2017年8月31日 第133回「トピックス」
日航123便墜落の新事実?

●単独機の航空事故では史上最悪の惨劇であるにもかかわらず残された、おびただしく、かつ根本的な謎の数々。

 私(藤森)は、32年前、仕事で新宿辺りを、偶然、車で走って帰宅しているときに、この飛行機が迷走しているのを、ラジオで実況放送のように聞いていましたので、非常に強く記憶に残っている事故です。その飛行機事故が・・・・・。

 平成29年8月23日、日刊ゲンダイ「斎藤貴男 二極化・格差社会の真相」

 <血の気が引いた「日航123便墜落の新事実」>

 <略>

 自衛隊ヘリによる生存者の救出作業が始まるまでに、墜落から17時間以上も要したのはなぜか。事故機の周囲に戦闘機を目撃したとする近隣住民らの証言が時に聞かれるが、そのことは何を意味するのか・・・・・。

 前者については、事故直後にたまたま近くを飛んでいた米軍輸送機の乗組員が、衝撃的な手記を週刊誌に寄せたこともある。現場はすぐに特定され、早くも2時間後には米軍ヘリが到着したのだが、突然、救助ストップの命が下ったのだという。

 事故調は“修理ミスによる後部圧力隔壁の損壊”に原因を求めたが、はたしてそうか。定説を覆しかねない情報や矛盾の分析を試みる論者はこれまでも少なくなかった。
新説のいくつかには私も触れて、なるほどなあと感じてもいた。とはいえ矛盾の指摘にとどまっていては、残念ながら“暴論”の誹りを免れない。

 ところがこの7月に河出書房新社から刊行された青山透子「日航123便 墜落の新事実」を一読し、血の気が引いた。遺族や目撃者らの新証言や、当時の山下徳夫運輸相(故人)への取材などを積み重ねて、青山さんは確信に近い仮説を導き、強く示唆している。

 すなわち、事故機を仮想敵機に見立てた米軍ないし自衛隊機による誤射、あるいは突発的事故・・・・・。
実際、技術畑の遺族の中には同様の疑いを抱き、独自に調査を進めた人もいるらしい。大手メディアが黙殺したので、私自身を含めた圧倒的大多数が知らないだけである。
青山さんは日本航空の元スチュワーデス。本書の版元が定評のある大手出版社であることも、もちろん重要な要素だ。

 政府は今、過去にも増して米国との軍事的一体化を強行しつつある。青山さんには敬意を込めて、さらなる追及を期待したい。と同時に、彼女の成果をより発展させ、今度こそ深層にたどり着く努力を急ぐのもプロのジャーナリズムの責務であり、この国の将来を救う数少ない道のひとつだと、私は信じる。自戒とともに。

 <さいとう・たかお・・・1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」(朝日新書)、「機会不平等」(岩波現代文庫)、「国民のしつけ方」(インターナショナル新書)など著書多数。>

<文責:藤森弘司>

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