2019年2月28日第141回「トピックス」「天皇制についての一考察⑥ー③の補足」

(1)「平成末の風景③」(八幡和郎著・徳島文理大学教授、夕刊フジ、2月21日)

 <悩み多き皇室・・・小室圭さん問題>

 <「婚約内定」白紙に戻しては>

 平成は、皇室にとって悩み多き時代だった。偉大な昭和天皇が崩御されたのちの空白感を、天皇、皇后両陛下が「祈りの重視」「ストイックなご公務への姿勢」で克服されたことは、日本史の中で高く評価されるに違いない。

 しかし、女性皇族の誕生が9人も続き、秋篠宮家の長男、悠仁さまのご誕生で一息ついたものの、皇統の維持が危ぶまれている。皇太子妃雅子さまのご体調、秋篠宮家の長女、眞子さまのご婚約混迷など、皇族の私生活をめぐる悩ましい状況が頻発している。

 天皇陛下のご譲位をめぐる論争や、秋篠宮殿下の大嘗祭をめぐるご発言は、政治と皇室のかかわりや、皇族の方々のご発言はどこまで自由かについても十分な整理ができないことを浮き彫りにした。

 韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長による、慰安婦問題をめぐる常軌を逸した「謝罪要求」も、そのあたりも影響したという一面もあろう。

 眞子さまとのご婚約が延期になっている小室圭さんの母親の金銭トラブルに関心が集まっている。だが、元婚約者と示談が成立すれば、それで問題がクリアできるわけではない。

 根本的問題は、モラルの上で、小室圭さんが「将来の天皇の義兄としてふさわしいか」である。米大学のロースクールに留学しているが、品格を維持できる経済的基盤を持ち得る見通しも、確実ではないということだ。

 米国の弁護士資格がなければ高給待遇は無理だろう。留学中の生活費は法律事務所からの「貸与」と報じられており、借入金は拡大しているのではないか。

 貧しくても健気に頑張ってきたのならともかく、十分な収入も財産もないのに、母親の元婚約者による金銭支援などで短期海外留学を含む満たされた学業生活をしてきたと聞く。ロースクールの学費(3年間で総額約2000万円)も全額免除の奨学金と伝えられる。「皇族の婚約者」という看板が影響した可能性は高い。

 ともかく、婚約内定をいったん白紙に戻し、小室さんが何年後、国民が納得するように生まれ変わった姿を見せたら、そのときに新たな問題として扱えばいいと思う。

 そして、こうした問題を、秋篠宮ご夫妻に任せておくこと自体が間違いだと思う。

 伝統的に、朝廷や宮中というのは、多くの関係者に支えられた組織だった。それが現在では、両陛下と皇族、少数のスタッフ、個人的な友人のアドバイスで動く、個人商店に近いものになっている。これで、さまざまな重大問題に対処できると思う方がおかしい。