★★★2019年12月15日第206回「今月の言葉」「ウィーケスト・リンクとは何か?⑦(京都アニメーション事件)」(weakest link)
(1)夏目漱石の結論を書こうと思っていましたが、「京アニ放火犯」の重大な課題を発見しましたので、夏目漱石は、次回に書きます。
私の人生、最大の「テーマ」(深層心理)はこれです。 『見えるものは、見えないものの現れ』です。 すべての「見えるもの」は、「見えないもの」を現わしています。そして、「見えないもの」とは、その人の「深層心理」を示しています。 そして、その「深層心理」とは、「交流分析」でいうところの「脚本」であり、「仏教」でいうところの「五蘊」を見せてくれます(「脚本」と「五蘊」はほぼ同じものであることを、私、藤森は発見しました)。 私たちは、見えないものをいかに推測できるか、推測できる「人間性」を育てるか、はたまた「配慮」できる人間性を育てるか、これが「人生」や、「人間関係」の全ての「根本」をなす極めて重要な「課題(テーマ)」です。 少しでも「自己成長」したい、少しでも「人間関係」を良くしたいと思われる方は、少しでも「見えないもの」に気付ける、少しでも「見えないもの」に「配慮」できる「人間性(感性)」を育てることが、私の立場としての「全て」です。 逆に言えば、「見えないもの」に配慮できない「人間性」を「無神経」とか「幼稚園児」と言います。幼稚園児は、夕食を作るお母さんの忙しさが全く分からず、いつものように愚図ったりします。 次の<「見えるもの」>である(2)をじっくりとご覧ください。その上で、<全く見えなかった>ものである(3)をさらにじっくりとお読みください。腹の底から唸るようなものを感じられることと思われます。こういう感覚が極めて大切です。
(2)<事情聴取開始の京アニ放火犯「治療費1000万円」は誰が払うのか> 36人が死亡した京都アニメーション(京都市伏見区)の放火事件から4カ月あまり。全身火傷の治療で大阪府狭山市内の大学病院に入院していた青葉真司容疑者の事情聴取が、11月8日に始まった。 「一番多くの人が働く第1スタジオを狙った」 「どうせ死刑になる」 そう供述しているという青葉容疑者に対し、府警は回復を待って逮捕、取り調べを本格化する方針だ。 事件直後から意識不明状態が続いていた青葉容疑者は、当初入院していた京都市内の病院から大学病院に転院し、最先端の治療を受けていた(11月14日、京都市内の病院に再転院)。 「大量の輸血、皮膚移植など、高度な集中治療が行われてきた。入院費を合わせると1000万円近い治療費が発生しているといわれている」(全国紙記者) 気になるのは、この治療費は誰が払うのかということ。北村法律事務所の北村明美弁護士が解説する。 仮に青葉容疑者に支払い能力があった場合、自己負担限度額以上の金額が払い戻される『高額療養費制度』などの制度は使えるのか。 もし治療費が青葉容疑者に請求されても、高額療養費制度が使えれば、自己負担額は月あたり数万円程度になる。 「死刑になる」と自ら口にする犯罪者にも優しい日本の医療保険制度に、割り切れない思いを抱く人は少なくないかもしれない。 |
(3)「筆洗」(東京新聞、2019年11月18日)
放蕩の末、親に勘当された若旦那が慣れないカボチャ売りの身となる。落語の「唐茄子(とうなす)屋政談」。力仕事など無縁だった若旦那は荷の重さに負け、往来で転んでしまう。 親切な人がいるもので通りがかった男が事情を聴いて若旦那に代わり、カボチャを売ってくれる。残ったカボチャを売り歩く若旦那は途中で貧しい母子と出会う。子供は何日も食事をしていないという。若旦那は自分の弁当を差し出す。 弁当をあげる若旦那の心が分かる。困っていた自分を助けてくれた人がいる。その親切のありがたさ。今度は自分も。親切や優しさとは言葉は悪いのだが、伝染していくのかもしれない。人は優しさによって優しくなれる。 「人からこんなに優しくしてもらったことはなかった」。自分への治療に携わった病院関係者にそう語ったと一部の報道にあった。「京都アニメーション」が放火され36人が亡くなった事件で逮捕状が出ている青葉真司容疑者である。 本心かどうかは分からない。亡くなった人や家族を思えば同情もためらうが、優しさや親切に恵まれなかった日々の中で荒(すさ)み、人の痛みさえ感じられなくなった小さな心を想像してしまう。 病院で優しさを受け取ったのなら、今度は優しさを返す番である。今できる優しさといえば、何があったかを正直に語り、失われた命に心からわびることである。それしかない。 |
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