2007年2月15日 第55回「今月の言葉」
●(1)私は「認知療法」の中の「認知の歪み」を、私が尊敬する二人の先生、飛鳥井雅之先生(東洋身心医学総合研究所主幹)と杉田峰康先生(福岡県立大学大学院名誉教授)に学びました。 私は、この「認知の歪み」を学んで本当に良かったと思っています。もし、「認知の歪み」を学んでいなかったら、私の人生はどんなことになっていただろうかと思うと、ゾッとします。 私が若いときは、「認知の歪み」で成り立っていました。できるならば、若いころの私を消し去りたいほど恥ずかしい人生でした。 「認知の歪み」を学んで以来、自分の中にある「認知の歪み」を一つひとつ発見して、しらみつぶしに潰してみると、竹の子の皮のようにたくさんあって、私自身の中身は、皮を剥かれた竹の子のように、いくらもありませんでした。 そうやって「認知の歪み」を取り去って、多少なりとも、まともな人間になってみると、周囲が「認知の歪み」で成り立っていることに驚きます。私自身、立派なことを言える人間でない事はもちろんですが、体験者として忠告させていただけるならば、ご自分自身の「認知の歪み」に気づいて、少しでもそれを取り除く作業をしないと、人生、大変なことになりますよ。 結局、世の中、「認知の歪み」に限らず、学問とか理屈だけで学ぶ人が多くて、学んだことを「実践」しない人がほとんどです。もったいないし残念なことですね。 そういうわけで、この「認知の歪み」の実例をシリーズでお届けしてから、心理学でいう「認知の歪み」を解説したいと思っています。 何故、シリーズで実例を紹介するのかといいますと、心理学の「認知の歪み」を、これこれこうですよと紹介し、解説をしても、ただそれを理屈で「ああそうか」と理解して、その後は、「認知の歪み」は詳しく知っているが、「認知の歪み」を相変わらず続けているという人間になって欲しくないという強い願いがあるからです。 ●(2)自分の中の「認知の歪み」を取り除いていくと、禅でいう「無」とか「空」が体験できます。 ●(3)結論。 ●(4)さて、心理学である「認知の歪み」に入る前に、世の中がいかに、「認知の歪み」で成り立っているか、いろいろな実例を紹介していきたいと思っています。できるだけ「典型的な実例」をご紹介したいと思っていますが、中でも、下記の(5)と(7)の例は、典型中の典型例ではないでしょうか? |
●(5)平成18年6月3日号<週刊ポスト「池上彰のBird’s-eye Worm’s-eye(鳥の目、虫の目)」>より
「ダ・ヴィンチ・コード」を上回る衝撃が走った「ユダの福音書」発見の真実 「カトリック教会は危機感」 「“聖書”には異本がある」 「“ユダの福音書”が!」 「イエスの指示だった?」 |
●(6)キリスト教の関係者には大変申し訳ないが、体験主義である私(藤森)は、上記のようなことは、むしろ滑稽にさえ思われます。 何故でしょうか? 聖書は単なる印刷物です。もし、その中に誤字・脱字があったらどうするのでしょうか?あることが仮に、「A」ではなく、「B」と誤植されたらどうなるのでしょうか? あるいは、「C」を、恣意的に「D」と印刷されたらどうなるのでしょうか?落語的に言えば、印刷工がいたずら半分に「E」を「F」と印刷したならば、一体どうなることでしょうか? 事実、過去の日本に同様なことがありました。●(7)週刊現代(平成19年1月6~13号)「藤村新一『ゴッドハンド』は幻覚に苦しむ日々」より 「出版社の取材がきたり、ある新聞社からは『1000万円出すから本を出さないか』と言われたりしましたが、私には過去の記憶が全くありません。ですから、お話しできないのです」 寒風が吹きつけるガラス越しに、脅えた声で記者にこう話すのは、かつては考古学の世界で「ゴッドハンド」とも崇められた藤村新一氏(56歳)。2000年11月5日、毎日新聞が報じた「世紀の大スクープ」、旧石器遺跡発掘捏造の“犯人”である。 当時、東北旧石器文化研究所副理事長だった藤村氏は、在野の考古学研究家として知られ、次々に前・中期旧石器時代の遺跡を掘り当てたことからマスコミにも取り上げられ、絶賛されていた。