2012年2月15日 第63回「トピックス」
野田佳彦総理大臣についての一考察

●(1)お笑いコンビ「オセロの中島知子」さんが占い師に引っかかって、どうやら大変なことになっているようです。それを紹介している新聞によれば、<女はなぜ「占い」で身を滅ぼすのか?>とあります。

 それが今回のタイトルとどう関係があるのかと思われると思います。どのように関係があるかはともかく、ひとまず、下記の新聞記事をご覧ください。

●(2)平成24年2月2日、日刊ゲンダイ「“オセロ”の中島知子もコレ」

 <女はなぜ「占い」で身を滅ぼすのか?>

 お笑いコンビ「オセロ」の中島知子(40)が家賃滞納で追い詰められている。都内に自宅用と個人事務所用のマンションを2ヶ所借りているが、いずれの家賃も滞納し、総額660万円が未払いだという。

 中島は体調不良を理由に芸能活動を休止している。原因は谷原章介との破局とも井上陽水との不倫関係ともいわれてハッキリしないが、確かなのは彼女のそばに怪しい女性がいることだ。
 「40代の占い師に心酔し、彼女の言うことは聞くが、所属事務所には従わない。事務所から解雇されるという声も上がっています」(芸能関係者)

 芸能人に限らず、女性は占いが好きだ。「占いを信じすぎて不幸になる女性は多い」とは「東京家族ラボ」主宰の池内ひろ美氏だ。
 「ある主婦は夫と相性が悪いため占い師に相談。“これを家の中に置けば相性が良くなる”という言葉を信じて500万円のツボを買いました。“この水を飲めばご主人の浮気性がなおる”と言われて1本9800円の水を買わされ、“次はこれを飲みなさい”と次々と高い水を押し付けられた女性もいます」

 ある主婦は娘の恋人が気に入らない。そこで占い師に相談したところ、「2人は相性が良くない」と言われ、2度目は「結婚したら彼の浮気グセに悩まされる」、3度目は「娘さんが呪われて婦人科系の病気になる」と言われた。料金は4万円から10万円、30万円と吊り上がったそうだ。

 女性はなぜ占い師にコロリとだまされるのか。明大講師の関修氏(心理学)が解説する。

 「もともと女性は依存心が強く、誰かの意見に従いたがるのです。とくにロマンチストの女性は“幸せになりたい”と願うあまり現実から目をそむけてしまう。その結果、“もっと幸せになる方法があるはずだ”と思い込み、目的達成のために占いにのめりこみます。子供の頃に欲求が満たされなかったとか、コンプレックスを抱いている女性に多いですね」

 ダマされるほうにも問題がある。

●(3)平成24年2月10日、日刊ゲンダイ「オセロ 中島の心の病」

 <「人身保護請求」の切り札も効果ナシ>

 霊能者に入れあげ、表舞台から姿を消し、660万円の家賃滞納まで発覚した「オセロ」中島知子(40)。ワイドショーは連日のようにその動向を伝えているが、親が裁判所に「人身保護請求」を出していたことも明らかになった。

 「人身保護請求は意思能力のない幼児や未成年者に対し、親御さんが解放を求めるケースがほとんどです。家庭裁判所に請求し、正当と判断されたら、拘束者は拘束している人を解放しなければなりません。ただ、中島さんのような成人に対して請求が出るのは珍しい。暴力団や宗教団体にマインドコントロールされた人を引き離すためなど、特異な場合に限られます」(弁護士の中島章智氏)

 中島の母は数ヶ月もの間、娘に一切連絡が取れなかったという。その心労は計り知れない。
裁判所の決定を受けて解放された中島は、昨年7月、都内の病院に入院した。だが、専門カウンセラーによるカウンセリングなどは受けず、「両親や事務所のスタッフが説得しただけ」(芸能関係者)だったとか。その後、中島は再び霊能者のもとに帰ってしまった。
せっかくの切り札も役に立たなかった格好だ。

 ジャーナリストとして統一教会やオウム事件を取材した有田芳生参院議員がこう言う。
 「新興宗教のマインドコントロールから救い出すために人身保護請求するケースを多く見てきましたが、離脱の成功にはポイントがひとつあります。拘束者からうまく引き離すことができたとしても、そこから本当に離脱を説得するには、専門的なカウンセリングを受けることが不可欠です。身内の説得だけでは難しい」
 素人の手に負えない状況なのは間違いない。

