2021年12月15日第230回「今月の言葉」「”交流分析”の“脚本”とは何か?②ー①(映画”ONODA”の補充②-①日大のドン)

(1)11月30日にアップした「今月の映画」「ONODA 一万夜を越えて」「脚本」「五蘊」「深層心理」に相当する部分を下記に転載します。

 

「脚本」「五蘊」「深層心理」=≪≪ 終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で暗号解読・諜報などの特殊訓練を受けていた小野田(遠藤雄弥/津田寛治)は、劣勢のルバング島で援軍が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命を受ける。出発前、谷口教官が最重要任務を言い渡す。「君たちには、死ぬ権利はない。玉砕は一切まかりならぬ。3年でも5年でも生き延びろ」。この言葉が呪縛のように、小野田に襲いかかる。≫≫

 この「脚本」通りに、小野田寛郎元少尉は、戦争が終わっているのを知っているにも関わらず、戦後、29年もの長い間、「ルバング島の山中」で、不便極まりない毎日を生き続けます。

 ≪≪1974年、ある青年旅行者(仲野太賀)は、幻の日本人・小野田寛郎(遠藤雄弥/津田寛治)に会いにフィリピンに向かう。≫≫

 青年旅行者が会いに出かけても、「脚本」の中で指示されている「命令」を守り続けます。

 ≪≪1974年3月、作戦任務解除命令を受けて51歳で日本に帰還するまで、ジャングルに潜伏した小野田さんの日々≫≫

 「交流分析」の「脚本」をしっかり理解できている方は、以上の意味が理解できることと思われますが、まだ十分に理解出来ていない方のために、12月15日の「今月の言葉」でしっかり説明したいと思います。

(2)以上が、私たちの人生を牛耳っている「深層心理」「脚本」「五蘊」だと言われて、皆さんはいかがでしょうか?

 拙著の中でしばしば「見えるものは、見えないもののあらわれ」(p16)であることを述べています。

 私・藤森は、長年、「深層心理」の研究をしていますので、この「見えないもの」が「深層心理」を意味していることを体得し、そして「深層心理」とは「脚本」を意味していますが、「脚本」のなかでも浅いものから深いものがあり、特に深い「深層心理」が極めて重要です。

 「浅いレベルの脚本」は、日頃の中で、注意して考えれば、それなりに気づくものです。しかし、より「深い脚本」はかなり気付きにくいものですが、さらに「深層心理の脚本」になると、本人はほとんど全く気づかずに一生を過ごしてしまうものです。

 ですから、本来の「自己成長」とは、より深いレベルの「無意識(「深層心理の脚本)」に気づくことが極めて重要ですが、世の中のほとんど全ては「浅い深層心理」程度で、「深い深層心理」が言語化されることはほとんど全くありません。

 そこで、今回の映画から少し離れて、分かりやすいケース、「今月の映画」「ONODA一万夜を越えて」の中で触れた「日大理事長の不正問題」について、「理事長の脚本」が見えたので、次の(3)以下でコメントしてみたいと思います。

(3)「日大・田中理事長に巨額資金か」(夕刊フジ、令和3年11月19日)

 <自宅から1億円><「無申告」「所得隠し」報道>

 日本大学医学部付属病院を巡る2つの背任事件で立件が見送られた田中英寿理事長(74)に、巨額資金が提供されていた問題が浮上した。適正に税務申告していなかった疑いもあるといい、東京地検特捜部は国税当局と連携して調べているとの報道もある。

 田中氏は背任事件への関与を否定、現時点で刑事責任を問われていないが、背任罪で起訴された医療法人前理事長らから、謝礼などの名目で現金が渡っていたとされる。側近で元理事の井ノ口忠男被告(64)も田中氏に資金を提供したと供述している。

 17日付読売新聞は「8000万無申告か」、18日付朝日新聞は「所得隠しか 計1億円超申告せず」、同日のNHKは「理事長側に少なくとも9000万円提供か」と相次いで報じた。

 特捜部が田中氏の自宅を捜索したところ、1億円以上の現金が保管されていたとされる。

 2008年から5期にわたり理事長に君臨し、「日大のドン」と呼ばれる田中氏。特捜部が9月、日大本部や田中氏の自宅を家宅捜索した2日後の理事会で「俺は関係ない。止めることはない」と力説した。その後も田中氏は大学内や記者会見で、自らの言葉で釈明する機会もない。

 大学が提出を保留する被害届についても、30人余りの理事の中で、特捜部に提出するよう主張したのは1人だけだったといい、日大関係者は「執行部の意に沿わないことを言えば左遷されると思い、物を言えなくなっている」と指摘する。

 日大は取材に、田中氏の責任について「両事件の事実関係に関する調査結果を踏まえて総合的に検討する」と回答した。

 

(4)「理事たちが怯える 日大ドンの報復人事」(日刊ゲンダイ、11月22日)

