2013年4月30日 第92回「トピックス」
「主権回復の日」についての一考察

●(1)「リテラシー」という言葉があるようです。

 早速、辞書を引くと「literacy・・・読み書き能力」とあり、「literature・・・リタラチャー・文学」に関係した言葉のようです(電子辞書・リーダーズ英和辞典)。

 私は学問をあまりやらないし、本もあまり読みません。そのために職人的な分野を大切にしています。職人的な分野を大切にするのは、どうやら「リアリズム(realism・・・現実主義、実学主義、実体主義)」らしいです。広辞苑には哲学の解釈が載っていますが、哲学的な解釈はよくわかりません。

 さて、「リテラシー」は「読み書き能力」ですが、書く能力は、これだけホームページを作成していても、成長しませんね。
 しかし、他の方の作品に「仮託(便乗)」して自分の意見を添えていると、「リテラシー」の中の「読む能力」は、多少は備わってきているようです。

 新聞や雑誌を読んでいて、私(藤森)のアンテナに引っ掛かることがよくあります。それを、あたかも、自分の意見かのように紹介するのが得意になりました。「虎の威を借る狐」よろしく、今回も、佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)のコラムを紹介します。

 そこから浮かび上がる「恐ろしい問題」を少しでも感じていただければ幸いです。

 中国が尖閣諸島だけでなく、沖縄までも狙っています。そこに下記の(2)(3)(4)(5)ような問題が潜在していると、沖縄や尖閣諸島はどうなってしまうのでしょうか?沖縄には中国のスパイが沢山入っていて、デモ隊の中に紛れて扇動しているとも言われています。

 そんな時、安倍首相は「主権回復の日」などと浮かれていて良いのでしょうか?安倍首相は「沖縄」をうっかりしていたとの説もありますが、これほど重要な記念日に天皇陛下のお言葉が無かったのも、かなり意味深長ではないでしょうか。

●(2)平成25年3月15日、東京新聞「本音のコラム」(佐藤優)

 <カイロス>

 古典ギリシャ語で時間を表わす表現にクロノスとカイロスがある。クロノスは、日々刻々と流れていく時間だ。年表や時系列表を英語でクロノロジーというが、これはクロノス的な時間だ。これに対して、カイロスはある出来事が起きる前と後で、質的な転換が起きるような時間だ。英語ではタイミングと訳されることが多い。例えば、東日本大震災が発生した2011年3月11日は、すべての日本人についてのカイロスだ。

 安倍内閣は、4月28日を「主権回復の日」として、政府主催の式典を開催することを決定した。1952年4月28日にサンフランシスコ平和条約が発効し、日本が国際法的に主権を回復した出来事は確かにカイロスだ。しかし同時にこの日に、沖縄は米国の施政権下に組み入れられた。沖縄人にとって「日本の中央政府が沖縄を切り離した日」という意味でも4月28日は、カイロスなのである。

 「主権回復の日」を中央政府が、このタイミングで式典としたことを沖縄人の大多数は、日本全体のために沖縄を切り捨てることを是認するシグナルと受け止める。母親が沖縄出身で、沖縄人と日本人の複合アイデンティティーを持つ筆者には、沖縄がこのカイロスに対して持つ屈辱感が皮膚感覚でわかる。沖縄の中央政府に対する不信が一層強まる

●(3)平成25年2月1日、東京新聞「本音のコラム」(佐藤優)

 <沖縄からの建白書>

 1月28日、オスプレイ配備に反対する沖縄県内の首長代表と県民大会実行委員会の代表の約30人が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相に「建白書」(要請文)を手渡した。建白書には沖縄県の全41市町村長と議会議長の署名も入っている。建白書には、「復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている。国民主権国家日本のあり方が問われている」と記され、安倍首相に具体的に以下の2つを要請した。

 「オスプレイの配備を直ちに撤回すること。および今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること」

 「米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること」

 那覇市の翁長雄志市長によると「安倍首相は『皆さん方が来たことに、私も思うところがある。ぜひ意見にも耳を傾けながら、基地負担軽減を含め頑張っていきたい』と述べたという」(本紙1月28日夕刊)

 当初、政府は沖縄代表団を安倍首相に会わせる必要はないと考えていたが、直前に「直訴」に応じることを安倍首相は決断した。公式ルート以外で事態の深刻さを伝える情報が安倍首相に届いたのであろう

●(4)平成25年1月25日、東京新聞「本音のコラム」(佐藤優)

 <施政権と主権>

 18日午後(日本時間19日未明)、米ワシントンで岸田文雄外相とクリントン米国務長官が会談した際に、<長官は中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について「日本の施政権を害そうとするいかなる一方的な行為にも反対する」と表明した>(19日本紙夕刊)。

 外務省は、クリントン発言を尖閣問題に関し、米国が一歩踏み込んで日本寄りの姿勢を示したという「政策広報」(あるいは情報操作)を行なっている。

 日本にとって重要なのは、尖閣諸島の主権が日本に帰属することを国際社会に承認させることだ。復帰前の沖縄は米国施政権下に置かれていた。沖縄では米ドルが流通し、裁判権も米軍政府が握っていた。しかし、沖縄が米国領になったわけではない。潜在主権は日本に属していた。

 図式的に整理すると完全な主権は、潜在主権施政権によって構成される。米国が尖閣諸島に対する日本の施政権をどれだけ強く支持しても、肝心の主権(もしくは潜在主権)については中立的立場をとっているという現状は、今回の日米外相会談によっても小指の先程も変化しない。

 外務官僚のトップである河相周夫事務次官はこのことをわかっているはずだ。自公政権になって日米同盟が深化しているという「政策広報」をやりすぎると後でつじつまが合わなくなる。

●(5)平成25年1月18日、東京新聞「本音のコラム」(佐藤優)

 <沖縄独自外交>外務官僚と防衛官僚は、米海兵隊普天間飛行場の辺野古(沖縄県名護市)への移設を強行しようとしている。これに対して、沖縄県が独自の対米外交を展開している。11日、ワシントンの米国務省で沖縄県の又吉進知事公室長が国務省のナッパー日本部長、国防総省のジョンストン北東アジア部長らと会談した。<又吉氏によると、ナッパー、ジョンストン両氏は自民党政権が復活したことについて触れ、「普天間移設問題をめぐる沖縄の状況に変化はあるのか」と質問。又吉氏は「それほど簡単に状況は変わらない」と強調。普天間の県外移設を求める仲井真弘多知事の姿勢について「反米や反基地で感情的に反発しているのではない」と前置きした上で、名護市が辺野古移設に反対 県議会が全会一致で県内移設に反対・・・などの具体的根拠を示して「客観的に見ても辺野古移設は事実上不可能だ」と強調した。>(13日「琉球新報」)

 沖縄県は、沖縄の民意を無視する東京の中央政府の誠意と能力に疑念を抱いているので、米政府との直接交渉に踏み切った。当事者がどれだけ自覚しているかは別にして、客観的に見た場合、沖縄は国際法の主体としての地位を確立しつつある。又吉氏は、事実上の「沖縄外務大臣」としての機能を果たしている。

<文責:藤森弘司>

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