2011年5月10日 第45回「トピックス」
●(1)4月29日の金曜日、昭和の日の休日にテレビをつけると、休日にも関わらず国会中継が始まるところでした。大震災の関係で休日も頑張っているのだと思い、何気なくみていると、衆院予算委員会で、渡部恒三・民主党最高顧問がトップバッターで質問に立ちました。
原発事故に苦しむ地元・福島について、「国策に従って40年耐え続けてきた」「いま、故郷を奪われようとしている方々を見ると、泣けてくる」などと、時折、涙ぐむような表情を中継カメラにアピール。持ち時間の30分をフルに使って、芝居がかった演説を延々と続けた(日刊ゲンダイ、5月2日)。 私(藤森)自身、おやっと思いました。これは本気で菅総理大臣を追及するのかと思い、期待してみていました。菅総理大臣が自民党の谷垣総裁に連立を呼びかけたことが電話だったことを知り、「政治を知らない!私ならば云々」とご意見番らしい厳しい発言もしていたので、長老の涙ぐむ演説の次に、鋭い質問や追及がなされることを期待しながらみていました。が、尻切れトンボ、というよりも汚らしい欺瞞であることが判明しました。 ●(2)平成23年5月2日、日刊ゲンダイ「ふざけるな!渡部恒三」 <「原発を造れば国民は長生き」と推進したのはお前だろ> だが、渡部こそ原発事故の“A級戦犯”だ。 渡部恒三は、自民党時代から通産族議員として原発を推進してきた。なのに、よくぞ「故郷を奪われようとしている方々を見ると、泣けてくる」などと白々しいことが言えたものだ。 |
●(3)平成23年5月5日、日刊ゲンダイ「原発・大震災」
<福島原発と渡部恒三、半世紀の癒着> 福島原発の暴走は誰も止められない惨状だが、そんな中、この人の責任がなぜかあまり報じられていない。厚相だった1984年、「原発つくれば国民は長生き」の舌禍で叩かれた民主党最高顧問の渡部恒三(78)だ。59年に26歳で福島県議に初当選。69年に国政に転じ、半世紀以上にわたって原子力行政に深く関わってきたのが渡部なのだ。 「選挙区の会津には、猪苗代水系を使った東電の水力発電所が12ヶ所もあり、昔から東電とのパイプは太かった。60年には同郷で東電社長の木川田一隆氏の原発計画に呼応し、県議会の一員として原発用地の提供を申し出た。恒三サンは原発の生みの親のひとりなのです」(福島県政関係者) 国政では自民党・田中派に所属し、石油危機後に通産族として原発推進の旗を振った。74年には「電源3法交付金」の制定に尽力。電力会社から吸い上げた税金を原発立地自治体にバラまく仕組みを完成させ、地元・福島で豊富な交付金を差配し、権勢を振るった。 その後も党電源立地等推進本部の事務局長として、福島第2原発や柏崎刈羽原発の用地買収に関与。80年には党商工部会長となり、前年比45・1%増のエネルギー関連予算を獲得し、「史上空前の予算増」で通産省にも恩を売った。81年発行の自著にはこう書いている。 通産相就任は91年。ついに原発行政のトップに上り詰めたのである。 昨年、佐藤知事と増子副大臣は佐藤栄佐久前知事が抵抗した福島原発のプルサーマル計画を承諾し、それが恐怖の3号機の暴走につながっていく。そんなのが最高顧問の民主党に原発処理は任せられない。 |
●(4)「日刊ゲンダイ」の続きを紹介します。
