2012年3月20日 第65回「トピックス」
野田総理大臣についての一考察

●(1)前回の④の最後の部分を再録します。

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●(4)さらには「日本国民」です。

 私(藤森)を含めて「日本国民」は、それなりに腹いっぱいの食料にありつける現状に甘んじきって、国会議員が「二人羽織」で振付けられていることもわからず、エサにかじり付いていた「太ったブタ」だったのです。
 日本中(一部の目覚めた人たちを除きます)が太ったブタ状態になったからこそ、「二人羽織」状態の自民党を支え(投票し)、政権交代を望まなかったのです。

 しかし、自民党はどうしようもないことがわかって「政権交代」を実現させたところ、民主党も同じ、いや、経験不足の分だけ、「二人羽織」よりも酷い政治になってしまいました。この酷い状況はもはやいかんともしがたいものと思われます。

●(5)さて、これからが「議事録」問題です。

 私(藤森)がマスコミ界の「勝海舟」と呼ぶ長谷川幸洋氏の上記の「ニュースのことばは嘘をつく」を再読してみてください。「議事録」が記録されていなくて本当に良かったと私は思っています。

 多分、議事録は若干、脚色されるものと思われます。議事録が無いことを幸いに、<<<もっと生々しい手書きのメモ>>>のほうこそ重要視すべきです。
 もし「議事録」が残されていたならば、決して日の目を見ることは無いし、要求もできなかったであろう<<<もっと生々しい手書きのメモ>>>を要求できる絶好のチャンスです。絶対に<<<「議事概要」>>>ではダメです。

 メディアだけでなく、野党も挙って要求すべきです。原発の問題だけでなく、政治家の裏を生々しく見ることができる、まさに「戦後政治の総決算」「世紀の大チャンス」です。
 野田総理大臣の政治姿勢を試す絶好の機会でもあります。「事故調査委員会」も、そして権威ぶって何かをやるところの何もかも信用できないこのご時勢。<<<もっと生々しい手書きのメモ>>>以上に信用できるものはありません。絶対に日の目を見させるべきです。
(次回に続く)
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●(2)さて、今、消費税の増税が大政局になっていますが、「増税」とはどういう意味でしょうか?

 「増税」と言われれば、私たちは常識のように思っていますが、「増税」とは、単に「税金」を上げるという意味だけなのですね。「増税」だから「増収」と同義語のように思いがちですが、「税金」は上がるが、「税収」が増えるとは限りません。

 現に、橋本龍太郎元総理大臣は、私(藤森)と同じように「増収」だと思って「増税」しましたが、以後、「増収」していないそうです。確かに、消費税は「増税」したので「増収」しましたが、他の「税収」が減ったので、結局は「減収」になっているそうです。

 現在の「増税論議」も、「消費税の増税」が「増収」になるのか、「減収」になるのか、ここが肝心です。
 政府、特に野田使い勝手佳彦総理大臣は、消費税が持つ深い意味も知らず、財務省の全面的なバックアップが得られると思って、洗脳されたままに「増税」と力んでいます。地元の千葉県での辻立ち説法レベルで「増税」だけを連呼していますが、何故、今、必要なのか、増税して「増収」になるのか、一番肝心なことは何も言っていません。

 ただ単に、「子孫につけを回すな」と言うだけで「増税」しようとしていますが、世界の常識は、「デフレ期」に増税は無いそうです。現に、日銀がインフレ目標として「1%」にし、かつ「金融緩和」をしただけで、約7円もの円安になりました。これだけで輸出する大企業にとっては莫大な利益が出ます。

 やれる手はいくらでもあるにも関わらず、増税をするためにわざと景気を向上させようとしなかったり、増税の口実にするために、東北の被災者を積極的に救おうとしないやり方は「卑劣」以外の何ものでもありません。
 人気の無い政策に政治生命を懸けていると、シロアリ軍団から声援をかけられているが、そうならば、何故、東北の被災者を救うことにも政治生命を懸けないのか。

 瓦礫の処理が1年を過ぎても、まだ、全体の6%程度とは、ただ、呆れるばかりです。その上、現地に瓦礫を処理する施設を建設すれば、瓦礫は有効利用できるし、地元に仕事ができて、復興の大きな助けになるらしいが、それさえもしない。

 阪神大震災のときの瓦礫が2000万トンくらいで、今回が2300万トン。それがこの体たらくです。民主党政治は絶望的ですね。都知事の石原慎太郎氏も、結局、エエ恰好しいだったとは驚きです。

 次をご覧ください。

●(3)平成24年3月8日、日刊ゲンダイ「にっぽん改国」(田中康夫)

 <笑止千万!「みんなの力で瓦礫処理」>

 <略>

 ツイッターで数日前に連続投稿した僕は、その中で戸羽太・陸前高田市長、伊達勝身・岩泉町長、両名の“慧眼”発言も紹介しました。
 「現行の処理場のキャパシティーを考えれば、全ての瓦礫が片付くまでに3年は掛かる。そこで陸前高田市内に瓦礫処理専門のプラントを作れば、自分達の判断で今の何倍ものスピードで処理ができる。国と県に相談したら、門前払いで断られました」

 「現場からは納得出来ない事が多々有る。無理して早く片付けなくてはいけないんだろうか。山にしておいて10年、20年掛けて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。元々、使ってない土地が一杯あり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこに有るのか?」

 阪神淡路大震災以前から、産業廃棄物も一般廃棄物も「持ち出さない・持ち込ませない」の域内処理を自治体に行政指導してきた政府は何故、豹変したのでしょう?
 因みに東京都に搬入予定の瓦礫処理を受け入れる元請け企業は、東京電力が95・5%の株式を保有する東京臨海リサイクルパワーです。

