2011年7月31日 第53回「トピックス」
消費税についての一考察

●(1)菅総理大臣は財務省に支えられて延命するために、増税一本槍の状態です。五百旗頭某氏が復興本部の本部長に就任するや、議論しないうちに、消費税の増税論をぶち上げました。

 私は、経済のことは全くわかりませんが、日本の経済がメチャクチャになりそうな上に、東日本大震災の発生で、経済のことがとても心配で、新聞や週刊誌などの記事を丹念に読んでいます。
 私(藤森)は、貧しい人生をずっと生きているので、どんなに不景気になっても、どんなに生活を切り詰めるようになっても、それは構わないのです。そういうレベルの範囲であれば、私は耐えることに慣れていますので。

 ただ、今の日本の置かれている現状は、そういうレベルを超えて、ハチャメチャになりそうなので、非常に心配しています。いろいろな専門家の意見を聞いていると、やり方によっては、大震災の復興は経済の建て直しにチャンスのようです(2011年3月15日、第104回「早急に『挙国一致の救国内閣』を!!」ご参照)。

 しかし、スッカラ菅総理大臣は、橋本元総理大臣の失敗の轍を踏もうとしています。橋本元総理大臣は、消費税を3%から5%にアップしたときに、消費税の税収は増えたが、それ以上に所得税や法人税などが減収になったようです。
 まともな専門家の意見は、不景気(デフレ)のときには消費税をアップすべきではないというのが一致した意見です。しかし、財務省や財務省よりの専門家(権力の側)は、後の世代にツケを回すべきではないという論理で、消費税のアップを強調しています。

●(2)まず、ヨーロッパの消費税に相当する間接税は、どこも日本の5%よりも数字が大きいと財務省を中心に言いますが、ヨーロッパの諸国は、食料品などの日用品は除外されています。それを勘案すると、ヨーロッパ諸国の間接税と日本の消費税5%は、ほとんど変わらないそうです。こういうゴマカシがあるから、注意が肝心です。

 さらに、デフレ経済下で消費税を上げるのは自殺行為に匹敵するそうです。デフレ経済でありながら、大震災で、何もかも自粛しています。我が家の近くにある「昭和記念公園」でも、7月末にある「花火大会」が中止になりました。お祭りや盆踊り、花火大会、花見等々が、バカな都知事の鶴の一声で続々と中止になっています。デフレの上に、経済を萎縮させているのですから、何をかいわんやです。

 「上野の花見」を中止させましたが、むしろ、あそこで「募金」を呼びかけたら、花見をすることが東北の人達を応援することになりますし、我々は、大震災で縮こまった精神を解放できるし、一挙両得になったはずです。花見のドンちゃん騒ぎの大義名分ができるし、酒が入れば、募金額も弾みたくなるのではないでしょうか。為政者は、権力を振り回すのではなく、知恵をだして、国民を豊かにしてほしい。

●(3)さて、何もかも萎縮している上に、電力不足の問題で、企業が海外に脱出しそうで、ますます税収不足になりそうです。そこに、消費税を中心に増税論を振りまけば、国民の財布はますます固くなってしまいます。
 というよりも、酒税やタバコ税などもアップしそうで、しかも、サラリーマンの年収はドンドン下降しています。そんな中で消費税をアップすれば、日本の経済は破滅してしまいそうです。
 経済については全くの素人ですが、関心を持って情報に触れていると、自ずと、何が正しいか、何が間違っているかが見えてくるものです。今は、消費税を上げるべきではなく、また、円高も、理論は簡単なようです。

 では、ここで、得意の新聞記事をご紹介します。私(藤森)の直感では、これから紹介する記事は、絶対に正しい(?)と思っています。世の中のいろいろなものは、本当に正しいものがパージされる傾向にあり、悲しいものです。