しかし、実際は、自分で発掘した石器類を土中に埋めるなどして、約30年間にわたって162ヶ所もの遺跡を捏造。この事件は、高校教科書「日本史B」全19冊を訂正する事態に及び、過去の日本の旧石器考古学の研究は瓦解した。<後略>●(8)上記(5)の「ユダの福音書」の中の、特に重要なことは、次の点です。 <この本の主張のひとつは、「正史」は時の権力者がつくるものであり、それは「新約聖書」も例外ではないということなのです。 かつてソ連ではスターリンが、自分に都合のいいように歴史を捏造しました。中国でも、中国共産党によって、事実とは異なる「正史」が書かれています。> これと同様のことを、作家の井沢元彦氏は「週刊ポストの連載、『逆説の日本史』」の中でしばしば述べています。また、「認知の歪み(1)」でも紹介したことを、再録します。 ●(9)大事なことは、書かれていることが体験的にどうなのかと確認することです。禅では、お釈迦様でも「殺せ!」と言います。教えに従順なのは、「守・破・離」の「守」、つまり小学生の段階のことであって、成長の初期段階に「手段」として活用することです。 |
●(10)日刊ゲンダイ(平成19年2月10日)「米、朝が急接近したナゾ」より 「本当か?偽ドル作りは米国の自作自演」 「6カ国協議」がきのう(8日)から始まった。米、朝がドイツで事前交渉したこともあって、一気に「合意」する可能性も囁かれている。 これも、すべて米国が北朝鮮に譲歩したためだ。米国の譲歩をめぐって、仰天情報が流れている。米国は北朝鮮の偽ドル作りを批判してきたが、なんと偽ドルは米国自身が作っていた疑いがあるというのだ。 発端は、ドイツの新聞「フランクフルター・アルゲマイネ」が1月8日に報じた記事。偽造紙幣問題に詳しいクラウス・W・ベンダー記者が「偽造ドル紙幣の秘密」と題して報じた。フランクフルター・アルゲマイネ紙は、中道右派の権威ある新聞だ。 ベンダー記者は、「スーパーノート」と呼ばれる偽ドルがいかに精巧か、米国以外が作ることが困難かを詳細に説き、 「北朝鮮は偽ドルを作製する技術がない」 「偽ドルは東アジアではなく、中東、東アフリカ、ロシアから流入している」と指摘。 「偽造紙幣捜査官たちは、CIAが秘密印刷所で何をしているのか問い続けてきた」 「ワシントン北部に位置する有名な都市の施設には『スーパーノート』の印刷に必要な機械がある」 「CIAは秘密工作のための財源を偽ドルでまかなってきた可能性がある」 「偽ドル作りを北朝鮮になすりつけることもできる」と記している。 CIAが中東などの親米組織を支援するために偽ドルを与え、その親米組織が北朝鮮から武器を購入する時に偽ドルを使った可能性があるというわけだ。仮に、この事実を北朝鮮が掴み、米国に問いただしたとしたら、米国が突然、北朝鮮に譲歩したこともつじつまが合う。世界情勢に詳しい元外交官の原田武夫氏が言う。 「そもそも、極貧の北朝鮮に米国が驚愕するような偽札を作る能力はないでしょう。そんな技術があれば麻薬を輸出する必要がない。世界中の紙幣はドイツ製の印刷機で印刷されているだけに、ドイツは偽ドルに通じている。ベンダー記者は著書でも偽ドルについて詳しく書いています」 偽ドルはCIAが発行した「軍票」だったという説もある。もし、米国が偽ドルを作っていたとしたら、安倍政権はどう対応するのか。 ●(11)元NHKワシントン支局長・手嶋龍一氏の著書「ウルトラ・ダラー」(新潮社)には、上記の内容に酷似したものが小説として克明に書かれています。ただし、「ウルトラ・ダラー」は、北朝鮮が対象になっています。北朝鮮をCIAに置き換えて考えてみると、上記の記事は、かなり信憑性があるように思えます。 |
