2011年3月10日 第40回「トピックス」
執権・北条時頼と菅総理大臣

●(1)菅総理大臣についての面白い新聞記事を発見しましたので、(3)でご紹介したいと思います。

 その前に、2009年上映の映画「禅」をご紹介します。この映画は、私(藤森)も少々修行<第8回、今月の言葉「他非を弁ぜず、自非を弁ぜよ」ご参照>させていただいた禅寺・曹洞宗の開祖・道元が主人公です。

 今回のタイトルと何の関係も無いように思われるでしょうが、とにかく、面白いのでお読みください。まずは、当時の映画「禅」のパンフレットから「あらすじ」をご紹介します。なお、監督は高橋伴明、主人公・道元は中村勘太郎、北条時頼は藤原竜也です。

○(2)<パンフレットより>

 <あらすじ>

 ・・・・・この現世の中で、何故、人は争い、病の苦しみ、死の苦しみから逃れられないのでしょう・・・・・、そなたに、その苦しみから抜ける道を見つけて欲しい・・・・・。道元の母、伊子はそう言い遺し、この世を去った。道元、8歳の時だった。

 16年後、24歳となった道元は仏道の正師を求め、入宋した。しかし、この国の仏道も役人への賄賂が横行し、腐敗を極めていた。
 失意の道元の前に、ひとりの青年僧が現れる。青年僧の名は寂円。
 寂円の案内により、道元は最初に入宋した時に錫を止めた天童山に帰り、時の住職となっていた、如浄禅師と相見する。如浄は一目で道元の器量を見抜き、道元は如浄に正師を見出した。こうして、道元は如浄のもとで修行を積むことになる。
 そして、ある夏の夜明け、道元は悟りを得た。

 帰国した道元は、建仁寺に身を寄せ、『普勧坐禅儀』の執筆に取りかかる。周囲の堕落した僧たちからは孤立するが、弁道に精進する道元の姿勢に、共感を覚える者も現れはじめていた。その中には、若き僧の俊了、元達磨宗の懐奘、道元をたずねて宋からはるばるやってきた寂円もいた。再会を果たした道元と寂円は、日本に如浄禅師の教えを打ち立てることを決意する。

 しかし、宗派を否定した道元の教えは、比叡山から邪教の烙印を押されてしまう。叡山の僧兵、公仁らに圧迫される道元を救ったのは、鎌倉幕府の六波羅探題、波多野義重だった。義重の勧めで、道元たちは洛外深草の安養院に身を寄せる。

 道元に心打たれた者の中に、遊女おりんもいた。乳飲み子と怠惰な夫の松蔵を養い希望のない日々を送っていたおりんも、道元との出会いによって心の変化を感じていた。乳飲み子を失い、自暴自棄になったおりんの心を救ったのもまた、道元の教えだった。

 やがて、道元の隆盛を妬む叡山の僧兵によって深草に建てられた興聖寺が襲撃される。道元は再び義重の勧めで、越前志些庄に移り、大仏寺(のちの永平寺)が建立された。そこで、おりんも道元の門下生となる。

 永平寺に入った道元は、如浄禅師の教えを実践するべく、さらに門弟たちの指導に励んでいた。そんな中、義重が永平寺を訪れる。「時の執権、北条時頼はこれまでの度重なる戦で流した血により、毎夜怨霊に苦しめられている。どうか禅の真髄を説いて時頼公を救って欲しい」という申し出に、道元は寂円と共に鎌倉へと赴く。

 鎌倉では、憔悴した時頼が待っていた。「正伝の仏法とはどのようなものだ」と問う時頼に、道元は「只管打坐・・・ただ坐り、あるがままの真実の姿を見ることこそ、悟りなのです」と語りかけ、池に映る月を見せる。
 「この池の月が斬れますか?」とたずねる道元に、時頼は太刀を抜き、水面を叩き斬る。しかし、波紋はすぐに静まり、水面にはもとのように月が宿る。その様子を見せた道元は時頼に論じる。「なにをしようとも月は消えることはない。同じように怨霊の苦しみはすなわちあなたの苦しみ。この苦悩をすべて受け入れる。そのためには己を捨てて坐禅あるのみ。煩悩を解き放ち、無になるのです。あなたは救われたいと願いながら、何ひとつ捨てる勇気がないのだ!」。

 激昂して太刀を抜く時頼。道元と寂円は静かに坐禅に入る。ひたすらの坐禅に、やがて時頼も太刀を捨て、坐禅に加わるのだった。

 雪深い冬の永平寺。ついに道元は仏法を追求した生涯を終えようとしていた。参禅の鐘が鳴る中、僧堂で坐禅をする道元。命朽ち果ててもなお、坐禅を続ける姿に、僧たちは静かに涙を流す。こうして、道元は54年の生涯に幕を下ろした。