<なぜ小沢一郎の岩手には原発がないのか> 東北地方の太平洋側には日本の原発の4分の1が集中している。その数、実に14基。福島から青森までボコボコと建てられているが、なぜか岩手だけ外れている。原発がないのだ。 日本では、原発を受け入れた自治体に、ベラボーなカネが転がり込む仕組みができている。 「支給額は、着工から7年を過ぎるとガクッと減らされます。これがクセモノで、8年目は前年の4割程度に落ち込むのです。不足分の穴埋めには、新たな原発を誘致するのが手っ取り早い。電力会社に牛耳られた地方財界や政治家も後押しする。そうやって1号機、2号機・・・・・と同じ場所に原子炉が建設されていくのです。原発は麻薬と同じ。一度手を出すとやめられません」(電力業界関係者) この麻薬は住民の暮らしもマヒさせる。電気料金は大幅に割引されるし、原発施設の地主は特定の商売で独占権を与えられる。雇用面でも福島原発の周辺は、3、4人に1人が東電関連の仕事をしている。 |
●(5) 前回の<第44回・トピックス「陸山会事件に思う」>で佐藤栄佐久前知事のことを取り上げましたが、このプルサーマル計画のことでした。その部分を再録します。
<<<●(5)さらには、今、原発事故で大問題になっている福島県知事を長いこと務めた佐藤栄佐久元知事も、検察のあくどい取り調べで猛烈な被害を受けた人です。 佐藤栄佐久前知事は、上記のプルサーマル計画に強く抵抗したために、政府や東電から睨まれ、その流れの中で、検察から睨まれ「デッチ上げ事件」で政治生命を抹殺されたような噂がありますが、多分、これは正しい噂であろうと推測します。 まさに、この「プルサーマル計画」というある意味で国家プロジェクト的な事業を知事に反対されては非常にやりにくかったことと思われます。しかし、今になってみると、佐藤栄佐久前知事は、真の政治家であり、先見の明があったことになります。こういう優れた政治家が抹殺されたのです。抹殺されただけでなく、知事の弟の会社は倒産し、関係者が複数自殺しています。 そして、この巨大な事故の3号機推進者が、民主党最高顧問・渡部恒三氏の甥であり秘書だった佐藤知事と、同じく子飼いの増子輝彦前副大臣だったのです。 こういうことを素面(しらふ)でできることが政治家としての重要な資質なのでしょうか。時の総理大臣と共に余りにも言葉が軽すぎるし、汚らしいです。その汚らしい政治家がのたまいます。 |
●(6)平成23年5月5日、夕刊フジ「ニッポンの夜明け」
<民主党最高顧問・渡部恒三> <ケンカしている場合じゃない オール・ジャパン内閣を> ・・・・・(インタビュー)大震災から50日が過ぎた 「地震があったとき、私は東京にいた。『大きな地震だ』とは思ったが、まさか、あんなことになるとは・・・。ともかく、津波の被害がすごかった。故郷・福島県いわき市や南相馬市などを回ったが、本人に何の責任もない人々の命が奪われ、先祖から受け継いだ家や財産を流された。いまだに涙が止まらない。あれは100年に一度じゃない。1000年に一度の大災害だ」 ・・・・・福島県は原発事故も重なった。 「原発周辺の人たちは40年以上、国家のエネルギー政策に協力してきた。首都圏の人々の生活のため、産業に欠かせない電力確保のために、じっと我慢し続けてきた。ぜひ、これは知ってほしい。菅直人首相には真っ先に『今度はわれわれが恩返しする番だ』と言ってほしかった」 ・・・・・水素爆発の映像は衝撃的だった 「テレビを見るのが辛いよ。ただ、悲惨な映像を見て、全国から『被災地のために協力したい』『福島の野菜や果物を買いたい』という温かい声が届いている。ありがたい。私が原発近くに行ったときは、九州・鹿児島から支援に来てくれている人もいた。悲しく辛い災害だが、日本人の気持ちが1つになった」 ・・・・・風評被害もひどい 「私の生まれ育った会津は原発から60キロ以上離れているが、風評被害で何も売れない。昨年つくった米や日本酒まで売れなくなっている。関係ないのに、温泉旅館もキャンセルばかりだ。どうか、福島に来てほしい」 ・・・・・東北の被災者は頑張っている 「グチを言わないところはある。