2020年6月15日第213回「今月の言葉」「ウィーケスト・リンクとは何か?⑭スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんの驚くべき実体!②ー②)」(weakest link)

(1)「桂春蝶の蝶々発止。」(夕刊フジ、令和2年1月28日

 スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が、新聞やテレビでよく取り上げられています。リベラル層にとって、もはや彼女は偶像(=崇拝の対象?)であり、キラーコンテンツなんでしょうな。

 世の中に環境問題を提示して、議論を活発化させる。どんな議論でも、それができる力を持っている人は偉大だと思います。

 一方で、グレタさんの両親はガチガチの左翼活動家で、鳴り物入りの「世襲活動家」。所詮はプロパガンダに利用されている「傀儡(かいらい)に過ぎないという批判もあるようです。

 では、春蝶自身、彼女をどう思っているかと言うと・・・実は私、グレタさんを見ると、おっかない気持ちになります。私的なことなのですが、小学校時代、1日の最後に日直が前に立って行う「終わりの会」ってのがありましたよね?

 「今日良かったこと、悪かったことを発表してください」

 その瞬間、手を挙げて、「今日、○○君が廊下を走って、下級生にぶつかってました。絶対あかんと思います~」などと、チクり上げる女子生徒がいて、グレタさんにうり二つなのです。彼女が発言するたび、誰かが炎上していた。表情といい、まなざしといい、グレタさんにそっくり。

 彼女が「よくもそんなことを!」というと、まるで自分に言われているかのような衝動にかられてしまうのです。

 あ、閑話休題。

 グレタさんは温室効果ガスの排出を避けるため、飛行機に乗らないのがポリシーです。でも、彼女が船で移動する準備で、大人が何人も飛行機で飛び回っていたとか、船長は飛行機で帰ったとか報じられていました。何よりグレタさんが動けば動くほど、マスコミは彼女を追うために飛行機に乗りまくってCO²を排出しまくる。

 結局、多くの矛盾がそこにあるのです。温室効果ガスを削減したいなら、彼女一人が飛行機で移動すればいいという理屈も発生します。

 まっ、私はそういうことで揚げ足をとるつもりはありません。グレタさんに理解してほしいのは、人が何かを主張するには、ある程度は文明の力を使わざるを得ないという一点です。

 第一、彼女が住むスウェーデンのレベルに文明を引き上げたいと望む人々は数えきれないでしょう。もし、江戸時代の水準にまで生活レベルを落とした場合、平均寿命は30代になってしまう、それを幸せと呼べるのでしょうか?

 悔しいけれど人間に「業」がある以上、生活も経済も政治もある程度、環境を消費する妥協が求められてしまう。

 子供のころ、親に「誰かに迷惑をかけるな」と言われました。でも、それは不十分な言葉だと思います。人は誰かに、そして何かに厄介にならないと生きてはいけない。

 それらに深く感謝して生きていくことが、「大人」である証しと呼べましょう。

<かつら・しゅんちょう・・・1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。>

 

(2)「NHKは地球温暖化でもヤラセ報道・・・NASAが南極の氷は増えていると報告」(平成27年11月12日)

 マスコミがさんざん大騒ぎしてきた「地球温暖化」や「ダイオキシン問題」はすべて嘘だった・・・。中部大学の武田邦彦教授は、自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、公共放送局NHKが、温暖化によって南極の氷が溶けて南の小国・ツバルが沈もうとしているという「ヤラセ報道」などを繰り返していた、と暴露しています。

<「温暖化で海水面上昇、沈むツバル」のシナリオは大嘘だった>

 戦後になり、「東京オリンピック」が大きなイベントで、「オリンピックを成功させるため」という大義名分のもとに新幹線、高速道路などが徹底的に整備された。三波春夫が明るい声でオリンピックの歌を歌い、皆がそれに同調した。

 このようなイベント方式は、批判精神を奪い、ヒツジの群れのような日本人を作ってきたが、それにもっとも有効に働いたのがNHKだった。

 1990年代に入ると「環境イベント」が続き、リサイクル(ゴミは資源だ)、ダイオキシン(史上最大の毒物)、地球温暖化(温暖化で地獄の一丁目)などのイベントとコピーが散乱した。

 リサイクルをしているのは実質的に日本だけで、ドイツが日本の4分の1程度、さらにイギリスがその5分の1程度しかしていないことはまったく報道されず、議論もされなかった。リサイクルが資源の無駄使いになるという理論的な結果や、実際にリサイクルを実施してみると、資源は自然の資源を使うのに対して7倍も多く使うのに、イベントが決まっているので、だれも疑問には思わなかった。

 ダイオキシンは途中でウソがばれて、2005年からまったく報道されなくなったが、それと同じ時期にあれほど多くの患者さんが報告されていたのに、まったく新しい患者の報道がされなくなった。実は、ダイオキシンで有名になったセベソ(文科省推奨映画にもなった)、ベトナムの枯れ葉剤とベトちゃん、ウクライナの大統領の顔など、すべては作り物であって事実ではなかったからである。

