2012年9月15日 第78回「トピックス」
オバマ大統領の再選危うし(1)

●(1)<2010年3月15日「今月の言葉」第92回「脚本分析・・・オバマ大統領は大丈夫か?」>の下記の部分を再録します。

<<< ●(3)上記のように、頭が良かったからでもありましょうが、多くのものが、中途のまま、次のステップに進み、そして、多くのものを成功させています。
しかし、
「世界最大かつ最高のアメリカ大統領」になり、そして、「最高のノーベル賞」を受賞したならば、若いオバマにとって、その次の目標は何でしょうか????

 どうやら、この経過を辿ると・・・・・飛行機の離陸に喩えてみますと、幼児期は、滑走路を飛び立つのに苦労しながら、やっと離陸に成功。それからドンドン機首を上げていき、加速しながら「垂直に上昇するような軌跡」を辿っています。

 その次にあるのは、一体、何でしょうか???

 どうも、オバマ大統領にとって、よろしくない状況が多いように思えます。よろしくない状況だからこそ、アメリカはオバマという一人のヒーローを選択したのかもしれません。いずれにしましても、アメリカの文化というのは、日本とは恐ろしく違います。どうやら私(藤森)が、脚本から結末を推測するような出来事が多いように思えます。もう少し、メディアに掲載されたものを紹介してから、私が推測する結末をご紹介したいと思います。>>>

<<<●(10)ある著名な大学教授は、カーター元大統領と同様、オバマは一期4年で終わる可能性が高いと発言する。

●(11)さて、私(藤森)の「脚本分析」は・・・・・

①上記のように、一番穏当なものは、一期4年で終わることでしょう。私としても、そうであってほしいと願っています。オバマ大統領の「脚本」を分析してみると、一期4年を全うすることが、望みうる最高の結末であると思います。
 これだけの脚本を持ち、かつ、これだけの経過をたどれば、一期4年を全うして、大統領職を終えれば、白人社会に風穴を開けたこともあり、最高の結末です。

②「パート①と②」を通して考えて見ますと、任期半ばで辞任するような予感が、若干、あります。
 私(藤森)は、政治も経済も、ましてやアメリカの事情にも詳しい人間では全くありません。「強毒性鳥インフルエンザ」の脅威があって、万一、発生したならば、経済的にも強烈な打撃になることを知って、少々、興味を持った程度の人間です。
 そうして、若干の情報を集めてみて、そして専門の「深層心理」の分野からオバマ大統領を分析してみると、アッと驚く結果になった次第です。どう考えても、人生をうまく全うできる生い立ちには思えないと思っているところに、「ドル亡き後の世界」で、著者の副島隆彦氏が「任期半ばで辞任」とあるのを発見しました。副島氏は「経済」の分野からの分析ですが、私の「深層心理」の分析(脚本分析)とも一致します。

 喩えて言いますと、公園の小川の中に置いてある飛び石というのでしょうか、それをポンポンと順調に飛んでいって、最後の石(大統領とノーベル賞)の次には何もない「ドボン」を暗示しています。
 ただし、「脚本分析」は、いつ、どこで、どういう形になるか・・・・・ということを予測するものではなく、いつか、どのような結末を迎えそうかという抽象的な予測ができるだけです。
 ですから、オバマ大統領が、人生を、どういう風に具体的に結末を迎えるのかを予測するものではありませんが、天下の大統領で、しかも、黒人初の大統領ということで、情報が十分にあるという偶然があり、また、アメリカの置かれている状況の厳しさもあるので、私(藤森)にとっては、かなり予測しやすい傾向にあります。

③アメリカは、ご存知のように「銃社会」です。ライフル協会のロビー活動はかなり重量級のようです。またケネディ大統領のこともあります。2008年の11月、受託演説のときは、防弾ガラスで守られていました。
 さらには、<オバマ大統領は伝統への配慮を欠くという致命的ミスを犯した>ともあります。アメリカでは、こういうミスは本当に怖い社会です。ましてや、それが黒人であるとなると、白人至上主義者や原理主義者などの過激派の動きが気になります。

 ゴルフのタイガー・ウッズがかなり騒がれましたが、一説によると、黒人の活躍を面白く思わない多くの白人たちが、「ざまあみろ」という心理が働いて、騒ぎを大きくしている傾向にあるとのことです。
 両親が離婚し、貧しい家庭に育ち、アイデンティティに苦しんだ。さらには、頭が良いために、ドンドン、大学や仕事を変えて、出生街道を驀進してきた若きオバマ大統領・・・・・そのオバマ大統領が、超大国・アメリカを経営するに足る信頼できる腹心が、いったい何人いるでしょうか?いったいどれだけ優秀なスタッフを自前で揃えられるでしょうか?

