2003年10月 第14回「今月の言葉」
ディスカウントと「喜」

 


●「喜」は「き」と読みます。詳しくは前回の第13回をご覧ください。

●ディスカウントとは、「交流分析」という心理学の重要な用語の一つです。意味は文字通りの「値引き」のことです。スーパーなどで「値引き」するということと全く同じ意味と捕らえてください。

●では、「交流分析」略して「TA(ティーエー)」といいますが、この心理学で「ディスカウント」というとき、どんな使われ方をするのでしょうか。
それは、ある人の「価値を値引く」ことです。例えば着ている洋服の価値を値引いたり、その人の能力を値引いたりして、人間関係を悪くすることです。

●この場合、相手だけではなく、自分自身の価値を値引くこともあります。自分なんてそんな価値がありません。たいしたことありません。私はダメな人間です、などと自分の評価を、自ら低くすることです。

●値引く対象はいろいろあります。
洋服であったり、能力であったり、やる気であったり(本人が何かをやろうとすると、意欲をそがれるようなことを言う)、容姿であったり、のろま!などのように、その人のペースを値引くことであったり、可能性であったり・・・・・また、自分の奥さんをほめられたとき、それを否定したり、その人の価値観であったり、審美眼であったり、センスであったり・・・・と様々な物事の「価値」を「値引く」ことを意味します。

●ディスカウントが使われる例
①その洋服、似合わない(本人は気に入っているから着ている)
②ほめられた洋服に「これ安いんです。ディスカウントショップで買ったんです」(値段を言ってるのではない)
③勉強しないと将来大した人間にならない(そんなことどうして分かるの?暴走族だった人が立派に仕事をしている)
④ノロマ!(ゆっくり行くものが遠くまで行く。カタツムリ、ゆっくり登れ、富士の山)
⑤噂話の多くは「ディスカウント」です。良い話の噂話はほとんど聞いたことがない!
⑥奥さんの料理に対して「マズイ!」(一生懸命作った気持ちはどうなのか。おいしいときに感謝しましたか?)
⑦「私は何をやってもダメなんです」(やる前から、自分の能力、可能性を否定している)
⑧私にはできない!(自分の可能性、能力をディスカウントしている)
⑨「ステキですね!キレイですね!」「いやー私なんてブスですよ」(ブスをステキだなんていうほど、私はセンスが悪いのでしょうか?一言「ありがとう」って感謝できないの!)
⑩「ステキな奥さんですね」「いやー、私の女房は愚妻ですよ!」(あんたには言われたくないね!)
・・・・・・・・・・
などなど、お互いの日常生活を少し観察すれば、ディスカウントの宝の山、資料は豊富にあります。私たちは人の良いところを見るよりも、ついつい好ましくないところをより多く見てしまうものです。

●「喜」・・・「き」についての詳細は、前月の第13回をご参照いただくこととして、この「ディスカウント」の反対の言葉が「喜」ではないかと思っています。
他人の喜びをわが喜びとしたいものです。他人の不幸をわが喜び(他人の不幸は蜜の味)とするのではなく。

 

(文責:藤森弘司)

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