2002年12月 第4回 今月の言葉

 

現在は未来の結果?!

 

常識的には「未来は現在の結果」です。
時系列的には確かにそうです。
しかし、本当にそうでしょうか。

私たちは時間の流れに沿って「肉体的な命」が生きていることは事実です。
しかし、もしそうであるだけならば、私たちはただ、その場その場で「場当たり的」に生きているだけだということになってしまいます。例えば、ビルの建築を考えて見ましょう。
建築現場で働く人たちは、ただやみくもに、その場その場で、思いつきで動いているのでしょうか。トラックは好き勝手に資材を運搬しているのでしょうか。
実際はそうではないことは、誰でも分かっていることです。

例えば3年後に、どのようなビルが完成するかという「目的(設計図)」が明確にあります。
決まっている「明確な目的」に向かって、必要な資材をトラックが運搬しています。
多くの人たちがいろいろな動きをしますが、それらの行動は皆、3年後の「明確な目的」に向かっています。

つまり3年後という「未来」の、「明確な目的」の結果として、現在の行動があります。

また例えば、1年後に100万円の車を買いたいので、今月から貯金をするとします。このように考えた人は、単純に考えて、今月より8万円以上の貯金を始めるはずです。

つまり、今月8万円を貯金するという行為は、1年後に100万円の車を買いたいという「未来」の「明確な目的」の結果です。

私たちは日常、無意識的・場当たり的に行動しているように見える部分もありますが、それは日常的なことで、慣れているからそのように錯覚するだけで、実は「無意識」は皆分かっています。

例えば、朝起きて、何も考えずに、歯を磨き、顔を洗い、パジャマを着替え、食事をして家を出ます。
が、実は長い習慣(練習)の結果、敢えて思考を巡らせなくても分かりきっているために、無意識で行動していますが、しかしそれは確実に、会社に出社するという目的に向かっています。

今、歯を磨き、顔を洗い、食事をするという「行為」は、皆、9時までに「出社」するという「未来」に向かって、行動しています。単純なことですから気がつきにくいですが、例えば「出張」があるとすると、行動の一つ一つを確認しながら行動するはずです。

ということは、私たちの人生は、私たちが将来、どういう「人間」になりたいかという「目的」に向かって生きているということになります。
「どういう人間」かを知るには、「深層心理的」な取り組みが必要になりますが、いずれにしても、今の「生き方」を見れば、ある程度は将来を予見できます。

それは目には見えないが、未来の「設計図」(第1回今月の言葉「脚本」参照)というものがあって、その「未来の設計図」の結果として、現在の行動があります。
生きていくうえで、このことを理解することは、とても重要なことです。

つまり「現在は未来の結果」です。

(文責:藤森弘司)

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