2012年10月31日 第81回「トピックス」
●(1)今回の大統領選は史上まれに見る激戦のようです。最近の支持率も、ある調査によれば49%対49%だそうです。
ただもうハチャメチャな選挙戦になっています。なんでもありの想像を絶する戦いで、選挙費用も多額ですし、猛烈な中傷合戦の上に、最終盤になって、史上まれに見る「ハリケーン」が激戦州を襲いました。沿岸各州が「非常事態宣言」を出すほどで、火事は発生するし、地下鉄に大きな被害も出ています。期日前投票にも大きな影響があり、大統領選がどう転ぶか、専門家も予想が困難なようです。 第一回のオバマ氏とロムニー氏の討論会は、オバマ氏の劣等感コンプレックスがモロに出たように、私(藤森)には思えます。 私はニュースで一部を見ただけですが、前回のひ弱さを跳ね返そうとして、積極果敢に出たやり方は、まるで上司が部下に対するかのように、ロムニー氏の発言を遮る嫌らしさ、傲慢さを感じました。 面白いもので、日本でも石原慎太郎氏のある種の傲慢さが、むしろ頼もしさに思われて人気があるように、オバマ氏のこの傲慢な態度が大衆受けしたようで、第二回の討論会はオバマ氏が支持率で勝ちました。 そこへハリケーンが襲い、激戦州が大混乱のようですし、11月3日に発表される「失業率」がどうなるか・・・・・。 「失業率」が今のように高くて再選された大統領は無いようですし、選挙資金が多い候補が常に勝っているようですし、勝者は常にオハイオ州で勝利しているようです。 3年前からオバマ氏をウオッチしている私(藤森)には不思議な因縁を感じずにはいられません。 後数日、結果はどうなるでしょうか!? |
●(2)平成24年10月18日、夕刊フジ「世界を斬る」(日高義樹)
<米政治のいいかげんさを露呈> 「イラクが濃縮ウランを製造しようが、たいしたことではない。核兵器を作ったとしてもイランは、それを搭載するミサイルを持っていない」 この発言は無知もいいところだ。イランは米国を攻撃できる長距離ミサイルこそないが、イスラエルなど近隣国を攻撃できるスカッド改良型ミサイルを持っている。 リビアのベンガジで米公使館が攻撃され、大使ら3人の米国人が殺害されたのはオバマ外交の大失点だが、これについてもバイデン氏は次のように述べていた。 「現地が出したというセキュリティー強化を求める手紙など誰も見たことがない」 この発言もウソで、殉職したスティーブンス大使が再三、セキュリティー強化を求めていたことは、国務省の担当者が議会で証言している。 米マスコミは、バイデン氏が討論の途中で相手をさえぎったり、小馬鹿にしたような嘲笑を浮かべたりしたことも「政治的な老練さを示す態度」として、むしろほめたのである。 オバマ大統領の発言を聞いていても、今の米政治が極めていいかげんであることが分かる。ベンガジ事件も、オバマ大統領は最初、「イスラムの反米デモが暴走した」などと言っていた。その後、事実がそうでないと分かると、180度態度を変えて、「デモだとは言わなかった」と記者団に釈明した。 米政治がいいかげんなことは何も今に始まったことではない。ケネディ家の末弟エドワード・ケネディ氏はパーティーから帰る途中、自動車事故を起こし橋から転落、溺れるガールフレンドを見殺しにして家に戻りベッドの中で震えていた。 兄のロバート・ケネディ司法長官(当時)のおかげで政界に生きながらえ、やがて民主党の神様のような存在になった。インターンとのセックス醜聞で、嘘をつき、弾劾寸前になったクリントン元大統領は今も人気者だ。9月の民主党大会での彼の演説は、「オバマ大統領の演説より素晴しかった」などと賞賛されている。 ヨーロッパの人々が、こうした米政治を高く評価しないのは当然だろう。だが、日本はなぜか過大評価している。 |
●(3)平成24年10月26日、日刊ゲンダイ「春名幹男・国際情報を読む」
<オバマ大統領・人気後退、苦戦の理由> 米大統領はオハイオ州で決まる、と言っても過言ではない。なにしろ1964年以降12回の米大統領選で、当選した大統領が勝ち続けてきたのはオハイオ州だけだからだ。 全米を見渡すと、民主党はニューヨーク、カリフォルニアなど東西両海岸の多くの州を抑え、共和党は中西部、南部で勝つのが決まった図式。 今回はこれらのうち、オハイオに加え、アイオア、コロラド、バージニア、ニューハンプシャー、フロリダ、ウィスコンシンの7州が最激戦州、との見方で両党は一致している。つまり7州で勝った者が勝者となる。 さて、どちらが勝つか。世論調査以外にも便利な予測方法がある。これら7州での選挙登録者を見て、民主党か共和党か、どちらの支持者が多いかを比較すればいい。米国では選挙登録をしないと投票できないからだ。 オハイオ、バージニア、ウィスコンシン3州は支持党別選挙登録者数を発表していない。 