 北条時頼・・・・・安貞元年5月14日(1227年6月29日)ー弘長3年11月22日(1263年12月24日)鎌倉幕府第5代執権(在職1246年ー1256年)。官位は正五位下行相模守。北条泰時の孫で、北条時氏の次男。母は安達景盛の娘・松下禅尼。

●(3)平成23年3月7日、日刊ゲンダイ「もう限界 追い詰められた菅首相」

 <内閣参与に内定したブレーンは「精神安定剤」菅首相が、長年の政策ブレーンである法政大教授の五十嵐敬喜氏(都市政策論)を内閣官房参与に起用することを内定した。しかし、既に参与は8人もいる。首相就任時の昨年6月ではなく、なぜ、わざわざこのタイミングなのか。永田町でにわかに囁かれるのは、追い詰められた菅の「精神安定剤」説だ。首相動静にそのヒントがある。首相就任後、菅が五十嵐教授と会ったのは昨年7月16日。その後、五十嵐教授は首相動静に長らく登場することはなかった。ところが今年に入ると、1月15日、2月13日、16日、17日、3月2日と頻繁に登場。特に2月は1週間に3度である。

 <高野山の高僧にも頼る>

 注目すべきは、そのうちの2月17日に、五十嵐教授と一緒に会った人物だ。元高野山大教授の日野西真定氏とある。日野西氏は高野山の高僧で、宗教家の最高峰にいる人なのだ。
 「日野西さんは高野山で弘法大師に毎日食事をあげる役目をしていた方で、五十嵐教授が1年間、高野山大学に通っていた時の師にあたる。菅首相は、以前、年金未納問題で党代表を辞任し、お遍路に出たことがありましたが、お遍路を勧めたのが五十嵐教授だったといいます。菅首相に日野西さんを会わせたのは、菅首相があの時同様、精神的にかなり弱った状態にある証拠ではないかというわけです」(ジャーナリスト・安積明子氏)

 民間人が官邸に入るのは手続きが面倒だが、参与ならフリーパスだ。菅首相が五十嵐氏を究極の「精神安定剤」として、いつでも会える立場にしたというのだ。
 支持率が10%台まで落ち込み、民主党内には“菅降ろし”がくすぶる。このところの菅は、イラ立って官僚に怒鳴り散らしたかと思えば、「TPPも消費税も、国民のためになることをやっているんだ」とハイテンションになったり。感情の起伏が激しいという。

 五十嵐氏に参与就任の経緯と日野西氏を菅に会わせた意味を尋ねたが、「話せば長い。今日のところはノーコメント」とのことだたった。
 高僧にまで頼るとは、相当、追い詰められているようだ。

●(4)今から750年前の鎌倉時代の執権・北条時頼といえば、今の時代に直せば、まさに菅総理大臣です。血で血を洗う闘争(党争)の連続で、毎夜怨霊に苦しめられている。
 映画では、北条時頼は、道元が鎌倉を訪れるまで怨霊に苦しめられ、その怨霊を斬ろうと、毎夜、「刀」を振り回していました。多分、菅総理大臣もほぼ同様の心理状態ではないでしょうか。「刀」を振り回す代わりに・・・・・<このところの菅は、イラ立って官僚に怒鳴り散らしたかと思えば、「TPPも消費税も、国民のためになることをやっているんだ」とハイテンションになったり。感情の起伏が激しいという。> この状態を説明するのには、「考察②」の次の部分がわかりやすいです。再度、再録します。

<<<<フロイトの発達段階理論>

①口唇期(生後1年半くらいまで)

②肛門期(生後8ヶ月~3、4歳)・・・・・「口唇期の後半と重複」「肛門や尿道の括約筋が完成し、排泄のしつけがなされる」「身体の内部から外部へ出すことに伴う快感を味わう」「排泄訓練により自分自身をコントロールすることを学ぶ」

③肛門期性格・・・・・・・几帳面、しまりや(出し惜しみ)、頑固、けちんぼ、極端な潔癖、依怙地、気がすまない、内気、恥ずかしがりや、被害的な性格。

④肛門期の防衛・・・・・反動形成(しつけをする親に対する反発や攻撃→従順、服従)

