2023年2月15日第244回「今月の言葉」「『私説・日本的朱子学』と『岸田文雄首相』

(1昨年12月の「今月の言葉」第242回「『私説・日本的朱子学』と『朱子学』について(補足)」の(4)の最後に・・・

≪≪*さらにもう一つ、大変面白い記事を入手しました。

 <岸田増税、与党・閣内からも批判続々>、高市早苗経済安全保障担当相や西村康稔経産相。「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久元外務副大臣。

 上武大学の田中秀臣教授は「国民に約束した経済成長を否定するに等しい」(夕刊フジ、12月13日)

 私・藤森流に言えば、岸田首相はかなり「日本的朱子学」的な人間性だと言わざるを得ないことを強く感じます。≫≫

 このように書きましたが、どうやら岸田文雄首相は、「日本的朱子学」的な人間性であることが決定的なように思われます。私・藤森にそれを推測させる幾つもの岸田首相の異常な「人間性」を、下記に紹介したいと思います。

 最初は、手帳を出して、聞く耳がかなりあることを強調していた岸田首相ですが、最近の首相は、まさに「真逆な人間性」のように思われる出来事が連続しているように、私・藤森には思われます。下記の記事をご覧ください。

(2)「暴走 岸田政権 歴史的大転換にモノ申す(リレー寄稿、原子力資料情報室 事務局長 松久保肇氏、日刊ゲンダイ、1月28日)

 昨年8月24日、岸田首相が原発運転期間の延長と原発建設を含む原発活用方針の検討を指示してから、わずか4ヶ月。12月22日の政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議は原発活用方針を含む基本方針を含む基本方針を承認、年末年始をはさんで30日間のパブリックコメント(意見公募)が実施されたものの、事実上、方針は固められた。

 2012年、東京電力福島第1原発事故の反省を受けて、与野党合意の下、原発の運転期間は原則40年例外的に20年延長を可能にすることとした。また、政府はこれまで「原発の新増設は想定していない」と繰り返し答弁してきた。つまり緩やかな脱原発は既定路線だった。

 <方針転換は根拠に欠ける>

 事故から約12年、原子力緊急事態宣言はいまだ解除されず、世論も6割超が脱原発を求める中で、岸田首相は、原発政策を百八十度方針転換しようとしている。

 方針転換の理由として、政府は大きく、①電力需給逼迫対策②エネルギー安全保障確保③脱炭素の推進役と3つの理由を挙げている。だが、いずれも根拠に欠ける。<後略>

 

「岸田首相長男 また炎上」(日刊ゲンダイ、1月28日)

 <ロンドン・パリ 公用車で観光三昧疑惑>

  岸田の外遊先は、仏、伊、英、加、米の5カ国。「週刊新潮」によると、フランスに着いた翔太郎氏は、現地の日本大使館に、パリ市内の観光地を巡りたいと要請し、大使館が用意した車で観光を楽しんだという。

 イギリスでも大使館にロンドン見学を要望、大使館が回した車でビッグベンやバッキンガム宮殿を見学し、老舗百貨店ハロッズに寄ってショッピングまでしていたという。<略>

 立憲民主党の小沢一郎議員も「この報道の通り、政務秘書官の子息がろくに仕事もせず観光三昧なら、完全な税金の無駄遣い。旅費だけで数百万円は下らない。国民が物価高に苦しみ増税に恐怖する中、あり得ない話」と痛烈に批判している。<略>

 翔太郎氏は、秘書官に就任した時から「縁故採用」「親バカ人事」と批判されていたが、国民からの嫌われ方は相当なものだ。就任後は「機密情報漏洩騒動」が起きている。

 結果的に、秘書官である長男が政権の足を引っ張る形になっているが、岸田が翔太郎氏に厳しく言い聞かせることは、ほとんどないという。

 「岸田首相は、自分の後継者である翔太郎さんを溺愛しています。事務所の会報のタイトルも、翔太郎さんの『翔』です。いまでも、公邸で一緒に暮らしている。まだ32歳、政治の素人だから仕方ないですが、このまま甘やかしていると、翔太郎さんは、いつまでもボンボンのままですよ」(自民党関係者)