●(12)日刊ゲンダイ(平成19年1月25日)<新連載(8)「アメリカ世界中大嫌い!」浜田和幸(国際未来科学研究所代表)>より 「それでもついていく安倍ボッチャン政権」 「米国に利用され痛い目にあってきた南米諸国」 アメリカが中南米で嫌われている背景には根深いものがある。しかも、そこにはブッシュ大統領一族が必ずと言っていいほど絡んでいる。たとえば、石油で沸き返るベネズエラの場合、パパ・ブッシュこと元大統領はCIAの長官に就任する前、地元・テキサスの商業銀行の大株主であったが、この銀行がベネズエラに支店を開設するや、二男のジェフ・ブッシュを支店長として赴任させた。 そこでジェフに与えられた仕事は、隣国コロンビア産の麻薬をベネズエラ経由でアメリカ本土に密輸するお膳立てをしたり、それにともなうマネーロンダリング(資金洗浄)であったといわれる。その後、パパ・ブッシュはCIAでの地位を使い、麻薬取り締まり作戦と称しながら、実際には本格的な麻薬密輸のチャンネルを開拓していたらしい。 もちろん、このようなウワサがどこまで本当か確認は難しい。しかし、コロンビアやベネズエラではまことしやかに語られていることだ。 マサチューセッツ工科大学のチョムスキー教授はこう指摘する。 「ブッシュは麻薬取り締まりの最高責任者でありながら、フロリダで発覚した地元銀行の麻薬がらみの資金洗浄疑惑に関する捜査の打ち切りを命じたほど麻薬利権の権化だ」 「軍事クーデター仕掛けられ腐敗と貧困、麻薬」 また、CIAが中南米諸国の軍事クーデターを陰で操ってきたことは周知の事実。その結果、アメリカの傀儡政権が相次いで誕生したが、いずれも一部の特権階級を太らせただけで、腐敗と貧富の拡大をもたらした。その反動が、このところの中南米各地で見られる「左派反米政権の誕生ラッシュ」であろう。 歴代のアメリカ政権は麻薬撲滅と称して、20年以上も世界最大のコカイン生産地であるコロンビアに上空から除草剤をばらまいてきた。「コロンビア計画」と呼ばれ、コカに代わる代替作物への転換を支援する予算が計上されたが、薬剤を空中散布しただけで農産物への転換などやらなかったため、バナナなども被害を受けてかえってコカの栽培面積を増やすことになってしまった。 それどころか、有毒物質はアマゾン川流域にも流れ込み、各地で環境被害を引き起こしている。頭上から毒をまかれて喜ぶ人間はいない。ベネズエラ政府はアメリカと戦うコロンビアのゲリラに、隠れ家と武器、食糧を提供する方針を明らかにしている。 チャべス大統領はじめ中南米の指導者たちに言わせれば、「アメリカの麻薬取り締まりは口先だけ。むしろ麻薬密輸で大儲けをしている。その胴元がブッシュ一族だ」となる。 |
●(13)日刊ゲンダイ(平成19年1月16日)<新連載(1)「アメリカ世界中大嫌い」浜田和幸(国際未来研究所代表)>より 「それでもついていく安倍ボッチャン政権」 「フセイン処刑で隠し資産の証拠隠滅」 昨年末、イラクのフセイン元大統領らしき人物が絞首刑に処せられた。アメリカのブッシュ政権もイラクのマリキ政権も、これで「独裁者の排除ができ、旧体制の亡霊から完全に自由になれる。混乱の続くイラクも一挙に安定化が進むはずだ」と楽観的な見通しを述べた。 しかし、現実はまったく逆の方向に転んでしまった。フセインが処刑されて以来、イラク各地で反体制派によるテロ活動が燃え広がっている。1月9日には、4年前のアメリカ軍による先制攻撃以来最大規模の戦闘がバグダットで勃発した。イラクの政府機関や米軍司令部がある、いわゆる安全地帯とみなされている「グリーンゾーン」のすぐ間近でも血なまぐさい戦闘が繰り広げられ、犠牲者の数も把握できない混乱状態が続いている。ブッシュ大統領が言う「安定化」など、絵に描いた餅でしかない。 「イラク混乱にまったく打つ手なし」 そもそも、フセイン元大統領とブッシュ一族は石油利権が取り持つ縁で、肝胆相照らす仲だった。ブッシュ家の執事的存在であるベーカー元国務長官や更迭されたラムズフェルド国防長官も、しばしばフセインとの交渉代理人を務めていた。フセインが権力の座についていた時には、そのオイルマネーの運用はアメリカの投資顧問会社であるカーライル社に委ねられていた。この会社の最高顧問を長年務めていたのはパパ・ブッシュ元大統領で、その関係でパパ・ブッシュはイラクの隠し財産がスイスや世界各国の秘密口座に100兆円近くあることを掴んでいたと思われる。 