 仙谷由人氏と共に東電から献金を受け(朝日新聞1面既報)、父君が北関東の産廃業界で重鎮の枝野幸男氏、同じく東電が重用する細野豪志氏に「李下に冠を正さず」の警句を捧げねば、と僕が慨嘆する所以です。

●(4)平成24年3月9日、夕刊フジ「田村秀男・“お金”は知っている」

 <「異形の日本政治」を野田・谷垣密談にみた>

 <略>

 日本のデフレ不況の原因は国民が怠けたからでも、企業が技術革新を怠ったわけでもない。大多数の日本人は相変わらず勤勉でまじめだし、多くの企業は新しい技術や製品の開発に明け暮れている。もっともらしく聞こえる「少子高齢化」のせいでもない。働ける年齢層(15~64歳)の人口比率はデフレが始まった90年代後半でも7割近く、中国のそれを上回っていた。10年に高齢化人口比率がその数年前の日本並みに高まったドイツなど欧州もデフレ不況になっていない。主因は政府の政策の失敗による。

 慢性デフレは97年の消費増税と緊縮財政がきっかけで、消費税率を引き上げてもデフレのために生産や消費が縮小し、所得税や法人税収の減少額合計が消費増税による税収増を上回り、財政収支を悪化させた。

 <成長政策棚上げで「増税」!!>

 筆者が怒りを覚えるのは、野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁の「密談」である。目的は消費増税関連法案の国会成立と衆院の「話し合い解散」だという。いやしくも、世界のどの国でも、政治の最優先課題は経済の成長でなければならない。成長なくして税収は増えず、社会保障制度も維持できない。若い世代は子供をつくる気になれない。国家安全保障、災害対策もおろそかになる。与野党とも指導者が成長政策を棚に上げ、ひたすらデフレ容認増税しか考えない国がどこにあるだろうか。

 米国は名目GDPが11年までの20年間で2・5倍以上に膨らんだ。適度な物価上昇率を保ちながら年平均で実質2・6%の成長を遂げてきた。ドイツなど欧州主要国もデフレを阻止し、プラス成長を維持している。情報技術(IT)バブル崩壊(00年)、リーマン・ショック(08年)、そしてユーロ危機(10、11年)と試練に直面しても、各国の指導者は経済成長を達成できなければ、政治生命を失うと緊張して、経済政策に邁進してきた。

 本人たちは何の自覚もないだろうが、「野田・谷垣会談」は日本の政治の恐るべき異形ぶりを世界にさらけ出したのだ。
 (産経新聞特別記者)

●(5)平成24年3月8日、朝日新聞「プロメテウスの罠・英国での検問(15)」

 <のらりくらりですよ>

 山梨県のスーパー業界は、東京電力の独占にかみついた。だが、それより10年も前、たった1人で電力会社や経済産業省と激しくやり合った男がいる。日本ボランタリーチェーン協会の会長、林信太郎だ、林は2008年、87歳で死去した。
 協会は小売チェーン店の団体だ。当時、食品やドラッグストアなどのチェーンストア約130社が加盟し、店舗数で約6万店あった。

 林は旧通産省出身でありながら、電力独占を攻撃し続けた。しかし03年2月、協会幹部の説得で会長の職を辞任した。説得に当たった幹部はいう。
 「会長を尊敬していました。しかしこのままだと協会の存亡に関わると思った。経産省をはじめ、いろいろなところから、会長を辞めさせるよう強い圧力があって」

 林は74年に旧通産省の立地公害局長の時に天下り人事を拒否。官房付に降格された後、退職した。ジャスコ(現イオン)の社長だった岡田卓也に請われて、76年に同社の副社長になった。その後、ジャスコの副会長を経て、ボランタリーチェーン協会の会長となる。
 00年3月、電気料金の一部が自由化された。大手流通の料金は10~15%も値下がりし、料金は1キロワット時平均で約18円となった。

 中小店も値下げはあった。しかしその率は1~3%と小さく、平均は約23円。大手と5円も差がある。
 各地方の電力会社に交渉団を送り、値下げを要請した。経産省や公正取引委員会にも頻繁に出向く。国会議員にも陳情攻勢をかけた。
 林の怒りが高まる。とくに、電力会社と関係の深い経産省に怒りの矛先が向いた。

 01年9月7日、林ら協会幹部7人が経産省資源エネルギー庁で、電力・ガス事業部長(当時)の迎(むかえ)陽一と交渉する。林は訴えた。
 「われわれは節電や自家発電など血のにじむような努力を積み重ねてきましたが、一部自由化でライバルの大手だけが値下げとなり、努力は一気に吹き飛びました」

 その交渉の議事録がある。
 林「行政のポイントは分かりますよ、(私も)30年やっとったんですから。そういう過去がありながら、今のようにのらりくらりやっとったんでは・・・・・」
 迎「のらりくらりだなんて」
 林「いや、のらりくらりですよ。はっきりしないんですから」
 容赦ない攻撃だった。
 (敬称略)

●(6)林信太郎氏

 40年近くも前に、すでにこういう人物がいたのですね。経産省を最近退官した古賀茂明氏を私(藤森)は非常に信頼していますが、40年近くも前に、すでにこういう素晴しい人物が存在していたことに驚いています。

 大阪の橋下市長。
 彼の過激な発言に批判も多いですが、古賀氏を始めとする改革派の元官僚が挙って応援しているようですので、個々の政策は、私は一切分からないし、判断する能力も持ち合わせていませんが、閉塞感溢れる今の日本の政治家の中では大いに期待しています。

<文責:藤森弘司>

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