 最近では、専門家に、スッカラ菅総理大臣は「精神病(統合失調症)」を疑われています。菅総理大臣の神経が「へこたれず逞しい」という言い方もされていますが、それは間違いです。逞しいというのは、目的があって、それを達成するために、メディアに酷評されても頑張る・・・などが逞しいのであって、無神経、あるいは神経が壊れていると言われかねない人間性を「逞しい」というのは間違っています。

●(4)平成23年7月20日、夕刊フジ「2011『日本』の解き方」(高橋洋一)

 <なるべくしてなった円高を海外のせいにする与謝野氏>
<政府日銀の無策で経済滅ぶ>


 海外市場に引き続いて14日の東京市場でも1ドル=78円台まで円高が進んだ。東日本大震災で、電力供給が不安定になる中で、円高が定着し、一層の円高の気配さえある。

 日本の製造業にはもはや日本を拠点とするのは無理でこの際海外に移転しようとする動きもある。
 震災後の円高について、今の日本は国の借金が膨大なうえ、、東日本大震災で大きな被害を受けて経済的に苦しいから、こうした国の通貨が買われるはずはないと言う人がいる。テレビなどでもこうした素朴な解説をする人も少なくない。
 また、震災後、輸出が落ちて貿易収支が赤字になったから、円高になるのはおかしい、と30年前くらいに大学で学んだうろ覚えの知識を披露する人もいる。

 実は長い目で見れば為替の動きは単純だ。マネタリーアプローチという経済理論で説明できる。為替は両国通貨の交換比率であるが、両国通貨の量の比によっておおかた決まるのだ。相対的に希少な通貨は相対的に価値が高くなるという単純な原理だ。

 円については日銀が大震災以降、一時的に増やしたが、その後は縮小気味になっている。一方で、ドルについては米FRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和第2弾(QE2)を6月末で止めると言ったが、最近の景気回復のペースの遅さから少なくとも通貨残高維持という方向になっている。となると、円とドルでは相対的に円のほうが少なくなって、円高方向になるのは当然だ。

 また、中期的に見ると、両国金利差も為替に影響する。今の為替を考えるには、少額な第2次補正よりも規模は20兆円ともいわれる第3次補正が注目される。
 今のところ、つなぎ国債で財源調達してその償還財源のために増税というシナリオが有力になっているが、それだと、いわゆるマンデル・フレミング効果によって、日米の金利差から見て円が実質的に割高になって、理論上は円高方向になる。
 それを抑えるためには、つなぎ国債の発行に対して、日銀引受や買いオペをすればいいのだが、日銀はそれを拒否している。となると、円高になるのは理論通りだ。これからの話は震災直後から私は予測していた。

 ところが、今回の円高について、13日の記者会見で、欧州財政危機のために日本が逃避先とされているからと説明する与謝野馨経済財政相には驚いてしまう。
 少し前に日本は財政危機だから消費税増税しないとダメだといっていたのに、そこに資金が逃避しているとはお門違いだ。このように原因を海外に求めると国内の対策は打たなくなる。復興のつなぎ国債の日銀引受をすれば一発で撃退できるのに、無策のまま日本をさらに苦しめる。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授)

●(5)平成23年7月23日、夕刊フジ「2011『日本』の解き方」(高橋洋一)

 <復興増税を提言する学者はなぜ東大関係者が多いのか>
<理論的には国債発行がスジ>


 震災復興の財源について、多くの経済学者は「復興コストのツケを将来世代に回すな」として増税を提言している。

 例えば、5月23日の伊藤隆敏(東京大学)・伊藤元重(東京大学)+経済学者有志の提言「震災復興にむけて」の中では「正しい選択肢は、『今生きている世代が負担するのか、将来世代が負担するのか』ということである。低成長、人口減少のなかで、次世代にツケを回すのは止めよう」として、「復興連帯税」が提唱されている。

