2017年5月10日 第126回「トピックス」
●(1)「共謀罪」について、いろいろな情報を読んでも、素人の私(藤森)には、なかなか、その「必要性」や「不要性」を合理的に判断することはできません。私はこういう難しい問題を判断する時は、なるほどと思われる専門家の判断や、なるほどと思われる「意見」や「理論・ポイント」を重視して判断するようにしています。
今回、下記の早川氏の修正案には、早川氏の経歴と共に、私には全面的に納得できるものですので、代表してご紹介したいと思います。 |
●(2)平成29年5月7日、東京新聞「“共謀罪”元自民責任者も懸念」(05~07年 衆院法務委理事など、弁護士・早川忠孝氏)
<運用次第で無関係な人も捜査対象に> 過去に国会で審議された共謀罪法案の与党責任者だった元自民党衆院議院が、共謀罪の趣旨を含む今回の組織犯罪処罰法改正案の修正を求めている。早川忠孝弁護士だ。「運用次第では関係のない人も捜査対象に含まれる」として冤罪の恐れを指摘。対象犯罪のさらなる削減などを求めている。 <犯罪絞り込む修正を> ■対象を128に 自民衆院議員だった2005年、3度目の国会提出となった共謀罪法案の審議に衆院法務委員会の理事として参加した。06年には与党修正案を提案。政府原案で「団体」だった適用対象を、今回の法案に近い「組織的な犯罪集団」に限定し、「準備行為」を条文に追加した。 07年には自民党内の小委員会の責任者として、罪名を「テロ等謀議罪」とし、対象犯罪を128~162に絞り込む案をまとめた。 ■成績主義の危険 警察が選挙違反をでっちあげた鹿児島の志布志事件、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件・・・・・。「捜査現場では予断や偏見、見込みで誤った捜査をされてしまう。成績主義があるので、仕組みをつくると結果を出さなきゃいけなくなる」 冤罪の遠因になりかねないのが、対象犯罪の多さ。早川氏が携わった07年の小委員会案より、百以上も増えている。一般の人が対象になる犯罪まで入ると、運用次第で関係ない人も捜査対象になる。「絞り込みが不十分。計画段階で処罰しなければいけない必要性がどれだけあるのか」 ■物足りない審議 10年前の国会審議では、自民、公明両党からも政府に対して厳しい質問が出たが、今国会ではあまり見られない。 |
●(3)さらには、この「共謀罪」反対の私見をいくつか述べたいと思います。
①金田法務大臣のあまりの素人対応には不審を抱きます。これほど重要法案であるならば、徹底的に研究するか、本格的に対応できる大臣に担当させるべきです。というよりも、全ての問題で、ほぼすべての大臣が素人過ぎます。そういう人たちが大臣になるわけですから、官僚を使いこなせる訳がありません。 官僚を使いこなすどころか、ほとんどすべての大臣が官僚の思い通りになっているはずです。思い通りに動いてくれるから官僚は一生懸命にその大臣を守るのでしょう。万一、日頃から官僚にとって面白くない大臣だったならば、とっくの昔に放置されるのではないでしょうか。 ②政府は「パレルモ条約」を締結するために「共謀罪」が必要だと言います。 しかし、日本弁護士連合会や、法務大臣経験者、100人を超える刑法学研究者も、パレルモ条約の締結に共謀罪の成立は不要であると表明しています。 例えば、沖縄で基地反対運動のリーダー、山城博治氏は、有刺鉄線1本を切ったという疑いで逮捕され、釈放まで5カ月かかりました。 その他、細かいことはたくさんありますが、金田大臣のしどろもどろの答弁の如くに、そして、「パレルモ条約」を締結するために「共謀罪」が必要だという詭弁などに、この法律の胡散臭さを感じずにはいられません。 |
<文責:藤森弘司>
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