2013年9月15日 第98回「トピックス」
●(1)私(藤森)は、日ごろから、マスメディアの「政権ベッタリ報道」が大問題であると思っています。そのことを書きたいと常日頃から思い、資料を集めていましたが、「消費税増税」問題で、かなりビッグな報道が集まりました。
読売新聞の渡邉恒雄主筆の存在は、まさに日本的というのか、黒幕的な人は、常に、存在するのですね。 私は、案外、下記の情報(2)(3)は的を射ているように思っていましたが、でも、そうだという自信が持てませんでした。 下記の(4)に・・・・・来春の消費税引き上げを断行すべきかどうか、をめぐって議論が盛り上がっている。安倍晋三首相の肝いりで実施された政府の有識者ヒアリングでは7割超が賛成意見だった・・・・・とあります。 もし、「増税」が本当に必要ならば、賛成論者は、「なぜ、増税が必要」なのかを明言すべきです。なぜならば、「増税」である以上、全体の税収が「増収」になるべきです。しかし、万一、「増税」して、国全体の税収が「減収」になったり、「デフレ」に戻ったならば、有識者は「責任」を取るべきです。 しかし、面白いことに、反対論者のほとんどすべては、予定通りに実施すると「減収」になったり、「デフレ」になると主張していますが、賛成論者から「増収」になるということがほとんど聞こえてきません。「増税」を主張するならば、当然、国全体の税金が「増収」になり、だから「借金」を減らしたり、年金などが充実できると主張すべきです。 賛成論者の多くは、結局は、財務省に洗脳されている、あるいは、政府や権力者に尻尾を振るポチでしかないことではないでしょうか? 長年、デフレで苦しんできたのですから、本気で取り組む覚悟さえあるならば、1年や2年、先送りにしても、景気をシッカリ立て直すことのほうが遥かに重要であることは、当然過ぎるほど当然であると、私(藤森)は思っています。またデフレに戻ったら、それこそ取り返しがつきません。それほど悩むことのようには、どうしても思えません。 景気が回復すれば、それだけでも「増収」になる上に、「消費税を増税」するのですから、1~2年先送りにすることは全く問題が無いほど簡単な結論のように思うのですが、何故、これほどの大問題になるのか・・・・・万一、先送りの政策がうまくなかったら、首相を辞めれば良いことだけのように、私は、無責任にも、そのように思えます。 さらには、メディアや有識者たちが国際公約だとうるさく言いますが、夕刊フジで高橋洋一氏は、国際公約なんてどうってことない旨の主張をされていました。 |
●(2)平成25年8月20日、夕刊フジ「消費税“極秘プラン”が浮上」(須田慎一郎・金融コンフィデンシャル) <来年の増税先送りし15年に10% 安倍首相に提言した意外な大物> 消費税アップに関する一件をめぐって、筆者のもとに衝撃的な情報が飛び込んできた。 その“情報”とは、「安倍晋三首相は、来年4月に予定されている消費増税を先送りさせる方針を固めつつある。ただし単なる先送りではなく、2015年10月に一気に税率10%にまで引き上げることを確約する・・・」というものだ。あらためて説明するまでもなく昨年8月に成立をみた消費税増税法では、現行税率5%を14年4月から8%に、そして15年10月から10%に引き上げることが明記されている。 ところがこの消費税増税法には、税率アップは景気回復を前提とする「景気条項」が盛り込まれており、安倍首相はこの条項を根拠に、今秋までに増税に踏み切るかどうかを最終的に判断するとしている。そしてこうした状況を受けて、安倍内閣の内側では、増税に踏み切るか否かで真っ二つに割れているのが実情なのだ。 安倍首相の側近ともいうべき人物が言う。「安倍首相の本音では、来年4月というタイミングでの増税には反対なのです。それというのも、いま景気はアベノミクスによってようやく回復の軌道に乗ってきた。そうした状況であるにもかかわらず、増税に踏み切ってしまったならば、これまでのことがすべて 水泡に帰してしまう、というのが安倍首相の認識なのです」とはいえ財務省サイドとしては、何が何でも予定通りの増税実施を、というスタンスを崩していないのが実情だ。 “極秘プラン”なのだ。 「このプランは、読売新聞の渡邉恒雄主筆の発案なのです」(自民党有力国会議員) |
● (3)平成25年8月22日、日刊ゲンダイ「26日から有識者会議」