●(4)さて、<女はなぜ「占い」で身を滅ぼすのか?>

 果たして、「女はなぜ?」と言えるのでしょうか?
 私は、野田佳彦総理大臣も、「占い」みたいのにひっかかっているように思えてなりません。「占い」に限らず、このようなものにひっかかるのは、私の専門的な立場から言えば「自我が未成熟」だからです。いつか「松下政経塾」を徹底的に批判したいと思っていますが、「松下政経塾」卒業者で、現在、名を馳せている国会議員のほとんどは「自我」が未成熟だと思っています。野田佳彦総理大臣はその典型ではないでしょうか。

 まともな専門家、少なくても、私(藤森)が知る限りの専門家は、デフレ期に増税は無いと言います。今、総理大臣がやるべきことの筆頭は「復興」でしょう。もう1年が経とうとするのに、「瓦礫の山」は無いでしょう。
 命を懸けて「復興」に取り組むことこそ、国会議員になった人間の最大の課題です。火の玉にようになって復興に取り組んでこそ、その後の「増税」に国民は諸手を挙げて賛成するように思います。

 何故、「財務省」や「アメリカ」の後押しがあるような、しかも、国論を二分するような超難題に取り組むのでしょうか。それは、完全に「財務省」に「洗脳」されているから・・・・・というのが今回の主旨です。ですから、男も女もありません。「自我が未成熟」だと、コロッと引っかかるのです。

●(5)では何故、「復興」に全力で取り組まないのでしょうか。

 私(藤森)が推測するには、東北大震災の「復興」に国力を挙げて取り組むと、経済が好転して、「増税が不要」になってしまうからです。
 日本政府が保有する「アメリカの国債」を日銀に引き受けさせたり、建設国債や、相続税をゼロにする代わりに「無利子」の国債の発行、為替介入したドルを日銀に引き受けさせる・・・・・などで100兆円を捻出すれば、復興だけでなく、日本の経済も大躍進するはずです。

 しかし、「占い師」ならぬ「財務省」に洗脳されている野田・使い勝手佳彦総理大臣は、財務省の利権拡大のための「増税」に邁進しています。<<<その後、中島は再び霊能者のもとに帰ってしまった。>>>とあるように、周囲にいくら助言されても、「霊能者」ならぬ「財務省」に取り込まれてしまった野田・使い勝手佳彦総理大臣は、ひたすら「増税」に邁進しているようです。

 私(藤森)のように、消費税については「雑学」程度しか知らない人間にしても、どう考えても「デフレ期」に増税は間違いだと思います。「消費増税」がいかに間違っているか、専門家の決定的な意見を紹介したいと思います。

●(6)平成24年1月31日、夕刊フジ「須田慎一郎・金融コンフィデンシャル」

 <下請け企業泣かせの消費税増税><中小零細は廃業・倒産ラッシュに>  「信金業界内では密かに話題になりつつあるのですが、中小零細の経営者の間で次の消費税率アップのタイミングをきっかけに、廃業に踏み切ろうとする動きが大きく広まりつつあるのです・・・・・」

 都内に本店を置く大手信用金庫の理事長がこう指摘する。さらに続けてこう言う。
 「正直言って消費増税は、下請け企業や部品メーカーなどの経営を大きく圧迫することになる。つまりは、中小零細企業が大きなワリを食うことになる」<略>

 <増税分の値下げ強いられ赤字必至>

 しかし消費税制に関して言えば、その制度上大きな欠陥を抱えていることも確かなのだ。
都内で自動車部品製造業を営む会社経営者が言う。
 「正直言って消費税は、下請け泣かせの税制なのです。もし仮に増税ということになれば発注サイドは、われわれ下請けサイドに間違いなくこう要求してきます。『消費税分は、泣いてくれ』と。過去の経験からすると、これはもう間違いない。だからといって、この要求を断ると注文は入ってこなくなる。われわれとしては黙ってその要求を飲まざるを得ないのです」

 つまり下請けサイドは、“単価”を消費税分引き下げて納品することとなるのだ。
 「現状の単価水準ですら利益はほとんど乗ってません。そこへもってきて消費税率アップということになったら生産すればするほど赤字になってしまいます。もうやってられません」(前述の工場経営者)