つい最近、温暖化で南極の氷が1年に1000万トン規模で増加していることがNASAの報告で明らかになった。子供をさんざん脅した、(温暖化→南極の氷が融ける→海水面が上がる→ツバルが沈んでいる)という図式はまったくのウソだったのである。

 日本人は「事実を知りたい」のではなく、「空気にそった希望していることを繰り返したい」と言うことなので、NHKは大潮の時を狙ってツバルに撮影隊を送り、地盤沈下を起こしている2、3の民家の映像を流して、あたかもそれがツバル全体のように見せた。完全なヤラセ報道だ。

 温暖化でNHKがヤラセ報道を繰り返し、子供向けに「ホッキョクグマが可哀想」という映像を流し、石原元都知事が膨大な出張費を使ってツバルの視察を行っても、日本人は疑問を感じなかった。それは「日本人が作り出した空気」にそった「見せかけの事実」だったからである。

 でも、本当にこれで良いのだろうか?こんなことを続けていて国力が上がることはない。イベント主義が続く限り、私たちは親が蓄積した富を取り崩していて、私たちの子供は貧弱な日本に住まなければならないだろう。

<武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」より抜粋>

<著者・武田邦彦先生(中部大学教授)、東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。>

 

(3)「グレタ・トゥンベリは生理的にムリ」と話すオジサンの主張・・岡本 純子氏 2020/02/05

「あなたたちを許さない」。昨年9月、世界のリーダーたちを国連でそう叱ったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが注目を集めている。コミュニケーションストラテジストの岡本純子氏は「彼女の『怒り』は世界に広がったが、そのことは対立の溝を深め、問題解決を遠ざけてしまった側面もある」という——。

17歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんを中高年男性が嫌う理由

 記録破りの暖冬だ。雪国に雪がない。

 世界各地で平均気温は年々上昇し、災害が多発している。近年、日本近海でイカやサンマや昆布など多くの海産物の水揚げが激減しており、その主な要因として、海水温の上昇が挙げられている。日常的に、地球温暖化の影響を肌で感じ、漠然とした不安感はあっても、なぜか、人々に切迫した危機感はそれほどない。

 感染者が増えている新型コロナウイルスに世界中が大騒ぎしているのとは対照的だ。

 人間には都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする「正常化バイアス」という傾向がある。真綿で首を絞められるような「じんわり」と迫る脅威には、のんきに構えるようにできているのかもしれない。

 そんな大人の「能天気ぶり」に腹を据えかねて、若者たちが声を上げ始めた。

 その急先鋒がスウェーデンの17歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんだ。鬼気迫る国連でのスピーチなどが話題になり、時の人として注目されているが、一部の中高年の男性からは、まるで悪魔のように忌み嫌われている。そこまで「嫌われる理由」とは何なのか、彼女のコミュニケーション戦略の是非について考えてみたい。

 「ヒステリックな10代」「精神的に病的な子供」

 グレタさんは、2019年9月、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に取り組もうとしない世界のリーダーたちに、“How dare you”(よくもそんなことを!)などと訴えたことで話題を集めた。

 コンパクトでありながら、熱情的なスピーチは共感を集めた。その一方で、脊髄反射的に嫌悪感を覚えた人も多かったようだ。海外でも、特に保守系の男性コメンテーターが、「ヒステリックなティーンエージャー」「精神的に病的なスウェーデンの子供」「中世の魔女」「お尻たたきの罰が必要だ」などと批判。グレタさんを誰があやつっているのかという「陰謀論」まで飛び出すほどだった。

 ここまで忌み嫌われるのはなぜか。

 理想論を振りかざし主張の正当性だけを押し付けてくる

 ひとつは、彼女が「ティーンエージャー」だったからだろう。子供が見せる反抗的な言動は、大人にとって時に極めて腹立たしい。人をばかにしたような挑戦的な態度で親の威厳を踏みにじり、理想論を振りかざして、主張の正当性だけを押し付けてくる。特に、上下関係を重んじる権威主義的・父権的な人には、そう見えたのだろう。

 しかも、「怒り」という感情の大樽をひっくり返したような、気迫ある話し方が聞き手の心の扉をこじ開けてしまった。感情、特に怒りは伝染しやすい。不倫をした芸能人が徹底的に叩(たた)かれるように、ネットなどで情報が拡散する現代では、怒りの集団感染が起きやすい。グレタさんの支持派は腰を上げない政府や人々に対して、一方、批判派は自分たちの考えや行動を攻撃するようなグレタさんの物言いに対して、怒りをマグマのように膨らませ、爆発させた。

 女性の怒りが男性の怒りに比べ許容されにくいのはナゼなのか

 「これは明らかなミソジニー(女性蔑視)」という解説もある。たしかにグレタさんが女性であったことも心理的には大きく影響している。女性の怒りは男性の怒りに比べて、許容されにくいからだ。