 いずれにしても、外遊先で仕事もせず、公用車で観光三昧だったのかどうか、徹底的に調べて公表すべきだ。こ

 

「維新 松井一郎 伝心」(夕刊フジ、2月2日)

 <略>首相秘書官は特別職の国家公務員であり、政務秘書官は筆頭格であることから「主席秘書官」とも呼ばれる。首相の外遊に同行した政務秘書官が行動をともにしていないことこそ、おかしいのではないか。安倍晋三元首相や、菅義偉前首相の秘書官なら、緊急事態に備えて側にいたはずだ。

 翔太郎氏については、別の週刊誌も含めて、毎週のように記事が出ている。「公私混同」「脇が甘い」「政務秘書官にふさわしくない」と思わざるを得ない内容だ。岸田首相周辺の人物が、不満を募らせてリークしたのではないか。

 岸田内閣の支持率は、報道機関によって政権維持の「危険水域」といわれる3割を切るものが出てきた。「チーム岸田」が完全崩壊する前に、政務秘書官を交代させるべきではないか。<後略>

(3)「ニュース裏表」(安積明子氏・政治ジャーナリスト、夕刊フジ、2月1日)

 「問われる政務秘書官の“資質”」

<略>そもそも、政務秘書官は力量を厳しく問われるポストだ。首相の日程管理にはじまり、特命による重要政策の調整など役割は多岐にわたる。外国要人や与野党幹部、省庁幹部らとの連絡も担い、国家機密や機密性の高い事柄にも触れるだけに、首相の信頼が厚い人物が選ばれる。

 秘書官起用は、岸田首相の後継に向けた修行だといわれる。国民に「大甘の身内びいき」と思われないか。

 岸田政権発足から「1周年」にあたる昨年10月4日に官邸入りした翔太郎氏だが、本気で後継者になるなら、何よりもまず、地元の選挙区に帰って、靴底を減らし、有権者の声を聞くべきだ。<略>

 岸田首相は、昨年10月5日の衆院本会議代表質問で、政務秘書官登用を「適材適所」と答弁した。だが、開会中の国会で、野党は翔太郎氏の行動を追及する構えだ。岸田首相には、翔太郎氏の「適性」を含め、改めて、丁寧に説明していただきたい。

 

「菅前首相の再登板 『私はもうパスだ』」(夕刊フジ、2月3日)

 <略>

 「防衛費増額」の財源については、税以外の財源捻出を検討する党の特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)での議論を通じて国民への理解と納得が広がることに期待を示した。

 「萩生田氏の下で行われている財源に関する議論で、国民に説明できる形で進めなければならない」「増税(という選択肢)が短期間で出てきた。ちょっと荒っぽかった。丁寧に説明しながら進めるべきだ」

 岸田首相が岸田派(宏池会)会長を続けていることにも疑問を呈した。

 「自民総裁と首相は国民の先頭に立って汗をかいて進む人だ。(首相に)派閥を出るべきだとまで言っていないが、派閥の会合に出席するのはいかがかと思う」

 

(4)「低支持率でも安泰のカラクリ」(日刊ゲンダイ、2月4日)

 <略>「恐らく、岸田首相は、国民に余計な説明をしない、と決めたのだと思う。“安倍国葬”以来、国民の声を聞かずに重要政策を決定し、決定したことを国民に伝えるだけ、という政治スタイルが定着している。アベ政治とまったく同じです。具体的な内容に踏み込むと、反対意見が増えるだけという計算もあるのだと思う。“異次元の少子化対策”は、ただの思いつきだから、具体策がなにも決まっておらず、説明したくても説明できないのでしょう(立正大名誉教授・金子勝先生=憲法)

 さすがに国会答弁を見た国民は、岸田首相のなめ切った答弁に呆れ、怒っているに違いない。内閣支持率も30%台を割る“危険水域”に沈み込んだままだ。30%を切ったら、政権は長く持たない・・・がセオリーである。

