2007年6月15日 第59回「今月の言葉」
●(1)認知の歪みをシリーズでお届けし始めて見ると、思った以上に面白いこと(認知の歪み)が多いのに、我ながら驚いています。いわゆる「権威」があるとされる人物が書いた書物や、定説となっているような書物や情報ばかりをあてにしていると大変なことになりかねません。 どなたかが書いていましたが、どんなにたくさん本を読む人でも、一生の間に読む本の数はたかがしれています。仮に1日1冊の本を読むとしても、1年にわずか365冊です。10年で3650冊、50年間として、たったの18250冊です。 1週間に1冊読めば、今の時代、一般的には、読書量が多いほうではないでしょうか。それでも50年間に2600冊です。1ヶ月に1冊であれば、50年間に600冊でしかありません。しかし、1年に出版される本は、確か5万冊くらいだったと思われます。 認知に歪みきったような本を読んでいる暇はありません。 日本の歴史に関して、私が尊敬する井沢元彦氏の驚くべきものを、次にご紹介しましょう。 |
●(2)「逆説の日本史(1)古代黎明編」井沢元彦著、小学館文庫より
<序論・日本の歴史学の三大欠陥> <丸山ワクチン問題にひそむ「言霊(ことだま)の作用」> この薬は一時盛んに使われた。ということは、患者の側から見れば本来もっと有効な治療が受けられたはずなのに、そのチャンスを「タダの水」のために棒にふらされたことになる。その責任は一体誰がとるのか?どうしてこの薬は半世紀近くも「野放し」にされていたのか? 問題のY博士は平成2年6月に死亡した。そしてその次の年の6月に薬事審議会は、丸山ワクチンそのものではなく「Z-100」という名の濃厚液で治験薬として承認した。ただしこれはあくまでも放射線治療に伴う、白血球の減少症の治療薬としてであって、「抗ガン剤」としてではない。 ●(3)もちろん、今述べたことは私(著者)の推測に過ぎない。しかし、私はこれが真相だと思っている。 ●(4)こういうエピソードもある。 ●(5)では、どうしてそうなるのか。 直接私に関連することではないが、田中教授の学問態度の峻烈さを示すエピソードとして忘れられないことの1つに、戦後日本の司法制度を一定の立場から糾弾する内容の、当時のいわゆる「進歩派」学者の1人が手がけた論文を、その資料に関する限り盗作まがいの代物であるとして完膚なきまでに弾劾した書評がある。後に、別の事件で、この論文執筆者の別な著述ついての同様な執筆態度が、改めてその所属部局で問題とされたのであるが、それにはるかに先立って、所属こそ異なるにしても、同じ大学の先輩格の研究者に対して、文字通り歯に衣着せぬ攻撃的批判を試みたことは、常人の到底なしうるところではない、との感を深くし、心から脱帽した次第であった。 “進歩派”ないし“進歩的文化人”がいかにくだらいか、ということを言いたいのではない。 ●(6)もちろん、これは法律学界だけの話ではない。だいたい「法律」というものは「正義」の実現のための道具である。それを専門に研究する人々の間に、「ドロボー」を告発する自由がないのなら、それ以外のことを研究する人々(学界)の間にも、そんな自由があるはずがない。「ドロボー」行為ですら文句が言えない人々に、師や先輩の説を徹底的に批判できるはずもない。 ●(7) <3.「素人」が大それたことをする理由> ●(8)作家の井沢元彦氏は、日本の歴史に関して私(藤森)が最も尊敬している方です。広くて深くて、そして楽しく読ませてくれる方です。 |
●(9)夕刊フジ、19年5月25日「もう一つの世界の読み方」<世銀総裁の辞任の真相>日高義樹著より
「スキャンダルから見えるブッシュの凋落」 もう一つはジャーナリストの友人からで、ウオルフォウィッツ世銀総裁は、部下の女性に特別待遇を与えたというスキャンダルで辞任に追い込まれたが、本当のところは、「突いてはならないところを突いた」ために足を引っ張られたのだという。 この二つの話からも、いまや北朝鮮問題について、アメリカが全く頼りにならないことは明白である。前回のコラムで「ブッシュ大統領は北朝鮮のページを閉じた」と書いたが、閉じるほかないというのが実情だろう。イランと北朝鮮が手を結び、核兵器開発に力を入れようとしているのを知りながら、手も足も出ないのである。 |
