2011年6月10日 第47回「トピックス」
菅総理大臣と後継候補について

●(1)民主党のゴタゴタにはうんざりです。民主党になってから、ただもううんざりの連続で、選挙になったならば、オセロのように雪崩を打って、自民党に流れてしまうように思えてなりません。

 自民党のときは、戦後ずっと続いて来たために、中がどうなっているのか分からず、ただ、批判だけしていました。しかし、民主党になってから、中がよくわかるようになったことと、自民党の腐敗政治を変えてくれるのではないかというフレッシュ感に大いに期待しました。その期待がことごとく打ち砕かれ、民主党までもがこんなに腐敗しているのかという失望感が非常に大きいです。多分、多くの国民も同様の心境ではないでしょうか。

 民主党の選挙は、昨年の参院選挙からずっと負け続け、先日の青森県知事選挙は4倍差の大惨敗です。これはもう政権党のテイをなしていません。その上、誰も責任を取らないのですから、中学や高校の生徒会レベルです。●(2)民主党政権になったとき、私(藤森)が尊敬する曽野綾子先生は、どこがやっても変わらないだろうと思っていたが、ある年配の政治評論家(顔は浮かぶのですが、名前が出てきません)が期待しているので、少しは期待できるのかもしれない・・・・・と書いていましたが、結果、曽野先生の感想が正しかったことになります。

 結局、人間は、長年過ごしてきた土地柄(村)の感性から抜け出ることはできないのでしょう(特に、日本と言うムラ社会では)。万一、抜け出た発想ができる人は、結局、その土地(村)では出世できないのです。出世できないから、その土地柄から抜け出た抜群の発想・・・・・この場合であれば「政治力」がどれほどあるのか、一般には知ることができず、その他大勢の一人になってしまい、やがてその人材は埋没したり、弾き飛ばされてしまうように思えてなりません。

 小沢一郎氏は、種々の批判や問題点があるのでしょうが、今の日本を改革したり、斬新なアイデア・工夫ができる最大の人材だと、私(藤森)は思っています。こういう人材は、必ずと言っていいほど抹殺されたり、排除されたりするのが日本の社会の大きな特徴です。

 多分、リクルートの江副浩正氏もそうだったのではないかと思います。ライブドアの堀江貴文氏も同様ではないでしょうか。国策捜査だと言う人もいます。孫正義氏もある意味でそういう危険性を孕んでいるのかもしれません。
 田中角栄氏も、小沢一郎氏も、抜きん出る人は、必ず、一癖も二癖もあるし、少々悪人的であるのも当然です。そういうアクが無い人間は、人に使われる立場になるか、私のようにウダツがあがらない人生を送るべきですが、日本ではどうでもいいような人間がトップになる傾向があるように思えてなりません。

 こういう(村)社会では、さんざんフィルターにかけられ、どうでもいいような人間・・・・・アクが完全に抜かれたような人間がフィルターの底に残る。ところが選抜試験に合格したかのように思われ、本人もそのように錯覚するような種類の人が総理大臣になってきているのではないでしょうか。
 大震災で、大被害の遭っている東北の人たちがお気の毒でなりません。なんとかならないのでしょうか。

●(3)さて、菅総理大臣が交代するのは、いくらもがいても、もはや時間の問題でしょう。醜い姿をより多く見せるか否か程度のことで、もはや実質、命脈は尽きているように思えます(最近、またまた、粘り越しを見せて、どうなるやらわけがわからなくなってきました。亀井静香氏も頑張ってきました。案外、菅政権のキーパーソンになるかもしれません。亀井氏、小沢氏が活用されるのならば、菅直人氏が総理を続けてもいいかなと、私・藤森は思っています)。

 さて、後継は誰になるか・・・・・私(藤森)はある方と話をしたときに、誰がなろうとも菅総理大臣をよりもマシであると言いましたが、少々、発言内容を変えます。
 候補の中心人物に「松下政経塾」出身者が多いようです。彼らを中心にした、いわゆる「高学歴で長身・イケメンで松下政経塾出身者」が、ファッション業界のモデルのように、政治の世界のモデルになっているように思えてなりません。
 それを考えたならば、もう誰がなっても、ほとんど変わらないような気がしてきました。日本のムラ社会の中でノシてくる人間には共通のタイプがあるのかもしれません。

