2010年3月15日 第92回「今月の言葉」
PART②
●(1)じっくりとご覧ください。脚本に沿ってキレイに生きていることがお分かりだと思います。これほど明確だと、「交流分析」や「脚本」の意味がわからなくても、なにか妙にひっかかるものがあることにお気付きかと思います。
順を追って解説してみます。 ①まず、オバマ大統領の母親は黒人(父親はケニア人)と結婚しますが、母親の両親は、黒人と結婚したことを残念がります。 ②オバマの父親は奨学金を獲得してハワイ大学で学び、そこでオバマの母親と出会い、結婚します。しかし、オバマが2歳のときに、ハーバード大学の奨学金を獲得しますが、多分、単身で移動したものと思われます。 1)まず、頭が良い。そのために色々なことが可能で、多くの成功体験をします。 2)母親は、黒人と結婚することで、両親に残念がられています。つまり、両親に対する反抗心が見られます。その後も、インドネシア人と結婚し、ジャカルタに移住するということは、両親との葛藤が強く見られます。 3)2才のときに、父親がハワイ大学からハーバード大学に移り、3才のときに両親が離婚します。ということは、(私の臨床経験では)オバマが生まれたときから、両親は不仲で、まさに「祝福されし者」どころか、望まれない誕生の可能性があります。というよりも、私(藤森)はそのように推測します。 第一に、白人の生徒が大部分の学校に入っています。今から40年も前の時代を考えるならば、かなり差別的な雰囲気が残っていたのではないでしょうか? 第二に、その学校は、大部分が裕福な家庭で育っている児童です。両親と離れ、祖父母と一緒に寝室2つの窮屈なアパートに住む黒人が通うには、本人が言うように「孤立感」を深めるのは当然のことです。だからこそ、自分のアイデンティティに悩み、そして、ドラッグにも手を出したはずです。 4)頭が良いがために、やりたいことが次々と実現することで、一箇所に落ち着かない性格傾向が強く見られます。一箇所に長く居ないということは、まさに「孤立感」を深めたり、「アイデンティティ」に悩む「脚本」には好都合です。 ③かくいう私(藤森)自身、会社を転々として、「アイデンティティ」に苦しみました。30才過ぎに、心身共に破綻して、ゼロからのスタート状態になり、それから「アイデンティティ」を確立するのに本当に苦しみました。 ④ミシェル・オバマはこう言います。 こういう考えは、表向きは正しいのですが、「深層心理」を考える上では、非常に重要なことです。多くの場合(というよりもほとんどの場合)、「思い」「考え」と「無意識・深層心理」は逆です。だから私たちの人生は思うようにいかないのです。それを探るのが「脚本」です。 ●(2)略歴をさらに簡単に列記してみます。 *2才で、父親が、ハワイ大学からハーバード大学に移っています(おそらく、父親は一人で東部に移住したのでしょう) *3才で、両親が離婚 *5才で、ジャカルタに移住、人種問題に直面する *10才で、母親と離れて、ジャカルタからハワイに戻り、祖父母と暮らす。しかも、大部分が白人で、大部分が裕福な家庭の生徒が通う名門の小学校に、黒人で、貧しい家庭のオバマが通う *アイデンティティに悩み、ドラッグに手を出すが、やがて、ロサンゼルスのオキシデンタル・カレッジに入学する *2年後に、コロンビア大学に編入。卒業すると、教会を拠点とする団体のコミュニティ・オーガナイザーの仕事に就く *いくつものささやかな成功を収めるが、数年後には、欲求不満が高まり、ハーバード大学法科大学院に出願し、入学が認められる *1年目を終えると、シカゴのシドリー・オースティン法律事務所のサマーアソシエイトになる *1991年、ハーバード大学法科大学院を優等で卒業。シカゴにある公民権専門の法律事務所に就職し、ようやく落ち着き、コミュニティと教会の一員となる。 *1993年、政治家としての活動を開始し、イリノイ州議会の上院議員に当選 *3年後、支持率の高い現職を相手に、連邦議会議員選挙に、オバマは急いで、「その次の地位」へ進みたいという思いが強く、打って出たが破れる。 *4年後、上院議員に出馬し、圧勝した。この年の民主党大会の基調演説で、全米の注目を集める *上院議員として、最初の任期を半分残して大統領に立候補することを宣言する。 *大統領に当選して、1年を経ずに、ノーベル賞受賞が決まる。 ●(3)上記のように、頭が良かったからでもありましょうが、多くのものが、中途のまま、次のステップに進み、そして、多くのものを成功させています。 どうやら、この経過を辿ると・・・・・飛行機の離陸に喩えてみますと、幼児期は、滑走路を飛び立つのに苦労しながら、やっと離陸に成功。それからドンドン機首を上げていき、加速しながら「垂直に上昇するような軌跡」を辿っています。 どうも、オバマ大統領にとって、よろしくない状況が多いように思えます。よろしくない状況だからこそ、アメリカはオバマという一人のヒーローを選択したのかもしれません。いずれにしましても、アメリカの文化というのは、日本とは恐ろしく違います。どうやら私(藤森)が、脚本から結末を推測するような出来事が多いように思えます。もう少し、メディアに掲載されたものを紹介してから、私が推測する結末をご紹介したいと思います。 <オバマ大統領に関する資料は、「オバマ演説集」朝日出版社刊を参考にしました> |
●(4)平成22年2月19日、池上彰の「鳥の目、虫の目」
<週刊ポスト「バカ高報酬にNO!オバマ流金融規制は“現代版グラス・スティーガル法”だ」> <平均年収が4500万円!> 「公的資金で助けてもらっておきながら、危機が去れば、再び高給ととってもいいのか」・・・・・そんな「反ウオールストリート感情」の風に押され、オバマ大統領は今年1月21日、新たな金融規制案を発表しました。 <銀行は本分を守れ> <「レバレッジ」引き締め> <世界恐慌時の規制を復活> <株価暴落を超えて> <いけがみ・あきら・・・・・1950年長野県生まれ。慶応大学卒業後、73年にNHK入局。報道局社会部記者などを経て、94年から「週刊こどもニュース」のキャスターに。わかりやすく丁寧な解説が人気を集める。05年よりフリージャーナリスト近刊に『池上彰の「世界が変わる!」』『政権交代と日本の未来。』がある。> |
●(5)平成22年1月30日、日刊ゲンダイ「マネーの深層」(作家・相場英雄)
<オバマ大統領の暴走?> <米金融規制強化案の危うさ> オバマ米大統領が発表した大手金融機関への規制強化策が金融市場に波紋を広げている。大統領は先に、同国大手企業に注入した公的資金の損失を穴埋めするため、大手銀行から「危機責任税」を徴収する方針を示したほか、銀行によるヘッジファンドの保有・出資禁止を柱にした規制強化策を発表。「米国では銀行窓口で(銀行幹部の)高額給与への不満をぶちまける顧客が多い」(金融筋)とされ、日本で考える以上に大統領が世論を強く意識している。が、「支持率回復のため、やみくもに銀行叩きに走っている」(米系運用会社)との警戒感が市場関係者の間で強まっているのだ。 <あいば・ひでお・・・・・67年生まれ。元時事通信社記者。「デフォルト」(角川文庫)でデビュー。最新作は「みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎~奥津軽編・完黙~」(小学館文庫)> |
●(6)平成22年3月1日、読売新聞「ワールドスコープ」(中山俊宏)
<「放っておいて」反オバマ運動> 一年前は予測しえなかったことだが、「反オバマ運動」とでもいうべき現象がアメリカにおいて勢いを増している。そもそもオバマ候補を当選させたオバマ運動のような熱気を放っていたが、反オバマ運動も同様に草の根のエネルギーを吸収して人々の参加意識を駆り立てている。 その運動には組織的な中心もなければ、はっきりとした政策目標があるわけでもない。しかし、オバマ政権の「大きな政府」志向ともいうべき取り組みに対する巨大な違和感を梃子にして、活力ある拒否勢力としてオバマ政権の前に立ちはだかっている。この動きは、アメリカ独立革命の引き金となったボストン・ティーパーティー事件(1773年)に因んで、ティーパーティー運動とも呼ばれている。なにが、この運動を突き動かしているのだろうか。 政権発足以来、オバマ大統領は躊躇することなく大胆な政策を導入してきた。政権発足して間もなく、7870億ドルにも及ぶ景気刺激策を通過させ、続いて多額の公的資金を導入して、銀行、保険会社、自動車会社を救済してきた。さらに春以降は、選挙中からの公約である医療保険制度改革の実現に向けて数々の手を打ってきた。 