現職オバマ大統領の問題は、前回2008年大統領選では激戦州で民主党支持の選挙登録者が一気に約100万人も増えたのに、今回は40万人強にとどまっていること。今回最も大幅に増えたのは「無党派」の50万人強だった。 彼は黒人議員連盟で「文句を言うな、泣くな」などと演説、「父の日」には「男は子供をつくる能力ではない。育てる勇気だ」と言い、黒人運動家ジェシー・ジャクソン氏から「黒人を見下ろす変なヤツとは絶交だ」と言われたこともある。レーガン大統領のような親しみが持てる人物なら、楽勝だったのではないか。 <春名幹男・・・・・早大客員教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル・・・CIAの対日工作」など著書多数> |
●(4)平成24年10月21日「ワシントンの日高義樹です」(7チャンネル)
<アメリカは新しい大統領を選ぶのか> オバマは経済、外交のすべてを失敗しているのでロムニーが簡単に勝つと思った。 オバマ陣営の熾烈な、まさに嘘を込めたようなテレビCM、さらには、面と向かった人格を傷つけるような批判。そのため、ロムニーの人気が今ひとつ上がらない。 失敗した大統領と、今ひとつ人気が上がらない候補で、どちらが勝つか、読みが難しい状況にある。 <共和党上院議員総会会長代行・ロイ・ブラント氏> <<下記のまとめは、日高氏と次の諸氏との対談によります。対談者は、全米商工会議所会長・トム・ドナヒュー氏、ウイクリー・スタンダード編集長・フレッド・バーンズ氏、政治評論家・ウイリアム・クリストール氏>> <第一部のまとめ> <第二部のまとめ> <第三部のまとめ> <第四部のまとめ> <第五部のまとめ> 経済がダメ、リビア、アフガニスタンがダメ、新しい大統領を選ぶのは政治的必然。アメリカ人は困ったときや事態が停滞したときは、なにがなんでも新しいものにする、新しいことを行なうというのがアメリカであり、アメリカ人でありました。 しかし、今年の大統領選は、そういうタイプのアメリカ人がいなくなってしまっているのではないか。このことは、アメリカに全てを依存し、国の安全を保ってもらっている日本人としては、どう対処しなければならないかを深く考えなければならない事態になっている。 |
●(5)平成24年10月28日、東京新聞「米大統領選2012」
<あと10日 両者大接戦> 米大統領選は11月6日の投票日まであと10日に迫った。民主党のオバマ大統領とロムニー候補は、がっぷり四つの大接戦を展開。激戦州の世論調査結果ではオバマ氏が鼻差でリードしているが、上り調子のロムニー氏が逆転することは十分に可能な情勢だ。 <オバマ氏僅差優位><勢いはロムニー氏> <オハイオ争奪戦> 両陣営が特に重視するのは、8州の中でも選挙人数が多い上位3州、南部フロリダ(29人)、中西部オハイオ(18人)、南部バージニア(13人)だ。オバマ、ロムニー両氏がこれまでに行なった集会の回数、両陣営がテレビ広告に投じた費用のトップ3は、いずれもこの3州だ。 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した世論調査の平均値では、オバマ氏がオハイオなど5州でわずかにリード。ロムニー氏はフロリダ、バージニアなど3州で僅差の優位に立つ。この情勢がそのまま選挙結果に反映されると仮定すれば、オバマ氏が選挙人281人で逃げ切る。 ただ、各州での支持率の差はいずれも3ポイント未満。ロムニー氏がオハイオ州で逆転すれば、選挙人総数は275人に達して勝者が入れ替わる。 <選挙人同数の事態も> 米大統領選に絡み、米メディアでは、オバマ氏とロムニー氏の両候補が獲得する選挙人が269人の同数になる可能性も取り沙汰されている。この場合、次期大統領はすぐに決まらず、来年1月に下院が大統領を、上院が副大統領を投票で選出する。 大統領選と同じ11月6日に行なわれる議会選挙を経ても、共和党が下院、民主党が上院の多数を握る状況は変わらないと予想されている。このため、選挙人が同数の場合、共和党のロムニー氏が大統領になり、民主党のバイデン副大統領がそのまま再選される事態が予想される。可能性は低いが、選挙人が同数になれば、1800年以来2度目となる。 |
●(6)平成24年10月30日(29日発行)、夕刊フジ「オバマ陣営“嵐の予感”」