どうやら、ブッシュ一族はフセインと組んで、この資金を山分けする算段を進めていたようなのだ。詳しいトリックを明かすことはできないが、世界の注目がイラク戦争に釘付けになっている間に、ブッシュとフセインはまんまとこの莫大な資金を手に入れたに違いない。そこで最後の証拠隠滅工作として、主役のフセイを地上から抹殺したのである。これでブッシュとフセインの陰謀が白日の下にさらされる可能性はなくなった。 今回、処刑場の露と消えた男がフセイン本人であったという証拠はない。処刑された男の歯並びなどを細かく観察すると、フセインとは違っているからだ。アメリカ軍も逮捕、処刑した男のDNA情報を明かそうとしない。本物は整形手術を受けた後、アメリカのオクラホマあたりで悠々自適の生活を送っている可能性すらある。 世界をだますために何でもやるアメリカのブッシュ政権だが、徐々にではあるが、その化けの皮がはがれ始めた。その実態を明らかにしていきたい。 |
●(14)日刊ゲンダイ(平成19年1月20日)<新連載(5)「アメリカ世界中大嫌い」浜田和幸(国際未来研究所代表)>より 「それでもついていく安倍ボッチャン政権」 「アフリカもブッシュの身勝手な訪問に怒った」 「アメリカ嫌い」の亜種とみられる「ブッシュ嫌い」というウイルスが世界中に広がっている。とくにアフリカでひどいのだが、発生源はブッシュ大統領自身である。 ブッシュはこれまで1回だけアフリカを訪問している。2003年7月のことで、5日間でセネガル、南アフリカ、ボツワナ、ウガンダ、ナイジェリアを回った。その間のブッシュの言動を評して、南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領はこうこき下ろした。 「ブッシュは物事を正しく考えることができないようだ。自然の大切さや美しさがわからない。アフリカの大地に生えるブッシュとは大違いだ」 ブッシュの何がそこまでアフリカの人々を怒らせたのだろうか。まず、警備対策として700人もの米軍関係者を事前に送り込み、訪問先をくまなくチェックして回った。それ自体は当然としても、警備するうえで沿道の木々が邪魔だと、樹齢100年を超える古木を次々と切り倒してしまったのだ。 また、大統領一行の車が通る半日前からすべての道路は遮断され、学校も病院も会社も閉鎖を余儀なくされた。いわば外出禁止令が出されたに等しい。ただでさえ貧しい国々なのに、働きに行くこともできないような状態を強制したわけで、アメリカ嫌いが広がったのも仕方がない。 「警備に邪魔と沿道の木々を切り倒し」 しかし、アフリカ諸国が最も頭にきたのは、ブッシュ大統領の現地でのマナーであった。車やイスなど身の回りの品々から、食事や飲み物もすべてアメリカから持ち込んだものばかり。取材が許されたのはアメリカからの同行記者だけで、現地のジャーナリストはシャットアウトされた。 訪問先でもトラブル続きであった。セネガルではアメリカに送られた黒人奴隷の記念館の訪問を拒否し、ウガンダでは空港から外に出ることを拒み、同国の大統領を呼びつけて30分の首脳会談でバイバイ。ボツワナでは共和党のシンボルである象をなでるシーンを演出し、選挙用の写真を撮るお膳立てになっていた。ところが、飼育係から「象に触れるには、15分くらい時間をかけて安心させる必要がある」と言われて切れてしまった。 「オレは世界で一番忙しい男だ。象に合わせる時間はない」と叫ぶと、さっさと立ち去ったのである。 一事が万事、行く先々でアフリカの人々の感情を逆なでしたブッシュ。国連のアナン前事務総長も「ブッシュとだけは二度と仕事をしたくない」と述べた。それだけ嫌われていながら、「アフリカにはエイズ支援を行なっている。みんな感謝していた」とご本人はノーテンキだ。このブッシュウイルスはエイズよりたちが悪い。 |
<文責:藤森弘司>
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