 ところが、なぜか岸田政権からは「奇妙な安定感」が漂っている。「広島サミット花道論」も取りざたされているが、実際には、政界は「無風」状態。岸田周辺の危機感もゼロだ。

 どうして、こんな政権が“安定”しているのか。「大きいのは、しばらく国政選挙も総裁選も行われないことでしょう。“黄金の3年間”ではないでしょうが、選挙がなければ、政権はそう簡単には崩壊しない。しかも、自民党内に『ポスト岸田』が不在です。具体的に岸田首相を脅かす存在がいない。自民党の政党支持率が高いことも、岸田政権を支えている。その一方、野党の支持率は低迷したままです。永田町の論理だけでみると、いま岸田政権には不安定要素が見当たらないのです。内閣支持率が低迷しているのに、政権は安定している。そんな『奇妙な安定』に岸田首相も気がついている可能性があります」(金子勝先生<後略>

 

「岸田政権は歴史の流れを読み違えている」(経済思想家・東大准教授・斎藤幸平先生、日刊ゲンダイ、2月2日)

 <略>さらに、政権の成長戦略にも問題がある。エネルギー不足を理由に持ち上がっているのは、原発の稼働期間の延長や現実味のない新設。また、日本の技術を使って、高性能の石炭火力発電を開発するのだという。

 ところが、世界の流れは再エネだ。気候変動が深刻化するなかで、G7で日本だけが、いまだに国内で石炭火力発電所を建設し、国外の石炭火力に資金提供している。気候変動対策に消極的な国に贈られる「化石賞」を日本は3回連続で受賞するなど、国際的な批判の的だ。原発と石炭火力、これのどこが、「新しい」資本主義なのか。<後略>

(5)「荒井首相秘書官更迭へ」(東京新聞、2月4日)

 <「性的少数者見るのも嫌」>

 岸田文雄首相の秘書官である荒井勝喜氏は三日夜、LGBTなど性的少数者や同性婚の在り方などを巡り「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と記者団に述べた。性的少数者に対する差別発言で、首相は四日、公邸で荒井氏を更迭する意向だと明らかにした。野党は荒井氏を非難し、首相の任命責任が問われるのは必至だ。<略>

 岸田首相は四日、荒井勝喜秘書官がLGBTなど性的少数者に対する差別発言をしたことについて「政府の方針とは全く相いれないものであり、言語道断だ。厳しく対応せざるを得ない」と記者団に述べた。記者団から荒井氏を辞めさせる意向かと問われ「そう受け止めている。至急、具体的な対応を考える」と答えた。

 

同性婚の未承認だけじゃない。G7の中で「最も恥ずかしい国ニッポン」の時代錯誤」2023年2月9日 『きっこのメルマガ』

<今から「当事者のお話を伺う」岸田首相のガラパゴス感、その場しのぎ感、チグハグ感>

 わずか40日ほど前の12月27日、年末のドサクサに紛れる形で、「政治とカネの問題のデパート」と呼ばれていた秋葉賢也復興相と「差別発言の量産店」と呼ばれていた杉田水脈総務大臣政務官を事実上の更迭とした岸田文雄首相でしたが、今度は自分の右腕であり、演説や答弁書のスピーチライターをつとめていた荒井勝喜(まさよし)首相秘書官(55)を、LGBTに対する差別発言で更迭することになってしまいました。

「(同性愛者など)僕だって見るのも嫌だ。隣りに住んでいたらちょっと嫌だ」
「(同性婚制度の導入には)他の秘書官も皆、反対している」
「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」

 これらの発言は、2月3日、首相官邸でのオフレコ前提の囲み取材の中でのもので、各紙、各局の官邸担当の記者が10人ほどいました。こうした首相秘書官のオフレコ取材は、平日はほぼ毎日行なわれており、秘書官側も「首相の意向を伝える場」として活用して来ました。しかし今回は、政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官が、このような時代錯誤も甚だしい人権感覚だという点を重大な問題だと判断した毎日新聞が、事前に実名報道する旨を荒井秘書官本人に伝えた上で報じたのです。そして、各社が後追い報道をしたという流れでした。