 しかしだからといって税務署サイドは、「消費税は預かり金」というスタンスで臨んでいるから、その減免には一切、応じていないのが実情だ。
 「現実問題として、われわれ下請けサイドは、消費税を払ってもらっていない。にもかかわらず税務署は、待ったなしで税金を払えと言ってくる。そしてもし期日までに払えなければ、高額の延滞税が発生する。もう事業継続の意欲も失ってしまいますよ。それでも廃業できるところは、まだマシ。ほとんどの中小零細企業は、行けるところまで行って倒産ということになるだろう」(前述の工場経営者)

 どうやら消費税増税によって、倒産に追い込まれる中小零細企業が続出しそうな雲行きだ。

●(7)平成24年2月1日、夕刊フジ「増税のウソ②」(三橋貴明)

 <IMFは「当たり前」路線に転換>

 日本国民の多くが理解していないが、家計や企業の経済と、国家の経済は全く異なる概念になる。具体的には、フロー(所得)面が異なる。例えば、企業にとってのフローは損益計算書だが、国家の場合はGDP(国内総生産)になる。企業が費用を削減すると、最終的な所得である純利益は増える。これに対し、国家の中央政府が支出を削り、増税し、借金を返済すると、国家全体の所得であるGDPは縮小する。結果、GDPから政府に分配された所得である税収も減る。GDP拡大を抑制すべきインフレ期にはともかく、デフレ期に政府は緊縮財政(増税、政府支出削減)をむやみに強行してはならない。国家の所得の総計であるGDPがマイナス成長になり、政府の税収が減り、財政が悪化してしまうからだ。

 日本政府は延々と間違いを続けてきたが、IMF(国際通貨基金)も同じだ。IMFは財政破綻(対外負債のデフォルト)した国に乗り込み、緊縮財政を強要し、状況を悪化させることを続けてきた。過去の多くの失敗を受け、ついに先日、IMFは「デフレ期の緊縮財政はNO!」という、当たり前の路線に転換したのである。

 2011年12月21日。IMFの調査局長であるオリビエ・ブランシャール氏は「財政再建とは、メルケル首相が言うように『スプリント種目』ではなく『マラソン競技』であるべきだ。債務を適切な水準に戻すまでには優に20年以上かかるだろう」と語り、性急な財政健全化路線への警鐘を鳴らした。

 さらに、IMFは今月24日に公表したリポートで「財政再建は、産出量(GDPのこと)と雇用を適度に増大できるペースで行なうのが理想的」と書いている。すなわち、財政再建を実施する際には、産出量や雇用がマイナス成長にならないように注意すべき、と言っているわけだ。GDPがマイナス成長になると、政府の税収が減り、財政状況はかえって悪化するわけだから、当たり前である。IMFは「財政再建」について「政府の負債対GDP比率の改善(低下)」と明確に定義している。

 日本国民の多くは、財政再建を「政府の借金を返済すること」と理解しているように思えるが、そうではない。何しろ、主要国で政府の負債が中期的に減っている国はない。もっと言えば、日本政府の負債は主要国と比べて、特に速いペースで増えているわけではないのだ(むしろ遅い)。

 この「財政再建の定義」の問題が、日本の「ウソの増税路線」を後押ししているのである。次回は「財政再建」に定義について考えたい。

●(8)平成24年2月2日、夕刊フジ「増税のウソ③」(三橋貴明)

 <「財政再建」の定義をはき違え>

 財政再建という言葉を聞くと、日本国民の多くは「政府の負債(いわゆる国の借金)」を減らすことと認識してしまうが、この定義は間違いだ。財政再建の定義は「政府の負債対GDP比率を引き下げる」ことである。これは筆者独自の定義ではなく、IMF(国際通貨基金)も「政府の債務比率(対GDP比)の引き下げ」が財政再建だと定義している。

 すなわち、政府の借金残高と名目GDPを比較し、その割合を下げることこそ「財政再建」の定義になるのである。
 「財政再建の定義」の問題は極めて重要だ。何しろ「政府の負債対GDP比率の改善(引き下げ)」であれば、別に政府の借金残高を減らさなくても、名目GDPを成長させれば達成できる。

