりません。

 大統領としては4年を全うできない可能性があります。全うできても、果たして、どれほどの成果を上げて全うできるのだろうか。また仮に、大統領の職は全うできても、その後の人生を順調に過ごすことは絶対に不可能です。少なくても、穏やかに一生を終えることは不可能です。

 それほど「幼時体験」は重要で、そこに書き込まれたもの、つまり「脚本」は、その人の人生を拘束します。そのため、私たちは、「脚本」を書き換えるというチャンスに恵まれない限り、脚本通りに生きざるを得ません。
 ですから、刷り込まれたものがいかに強烈に、その人の人生を牛耳るか、それをを知ることこそが重要です。そして、それを最も端的に教えてくれるのが「交流分析」であり、「脚本」という考え方です。

く文責:藤森弘司>

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