ただ、原発事故については、東京電力や政府に怒っている。故郷で生活できなくなり、仕事も奪われたのだから、東電の清水正孝社長は事故直後、体調不良で1週間も姿を消していた。組織のトップとして恥ずかしい。はってでも出てきていたら、被災者の気持ちはここまでひどくはなかった」 ・・・・・菅首相への怒りは 「地元の市長町長さんはありがたい。『菅首相はケシカラン』と思っていても、私の前では言わないんだから。私は文句を言わない方だが、官邸から『福島原発周辺には20年住めない』と聞こえてきたときは、怒り心頭になった。すぐ官邸に乗り込んだ。菅首相は『そんなことは言っていない』と話していた」 ・・・・・阪神大震災に比べて、政府の対応が遅いと批判されている 「比べものにならない。阪神大震災の被災地は兵庫県が中心だが、今回は青森から岩手、宮城、福島、茨城、千葉各県と広範囲だ。三陸海岸は海がきれいで、魚がうまい、私の大好きな場所だった。それが一瞬にして地獄になった。ただ、老人が避難所の床に寝ているのは忍びない。早く、仮設住宅に入れてあげたい。これから雇用の問題も重要だ」 <菅は政治を知らない> ・・・・・被災地復興のために大連立が叫ばれている 「被災地の人々は、毎日ギリギリの生活を強いられている。かわいい子供や老人を抱えて『どうか政府に助けてほしい』と待ち望んでいる。こんな時に、与野党がケンカをしている場合じゃない。復興の方向性が決まるまで『オール・ジャパン・キャビネット』をつくり、民主党と自民党だけでなく、共産党まで含めて、大災害に対応すべきだと思う」 ・・・・・菅首相では大連立は無理という声もある 「私は菅政権をつくった1人で、いまも支えている。ただ、菅首相が電話で自民党の谷垣禎一総裁に連立参加を求めたのには驚いた。『政治を知らない』と思った。私なら自民党本部に出向き、谷垣氏の前で手をついて『被災地で苦しんでいる人々を助けたい。どうか国民のために協力してほしい。あなたが首相をやってくれ』と言った」 ・・・・・小沢一郎元代表のグループは「菅降ろし」を進めている。 ・・・・・GW明けにも動きがありそうだ。 ・・・・・小沢グループが不信任案を出す説もある ・・・・・民主党は国民の信頼を失いつつある。復活できるのか 「菅首相だけの責任ではない。一昨年夏、国民は民主党に圧倒的勝利を与えてくれた。ところが鳩山由紀夫前首相が期待に応えられず、続く、菅首相も・・・。1人だけが悪いわけじゃない。菅首相にも、鳩山氏にも、小沢氏にも、私にも責任がある。この国難に争うことなく、苦しみ抜いている被災者のために働いてこそ、民主党の存在価値はある」 |
●(7)どうでしょう、この老害政治家のぬけぬけとノタマウ浪花節調。上記の(6)の夕刊フジをご覧になっていかがでしょうか。矛盾だらけです。私(藤森)自身の反省も含めて、自分を知らないことは恥ずかしいものですね。これだけ矛盾していることを平気の平左で発言できるとは、ただただ驚くばかりです。
自分が原発の生みの親なのに、その反省はないのだろうか。 オールジャパンキャビネットと言いながら、オールジャパンにしないから「菅降ろし」がある。その反省はないのだろうか。 後手後手の対応、パフォーマンスの菅総理大臣に苦言を呈しないのだろうか。 この国難の中、「党員資格停止」を停止にすることに幹部会で、渡部恒三氏を含めて全員が一致して賛成しているが、それはどうしたのだろうか。 こういうおかしなことだらけでありながら、 <<< ・・・・・小沢一郎元代表のグループは「菅降ろし」を進めている。 むしろ、菅降ろしをやらないほうが笑われるほど、私利私欲やパフォーマンス、能力不足が露呈しています。次回、この続きを書きます。 |
<文責:藤森弘司>
最近のコメント