 日本政府の負債対GDP比率は、中期的に悪化している。すなわち、財政が悪化しているわけだ。とはいえ、昨日指摘した通り、日本政府は他国と比べて、それほど政府の負債残高を増やしていない。
 それにも関わらず、対GDP比は諸外国最悪で、さらに悪化を続けている。なぜだろうか。
理由はもちろん、日本の名目GDPが成長していないためだ。

 例えば、中国は政府の負債残高を2001年比で、7倍に拡大している。ところが、政府の負債対GDP比率の方は悪化していない。大規模景気対策を実施したため10年は悪化(上昇)したが、09年までは横ばいだ。理由は、中国が政府の負債を増やすと同時に、名目GDPを成長させているためだ。

 すなわち、IMFの財政再建の定義である「政府の負債対GDP比率の改善」は、政府の借金を減らさなくても、名目GDPを成長させることで実現できるのだ。しかも、名目GDPが成長すると、政府は自然増収になるため、二重の意味で財政再建が達成される。

 逆に、デフレ期に政府が支出を削減、あるいは増税し、負債残高を減らそうとすると、名目GDPが成長しないか、マイナス成長になる。結果、政府の負債対GDP比率は悪化していく。何しろ、政府の支出(最終消費支出および公共投資)にしても、名目GDPの一部となるれっきとした需要項目なのだ。

 日本が財政再建する、すなわち政府の負債対GDP比率を改善するには、名目GDPを成長させる必要がある。そのためには、デフレから脱却すればいいのだ。経済成長こそが、全ての解なのである。

 ところが、日本のメディアや評論家は、IMFの定義までゆがめ、財政再建を「政府の負債を減らすこと」と解釈し、増税を推進している。結果的に、日本ではデフレ下の緊縮財政が強行され、財政が悪化する悪循環が続いているのだ。.

●(9)平成23年11月11日、夕刊フジ「田村秀男 “お金”は知っている」

 <「円売り介入」の一方で円買い投機誘う支離滅裂>

 古来、部族など共同体間や国家対国家の富の争奪は武力行使を伴う残虐な戦争がつきものである。所得や雇用の機会を相手から奪う現在の通貨安競争は、国家と富の本性からみて「通貨戦争」と呼ぶべきなのだが、日本はそんな意識が欠落し、無知故の愚策により墓穴を掘っている。

 まさか、と思う向きは先の仏カンヌで3、4日に開かれた日米欧と新興国合同の20カ国・地域(G20)首脳会議での野田佳彦首相の言動を振り返ってみればよい。

 <略>

 おまけに、問題国のギリシャ、イタリアですらG20で具体的に約束しなかった増税を、先進国中最も安心できる金融資産である日本国債の発行国が公約した。日本国債はますます買われ、円高が進む。一方で円売り介入しながら、他方で投機筋の円資産買いを促す。
 野田内閣の支離滅裂ぶりは歴代の政権でも空前絶後といえよう。
 (産経新聞特別記者)

●(10)平成24年1月28日、日刊ゲンダイ「消費増税で泣くのは庶民と中小企業だけ」

 <3兆円以上が企業へ戻し税>

 <略>

 一般には知られていないが、その代表が「輸出戻し税」の存在である。輸出品には消費税がかからない。外国人に日本の消費税を負担させるわけにはいかないという理屈だ。しかし輸出する自動車や家電は、国内の部品仕入れ過程では消費税が発生しているから、その分を国が後で「戻し税」として企業に還元する仕組みである。

 驚くのは、その額だ。10年度の政府予算書によれば、ナント総額3兆3000億円。消費税による税収の実に4分の1以上が輸出企業などに払い戻されているのだ。
  その内幕を、税理士で元静岡大教授の湖東京至氏がこう語る。

「消費税というのは、価格への転嫁が力関係で決まる不透明極まりない税金です。大手輸出企業が、消費税分を負けろと下請け業者いじめをしているのは常識であり、ほとんどの下請け企業、零細企業は、消費税を価格に転嫁できず泣き寝入りしている。そうやって安く仕上げて大企業は製品を輸出しているのですが、消費税戻し税は大企業に還付されるのです。輸出上位10社だけで年間8000億円も払い戻されています。消費税が10%にアップされれば、さらに戻し税は増える。これだけ丸儲けなのだから、経団連や大企業が消費税増税に賛同するのは当然なのです」

