2016年12月9日 第122回「トピックス」
難民を海上で救助する漁師

●(1)平成28年11月1日、ビッグイシュー№298

 <ギリシャ、レスボス島>

 今年のノーベル賞は、半世紀に及んだ内戦を終結させたコロンビアのサントス大統領に贈られたが、候補者の中にギリシャの漁師の名前があったことをご存じだろうか?レスボス島の漁師、ストラティス・ヴァラミオス(40歳)だ。去年から今年にかけ、身の危険を冒して数えきれない難民の生命を海上で救ってきた。

 「ボートで海を越えて来る難民は、10年前からいました」と、ストリート誌『シェディア』のインタビューに答えたヴァラミオスは言う。「しかし去年、爆発的に数が増えたのです」
「9割の船が粗末なプラスチックのボートで、定員20人のところに50~60人も詰め込まれていました。転覆しないのが不思議です」

 ある嵐の日に転覆したボートには、多数の幼い子どもたちが乗っていた。「親たちは、海の中から子どもだけを私の船に投げ渡してきました。幸い、仲間の船が後から駆けつけ親たちも救助できました」

 「わずか100人が暮らす小さな村に、1日に5000人が押し寄せましたが、誇れるのは我々と難民との間に一つもトラブルが起きなかったこと。村人たちは総出で与えられるかぎりを与え、難民の人々もそれ以上を求めなかったのです」

<「今月の映画」第161回「海難1890」ご参照>

<文責:藤森弘司>

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