2022年1月15日第231回「今月の言葉」「”交流分析”の“脚本”とは何か?(映画”ONODA”の補充②ー②)
(1)前回の「日大のドン」ですが、少し追加させていただきます。
≪≪保釈された「日大のドン」が真っ先に向かったのは、東京・駿河台にある日本大学病院だった。 すでに理事と評議員、卒業生らでつくる校友会の会長職など、すべての役職を解任され、特別扱いもなくなった元「日大のドン」。この年末は、ちゃんこ屋を兼ねる自宅で寂しく静かに過ごすことになりそうだ。≫(日刊ゲンダイ、12月25日) 私たちは、どうしても目先の利益を求めてしまいますが、ワンマンや独裁者の最後を見るような気がしませんか? 自分の「深層心理」に少し、気持ちを向ける「人間性」を育てたいものです。私たちは、こういう実例を沢山・・・歴史的にも、毎日のメディアを通しても・・・見てきているにもかかわらず、ついつい、目先のご馳走に飛びつきたくなる「弱さ」が、私たちにはあります。 私・藤森の負け惜しみで申し上げると、私は、社会的な種々様々のことで「恵まれなかった」ことが本当に良かったと思っています。もちろん、負け惜しみですが、何もかも、恵まれなかったことで、私自身の内面に「本気」で取り組まざるを得ない・・・という「幸運」に恵まれました。 <世界史の原則の1つ。「2流の指導者は、国内矛盾をすり替えるために戦争をする」>(夕刊フジ、1月12日、断末魔の中国・宮崎正弘氏) |
(2)さて、11月30日にアップした「今月の映画」「ONODA 一万夜を越えて」の「脚本」「五蘊」「深層心理」に相当する部分を下記に転載します。
「脚本」「五蘊」「深層心理」=≪≪ 終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で暗号解読・諜報などの特殊訓練を受けていた小野田(遠藤雄弥/津田寛治)は、劣勢のルバング島で援軍が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命を受ける。出発前、谷口教官が最重要任務を言い渡す。「君たちには、死ぬ権利はない。玉砕は一切まかりならぬ。3年でも5年でも生き延びろ」。この言葉が呪縛のように、小野田に襲いかかる。≫≫ この「脚本」通りに、小野田寛郎元少尉は、戦争が終わっているのを知っているにも関わらず、戦後、29年もの長い間、「ルバング島の山中」で、不便極まりない毎日を生き続けます。 ≪≪1974年、ある青年旅行者(仲野太賀)は、幻の日本人・小野田寛郎(遠藤雄弥/津田寛治)に会いにフィリピンに向かう。≫≫ 青年旅行者が会いに出かけても、「脚本」の中で指示されている「命令」を守り続けます。 ≪≪1974年3月、作戦任務解除命令を受けて51歳で日本に帰還するまで、ジャングルに潜伏した小野田さんの日々≫≫ 「交流分析」の「脚本」をしっかり理解できている方は、以上の意味が理解できることと思われますが、まだ十分に理解出来ていない方のために、1月15日の「今月の言葉」でしっかり説明したいと思います。 |
(3)以上が、私たちの人生を牛耳っている「深層心理」「脚本」「五蘊」だと言われて、皆さんはいかがでしょうか?ピンときますか?
拙著の中でしばしば「見えるものは、見えないもののあらわれ」(p16)であることを述べています。 私・藤森は、長年、「深層心理」の研究をしていますので、この「見えないもの」が「深層心理」を意味していることを体得し、そして「深層心理」とは「脚本」を意味していますが、「脚本」のなかでも浅いものから深いものがあり、特に深い「深層心理」が極めて重要であることを悟りました。 「浅いレベルの脚本」は、日頃の中で注意して考えれば、それなりに気づくもので、一般に言われる「クセ」です。しかし、より「深い脚本」はかなり気付きにくいものですが、さらに「深層心理の脚本」になると、本人はほとんど全く気づかずに一生を過ごしてしまうものです。 ですから、本来の「自己成長」とは、より深いレベルの「無意識(「深層心理の脚本)」に気づくことが極めて重要ですが、世の中のほとんど全ては「浅い深層心理」程度で、「深い深層心理」が言語化されることはほとんど全くありません。 |
(4)さて、「脚本(五蘊)」とは何か?ですが、「ONODA一万夜を越えて」でご理解いただけたでしょうか?
