2017年7月15日 第130回「トピックス」
愛についての一考察

●(1)平成29年7月13日、東京新聞「筆洗」

 <略>

 水の恋しい季節となったが、危険も伴う川や海での水遊びから身を守ってくれるのは、(略)やはり人の手である。

 米南部フロリダ州の浜辺。子ども二人が強い流れによって沖合から戻れなくなった。助けに向かった両親らも次々と流された。救いの手は文字通り、たまたま浜辺にいた約80人の人の手。手をつなぎ、沖合に向かって約90メートルの人間の鎖をつくって子どもらを浜へと連れ戻した。

 現地報道によるとそれほど簡単な救出ではなかったようだ。

 鎖を呼びかけても最初は皆、二の足を踏んでいた。もっともな話で自分の身も危ない。加わった人の「もっと人がいる」の声に見知らぬ人同士の鎖は次第に延びていったが、最後の一人を救出するまで約1時間。強い流れに鎖はへとへとになっていたそうだ。

 美談は泣きながら疑えというが頭が下がる。(略)

<文責:藤森弘司>

トピックスTOPへ