オバマ政権の大胆な取り組みに対しては、手を広げすぎだとの批判は当初からあったものの、政権は巨大な問題群に直面する中で、それらを個別に処理するのではなく、政権発足時の勢いを背景に一気に手がけることを選択した。オバマ政権には、個々の政策の合理性をしっかりと説きさえすれば、国民の支持を取りつけられるとの自信があった。 しかし、その自信はアメリカ国民の思考を根深いところで規定している原風景的な感覚に対する感性を鈍らせてしまうことになりはしなかったか。この原風景的な感覚とは、保守主義の方向に大きく傾斜しつつも、必ずしも党派的な感情ではなく、むしろ生活感覚に根ざした連邦政府に対する不信感である。それは「大草原の小さな家」的な感覚に依拠し、自分の生活圏に連邦政府が不当に介入してくるという構図に対しては、時に過激に反応する。とにもかくにも「放っておいて欲しい」という感覚は、すぐれてアメリカに特殊な感覚だといえる。 リベラル派は、しばしばこの感覚を「反知性主義」として退け、克服されるべき退行的感覚と見なしてきた。しかし、そうする度に、リベラル派はこの感覚のしぶとさをいやというほど思い知らされてきたのも事実である。オバマ政権の大胆な取り組みが、ティーパーティー運動を構成する人々の目にはどのように映っていたのか。そのことに無頓着であったことが、大きな拒否勢力のうねりをつくり出していったことは疑いない。 |
●(7)平成22年3月7日、読売新聞「地球を読む」
<米医療改革案> <国民皆保険なぜ不人気> 今年1月に行われた米国マサチューセッツ州の上院補欠選挙で、民主党が47年にわたり維持してきた議席を無名のブラウン共和党候補に奪われた出来事は、米国ばかりか世界の今後にも影響が大きい。 11月に実施される議会の中間選挙に、大統領は医療改革の実績を掲げて挑む公算だったが、もはや実現性が薄い。それで大統領は金融規制の強化に急遽標的を変えた。だが、庶民に実感の薄いこの政策では人気挽回は難しかろう。結局、追い詰められて保護貿易政策に走る危険性もある。 下院が上院の医療改革案を丸のみすれば、制度上単純多数決で採決が可能なので、民主党がこの強行策で法案を成立させる道がまだ残る。しかしそれにも問題がある。ブラウン氏が医療制度改革に反対して補選に勝利したことと、世論調査によれば国民の6割が医療改革に反対なことだ。これでは強行は難しい。 だがこれは厄介な問題だ。2期を務めたクリントン大統領も皆保険だけは実現できなかった。なぜなのか。答えは医療についての国民意識に帰着する。これは伝統の問題なのだ。 技術進歩にはIT革命のようにコスト削減につながるものもある。しかし医療の場合、延命を可能にする高額な先端医療が技術進歩の中心だ。それゆえ医学の進歩が続くかぎり寿命が延びて、医療費は上がる。金を出して寿命を買うことを意味する消費行動そのものを抑えなければ、医療費高騰は避けられない。 <医療消費の自由 制限嫌う> 米国は格差社会だから高所得者と低所得者の購買力が違う。いくら着飾っても健康でなければ幸福は得られないから、消費の自由を認めたら高所得者は医療消費に一番金を使う。 国民の2割が医療保険に入れず、しかも平均寿命も他の先進国に比べ低いのはこのためだが、米国の制度には長所もある。何しろ米国の医療は240兆円市場である。その巨大市場向けに研究開発がされるのだから先端医療が米国で一番進むのだ。つまり「医学の進歩をどれだけ促進するか」により評価すれば間違いなく米国の医療制度は世界最高である。 それでも保険未加入者の増加は放置できないとして、オバマ政権皆保険を目指したのだが、そうなれば、皆保険を実現している国々の制度を一部導入せざるを得ない。 配給制は譲ったとしても、低所得者を保険に加入させるための援助の仕組みがなければ、皆保険は絶対実現不可能だ。事実、「医療保険への加入が難しい低所得者を政府が援助する」のがオバマ政権の医療改革案の柱である。 2割の国民が医療保険に未加入なのは、逆に8割の国民が加入している事実の裏返しだ。その8割にとって今回の改革は、保険料か、税か、いずれかでの負担増を意味する。 日本では、国に一任する代わりに、組織別の保険組合が医療保険を管理しているため、所属する保険組合により医療保険料は異なる。しかし高齢化による医療費の増加で、企業の運営する健康保険組合は財政状況の悪い組合の支援を迫られ負担増を被っている。 小泉首相の時に定められた、高齢化による毎年1兆円の自然増から2200億円ずつ医療費を中心に社会保障費を削減する自民党政府の方針も、おそらく「最低水準」への転換が目的だ。 <竹森俊平氏・・・1956年生まれ。慶大、米ロチェスター大を経て97年から現職。主著に「経済論戦は甦る」(読売・吉野作造賞)、「世界デフレは三度来る」など> |