 各社の報道を受け、荒井秘書官は3日深夜、記者団の取材に応じ、謝罪と発言の撤回をしました。しかし、それは「やや誤解を与えるような表現をしまして、大変申し訳ありませんでした」という、いつものパターンでした。こちらは誤解など1ミリもしておらず、発言内容を正確に理解した上で問題視しているのに、あたかもこちら側の誤解による解釈違いであるかのような物言い、どうしてこれほどまでに往生際が悪いのでしょうか?謝罪するなら潔く自分の非を認めて謝罪する。誤解だと言い張るなら謝罪などせずにきちんと説明する。本来は、この二択のはずです。

 ま、それはともかく、この深夜の取材では、とても重要なことが分かりました。それは、まだ報じられていなかった荒井秘書官の発言です。当初は、毎日新聞の担当記者が、オフレコ取材でメモした発言の中で、特に問題だと感じた部分を断片的に報じる形でした。しかし、この深夜の取材では、荒井秘書官本人の確認のもと、その前提の発言も明らかになったのです。それは、以下の発言です。

「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい。(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」

 荒井秘書官は、この発言に続ける形で、「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などと発言したのです。この報道を受けて、多くの人は「あれ?」と思ったでしょう。そう、一番初めの「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう」という前提です。これって、2日前の2月1日の衆議院予算委員会で、同性婚の法制化について質疑を受けた岸田首相が、官僚の作った原稿を見ながら答弁した内容と同じじゃないですか。

岸田首相 「(同性婚の法制化は)家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題であり、社会全体の雰囲気や全体のありようにしっかりと思いを巡らした上で、判断することが大事だ」

 この岸田首相の答弁は「同性婚の法制化に否定的」と報じられ、ネットでも炎上しました。岸田首相は、バカ息子の外遊観光問題で絶賛炎上中だったため、自ら燃料を継ぎ足した形となってしまったのです。そして、その2日後、首相官邸でオフレコの囲み取材を受けた荒井秘書官が、岸田首相の「社会が変わってしまう」という答弁について首相秘書官としての見解を求められ、「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい」と発言したのです。

 これはどう見ても、炎上中の岸田首相の答弁をフォローするための発言であり、この発言に続く「(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などの問題発言も、岸田首相の答弁の方向性を補完するための援護射撃に他なりません。

 それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と、このコーナーでも五七五の俳句調で嘆いてしまいますが、荒井秘書官の発言の報道を受けた岸田首相は、「言語道断だ」と述べ、「政権の方針と相いれない」として、マッハのスピードで荒井秘書官の更迭を決めたのです。この素早さは、杉田水脈政務官の更迭を年末まで引き延ばしたことで、低い支持率をさらに下げてしまった経験から学んだことだと思います。

 しかし、荒井秘書官にしてみれば、岸田首相の時代錯誤発言を正当化するために、必死に同調したわけであり、「首相秘書官」としての任務を遂行しただけなのです。そもそもの話、岸田首相が「社会が変わってしまう」などと答弁しなければ、荒井秘書官もこんな発言をする必要はなかったのです。もちろん、荒井秘書官の発言内容は決して許されるものではなく、たとえ謝罪・撤回しても更迭は免れられないレベルでした。でも、岸田首相を守るために岸田首相と同じことを言ったのに、その岸田首相から「政権の方針と相いれない」と言われてしまうなんて、ハシゴを外されるにもホドがあります。

 2月6日の文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』にレギュラー出演した経済評論家の森永卓郎さんは、「岸田首相も同性婚を法律的に認めたらどうですかって聞かれて、社会が混乱するからイヤだって言ってるんですよ。荒井秘書官の方がはるかにストレートに差別発言してるけど、やってることは岸田首相も同じじゃないですか」と指摘しました。一方、メインパーソナリティーの大竹まことさんは、「性的少数者は、G7の中で唯一日本だけが同性婚に反対しているのをどう思ってるんだろう?」と、先進7カ国の中での日本の人権意識を低さを問題視しました。