 これに賛同する経済学者有志として100人を超えるリストがある。これをみると、日本の経済学者のほとんどをカバーしている。
 また、6月10日に学術会議から出された提言「東日本大震災被災地域の復興に向けて・・・復興の目標と7つの原則」の中で、復興財源について「国民が連帯して広く公平に復興の財源捻出に協力すること」と書かれている。

 これらが、経済学者以外にも波及する。6月25日の「復興構造会議」による「復興への提言」の中で、「復旧・復興のための財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担の分かち合いにより確保しなければならない」になっていく。ここでも「連帯というマジック・ワードが出てくる。
 東日本大震災は、100年に一度より稀な経済ショックである。これに対する復興財源について、標準的な経済理論は国債による負担の分散化だ。

 経済に生じた一時的なショックに対するクッションとして国債発行を活用することは、従来ケインズ的な立場から主張されてきた。それへの批判もあったが、ケインズ的な立場以外からも、より長期的な観点から、一時的な国債発行は、米国の経済学者バローによって課税平準化(tax smoothing)理論として正当化されてきた。つまり、一時的な経済ショックを受けて財政出動した場合、増税によってその時点の財政収支を均衡させることは効率性の観点からも望ましくない。むしろ公債発行によって税収と財政支出を一時的に乖離(かいり)させたほうがいい。

 直感的にいえば、もし100年に一度のショックがあってそのための財政支出が必要なら、100年国債を発行してその負担を100年間で分割したほうがいいわけだ。
 これに反する提言を行う経済学者が多いのは理解に苦しむ。賛同者リストを見ると、東大関係者が多く政府審議会などで政府とのつながりがある人が多い。「曲学阿世」という言葉があるが、経済学者には経済理論より時の権力に擦り寄りたい人が多いのではないだろうか、と邪推してしまう。

 <藤森注・・・・・これが、私が一番言いたいことです。第51回「トピックス」「官界に『坂本龍馬」現る!!」の古賀茂明氏は、現職の経産省の幹部ですし、改革派官僚として活躍してパージされた高橋洋一氏、共に、権力の側にいたお二人が、これだけ正論を吐ける勇気を応援したいものです。結局、「曲学阿世」などの連中に、スッカラ菅総理大臣は神輿を担いでもらっているのでしょう。
私の尊敬する曽野綾子先生は、東大法学部卒をしばしば批判的におっしゃいますが、まさに、東大全体が腐りかけtいるのだと思われます。私(藤森)の持論ですが、権威があるところほど、実態は腐りかけていると思っています。検察庁の特に
「東京や大阪地検の特捜部」などが典型的ですが、権威に守られてきた「東大」も、恐らく、いろいろな分野で腐りかけてきているでしょう。>

 (元内閣参事官・嘉悦大教授)

●(6)平成23年5月10日、夕刊フジ「2011『日本』の解き方」(高橋洋一)

 <官僚や東電のトップ占める「東大文系」エリートの限界>
<前例ない有事の対応苦手>

東京電力ってどんな企業だろうか。超のつく優良安定企業だ。役所とほとんど同じだ。

 企業のイメージを一つの指標で語るのは難しいが、社長の出身でみてみよう。東電の清水正孝社長は慶応大学出身で、私立大学出身社長は東電では初めてのケースだ。ところが、これまでの東電社長の出身大学学部を見ると、東大法学部・経済学部ばかりだ(東洋経済新報社「役員四季報」1989~2010年調査)

 他の電力9社では、理系出身の社長が目立つが、東電だけは現社長の清水氏を除き東大文系ばかりだ。もちろん東電にも理系出身の役員はいるが、取締役に占める比率は低く、しかもせいぜい副社長止まりだ。
 この構造は、霞ヶ関の役所とそっくりだ。主要官庁では国交省を除いて理系出身の事務次官はほとんどおらず、文系、それも東大法学部・経済学部出身の事務次官が多い。その東大文系官僚が多くの幹部ポストを占めている経産省から東電への天下りが続いていたが、それも東大文系での同窓会気分かもしれない。