●(8)平成21年12月29日、日刊ゲンダイ「過去最大の激変」
<来年のこの問題はどうなるか> <略> <オバマは暗殺されるのか> 本紙でコラムを連載している名大教授の春名幹男氏によると、オバマの大統領就任以降、白人優越主義者など「武装右翼」の活動が活発化し、2000年に全米で602あったこの種の組織は、5割以上増え、926になっているという。 いつ、過激な「白人至上主義者」に狙われてもおかしくない状況なのだ。国際政治学者の浜田和幸氏がこう言う。 <略> |
●(9)「ドル亡き後の世界」副島隆彦著、祥伝社刊(平成21年11月5日初版第1刷、11月30日第3刷)
「まえがき」 <略> 私がこれまで他の本たちで書いてきたとおり、アメリカのオバマ政権は長くは保たないだろう。金融危機の責任を取らされて、バラク・オバマは任期半ばで辞任してゆく。 そして2012年に「ドン底」がやってくる。 おそらく、この「副島シナリオ」どおりに世界は動くだろう。 私はこれまで直球で自分の予測(予言)を書いて勝負してきた。私はこれまでのところ自分の予測(予言)を外していない。このことを私の本の読者は知ってくれている。予測を大きく外した金融・経済評論家は、客(読者たち)からの信用と評判を落として退場してゆくのである。もうあと何人も残っていない。私はこの本でも直球で勝負する。 |
●(10)ある著名な大学教授は、カーター元大統領と同様、オバマは一期4年で終わる可能性が高いと発言する。
●(11)さて、私(藤森)の「脚本分析」は・・・・・ ①上記のように、一番穏当なものは、一期4年で終わることでしょう。私としても、そうであってほしいと願っています。オバマ大統領の「脚本」を分析してみると、一期4年を全うすることが、望みうる最高の結末であると思います。 ②「パート①と②」を通して考えて見ますと、任期半ばで辞任するような予感が、若干、あります。 喩えて言いますと、公園の小川の中に置いてある飛び石というのでしょうか、それをポンポンと順調に飛んでいって、最後の石(大統領とノーベル賞)の次には何もない「ドボン」を暗示しています。 ③アメリカは、ご存知のように「銃社会」です。ライフル協会のロビー活動はかなり重量級のようです。またケネディ大統領のこともあります。2008年の11月、受託演説のときは、防弾ガラスで守られていました。 ゴルフのタイガー・ウッズがかなり騒がれましたが、一説によると、黒人の活躍を面白く思わない多くの白人たちが、「ざまあみろ」という心理が働いて、騒ぎを大きくしている傾向にあるとのことです。 「バラク・オバマ大統領は、ホワイトハウスの執務室にいて、日常たった3人の人間としか口をきかないそうである。この3人とは、奥さんのミシェルさんと、大統領首席補佐官のラーム・エマニュエル(恐ろしいイスラエルとの二重国籍の男)と、経済学者のラリー・サマーズNEC(国家経済会議。大統領直属の諮問委員会)委員長である。」(ドル亡き後の世界)。 「ドル亡き後の世界」は、こうも言います。 <略> このように書くと、私は「一部の読者から、鼻白んで猜疑心の目で見られた。だが、「オバマが大統領になる」と、その3年も前から予言して当てたのも私だということをお忘れなく。ヒラリーでもマケインでもなく、オバマが勝つ。そのように初めから大きく仕組まれているのだ。それが世界政治というものだ、と書いて、そして当ててきた。私のこの実績にケチをつけることができる人はいない、と私は豪語する。 ●(12)おそらく10年後、心理学者はオバマ大統領を「脚本分析」の対象にするであろうと、私(藤森)は推測します。 |
く文責:藤森弘司>
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