2019年9月15日第203回「今月の言葉」「ウィーケスト・リンクとは何か?④(歴代の横綱について②ー①)」(weakest link)

(1)大相撲の横綱は、もしかしたら、人類史上、心身を鍛えるという意味では、最高レベルかもしれないと思われるのですがいかがでしょうか?

 プロレスやプロボクシング、ラグビー、フットボール、江戸時代以前の武士や戦士など、世界的に見ても、心身を猛烈に鍛えた分野は沢山あります。

 そういう中でナンバーワンとは言わないまでも、最高レベルにあるのは、多分、間違いないものと思われます。

 さて、ここで「心身を鍛える」とは一体どういう意味になるでしょうか?いろいろな分野で「鍛える」という言葉をよく耳にしますが、深層心理を専門にする私(藤森)の立場から見ると、多くの場合、「鍛え」ているのではなく、「酷使」しているように思われます。

 その実例の一つが、今回のテーマである「横綱」です。「鍛えて」いることは間違いありませんが、かなりの部分は「酷使」しているように思われます。

 横綱の実例を参考に、「平凡に生きている多くの私たち」の人生を少しでも心身を「酷使」することから「鍛える」こと、「心身を酷使」することから、「心身を鍛える(大切にする)」方向に少しでも方向転換できることを祈ります。

 そのためには何が必要でしょうか?それがテーマである自分の「ウィーケスト・リンク」をしっかり分かることです。

(2)「戦後の歴代の横綱」

<39代・前田山57歳

<40代・東富士51歳

<41代・千代の山51歳

<42代・鏡里80歳>  

<43代・吉葉山57歳>   

<44代・栃錦65歳

<45代・若乃花82歳>  

<46代・朝潮58歳>   

<47代・柏戸58歳

<48代・大鵬73歳>  

<49代・栃ノ海ご存命・現在81歳>

<50代・佐多の山79歳>  

<51代・玉の海27歳

<52代・北の富士ご存命・77歳>  

<53代・琴桜66歳

<54代・輪島70歳>        

<55代・北の湖62歳

<57代・三重ノ海ご存命・71歳>  

<58代・千代の富士61歳

<59代・隆の里59歳>       

<60代・双羽黒56歳

 

<60歳未満9人><60代4人><70代3人><80代2人><ご存命・3人>

*元関脇・逆鉾58歳、膵臓癌で9月17日、亡くなりました。

(3)「いまでも残る“角界最強説”」(日刊ゲンダイ、平成31年4月1日)

 <元横綱 双羽黒 北尾光司さん死去55歳>

 第60代横綱双羽黒こと北尾光司氏が慢性腎不全により2月10日に死去していたことが、きのう(29日)分かった。55歳だった。

 199センチ、151キロの巨体を生かし、新入幕から2年足らずで大関に昇進。一度も優勝がないまま、1986年9月場所から横綱に昇進した。しかし、その後も稽古嫌いがたたったのか賜杯に縁がなく、所属していた立浪部屋の女将に手を上げるなどして87年12月に廃業。横綱在位わずか8場所だった。その後は、プロレスラーに転身。こちらも長続きせず、スターにはなれなかった。

 それでも恵まれた体格とずばぬけた身体能力から、いまだに角界では「北尾最強説」が根強く残っている。285キロの小錦の右ヒザをサバ折りで破壊した取り組みは、いまだに語り草だ。

 古株の角界OBが言う。

 「稽古嫌いとワガママな性格さえなければ、さまざまな記録を作ったでしょうね。身体能力が高く、何をやらせてもうまかった。特筆すべきは腕のパワー。まわしを取って、相手を引きつけながら前に出る。これだけでほとんどの力士は抵抗できなかった。強すぎるあまり、立浪部屋の先輩からは<あんなのと稽古したら、こっちが壊される>と敬遠されていたほどです。本人は当時、<オレは三役でいい。横綱、大関になったら、後は辞めるだけでしょ>なんて話していたが、その通りになってしまった」

 近年は角界やプロレス界の関係者とも疎遠になっていたという。

(4)「ニッポン ドクター和の 臨終図鑑(夕刊フジ、平成31年4月1日?)

 <略>

 高身長力士と言えば、199センチあった横綱・双羽黒こと北尾光司さんを思い出します。22歳で一度も優勝せぬまま、横綱に昇進。しかし24歳のときにちゃんこの味付けがきっかけで親方と口論になり部屋から逃走、前代未聞の廃業劇となりました。その後プロレスに転身するも、トラブル続き。体格と才能に恵まれ、若い頃より天才と言われ続けた自分を持て余しているような青臭さを感じる人でした。98年、レスラーを引退。

 2月10日に、千葉県内の病院で死去しました。享年55。死因は慢性心不全。詳細は報道されていませんが、腎臓病を患い、2013年から闘病生活を送っていたようです。

 腎臓は、血液の老廃物を濾過して尿とする臓器。人体の排水処理工場と言えます。さまざまな原因で徐々に腎機能が低下していくのが慢性腎不全で、糖尿病や高血圧の合併症として知られています。

 腎機能が健康な人の15%以下になると体内の老廃物や余分な水分を排出できず、尿毒症になるため人工透析が検討されます。腎移植という方法もありますが、臓器の供給が思うように進んでいないのが現状です。北尾さんもおそらく、透析治療を受けられていたものと想像します。

 <略>

<<<次回は、大鵬と若乃花をご紹介します。>>>