<消費増税攻防私利私欲> 消費増税について有識者に聞く会議は、26日から5日間にわたって開かれ計59人を官邸に呼ぶという。当初は、「増税は規定路線で形だけの会議」とみられていたが、ここへきて雲行きが変わってきた。安倍首相が「みなさんの意見を聞いた結果、増税を先送りします」と自らの決断を演出するんじゃないかと、財務省は戦々恐々だという。 「安倍首相がもっとも気にする大手新聞が、4月からの消費増税に慎重姿勢に転換した。8%での軽減税率導入が見送られているので、来年4月は5%に据え置き、再来年の10%で軽減税率を新聞に適用させる狙いのようです。これには公明党も乗りやすい」(霞ヶ関関係者) <安倍も大新聞も公明党も財務省も> 日本新聞協会は、消費増税の法案が成立する前から、新聞への軽減税率を必死に働きかけてきた。ついには今月、あの読売のナベツネ会長が、「8%の増税中止と10%時の軽減税率適用」を説く手紙を自民党の政治家宛に送ったというから、財務省が震え上がるわけだ。 この軽減税率狙いの増税凍結案には、公明党も内心歓迎。支持団体向けに約束しているからだ。「公明党は3党合意で消費増税を率先しましたが、その際、難色をしめしていた創価学会の婦人部を『消費増税は必ず、生活必需品の軽減税率とセットでやるから』と説得した経緯があるのです」 (公明党関係者) 世論調査では消費増税にいまだ6割近くが反対だ。安倍にとっても増税凍結にはメリットがある。 もっとも当の財務省はそれも織り込み済みとか。再来年10月の消費税10%が確約できればいいらしい。 |
●(4)平成25年9月20・27日、週刊ポスト「ニュースのことばは嘘をつく」(長谷川幸洋・ジャーナリスト) <消費増税「断行」か「先送り」かは読売を読めばわかる> 来春の消費税引き上げを断行すべきかどうか、をめぐって議論が盛り上がっている。安倍晋三首相の肝いりで実施された政府の有識者ヒアリングでは7割超が賛成意見だった。 はたして安倍は上げるのか、それとも先送りするのか。読売新聞はかねて増税賛成論だったが、ここへきて先送り論に豹変し注目を集めている。同紙は社説で2014年4月の引き上げは見送り「景気の本格回復を実現したうえで、15年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択と言えよう」と書いた(8月31日付)。同時に、後半では「15年10月に消費税率を10%に引き上げる際は、国民負担の軽減が不可欠だ。税率を低く抑える軽減税率を導入し、コメ、みそなどの食料品や、民主主義を支える公共財である新聞を対象とし、5%の税率を維持すべきだ」と訴えた。 お分かりと思うが、この主張の本音は後半にある。新聞への軽減税率適用はかねて日本新聞協会が各方面に訴えてきた。ところが、8%の税率では上げ幅が小さすぎて軽減は難しいと分かってきた。それなら、いっそ8%は見送って「軽減適用が可能になる10%から始めるべきだ」という意見なのだ。 これくらい大胆に自分の立場を訴えられると、どこかのポチ記者のように「とにかく財政再建には増税を」なんていう財務省の代弁を聞かされるより、よほどすっきりしている。 「ニッポンのドン」といえるほど、影響力の大きな存在であるからだ。 官房長官は毎月1回、渡邉さんに政情報告する慣例になっているんだよ」私はびっくりして「え、総理、そんな慣例があるんですか」と口をはさんだ。「長谷川さんも知らなかったか。ナベツネさんは報告を聞くと、ちゃんとお駄賃もくれるんだよ」「なんですか、それは」「だれも知らない秘密の永田町話だよ、ははは(笑)」以上である。もっと仰天する話もあったが、いまは書かないでおこう。私が言いたいのは、ときの官房長官が毎月、政情報告するような相手はこの日本で「ナベツネただ1人」という事実である。安倍首相はもちろん、そういう事情を百も承知している。そんな渡邉が増税反対を社説で訴えるだけでなく『週刊文春』(8月29日号)によれば、懇意の知人に手紙まで書いているという。だいたい安倍は引き上げるつもりだったら、増税法が成立している以上、いまさら有識者ヒアリングなど必要ない。 やはり先送りではないか。(文中敬称略) <はせがわ・ゆきひろ・・・・・東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員、大阪市の人事監察委員会委員長も務める。近著に『政府はこうして国民を騙す』(講談社)> |
<文責:藤森弘司>
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