 そういう中にあって、私に一つの希望を抱かせる新聞記事を発見しましたので、まず、それを紹介します。

●(4)平成23年6月7日、夕刊フジ「鈴木棟一の風雲永田町」

 <ポスト菅「鹿野道彦農水相」の呼び声>

 内閣不信任案採決があった2日夜、赤坂の料亭で経済人たちが鹿野道彦農水相、石田勝之衆院財務金融委員長、篠原孝農水副大臣の3人を囲んだ。石田、篠原両氏はかねて鹿野氏を「ポスト菅」の首班に推している。石田氏が発言した。
 「民主党政権は、鳩山、菅と2回失敗した。もはや3度目の失敗は許されない。菅は『若い世代に引き継ぐ』と言ったが、これまでのようにイケメン、長身、テレビ映りがいいではダメ。気持ちは若いが経験がある人。公明や自民とも対応できる、いぶし銀のような人を押し出すべきだ」

 そして、続けた。
 「この時期、東北人(山形1区)であり、当選回数(11回)、大臣経験(3回)の鹿野さんが地味かもしれないが、最適任だ」
 篠原氏は次の言い方だった。
 「鹿野大臣は信念の人で、芯が強い。自民党を離党して非自民を貫いた数少ない人だ。多くは自民党に戻った。戻らなくても、鳩山は自社さ政権で、小沢は自自連立で自民にすり寄った。鹿野さんは羽田孜、北沢俊美、石井一、岡田克也、古賀一誠らとともに、野党を17年、貫いた人だ」

 さらに、いまの民主党の体質論。
 「政治を進める根回し、段取り全くなし。典型は前原元国交相で、八ツ場ダム中止、高速道無料化、日航再建と、思い付きでやって全部失敗した。菅首相も消費税から始まって、TPP、お盆までの仮設住宅完成、サミットでの太陽光発電1000万戸。関係閣僚にも相談なし。『根回しは自民党の文化で、わが党の文化ではない』と思っているようだ」

 <芯が強いベテラン>

 篠原氏は、己の利害を無視して、信じることのみを言い、このため、しばしば物議をかもす。こう言った。
 「私は恐ろしくて、いまの民主の若者に政権なんか任せられない。玄人があまりにいない民主党。石原都知事が『菅政権でまともなのは鹿野君だけだ』と言った。自公からも鹿野へのエールが出始めている。鹿野がベストまで言わないが、見回しても鹿野しかいない」

 これらに答える形で、鹿野氏が言った。
 「民主党は理で解決する。政権を動かす、と思っている。理ではなく情で政治を動かす。ここが民主党の一番欠けているところだ。と若手に説いても、なかなかピンときてくれない。政権を持つことは辛い。これから自民と民主の我慢比べ。我慢できないでは、次の選挙で国民に評価されない」(政治評論家)

●(5)平成23年6月9日、日刊ゲンダイ「『次の首相』ヤフー調査で1位」

 <「小沢待望論」再燃>

 菅首相が不気味なぐらい地位に執着する政局で、小沢元代表に対する期待が高まっている。例えば、ヤフーが実施している「次の首相にふさわしいと思う政治家」の調査。小沢は26%の得票率でトップに立っている。党員資格停止と自身の裁判を抱き、身動きできないような状態でも、「グダグダの政治状況をどうにかしてくれ」と期待する声が多いのだ。

 政治評論家の有馬晴海氏が言う。
 「小沢さんは国民に支持されていないし、人気があるのは永田町だけ。そんな解説をする人もいますが、現実は、まったく違います。もちろん、投票したい人だけが投票するネットの調査は偏りが出ます。ただ、大手マスコミの調査でも、小沢さんは必ず上位にランクインする。政治とカネの問題など、いろんなマイナス要素について質問された後でも、“小沢”と答える人が多いのです。周りがクールビズでもスーツを着込み、ネクタイすら外さない。こだわりや信念はハンパではないし、リーダーシップも十分。政界がどん詰まりになればなるほど、政界一の剛腕に期待する声が高まるのは当然です」

 <若造に何ができるのか>

 大手マスコミは、前原前外相や枝野官房長官の名前を出して煽っている。しかし、偽メールにだまされたり、バカのひとつ覚えのように「直ちに問題はない」と繰り返したりする若造に、いったい、何ができるのか。冷静に考えれば、不安だらけだ。

 「小沢嫌いの大マスコミは、不信任案の採決で欠席したことを批判し、“小沢も落ちたものだ”と嫌みたっぷりです。小沢外しの大連立構想をうれしそうに報じている。でも、この政局で菅を追い込んだのは小沢さんです。造反はせいぜい20人と予想された中、投票前夜に70人を集め、執行部を慌てさせた。ポスト菅騒動は高みの見物。グループの議員と会合を重ね、結束を維持しながら、次の一手のタイミングを見計らっています」(民主党関係者)
 不毛な政治空白をなくすには、小沢しかいない。まともな国民も、そう感じているのだ。