 「バラク・オバマ大統領は、ホワイトハウスの執務室にいて、日常たった3人の人間としか口をきかないそうである。この3人とは、奥さんのミシェルさんと、大統領首席補佐官のラーム・エマニュエル(恐ろしいイスラエルとの二重国籍の男)と、経済学者のラリー・サマーズNEC(国家経済会議。大統領直属の諮問委員会)委員長である。」(ドル亡き後の世界)。

 これは「脚本」を連想させるものですし、出生街道を驀進してきたオバマの人脈の少なさを連想させるものではないでしょうか?>>>

●(2)さて、日本のメディアでは、共和党のロムニー候補とオバマ大統領は大接戦・・・・・多くは、オバマが1%か2%の差で勝ってはいるが大接戦と報道されています。

 しかし、アメリカに住んでいる日高義樹氏の予想ではロムニー候補が勝つとのことです。実際にアメリカに住んでいて、シンクタンクの首席研究員をしていて内部事情に詳しい日高氏の「皮膚感覚」ではロムニーが勝つようです。

 ロムニーが勝つようですが、それはロムニーが優れているからというよりも、余りにもオバマの政策が酷いために、アメリカの良識がロムニーを選択するだろうというのが事実のようです。

 オバマは4年前の熱狂的な迎えられ方をしただけに、今の不人気さに焦りまくっているようです。献金も4年前は、我々日本人には想像を絶する多額の献金を受けたオバマが、今や、ロムニーの半分だそうです。

 ロムニーの外交はかなり「下手」のような感じがします。
 今回のアラブ諸国の「反イスラム」映画に対して、反米デモが先鋭化していますが、これに対応してコメントを出したオバマ大統領をロムニーが批判しましたが、これには同じ共和党からもブーイングが出るほど評判が悪いようです。
 しかし、ロムニーの外交ベタが最悪の形を取らない限りは、どうやらロムニーが勝つような情勢らしいです。

 次回、さらに詳しく紹介したいと思っています。

●(3)平成24年6月7日、夕刊フジ「世界を斬る」(日高義樹)

 <経済界と保守勢力がタッグ組み共和党支持>

 <追いつめられたオバマ>

 アメリカのオバマ大統領は11月の選挙まで5ヶ月もあるというのに、大統領本来の仕事を放り出して選挙運動に奔走している。
 「大統領専用機を使って選挙戦をやっている」と、オバマびいきで知られる『ニューヨーク・タイムズ』にまで批判される始末だ。オバマ大統領が焦っているのは、好感度では61%と共和党のロムニー候補をはるかに上回っているにもかかわらず、実際に各州から報告されてくる数字が刻々と再選に不利になっているからである。

 アメリカの大統領選挙は、各州の人口によって割り当てられた合わせて538人の過半数270人の選挙人を奪い合う、いわば国取り合戦である。2008年の選挙では、オバマ大統領が365人の選挙人を手にしてマケイン候補に圧勝したが、今回はバージニア州やノースカロライナ州、インディアナ州といった、もともと共和党の地盤だった州を奪回されそうになっている。

 こうした情勢になっているのは、アメリカの人々がオバマ大統領の3年半の仕事に幻滅を感じているからである。つまり08年のオバマ熱がほとんどさめてしまった。

 つい先頃、ミズーリ州ジョスリンで行なわれたオバマ大統領の演説会では、1000人近く入る会場に半分しか人が集まらなかっただけでなく、コロラドスプリングスの空軍士官学校の卒業式での演説も一向に盛り上がらなかった。

 アメリカ経済界も回復を阻害するようなオバマ大統領の政策に反発し、これまで大統領選挙には関わらないという姿勢をつらぬいてきた全米商工会議所のトム・ドナヒュー会長は、5000万ドル(40億円)の資金を投じて反オバマのキャンペーンを開始した。アメリカの経団連ともいえる大企業の集まりのビジネスラウンドテーブルも、ビジネス界出身のロムニー候補を支援する姿勢を明らかにしている。