 これは女性のコミュニケーションのダブルバインド(二重拘束)と言われる。女性が何かを主張する時、大人しく、弱々しいと、相手にされず、怒りをもって強く主張すれば、「ヒステリーだ」と指弾されやすい(参考記事:「怒りながら叫ぶ女」はどうして嫌われるのか)。

 この女性のジレンマを、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグは「女性が職場で話す時、まるで綱渡りをしているようなものだ。一方に転べば、全く耳を貸してもらえない。一方に転べば、攻撃的すぎる、と批判される」と形容している。

 例えば、ドナルド・トランプ大統領が怒りを見せると「男らしい」と評価されるが、大統領選挙を争ったヒラリー・クリントン氏が怒れば、「ヒステリック」「冷淡」とレッテルを張られる。女性の怒りは男性の怒りより、確実に反感を買いやすいのだ。

 グレタさんはマッチョな資本主義のシステムを否定した

 グレタさんの場合、顔を大きくしかめた迫力ある怒りの表情が、見た人の脳幹を秒速で刺激した。もし、これが、青年であったならば、ここまでの反発は起きなかっただろう。

 「そもそも、気候温暖化を否定する考え方は、近代の工業資本主義を推し進めた男性優位的なアイデンティティと深く絡んでいる」と米国のオンライン経済メディアQuartzは指摘している。

 自然を征服し、大量生産・消費によって、生活を向上させるという近現代の工業化システム。グレタさんは、そうしたマッチョな資本主義のシステムを否定したわけだが、同時に、「(その主な担い手たる)男性の信念、価値観を攻撃し、その『自尊心』を傷つけた」(Quartz)のである。その結果として、「自己防衛反応としての反射的怒り」を買ったというわけだ。

 われわれ人類はある意味、全員が環境破壊、気候変動の共犯者たちだ。

 それに気づきつつも、生活や生計や生存を優先させ、不都合な真実に目をつむってやり過ごしてきた。気候温暖化を認めることは、自分たちの非を認めることになる。だから否定し続ける人もいるだろうし、「わかっていても、この便利な生活や経済発展を捨てたくはない」という考え方もあるだろう。言い訳をして、問題から目をそらしてはいけない、というグレタさんの主張は正論である。

 グレタさんの発言はリベラルと保守の溝をさらに深くした

 しかし、残念ながら、「自分は正しく、あなたは間違っている」と、自らの主張の正当性を示し、相手の間違いを指摘し、批判する手法は、科学的エビデンスをもってしても、決して、説得に効果を持たない。

 人は自らが信じる考えを簡単には曲げない「認知バイアス」という脳の癖がある。

 「気候温暖化は存在しない」と信じる人に、どのようなエビデンスを示そうが、その考えを変えることは難しい。世界にはいまだに地球は平面であると信じている人がたくさんいて、画像を見せようが、科学的に説明しようが、その信念は変わらないのである。

 お互いの正当性を真っ向から主張しあい、侮りあう論争ほど、不毛なものはない。結局のところ、何らかの形で折り合っていくしか、解決策は見いだせないからだ。

 グレタさんのこの論法は、ファクトや科学から目を背ける強硬な気候温暖化否定派だけではなく、気候温暖化に一定の危機感を持つ穏健派の保守層をも敵に回してしまったところがある。

 トランプ大統領の登場以降、党派を超えて結束すべき地球規模の課題である気候温暖化問題は、リベラルと保守の政争の具と化した。グレタさんの発言は、さらにその溝(デバイド)を広げてしまった恐れがある。

 人々は怒りの種火を常に残しており、次の燃料投下を待っている

 とはいえ、これまでさまざまな形で問題提起されながらも、大きなムーブメントにはならなかったこの課題への関心を飛躍的に高め、世論を大きく動かした意味では、グレタさんのエバンジェリスト、アイコンとしてのパワーは驚異的だ。

 不倫、あおり運転、マナー違反……。人々は怒りの種火を常に宿しており、次の燃料投下を待っている。お行儀よく、誰からも嫌われないような発言は無視されるだけだ。強烈なエネルギーを持って、怒りをたきつける火の玉のような存在だけが耳目を集め、世の中を動かしていく。

 グレタさんがそんな時代の寵児であることは間違いないのである。

———- 岡本 純子(おかもと・じゅんこ)氏、 コミュニケーション・ストラテジスト 早稲田大学政治経済学部卒、英ケンブリッジ大学大学院国際関係学修士、元・米マサチューセッツ工科大学比較メディア学客員研究員。大学卒業後、読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションコンサルタントを経て、現在、株式会社グローコム代表取締役社長(http://glocomm.co.jp/)。企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリストとして、グローバルな最先端のノウハウやスキルをもとにしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がける。1000人近い社長、企業幹部のプレゼンテーション・スピーチなどのコミュニケーションコーチングを手がけ、「オジサン」観察に励む。その経験をもとに、「オジサン」の「コミュ力」改善や「孤独にならない生き方」探求をライフワークとしている。 ———-