●(6)平成23年6月10日、日刊ゲンダイ「千葉県警“見せしめ逮捕”に前県議が怒りの反論」

 <信号無視「突然7人の警官が自宅に押しかけてきた」>

 そこまでやるか。千葉県警の過剰捜査が問題視されている。先月31日に逮捕された前千葉県議の吉川洋氏(61)の道交法違反容疑事件のことだ。吉川氏は県議時代、県警の不正経理問題を追及してきた。いわば県警にとって、“目の敵”とされる人物。「信号無視」という超軽微な事案で逮捕され、大掛かりな家宅捜査まで行なわれたのだ。案の定、調べるほど怪しいにおいがプンプンする。

 県警発表によると、芳川氏は3月8日、柏市内の国道16号の交差点にバイクで進入、赤信号を無視して右折。出頭要請を拒否したため、逮捕したという内容だった。これに対し、吉川氏は真っ向から反論。憤りを隠さない。

 「まず当時の右折信号は青で、信号無視はありません。たったひとりの警官の目撃証言だけで道交法違反というのです。私は現場検証にも立ち会っていない。そんなバカな話がありますか。出頭通知には『(指定の)日時は都合が悪い』という文書を返し、『6月になったら日程を調整してうかがう』との電話も柏署に入れた。それなのに7人もの警官が突然、自宅に押し掛け、トイレまで調べた。マスコミ報道は県警の一方的な発表をタレ流し。私や弁護士に取材がなかった。冤罪事件はこうしてつくられるのだと思いました」

 吉川氏は結局、検察の取り調べも全面否認し、3日後に釈放された。柏署は「適法、適正な捜査と考えている」と説明するが、県警の“狙い”はどこにあるのか。
 「不正経理問題を追及した吉川氏に対して県警が『面白くない』と思っているのは間違い。それに吉川氏は、自民党支部長でありながら知事選で『完全無所属』を掲げた森田知事を公選法違反で告発したグループの中核です。これも引っ掛かりますね」(地元記者)

 元共同通信社記者で、同志社大社会学部の浅野健一教授はこう言う。
 「メチャクチャな事件です。そもそも本人が違反を認めておらず、任意捜査や調書作成に応じる必要はありません。裁判員裁判制度が導入され、犯人視扱いしない、両者(県警と容疑者など)の言い分を書く・・・となったが、犯罪報道の構造的な問題は変わっていない。この事件と(無罪が確定した)布川事件と何が違うのかとさえ感じます」
 “口封じ逮捕”“見せしめ逮捕”がまかり通るようでは江戸時代と何ら変わらない。

●(7)平成23年6月24日、週刊ポスト「バッカじゃなかろか仙原幸彦」

 <「次期総理」に名が挙がるのは「菅のお友達」「マスコミのお友達」ばかり>

 <略><大量被曝と大増税の張本人> 「幸」の人は国民人気があるのだという。原発事故で連日、会見に奮闘したというのが理由らしいが、これこそとんでもない勘違いかマスコミのミスリードだ。
 枝野官房長官その人こそ、東電と一緒になって事故の真相を隠し、国民を避難させずに無用の被曝に追い込んだ張本人だからである。
 本誌スクープで、政府が隠した「3つの重大データ」が明らかになっている。
 第1は放射能拡散予測データの「SPEEDI」、第2が原発事故分析・予測の「ERSS」、第3が原発維持のために隠された「電力供給量データ」である。

 いずれも国民の命を政権維持の踏み台にする許し難い情報隠蔽だが、今回本誌は、6月10日号で報じたERSSデータの詳細を入手した。
 官邸に提出されたその資料にはすでに「炉心溶融(メルトダウン)」はもちろん、「下部炉心支持板破損」「原子炉容器破損」、すなわち核燃料を納めた原子炉圧力容器に穴があく「メルトスルー」が起きていたことがはっきり書かれている。

 データには、それら事象による放射性物質(希ガスとヨウ素)の放出量の試算値まで記されていた。しかし政府は危機を隠し、適切な対策を取らなかった。
 その責任者が枝野氏である。その間違いを糊塗するため、その後も「ただちに健康に影響はない」と避難を先送りし続け、無用な被爆者を大量に出したこの男が「次期総理」など、背筋が寒くなるばかりだ。
 枝野氏は、記者会見で次期総理の下馬評を問われ、まんざらでもないニヤニヤ笑いを浮かべて、「私は菅内閣の官房長官ですから、菅総理を最後まで全力で支える」と語った。