<ハリケーン接近・・・大統領選不利に> <激戦州バージニア被害の恐れ> オバマ再選に非常事態宣言。米東海岸の人口密集地域にハリケーン「サンディ」が上陸する可能性が強まり、来月6日の米大統領選への影響が懸念されている。激戦州の南部バージニア州も被害を受ける恐れがあり、民主党のオバマ大統領に不利に働くとの見方も出ている。 サンディは29~30日に首都ワシントン近くの東岸付近に上陸すると予測されている。ワシントンや隣接する東部メリーランド州は非常事態を宣言して警戒を強めている。 大統領選は、民主と共和の接戦州の行方が勝敗を決するとみられているが、その一つであるバージニア州にも被害が出る恐れがある。復旧作業などで投票所に行かない人が増え、投票率が下がる可能性が出ている。 民主党のオバマ陣営の選挙参謀アクセルロッド氏は28日、CNNテレビで、投票率が下がると不利になると懸念。前回大統領選でオバマ陣営は、期日前投票が勝因の一つとなったが、「バージニア州は期日前投票が制限されている」(共和党関係者)ためだ。 ●10月29日、東京新聞夕刊「NY厳戒」 <米北東部 迫るハリケーン> 米気象当局は28日、強い勢力のハリケーン「サンディ」がニューヨークなど米北東部に接近しているとして、大西洋沿岸の住民数百万人に暴風雨や洪水への警戒を呼び掛けた。29日夜(日本時間30日昼)にも上陸する見通しで、沿岸各州は非常事態宣言を出すなど厳戒態勢を敷いている。 ニューヨークでは28日夜から地下鉄、バス、近郊鉄道が全面運休。マンハッタンの一部を含む沿岸地域に強制退避命令を発出した。ニューヨーク州のクオモ知事は外出を控えるよう呼び掛け、大半の飲食店や商店が営業時間を切り上げた。 サンディは最終盤に入った大統領選の選挙戦にも影響。民主党のオバマ大統領は29日と30日に予定していたバージニア州、コロラド州への遊説を中止。共和党のロムニー候補も29日のニューハンプシャー州での遊説を取りやめた。期日前投票率の低下も懸念されている。 |
●(7)映画「ラルゴ」をインターネットから転載します。カーター元大統領とオバマ大統領は似ているところがあると言われています。そのカーター氏が再選できなかった直接の理由だと言われているイランの「米大使館人質事件」を題材にした映画が「アルゴ」で、私(藤森)も見ましたが、最高傑作です。
映画評論家の折田千鶴子氏は最高の「★★★★★」、私は満点の評価がついた映画を初めて見ました。解説: 『ザ・タウン』などのベン・アフレックが、監督、製作、主演を努めたサスペンス。1979年のテヘランで起きたアメリカ大使館人質事件と、その裏で敢行されたCIAによる救出作戦の行方を追い掛ける。監督として『ザ・タウン』で見せた緩急自在な演出をベンが本作でも繰り出し、謎に包まれていた救出作戦の全ぼうを活写。その一方で、貫録たっぷりに指揮を執るCIAエージェントを熱演する。『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキンや『アーティスト』のジョン・グッドマンら、脇を固めるベテラン勢にも注目。あらすじ: 1979年11月4日、テヘラン。イラン革命が激しさを募らせ、その果てにアメリカ大使館を過激派グループが占拠し、52人もの人質を取るという事件が起きる。パニックの中、アメリカ人6名が大使館から逃げ出してカナダ大使の自宅に潜伏。救出作戦のエキスパートとして名をはせるCIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6名が過激派たちに発見され、殺害されるのも時間の問題だと判断。彼らを混乱するテヘランから救出する作戦を立案する。しかし、それは前代未聞で大胆不敵、そして無数の危険が伴うものだった……。 |
●(8)日高義樹氏は・・・・・
10回の大統領選を取材してきた私は意外な結果になる可能性も強いとみている。 1980年、民主党の現職カーター氏と共和党の挑戦者レーガン氏が戦った選挙では、10月27日の結果はカーター49%、レーガン39%と、カーターが圧倒的に有利だった。 レーガン陣営の責任者、エド・ミース顧問は落ち着き払って「まあ、結果を見ていなさい」と言ったのを覚えている。・・・・・カーターは不安で3日前になっても、大統領専用機で全米を駆け巡っていた。 カーター対レーガンから20年後、クリントン景気を引き継いだゴア副大統領が、世論調査でブッシュを抑えていたほか、投票総数で50万票もブッシュ氏を上回っていたが、選挙には敗れた。 今度の選挙では、オバマ氏がアフリカン・アメリカンと呼ばれる黒人の99%、ヒスパニック系米国人の80%を固めた。つまり有権者の30数%を確実におさえているわけだ。 世論調査とは対照的に、ハドソン研究所の調査によれば、オバマ大統領が4年間、白人と黒人の対立という米国特有の社会情勢を悪化させる政治を続けた結果、黒人に反感を持つ白人が増えている。 意外なドンデン返しが起きる最大の理由は、完全な失敗に終わったオバマ経済に米国人が満足していないからである。(夕刊フジ、11月1日) |
<文責:藤森弘司>
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