2009年12月15日 第89回「今月の言葉」
知足観(2)

●(1)前回に続いて、「知足観(ちそくかん)」に関して、下記のテレビ番組からご紹介します。

 平成20年1月26日、テレビ番組「世界で一番受けたい授業」より

 <国境なき医師団、日本事務局長、エリック・ウアネス先生>
 先生たちは世界に向けて様々なメッセージを発信している。その1つがニュースや新聞などで伝えきれない10の出来事

 <世界から黙殺された10の出来事>

1)結核の現状・・・・・医療体制が整っていない地域では、とても深刻な問題。
 主な原因は生活環境の悪さや栄養不足。最新のデータによると、1年間に約900万人が新たに結核を発症。
 特に問題はタイで、検査は20年以上前と同じ方法。そのため50%の確率でしか判明しない。薬は35年前から同じもの。しかも、1日15錠を半年以上も飲み続けなければならない。より良い治療薬の開発が進むよう、国際社会に働きかけている。

2)コレラ・・・・・開発途上国の場合、清潔な水や排泄物の処理システムが確保されていない。そういう地域ではコレラはとても恐ろしい病気。世界では安全な水が得られないという理由で、毎日、4000人余りの子供が命を落としている。

3)エイズ・・・・・毎日6000人近い人びとが亡くなっている。子供の感染者のうち約90%がサハラ砂漠より南の地域で、ほとんどが母子感染。ケニアでは15万人の子供たちがエイズウイルスに感染していると推測されている。しかし、子供たちに適した薬がほとんどない。大人用の薬を砕いて、量を調整して飲ませているが、これは危険。ただし、薬を飲めるのはまだ良いほうで、多くの子供は、治療さえ受けられずに亡くなっている。
 ケニア政府は、2006年から、すべての公共医療施設でエイズ治療を無償で行なう政策を始めた。しかし、課題はまだ数多く残っている。

4)はしか・・・・・発展途上国での子供の死亡原因として深刻なのが「はしか」
 日本などの先進国ではありえないことかもしれないが、世界の子供の24万人余りが予防接種を受けられず、はしかで亡くなっている。下痢で命を落とす子どもがたくさんいる。重症の場合は脱水症状に陥り、死に至る。
 子供の死亡者は、1年間におよそ200万人。下痢の原因は汚染された水。

5)内戦・・・・・世界で、現在、エリック・ウアネス先生たちが把握しているだけで、約40カ国が何らかの形で争っている。世界には25万人の少年兵がいる。中には5~6歳の子もいる。

①アフリカのスーダンでは、1983年から現在も内戦が続いている。そのため、西部を中心に200万人を超える人たちが家を追われ、非難生活を強いられている。不衛生なために、下痢や呼吸器の感染症が流行していて、そのほとんどが5歳未満の子供。

②アフリカのシェラレオネは、ダイヤモンドが豊富にとれるため、他の国との戦争が絶えず、国は常に危機にさらされている。11年に及ぶ内戦も2002年に終わったが、その痛手は今も残っている。
 それは、手や足を切り落とされた何千もの人びと。反政府勢力は、政府を脅すために、罪のない一般市民の手や足を無差別に切り落とした。すると人びとは米の収穫ができなくなり、食糧を反乱軍に頼るようになる。
 国の軍隊も食糧の道を断たれ、国全体が飢餓のために不安定な状態に。

6)栄養失調・・・・・食べ物が足りない。あったとしても質が悪いケース。

①アフリカのニジェールは、国土の三分の二がサハラ砂漠に覆われているために、作物が育つ土地が少ない上に、干ばつなどで食糧問題が深刻。
 子どもたちの栄養状態が非常に悪いが、最近、画期的な治療法が発見された。栄養失調の治療は、これまでミルクだったが、今では、プランピーナッツという栄養治療食を配給。
 調理をしなくてもすぐ食べられて、持ち運びも簡単。その上、保存がきいて、簡単に栄養がとれる。さらに治療率が高く、プランピーナッツを食べた9割以上が1ヶ月以内に回復。

②アフリカのアンゴラは、内戦の影響で、435万人もの人々が栄養失調と推定されている。
 プランピーナッツは、ピーナッツの他にミネラルやビタミンなど、子供たちに必要な栄養素が入っている。4週間くらい食べていると元気になる。
 主食である穀物や糖分やミネラルといった食糧が不足している。しかし、問題は、困っている人たちに食糧がちゃんと届くかどうか。エリック・ウアネス先生たちは、直接、届けたいと思っている。なまじその国の政府に依頼すると、どこへ行くのか分からなくなってしう。日本は豊かで、教育レベルも高い。是非、日本の皆様には、日本イコール世界ではない、日本も世界の国の一部なんだというスタンスを持ってほしいと思う。   

<文責:藤森弘司>

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