 今年1月1日付で、東大法学部卒で前資源エネルギー庁長官の石田徹氏が顧問として天下りした。顧問で天下って、その後副社長になるのが、「お約束」だ。これで1962年以来ほぼ切れ目なく文系天下り官僚が東電役員になっていた。そういえば、経産省原子力安全・保安院で記者会見を担当していた西山英彦審議官も東大法学部卒だ。

 このように東大文系がトップになる企業は、銀行などでも見られる。共通しているのは規制業種であることだ。規制業種の場合、監督官庁の意向が企業業績に大いに影響する。となると規制官庁の情報を入手している者が社内でも影響力を持つ。

 監督官庁が東大文系官僚である場合、出身大学学部が同じであれば同窓のよしみで接触しやすいので、結果として、東大文系が企業のトップになる可能性が高くなるのだろう。銀行において、大蔵省から情報入手を目的とする大蔵省担当(いわゆるMOF担)が経営トップになるのはよく見られたパターンだ。

 ところが、このような東大文系トップは平時の監督官庁からの情報に強いが、想定外の事故処理が下手で危機対応時に弱い。銀行でも1990年代の不良債権処理を放置したまま、90年代後半の金融危機でうまく対応できなかった。

 文系は理系に必修の実験をやらず机上の議論が多い。その典型例はペーパー試験に強い東大文系官僚だ。彼らは前例のあることには強いが、未曾有の事態の対応は苦手だ。容易な問題ばかり処理して、難易度の高い問題をスキップする能力がペーパー試験人生で身につくようだ。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授)

●(7)平成23年7月31日、夕刊フジ「被災3県 議長が退陣要求」

 <菅こそ復興の足かせ>

 全国47都道府県議会の議長が、菅直人首相に即時退陣を求める緊急決議を採択した。主導したのは東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の県会議長だ。議長らは夕刊フジの直撃取材に応じ、「菅首相の存在こそ復興の足かせだ。被災者のために、一刻も早く退陣を」と悲痛に訴えた。

 27日に決起したのは、宮城県の畠山和純(自民党)、福島県の佐藤憲保(同)、岩手県の佐々木一榮(民主党)の3議長。決議文では「(菅首相が)明確なビジョンを示さず、国民の政治に対する信頼を著しく損なっている」として、「いさぎよく退陣」するよう求めている。

 原発事故に直面している福島県の佐藤氏は「子どもたちは避難を強いられ、大人は『明日の生活や仕事はどうなるのか』と不安にかられている。しかし、不安解消のための第3次補正予算は進んでいない。菅首相の進退が政局の中心になっている以上、退陣しかない」と断言する。

 東北の中心・宮城県の畠山氏も「自治体が復興計画を立てても、国の計画、財源が決まっておらず、動けない。菅首相が延命しか考えず、政権運営ができていないことが問題だ。首相が与党から『ダメだ』といわれるのは異常。菅首相の存在自体が復興の足かせになっている」と述べた。

 これに対し、菅首相は「復旧・復興と原子力事故の収束は着実に進行し、国民は喜んでいると思う」と厚顔無恥の発言を行なっている。被災地はどう思っているのか。
 畠山氏は「バカを言ってはいけない。宮城県には仙台牛というブランドがあるが、セシウムに汚染された稲わらを食べて、出荷停止になった。3、4月に手を打っていれば、こうならなかった。菅首相は人の気持ちが分からない」と激怒した。

 緊急決議の扱いは議長会会長(三重県の山本教和議長)に一任され、首相官邸に乗り込み、菅首相自身に手渡す案などが浮上している。
 佐藤氏は「全国規模の組織である議長会の決議は重い。菅首相は国民のことを考えて即時退陣すべきだ」と語る。確かに、不人気の森喜朗首相(当時)が地方の反乱をきっかけに退陣に追い込まれた例もある。
 ペテン首相に、被災地の叫びは届くのか。

<文責:藤森弘司>

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