 <「被害届」を出せない異常事態>

 <略>

 大学は4億2000万円の被害を被った「被害者」にあたるというのに、被害届も出していない。

 「田中理事長は周囲に対し、<井ノ口は大学の人間だから、被害届は出さない。大学としては被害を受けていない>と説明し、すべて理事長の一存で決められています。今月5日の理事会では、事件の調査にあたった弁護士から<大学の損失にはなっていない>という説明があった。三十数人いる理事のうち、被害届を出すべきと主張したのは1人だけです。アメフト問題の時からそうですが、執行部に対して反対意見を言うと、すぐに飛ばされる。もともと理事は実質、田中理事長が決めているようなものですから、イエスマンばかり。案の定、被害届の提出は保留することになった」(日大関係者)

 田中理事長は2008年に理事長に就任。以来、13年にわたって、国内最大のマンモス校の「ドン」として君臨してきた。

 理事長が持つ最大の特権は「人事権」。田中理事長はその人事権を振りかざし、理事たちを意のままに動かしてきた。

 「相手が教授だろうが何であろうが、関係ありません。気に入らないヤツがいると<おまえは北海道に移動>とか<おまえは九州>と言って地方に飛ばし、教職員たちを震え上がらせた。自分にタテつく連中はことごとく潰していった。そうやって誰も理事長には逆らえない状況をつくり出したのです」(日大関係者)

 今回、井ノ口と籔本が大学側に損害を与えたとされる医療機器の納入問題でも、計画に反対した病院幹部が飛ばされている。井ノ口らは自らの利益を確保するため、病院側の意向など無視し、籔本の関連会社を介在させ、2億円高い契約を結ばせていた。

 学校関係者からトップの責任を追及する声が上がる一方で、理事たちは報復人事を恐れ、思考停止状態。ドンが辞任しない限り、日大は何も変わらない。

(5)「1億円超の所得隠し疑惑浮上・日大のドン徹底した”現ナマ主義”の理由」(日刊ゲンダイ、11月19日)

 <通帳代わりに入出金メモ>

 <略>

 「日大元理事の井ノ口は昨年2月から今年6月まで設計関連で4000万円、機器調達関連で3000万円、4回にわたり、計7000万円を理事長に渡したと供述している。一方、医療法人『錦秀会』前理事長の籔本は昨年8月と10月の2回、仕事をもらったお礼と理事長再任祝いの名目で3000万円ずつ渡している。籔本が秘書に出金を指示したメールも残っています。8月に都内の焼き肉店で3000万円渡した際は井ノ口も同席していたので、その3000万円に関しては同じ金だと思う。それでも理事長が2人から受け取った金は1億円に及びます」(捜査事情通)

 特捜部は今年9~10月、東京・阿佐ヶ谷の田中理事長の妻・優子氏が経営するちゃんこ屋兼自宅を2回、家宅捜索した。部屋には1億数千万円の現金が保管されており、特捜部は井ノ口から理事長に渡った1000万円の銀行持株会社支店の帯封を押収している。<略>

 「理事長は昔から現ナマ主義でクレジットカードはおろか、銀行口座もないそうです。収入はすべて現金のまま、自宅で保管しています。常に100万円の札束を持ち歩き、自分を慕う取り巻きや、かわいがっている相撲取りなどに酒や食事を振舞ったり、気前よく小遣いを渡しています。通帳がないと金の出入りが分からないので、いつ誰からもらった金か、どこの誰に支払ったか、相手の名前や日時までメモに残しているそうです」(日大関係者)<略>

 

(6)「1億数千万円の所得隠しで逮捕・日大田中理事長失権」(日刊ゲンダイ、12月3日)

 <大相撲に起こす波紋>

 脱税容疑で逮捕された日大の田中英寿理事長(74)の辞任が昨1日の臨時理事会で決定した。

 田中理事長はマンモス大学の経営者と同時に「日大相撲部総監督」という顔も持つ。「アマ相撲界のドン」として君臨し、大相撲に与える影響力も大きかった。

 11月場所修了時点で、日大出身者は幕内に4人。十両を含めた関取衆は総勢10人いる。一時期に比べて減ったものの、それでも角界の一大勢力だ。これまで育てたプロ力士は50人以上。卒業生の相撲部屋への振り分けも理事長の胸ひとつだ。

 「この差配を断ったのは白鵬の内弟子で、すでに引退した大喜鵬のみ。本人が『白鵬の内弟子になりたい』と理事長の指示を拒否したことでOB会にも呼ばれず、日大ではほとんどいなかったも同然の扱いです。近年では人気力士の遠藤も逆鱗に触れた。田中理事長は大阪と東京に遠藤の後援会をつくり、嫁取りも世話をしようとしていたが、相談なく別の女性と結婚。これに田中理事長は激怒し、『今後、オマエとは一切関わらない』と絶縁を伝えたそうです。元小結両国の境川親方とも昔いざこざがあり、『あの部屋にだけは部員を入門させん』とかたくなです」(日大関係者)

 自分に従わない者には容赦しない一方、気に入った親方には惜しみなく力士を供給する。

 「顕著なのが元横綱佐田の山さんが師匠だった当時の出羽の海部屋でしょう。田中理事長はアマ相撲普及のため、相撲を五輪競技にしようと動いていた。それに協力していたのが出羽海親方。見返りに元関脇の出羽の花や両国、元平幕久島海ら有力な部員をどんどん入門させていた」(角界OB)

