2003年1月第5回今月の言葉

<実感の影>と<影の引き戻し>

2002年12月8日の研修「フォーカシング(焦点づけ)」で解説したものに若干の修正をしたものが、下記の図(・・・・・は消えてしまいました。ごめんなさい)です。

私たちは「育ってくる過程(生育暦)」で、周囲の環境に適応させるために、種々様々な感情の抑圧をしています。その抑圧を長年続けるうちに、防衛のための「防御壁」が厚くなってしまって、本来の感情(実感)が分からなくなってしまっています(特に、現代人は)。

この抑圧された感情は、「防御壁」の隙間を潜り抜けるため・・・・・・「防御壁(防衛)」を「関所」に見立てると分かりやすいです・・・・・関所を通り抜けるために変装する「義経と弁慶」のように、実感を「変形・変装」させます。つまり実感そのものではなく、「実感の影」として、私たちに訴えてきます。

●それではどのような「変装」をするでしょうか。それが下の図です。「実感」から出された6本の太い矢印の示す丸印の中が「変装した姿」、つまり「実感の影」です。  

細かく言えばキリがありませんが、概ね、この6ヶに集約して、ほぼ問題がないものと思われます。(厳密さにはやや欠けるかも分かりませんが、大体このようなことだということを理解していただくことが重要です。)

次に、重要なことは、この「影」を、実感に引き戻すことです。「影」を体験している限り、その不快感(「交流分析では、これを「ラケット感情」といいます)は「永遠」に継続されます。

そこで広い意味での心理学的な、いろいろな「技法」を使って、「影」の感情である不快な「ラケット感情」を「実感」に引き戻して、不快な感情を解放することが必要になります。

大雑把に、「影」から出た矢印のような、広い意味での心理技法を駆使して、実感を体験し、抑圧されていた感情を「解放」していくことになります(影の引き戻し)。

「用語の解説」
①フェルトセンスと見出し・・・フォーカシングの用語で、フェルトセンスに見出しをつけて、実感を体験しようとするもです。
②行動化・・・抑圧された感情が、非行やいじめなどの行動面にでることを意味します。
③身体化・精神化・・・言葉のあやで「化」をつけましたが、身体症状にでたり、精神症状に出ること意味します。
④価値観の歪み・・・主として「吉本式内観法」や「認知療法」で対応するのがふさわしいと思われますが、「決めつけ」や「思い込み」など、私たちは実に多くの「価値観の歪み」があります。
⑤コトバ・・・便宜上、このような表現をしましたが、精神分析でいう「知性化」で、防衛機制の一種です。「交流分析」でいう(A)肥大です。知性化することにより、不快な感覚を押さえ込もうとします。少しストレスを掛けて、ストレスフルにして、そこから働きかけるのが有効かと思われます。

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