 もう少し詳しく説明すると、G7の日本以外の6カ国は、イタリア以外は同性婚を認めており、イタリアも同性カップルに異性間の結婚と同様の法的地位を保障する「シビル・パートナーシップ」を定めています。今回の問題は海外でもこぞって報じられましたが、多くの報道に「日本はここまで人権意識が遅れているのか」という論調が目立ちました。

 英国のBBCニュースは、「最近の世論調査では、ほとんどの日本人が同性婚を支持している」と補足した上で「伝統的なジェンダーの役割と家族の価値観に大きく縛られている日本は、G7で同性婚を認めていない唯一の国だ」と報じました。

 米国のAP通信は、「LGBTQの人々、人種、女性、国籍などに対する偏見が強い保守派の自由民主党に統治されている日本では、人権よりも政権の面目を保つことが重要視されており、日本はG7諸国で唯一、同性婚を認めていない」と報じました。

 米国のABCニュースは、「長年、保守的な自由民主党によって統治されてきた日本とは異なり、G7の他の国々はすべて、同性婚またはシビル・パートナーシップを認めている。今回の事件は、5月にG7諸国の首脳を迎える準備をしている岸田首相にとって、日本がとても恥ずかしい国であることを証明した」と報じました。

 英国のロイター通信も、「今回の事件は、5月にG7サミットを迎える岸田首相にとって、頭を悩ませる問題になった」と報じました。

 もともと岸田首相は、性的少数者にも理解を示し、演説でも「多様性社会」という言葉を繰り返して来ました。しかし、自民党内で未だに統一教会と癒着している安倍派の議員らの圧力に屈し、「こども庁」が「こども家庭庁」に名称変更され、与野党で合意していた「LGBT理解増進法案」が棚上げされたあたりから、岸田首相の発言は大きくブレ始めたのです。そして、その極めつけが、今回の「(同性婚を法制化したら)社会が変わってしまう」という、これまでの自身の主張とは真逆のトンデモ発言でした。

 そして、あたしが何よりも呆れたのが、この状況下での松野博一官房長官の対応でした。荒井秘書官の発言によって再炎上してしまった岸田首相の「社会が変わってしまう」という答弁の火消しをするために、松野官房長官は次のように述べたのです。

 「当事者からのお話を伺うことは重要であると考えています。具体的に誰がどのような場で話を伺うかについては、なお検討を要するものの、できるだけ速やかに話を伺う場を設けることとしたいと思います」

 今からかーーーーい!…というわけで、これは、1年前に「子育て対策は喫緊の最優先課題」と言っておきながら、1年後の今になって「まずは私が全国をまわり、子育て中のお父さんやお母さんなど、当事者の声を聞くことから始めたいと思います」と抜かした岸田首相と何ひとつ変わりません。英国のBBCニュースが「最近の世論調査では、ほとんどの日本人が同性婚を支持している」と報じたように、昨年の世論調査でも「同性婚に賛成」は7割を超えており、若者の世代では「同性婚に賛成」が9割に達しています。さらには、日本以外のG7諸国は、とっくに法整備が終わっているのです。

 時代はすでに「同性婚は当たり前」になっているのに、今から「当事者のお話を伺う」って、おいおいおいおいおーーーーい!その上「できるだけ速やかに」と言いつつ「なお検討を要する」って、お前も「検討使」かーーーーい!…と、最後は髭男爵のようになってしまいましたが、首相も首相なら首相秘書官も首相秘書官、そして、官房長官も官房長官です。

 G7の中で唯一、同性婚を認めていない日本は、G7の中で最も子どもの貧困率が高く、G7の中で最もひとり親世帯の貧困率も高く、G7の中で最も子どもの教育予算の割合が低い国です。そして、昨年2月のロシア侵攻以来、G7の首脳の中で一度もウクライナを訪問していないのも、日本の岸田首相だけなのです。このガラパゴス感、時代錯誤感、その場しのぎ感、チグハグ感‥‥、もう岸田政権は完全に閉店ガラガラでしょう。(『きっこのメルマガ』2023年2月8日号より一部抜粋・文中敬称略)

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