 近年は琴欧洲ら東欧勢の供給ルートも開拓していたというのだから、驚きだ。<略>

 

(7)ある日大幹部は「本部の幹部が経営方針に異を唱え、地方の高校のグラウンドキーパーに左遷されるのを見てきた。恐怖政治で組織が成り立ち、誰も何も言えなくなった」と語る。(夕刊フジ、12月1日)

 

●●●以上を読んだときに強い閃きがあり、上記の新聞の余白に「日大のドン」は≪≪根性の小さな「脚本」であるはず≫≫とメモしました。

 ≪≪すべては、「見えるものは、見えないもののあらわれ」、つまり「脚本」であり、「五蘊」であり、「深層心理」のあらわれです≫≫

 すると、私のメモはドンピシャリでした。どう見ても体格も、顔付きも、雰囲気も、そして、大金も自由に使えるという大物振り、何もかも全て、私・藤森よりも百倍、千倍、万倍もの大物風情の理事長が、実は、≪≪根性の小さな「脚本・深層心理」≫≫だと推測した私の直感が正解だったのです。

 根性だけは、“今の私”よりも小さい可能性があります。次をご覧ください。

(8)「日大のドンが書き残した『田中メモ』と広範な交友関係」(日刊ゲンダイ、12月4日)

 <略>

 「理事長は昔から現ナマ主義で、銀行口座も持っていない。通帳がないから金の出入りを記録するため、メモを残している。いつ、どこで誰からもらった金か。どこの誰に金を渡したか、全てを書き残しているそうです。東京五輪の招致に使われた資金の一部も、自分が払ったと周囲に吹聴していました」(日大関係者)

 ドンは一見、「豪放磊落」に見えるが、実は神経質で猜疑心は人一倍強い。

 「怪文書がバラまかれると疑わしい人物を呼び出し、『みんなにも言っているんだが』とウソをつき、その相手にしか話さないネタを提供する。いつ誰とどんな話をしたかメモに残す。後日、その内容が怪文書に書かれていると、その人物を地方の施設の用具係など、閑職に追いやるのです。周りは、なぜ誰が怪文書を流したか分かったのか驚き、恐れる。そうやって恐怖支配を強めていきました」(前出の日大関係者)<略>

 

(9)「陰の権力者 日大のドンを操る妻の実像」(日刊ゲンダイ、12月8日)

 <ちゃんこ店で現金受け渡し>

 <略>

 前理事長に取り入るためにはまず、前理事長が唯一、頭が上がらない優子夫人に気に入られなければならなかった。そのため前理事長の取り巻き連中をはじめ、ゼネコン関係者、スポーツ用品担当者らの出入り業者は「たなか」に日参。優子夫人のご機嫌を取るのが、仕事になっていた。現金の受け渡し現場になった店は、理事会に代わる日大の「最高意思決定機関」のようなものだった。

 「優子夫人は旧姓、湯沢征子さんという長野県出身の元演歌歌手です。三波春夫の弟子で、レコードを2枚出していて大月みやこと一緒に地方巡業をしたこともあるそうです。店が入る湯沢ビルは1、2階が店舗で、3、4階が住居になっています。もともとは優子夫人の母親が上京して阿佐谷で喫茶店を始め、その後、ちゃんこ屋になった。優子さんは貧しい家庭で育った前理事長を、結婚前から経済面でも支援していた」(日大関係者)

 結婚後も優子夫人は物心両面で前理事長を支え、時にはハッパをけけることもあったという。その結果、一職員に過ぎなかった田中が国内最大のマンモス校のトップの座にまで上り詰め、「日大のドン」として13年間、君臨することになった。<略>

 

●●●<補足>2019年7月15日第201回「今月の言葉」「ウィーケスト・リンクとは何か?②(カルロス・ゴーン氏)」(weakest link)

 <略>

 約15年前に取締役会で、すでに報酬額への強いこだわりを見せていた。報酬の3割増額を提案したゴーンに対し、出席者から「お手盛りが過ぎる」と異議が出た。ゴーンの顔がみるみるうちに赤くなった。

 「業績で貢献したんだから、これくらい当たり前だろ!」

 早口の英語でまくし立てるゴーンに圧倒され、場は静まり返った。ある幹部は「並みの怒り方ではない。獣のような顔で怒鳴り立てていた」と振り返る。

 幹部がその剣幕を目撃したのは1度ではない。2度目は出自について、言及された時だったという。

 祖父はレバノンからの移民だったというゴーンはブラジルのアマゾン川流域の田舎町で生まれた。自著によると、高温多湿で蚊に悩まされる厳しい環境で育ち、2歳の時には井戸水を飲んで生死をさまよった。

 外食ではラーメン店や焼き鳥店に通う庶民性を見せるが、幹部は言う。「とにかく強欲でカネへの執着は異常だった。出自へのコンプレックスも強かった」(略)

≪≪映画「ONODA一万夜を越えて」に関する「脚本」の解説は次回とします。≫≫