 それと前後して08年には多額の選挙資金を提供したウォール街、とくにヘッジファンドがオバマ大統領の高額所得者に対する特別増税や、ヘッジファンド批判にハラをたて、資金を出さないことを決めた。

 経済界だけでなく大統領選挙に大きな影響力を持つ宗教界も反オバマに回った。理由はオバマ大統領が、同性婚を容認したり、新しい健康保険制度で、宗教団体の医療保険にも避妊薬を含めるよう強制したりしたからである。

 08年、オバマ大統領は「チェンジ」を標榜して勝ったが、結局のところそのチェンジとは、アメリカを2つに分断することだった。一つは、オバマ大統領を支援する労働組合と黒人やヒスパニック系などオバマ大統領の福祉政策から大きな恩恵を受けている低所得者層。もう一つはビジネス界、宗教界、在郷軍人会、軍部といった保守勢力である。

 今年の大統領選挙ではこの2つの勢力が激突するが、ロムニー・ビジネス政権をめざすアメリカ経済界と保守勢力を結集した共和党がオバマ大統領を日ごとに追いつめている

●(4)平成24年9月7日、読売新聞

 <オバマ氏 自信と自制心がある>

 下院議員などを経て1994年~95年にクリントン政権で大統領法律顧問を務め、後にオバマ氏と知り合って政治活動を支援してきたアブナー・ミクバ氏(86)が両者を比較した。

 「2人ともずば抜けて頭脳明晰。タイプの似た政治家だ。だが、オバマにはクリントンにはない自制心と自信がある。クリントンは複雑な家庭で育ったせいか、自分に自信がない。だから、常に自分(の優秀さ)を証明してみせたがる。オバマは自分の優秀さにみじんの疑いも抱いていない。

 クリントンは、遊説でレストランに行けば、厨房まで行って全員と握手し、心底楽しそうにしている。オバマは、仕事だからやっている部分がある。
 大統領は、常に国民を鼓舞し続ける『最高応援団長』だ。オバマは、冷静なところをゆるめて、もっと自然に『応援』できるようになるといい」
 (ワシントン 山口香子)

●(5)上記の内容は、私が分析するところとかなり違います。

①クリントン氏はどんな複雑な家庭に育ったか私にはわかりませんが、オバマの生育暦はかなり複雑であることは断言できます。その生い立ちから来る「劣等感コンプレックス」を読み違えているように思えてなりません。

②「2人ともずば抜けて頭脳明晰」。これは間違いないでしょう。しかし、「オバマにはクリントンにはない自制心と自信がある」というのは間違いだと、ほぼ、断言できます。
 オバマはたまたまうまくいっているために「自信過剰」になっていただけだと思います。「自制心と自信」ではなく、「劣等感コンプレックス」に打ちひしがれているのが「実像」なはずです。

 「オバマは自分の優秀さにみじんの疑いも抱いていない」のではなく、ヒットラーではありませんが、劣等感コンプレックスに悩む人間は、「自意識過剰」や「うぬぼれ」に陥り易いものです。それが次の③に投影されていると思います。

③「クリントンは、遊説でレストランに行けば、厨房まで行って全員と握手し、心底楽しそうにしている。オバマは、仕事だからやっている部分がある」

 オバマは「対人恐怖症的な側面」があると思われます。正式な場面やカメラが回っているような場面では「虚勢」を張ったり、非常に友好的な雰囲気を出せますが、フランクな場面では、演説の時のフランクさは消えて「義務感」になっているはずです。
 こういうフランクな場面こそ、一番内面が「外在化」し易いのです。そしてこれがオバマの「実像」です。

④「大統領は、常に国民を鼓舞し続ける『最高応援団長』だ。オバマは、冷静なところをゆるめて、もっと自然に『応援』できるようになるといい」

 これは「劣等感コンプレックス」が強く、「対人恐怖症的な側面」があるオバマには一番難しいことです。

 次回、さらに詳しく解説すると同時に、メディアの情報を紹介したいと思っています。

<文責:藤森弘司>

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