●(10)週刊ポスト、2007年5月25日号「メタボリック症候群に科学的根拠なし!」より <京大、阪大教授たちが真っ向否定> <「特に、男性ウェスト85センチ以上という、厚労省の診断基準はおかしい」(東海大学・大櫛陽一教授)・・・ならば“狂騒曲”の裏に何があるのか>《徹底検証》 「健康のためなら死んでもいい」とは昨今の健康ブームを風刺したジョークだが、今、男性諸氏が一番気にしているのがお腹の出っ張り具合。マスコミやドラッグストアには「メタボリック症候群」の言葉が躍り、何でも“ウェスト85センチ以上”が危険なんだとか。ところが、このブームに疑問を呈する声が上がってきた。 <略> 通信大手のNTTデータは健保組合向けの健康指導サービスを充実させる方針だ。 「年内に健康診断情報を一括管理するサービスを提供する予定です。健康機関の受診者は全国で800万人規模になります」(広報室) また特定健康用食品の「黒烏龍茶」を06年5月から販売しているサントリーは、 「売り上げは当初の販売目標の3倍以上になっています。発売時期にマスコミでメタボに関する報道が続き、後押ししてくれたのではないでしょうか」(広報部) と“メタボ特需”で潤う企業は多い。今後も、メタボ関連市場は急拡大するというのは、今年1月から3月にかけて市場を調査した矢野経済研究所の加藤正嗣氏である。 「現在のメタボリック症候群関連の市場規模は7兆5000億円強です。5年後には現在の倍の15兆円規模が想定されます」 <日本だけ違うウエスト計測法> 一方で、こうしたメタボブームの根幹を真っ向から否定する専門家もいる。まず、メタボリック症候群という概念自体に異議を唱えるのは、京都大学医学部教授で附属病院探索医療センター検証部の福島政典氏である。 「メタボリック症候群という言葉は人々に『腹囲が大きければ病気だ』と思わせかねない。しかし、その状態は何も難しい言葉を使う必要はない。要は『太り気味』ということにすぎないのです。 肥満は、たとえば1日1時間歩く、間食をやめる、それだけでも改善できる。メタボリック症候群という“病名”を声高に叫ぶ必要は私には感じられない」 確かにIDFによる「民族別ウエスト周囲径基準値」によると、たとえば中国人は男性90センチ、女性80センチ以上などとなっている。なぜ日本だけ、体の小さい女性の診断基準が、体の大きい男性よりも大きくなるのか。大櫛教授はその矛盾点をこう指摘する。 「私が行なった統計調査を分析すると、おへその位置でのウエスト85センチ、女性90センチは、それぞれBMIが23.8、26.4に相当します。 こうした矛盾や問題点は国会でも追及された。昨年6月の衆院厚生労働委員会で質問した民主党の郡(こおり)和子代議士が語る。 <撲滅委員会に製薬会社がズラリ> |
●(11)週刊ポスト、2007年6月8日号<いのちの時代を生き抜く知恵>「作家・五木寛之氏 対談 帯津良一氏・帯津三敬病院・名誉院長」より
<前略> <東洋的体型は腰回りが豊か> |
●(12)週刊ポスト(2007年6月15日号)「出演した東海大学大櫛教授が告発!」 <「NHK『クローズアップ現代』で“メタボの不都合な真実”がカットされた」>より <消えた「米国の取り組み」> ・・・・・ 「また、取材にきたディレクターには『海外ではすでにメタボの概念自体に疑問の声が上がっている国もある。そのひとつであるアメリカのメタボ事情を取材したらどうか』とアドバイスしました。すると非常に乗り気で『取材します』といっていたのですが・・・・・」 実際に放送された番組にそうした場面はなかった。不思議に思った大櫛教授に、放送翌日、ディレクターから電話が入ったという。 「『アメリカにまで取材に行きましたが、残念ながら放送3日前にカットされることになりました』と伝えてきたのです。ディレクター本人の意思に反してメタボに批判的な内容が削られてしまったという印象を私は抱きました」(大櫛教授・・・大櫛教授は上記の(10)週刊ポスト、2007年5月25日号「メタボリック症候群に科学的根拠なし!」に登場する先生です>) ・・・・・ 米国の事例が放送される予定だったことは、実は番組の公式ホームページに明記されている。このホームページでは事前に放送内容の予告が掲載され、そのまま「過去の放送記録」として蓄積されていく。当該の06年7月19日のところを見ると、15行ほどの文章の末尾には今もこう書かれている。 <有害なものを社会的に排除していく米国の取り組みも交えて検証する> ・・・・・ NHKOBでもあるジャーナリストの上杉隆氏は、「NHKを取材すると、局員たちが『ウチは視聴者と向き合うよりも、国や政府などの顔色を窺うところがあるから』と自嘲気味にいう」 と指摘するのだが、そんなことはあってはならない。 |
<文責:藤森弘司>
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