「脚本」「五蘊」「深層心理」=≪≪ 終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で暗号解読・諜報などの特殊訓練を受けていた小野田(遠藤雄弥/津田寛治)は、劣勢のルバング島で援軍が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命を受ける。出発前、谷口教官が最重要任務を言い渡す。「君たちには、死ぬ権利はない。玉砕は一切まかりならぬ。3年でも5年でも生き延びろ」。この言葉が呪縛のように、小野田に襲いかかる。≫≫ 小野田少尉は21歳という成人してから、上記の条件付けをされましたが、私たちは、真っ白な脳の状態で誕生し、両親の育児環境の中から、このような人間性を植え付けられます。 「交流分析」では6歳までの家庭の中での条件付けを「脚本」と呼んでいますが、それが一般に言われるその人の「人間性」や「クセ」です。 そして、小野田少尉がこれだけ強烈な「義務感」と言ったら良いでしょうか、上司の指示、命令に強烈に「忠実」だったということは、6歳までに植え付けられた「脚本」にも、こういう強烈な「義務感」というか、「忠実性」というか、「絶対的な価値観」が植え付けられていたことが推測できます。 ここまで強烈な「脚本」でない兵士は、戦時中は、必死に「命令」を守ったことと思いますが、敗戦が確定した時には、可能な限り早く、日本に帰国したことと思われます。 「見えるものは、見えないもののあらわれ」ですから、小野田少尉のご両親は、軍国主義の時代、かなりしっかりした「強い(強烈な)価値観」(武士道精神?のようなもの)があったことが推測できます。 ですから、昭和49年に帰国した小野田少尉は、それまでルバング島で、ほとんど「縄文時代」のような生活を送っていた毎日と、帰国後の日本の生活が極端に違ったために、日常生活を送る中で、心理・精神的に耐えがたいものがあったことが推測されます。翌年にブラジルに移住しています。 |
(5)私たちに条件付けられた「強いクセ」「脚本」とはこういうもので、状況に相応しくないことでも、条件付けられた「強いクセ」を必死で守って生きています。
そして「脚本」の中に植え付けられている自分の「条件付け」、「ゲーム」や「ラケット感情」を必死に守り続けながら、不自由な人生を生きています、小野田少尉がルバング島で必死に「指示・命令」を守って生きていたように。 ≪≪「ゲーム」や「ラケット感情」・・・「ゲーム」とは、その場が乱れてしまう「その人固有のクセ」です。例えば、きれい好きの人には、ちょっとしたゴミや乱れがとても気になり、奥さんにガミガミ言って、家の中をいつもピリピリさせているとか、料理の問題とか、子どもの勉強に口うるさくガミガミ言うお母さんとか、大したことでない問題についカリカリして、家の中をピリピリさせてしまうようなことで、繰り返し行なわれる出来事を「ゲーム」と言い、そういう出来事の最後に味わうイヤな感情を「ラケット(感情)」と言います。≫≫ 人間は、残念ながら、全ての人に「ゲーム」や「ラケット感情」が備わっていて、それがより軽いか、軽くない(つまり、重症)か、その違いが「より生きやすい」か「より生きにくい」かの違いです。 「深層心理」に植え付けられている「強いクセ」に気付けば、気付いた「質・量」に応じてどのようにでも「工夫・改善」することができますが、余程のことが無い限り、私たちは、自分固有の「深層心理」に潜む「不都合な強い(悪い)クセ」に気付くことができません(気付くことがありません)。 ≪≪私・藤森の負け惜しみで申し上げると、私は、社会的な種々様々のことで「恵まれなかった」ことが本当に良かったと思っています。もちろん、負け惜しみですが、何もかも、恵まれなかったことで、私自身の内面に「本気」で「長期にわたり」取り組まざるを得ない・・という「幸運」に恵まれました。≫≫ 典型的な例をご紹介します。何年か前、トランプ大統領がヨーロッパに出かけた時のことです。飛行機から降りて歩いていると、沢山のカメラが並んでいたために、一緒に歩いている妻の手を握ろうと手探りをすると、奥様がその手を振り払いました。 もう一つの例。5回の宝くじ当選がもたらしたモノ。世界には宝くじの高額賞金を何度も引き当てる幸運な人がいる。 だが、実生活は坂道を下るような日々が続いた。9日の豪メディア「ニュース・ドットコム」によると、宝くじを当てて以来、婦女暴行で収監されただけでなく、うつ病を患い、長年連れ添った恋人とも別れ、多くの友人が離れていったという。 「地獄の淵を歩いているようでした。人生が完全にひっくり返った感じです。友人だけでなく、飼い犬までがお金を求めていると感じました」 |
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