 もうこの時点で総理大臣の資格も、政府の要職を占める資格もない。内閣の要である官房長官の仕事は、国民に仕え、国家のために全力を尽くすことであり、死に体となった総理大臣を支えることではない。このセリフには、今も日々の生活さえままならない被災者や、2万人になんなんとする震災死者、いまだ発見されない8000人の行方不明者への思いなど微塵も感じられない。あるのは自分の保身と野心だけである。

 福島県飯館村村議の大谷(おおがい)友孝氏が怒る。
 「枝野さんがポスト菅候補など、とんでもない。官邸に危機意識がゼロだったからこんな混乱に陥った。次の総理は菅さんの周りにいた人間はすべてダメです」
 なお、枝野氏にも「政治とカネ」問題がある。本誌は2月11日号で「3つの献金」を問題にした。詳細は割愛するが、①岳父夫妻からの2650万円(贈与税逃れ疑惑)、②談合ゼネコン代表者から毎年献金、③生活費も残らない多額の本人献金(他に未報告の収入源があるか、政治資金を生活資金に流用している疑惑)・・・というものだ。これらも小沢氏なら「強制起訴」だろう。

 最後が「彦」だが、そもそも「野田佳彦」と聞いて顔や役職を答えられる国民がどれだけいるのだろう。インターネットや雑誌などのアンケートで、この人が総理候補で上位にランクされたことは一度もない。

 他誌の引用で恐縮だが、『週刊文春』最新号が掲載している「有権者1000人アンケート」では、次期総理にしたい政治家は、小沢一郎(240票)・・・枝野幸男(170票)・・・前原誠司(106票)・・・岡田克也(102票)・・・原口一博(73票)・・・・・野田氏は10票で15位、仙谷氏は3票で25位だったそうだ。

 <後略>

●(8)平成23年5月?日、夕刊フジ「歳川隆雄の永田町・霞ヶ関インサイド」

 <菅降ろし失速理由は小沢の「徳のなさ」>

 民主党内の“菅降ろし”の失速理由は、一にかかって小沢一郎元代表の「徳のなさ」に求められよう・・・・・。
 「浜岡原発全面停止」で失地回復した菅直人首相だが、福島第1原発対応について、「人災」ならぬ「菅災」とまで言われた。
 その菅首相に政権発足以来、煮え湯を飲まされ続けている小沢氏は、菅氏を首相の座から引きずり降ろしたいという執念をみなぎらせているが、今や「小沢と手を組めば大やけどする」が与野党の共通認識である。

 「菅も菅なら、小沢も小沢」という菅プラス小沢アレルギーが、菅政権の延命をもたらしているとしか言いようがない。
 ではなぜ、小沢氏がダメなのか。同氏には「敵か味方か」という発想しかなく、側近であってもいったん関係がこじれると政敵に早代わりして関係修復は不可能だ。

 小沢氏の師匠だった田中角栄元首相は「政治の世界で敵はすぐにできるが、真の味方は簡単に作れるものではない。いざというときに備えて、いかに敵でもない味方でもない中間地帯を作っておくことが大事なのだ」と言ったとされる。

 しかし、小沢氏は角さんのまな弟子ながら、過去20年間以上同志の政治家を消費するだけ消費して、多くの有為の政治家を潰すことに終始してきたと言わざるを得ない。
 自民党時代で言えば主筋の田中、竹下登両元首相をはじめ、金丸信、梶山静六、中村喜四郎氏、離党後は奥田敬和、熊谷弘、二階堂俊博、藤井裕久の各氏ら枚挙にいとまがない。

 大型連休前の4月26日、現在の小沢氏の側近である山岡賢次副代表が反菅勢力結集を目指して「震災に対応できる連立政権に向けた総調和の会」を立ち上げた。が、出席者は小沢グループの半分にも満たない64人に留まった。
 出席した鳩山由紀夫前首相も29日に小沢氏と会い、「国民に民主党が分裂しているように思われるのは良くない」と自重を強く促す始末だ。小沢チルドレンの走りといわれ、昨年の代表選で小沢氏に一票を投じた山口壮政調筆頭副会長も「菅でもなく小沢でもない政権を」と主張し始めた。

 角さんは衆院初当選(1947年)同期で、天敵・三木武夫元首相の盟友だった松野頼三元自民党総務会長夫人が亡くなったとき、誰よりも早く松野邸に駆けつけ弔意を示した。これで松野氏は反角栄を引っ込めたのだ。
 要は、小沢氏の情のかけらも持ち合わせない「徳のなさ」に尽きる。
 (ジャーナリスト)

<文責:藤森弘司>

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