2014年3月31日 第105回「トピックス」
袴田事件と深層心理③ー①

●(1)袴田巌氏が釈放された時、「良かったなあ」とはとても思えませんでした。「良かったなあ」という思いよりも、余りにも酷すぎ、悲惨過ぎて・・・・・。

 平成26年4月2日、日刊ゲンダイ「海外メディアが批判する 日本の死刑制度

 <袴田さん釈放で世界が注目>

 先月27日、48年ぶりに釈放された袴田巌氏(78)。海外メディアも注目していて、日本の「死刑制度」や遅れている「司法制度」について痛烈に批判している。

 英テレグラフは<先進諸国で死刑制度を維持しているのは日本と米国だけだ><日本の司法が批判を受けるべきなのは、袴田死刑囚が当初、20日間も閉鎖的な尋問システムの犠牲になったことだ>と“自白”の強要を批判。一方、英ガーディアンは<(日本の司法は)袴田死刑囚に対し、45年という長期にわたる残酷で非人道的な罰を与えるだけでなく、精神的な拷問も加えた>と、国際人権NGOのロシーン・ライフ氏のコメントを紹介している。

 イギリスもかつて死刑を行なっていたが、1969年、エバンス事件を契機に死刑を廃止している。監獄人権センター代表の海渡雄一弁護士が言う。
 「人違いで無実の罪で死刑が執行されたのです。袴田さんの場合は、処刑されなかったのが救いですが、48年間、精神の平穏を奪われたのは違いない。日本の戦後の歴史でも、1962年に死刑執行された熊本の藤本事件は日弁連の見解で冤罪の可能性が高いですし、1975年に執行された福岡事件など、きちんと検証されずに執行されているのです」

 安倍政権後、死刑執行が加速し、すでに昨年2月以降8人執行されている。無実の人を殺していたとしたら、恐ろしい話である。

●(2)袴田氏の場合は「冤罪」に決まっています。何故「冤罪」かは、次回、詳しく述べますが、これだけ残酷な仕打ちをしてしまったにも関わらず、また、弁護士が訴えている上に、世間からも強い批判があるにも関わらず、静岡地検が、再審開始を認めた静岡地裁(村山浩昭裁判長)の決定を不服として、東京高裁に即時抗告したことは、許しがたい暴挙と言わざるを得ません。

 どういう神経があればこういう対応ができるのだろうか。
 「今月の映画」「それでも夜は明ける」の奴隷の問題と同様、検察のこれらの対応や拷問的な取調べなどは、私(藤森)が全く理解できないものです。

<文責:藤森弘司>

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