 財界が儲かることは他にもある。経済アナリストがこう囁いた。
 「<略>・・・・・いま復興増税で一時凍結ですが、いずれ法人税は引き下げられる。野田政権内でそういう話はできていますよ」

 <略>・・・・・一部では財務省との間で「消費税増税10%アップの時点で新聞は非課税になる密約も進んでいる」と報じられた。

●(11)平成24年2月7日、夕刊フジ「“日本”の解き方」(高橋洋一)

 <仙石氏や財務省が言う通り、国債利払いは深刻になるのか?><経済成長すれば問題ない>  1日の衆院予算委員会で民主党の仙石由人政調会長代行が「国債の金利が2%に上がったら利払いはどうなるのか」と問い、「財政再建は焦眉だ」と主張した。これが、よく財政破綻論者が使う「経済成長すると破綻する」という奇妙なロジックである。ちなみに、昨年4月21日、OECD(経済協力開発機構)対日審査報告書の発表会で、「経済成長すると破綻するのではないか」というフロアからの質問があった。
 それに対して、グリアOECD事務総長は、「そに質問は罠か」と冗談を交えながら、「金利が上がって財政が大変になるからといって成長を諦めるわけにはいかない。成長がすべて」と言い切った。

 その時の質問も、仙石政調会長代行と同じで、成長すると金利上昇によって利払いが増大して財政が破綻するというものだった。もちろん、成長すれば税収も上がる。しかし、財政破綻論者は税収より利払いが大きいと主張する。

 彼らは財務省の「後年度歳出・歳入への影響試算」を根拠としている。1月に出された2012年度版によれば、名目成長率が1%上昇した場合、13、14、15年度の税収増はそれぞれ0・5、1・1、1・7兆円である。一方、金利が1%上昇した場合、国債費の増加はそれぞれ1・0、2・4、4・1兆円としている。

 これをもって財務省にも高い名目成長を否定する人は多い。私が知っている首相秘書官経験者は、名目成長が上がると財政破綻すると信じ込んでいた。そのためか、その首相は本来成長論者であったにもかかわらず、在任中は成長をあまり主張しなかった。

 この数字にはトリックがある。国債残高は600兆円として、もしすべて1年債であったなら、金利が1%上昇すると次の年に6兆円増加して、その後は増えない。実際には1年より長期の国債もあるので、徐々に上がり数年経って6兆円まで上がるが、その後は増えない。

 ところが、名目成長が1%アップすると、時間が経過すればするほど税収は大きくなる。数年経つと6兆円以上増える。財務省の資料は、3年までしか計算せずに利払費が税収より大きいところだけしか見せないのだ。

 ある国会議員が3年より先まで計算するように要求したが、財務省が頑として計算しなかった。それを行なうと、マジックがばれるのだ。
 もし経済成長して財政破綻するなら、2000年代の名目成長率で日本は世界最下位なので、日本以外の国はとっくに財政破綻しているはずだ。ところがそうなっていない。成長は財政再建を含めて多くの問題を解決できるからこそ、OECDが目的のトップに掲げている。
 (元内閣参事官・嘉悦大学教授)

●(12)平成24年2月10日、週刊ポスト「ニュースのことばは嘘をつく」(長谷川幸洋・東京新聞・中日新聞論説副主幹)

 <「社会保障」「財政再建」は増税派の二重の嘘>通常国会が1月24日に始まった。焦点は消費税引き上げだ。野田佳彦政権は「増税分を全額、社会保障に充てる」と従来の説明を修正した。これまでは一部に社会保障以外の分も含まれていたのである。カネに色はついていない。借金で賄っていた分が増税で賄えるようになれば、その分の借金が減る。それなら増税の目的は財政再建と説明してもいいはずだ。そう言わず、社会保障を持ち出すのは「その方が国民の納得を得やすい」という計算があるからだ。

 実際、安住淳財務相は遊説で訪れた宮城県仙台市で河北新報のインタビューに答えて「消費税で社会保障費を賄えれば財政再建の大きな一歩にもなる」と語っている(1月22日付同紙)。増税目的を簡単に変えるのは、いかにも小手先の印象がある。

 財政再建とは何か。この肝心な点が実はよく理解されていない。政府は「借金が1000兆円を超える(2012年度末で国債と借入金などを合わせて1085兆円)」などと宣伝している。
 よくある誤解は「どうやって1000兆円を返済するのか。孫の代まで借金を残すのは申し訳ない」という話だ。ところが、国の借金は全額返す必要がない。かなりの識者でも全額返済が必要と思い込んでいる人がいるが、まったくの誤解である。

 財務省は国の財政を家計になぞらえて「月収40万円の家計の毎月の借金が35万円」などと危機をあおる。だが、国と家計には決定的な違いがある。住宅ローンは完済しなければならないが、国は永遠に続くので、借金が永遠に続いても何も問題はない。
 問題は借金の規模なのだ。国の大きさに比べて借金が年々膨らみ続けていれば、財政は健全といえない。逆に減っていれば、健全と判断する。

 国の大きさに比べた借金は、たとえば「債務残高の国内総生産(GDP)比率」で計る。日本は11年度末で182%だ。1980年度末は110%だったから、増加傾向にあるのは間違いない。これを横ばいか減少傾向にできれば、財政再建達成である。

 そのためにどうするか。答えは「政策的経費を税収や税外収入で賄える状態」にすればいい。これを基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡状態といっている。いまはGDP比で7%強、金額にして約35兆円の赤字なので、この分を歳出削減や税と税外収入の増加で賄えればいいのだ。

 増税と言わず「税と税外収入の増加」と書いた点に注意してほしい。べつに増税しなくても景気が良くなれば、税収は自然に増える。したがって景気をよくするにはどうするかが、財政再建のための真の課題である。

 景気を良くするために、まず必要なのは真の金融緩和だ。この連載で指摘してきたように、日銀は金融を緩和するふりをしているだけで、実際にはマネーが増えていない。だからデフレが続いている。

 デフレを放置したまま増税すれば、ますます景気が悪くなるだけだ。増税しても税収は増えず、かえって減収になる可能性さえある。そうなれば増税→景気悪化→財政悪化→また増税?の悪循環に陥ってしまう。
 「財政再建に増税が必要」という話は自分の財布を膨らませたい官僚とそれに乗ったマスコミの言い分に過ぎない。徹底した歳出削減金融緩和こそが必要だ。けっして「財政再建イコール増税」ではない。

●(13)平成24年2月15日、朝日新聞「“インフレ目標”日銀導入」

 <米と歩調、景気下支え>

 日本銀行は14日、年1%の物価上昇を目指すことを決め、事実上の「インフレ目標」を導入した。米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)が1月に導入したのに歩調を合わせた。欧州の政府債務(借金)危機など財政が厳しいため、世界的に金融緩和で景気を下支えする動きがより強まってきた。

 <以下は略>

●(14)国会などで厳しく追及されていた日銀はとうとう「インフレ目標」を導入しました。日本の政治も同様ですが、追い込まれて、どうにもならなくなると、苦し紛れに対応する傾向があります。

 「果敢に」とか「ダイナミックに」対応して欲しいものです。多分、2%の物価上昇を目指したり、円を大幅に増刷すると、さらに劇的に変わるのでしょうね。同じ松下政経塾出身の山田宏・前東京都杉並区長によると、野田総理大臣は下記のように語ったようですが、果たして、その重要性をどの程度理解しているのでしょうか。

●(13)平成24年2月6日、朝日新聞「今の状況で増税考えられない」

 <首相の本音?前杉並区長明かす>

 「今のような経済状況で消費税を上げることは考えられない」
 消費増税に突き進む野田佳彦首相が、増税が景気に与える影響を気にする発言をしていることを、松下政経塾の後輩の山田宏・前東京都杉並区長が5日、東京都内の講演で明かした。

 山田氏が「今消費税を上げたら風邪を引いている者に走れと言うようなもの」と忠告したところ、首相は「その通りだ」と同意。その一方で、「自分の国で、債務を処理できることを表明しないといけない」とも強調し、増税法案は欧州のような債務危機を防ぐための意思表示として不可欠、との認識を語ったという。

 首相が環太平洋経済連携協定(TPP)についても「米国の態度が変わり、中国が猫なで声に変わった」と交渉参加表明後の感想も述べていたとも披露した。

<文責:藤森弘司>

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