 <「交流分析専門講座」の中の「性格障害と交流分析」p74~75、講師:杉田峰康先生、主催:自己回復総研>

 この年齢のころは、「オムツの中にできる自由な排泄」から、徐々に、「トイレで排泄する訓練」が行なわれます。しかし、トイレへの移行は、親の側のいろいろな事情(多忙やストレスなど)により、なかなかうまくいかないものです。そのため、結構多くの人がここでトラウマを抱えてしまいます。
 ここで大きなトラウマを抱えると、どんな特徴が見られるか・・・・・私(藤森)の若いときがそうでしたが、周囲に「尻拭い」させます。日本語は本当に面白く、トイレのしつけの中心は「お尻」を拭くことです。つまり、「尻を拭う」ことです。ですから、自ら「尻」を拭うか、「他者に拭わせる」(尻拭いさせる)かが大きなポイントです。

 「諫早湾開門」は、菅総理大臣のライフワークみたいな感じがあります。だから、小泉元総理大臣のように、華麗な政治判断をしたのだと思います。しかし、政治判断をしながら、困難な後始末に乗り出さず、鹿野農水大臣などに丸投げはいただけません。まさに「尻拭い」をさせているわけで、1~2歳時に大きなトラウマ(「影」)があると言わざるを得ません。
 そのように考えると、菅総理大臣のいろいろが見えてくるような気がします。>>>

 <このところの菅は、イラ立って官僚に怒鳴り散らしたかと思えば、「TPPも消費税も、国民のためになることをやっているんだ」とハイテンションになったり。感情の起伏が激しいという。>
 これらは、2~3歳の幼児が、癇癪を起こしたり、「夜泣き」をする姿を彷彿とさせます。
 代表選が終わった後に、自らが発言したように「ノーサイド」で組閣すれば何でもないことを、「幼児の万能感」に陶酔して、親小沢派を排除したことがすべての原因だと思います。党内抗争ではなく、菅直人氏が勝手に殴りかかってきたから、親小沢派が殴り返しているだけで、党内抗争に見える問題は、すべては「菅総理大臣」の「万能感」が引き起こした「事故」みたいなものです。

 喩えて言えば、小学生が校舎の二階から飛び降りることが、時々、あります。あの中には、一部、空を飛べるような錯覚をして、鳥のように窓から飛び降りる事故が含まれているものです。
 菅総理大臣はほとんどこの心境で、自分には何でも出来る、特に、「政治とカネ」で汚い(?)小沢を排除しても、世論は自分に味方する、特に(私利私欲に凝り固まった)取り巻き連中もそのように助言している、オレはやれる男だ(ボクちゃんにはやれるのだ!!!)と錯覚したのだと思われます。

 民主党のボロボロ、特に菅内閣のボロボロは、すべて、ここから始まっていると私(藤森)は思っています。何故ならば、民主党には大臣の経験者がほとんどいません。
 国会議員が400人いるといっても、3分の1は新人であり、次の3分の1は、理屈大好き、議論が大好きのただの学者みたいな若手の議員、残りも政権を担当したり、大臣を経験した議員はほとんどいません。それなのに親小沢派の200人を排除すれば、政権を担うに足る人材がいなくなるのは当然過ぎるほど当然のことです。それが分からず、万能感に浸って、粛清の姿勢を繰り返せば行き詰るのは当然ですし、一人になれば、その「怨霊」に悩ませられるのも、これまた当然のこと(?)だと思います。

 麻生元総理大臣も述べているように、まさに連合赤軍の粛清のような抹殺を図ってきたので、北条時頼と同様、「怨霊(?)」に悩まされていると言っても過言ではないでしょう。
 乳幼児が、哺乳瓶やオモチャを投げつけたり、手足をバタバタさせる姿が見えるようです。それを過干渉のママがなだめたりしているのでしょうか?

 現代の「怨霊(?)」を次にご紹介します。

●(5)平成22年10月1日、週刊ポスト「深層異見 代表選敗北は、今年2月2日にすでに決まっていた」

 <アメリカに叩き潰された小沢一郎>(副島隆彦・評論家)

 代表選を3ヵ月後に控えたこの6月、『小沢革命政権で日本を救え』(副島隆彦、佐藤優共著、日本文芸社刊)と題する本が出版され、異例のベストセラーとなっている。この本で著者の副島隆彦氏は、独自の情報とユニークな世界観から、小沢が「大きな敵」に敗北することになるだろうと非常に早くから予見していた。さて、あなたはこの副島氏の分析をどう読むか。

 アメリカは小沢政権の誕生を許さなかった。私は、『小沢革命政権で日本を救え』のあとがきで、こう記した。
 <「こうなったら小沢一郎を前面に押し立てて、正面突破を図ろう」という作戦は、今は採るべきでない。それは敵の術中に嵌る無謀な決戦主義である。そのような短慮は敵たちの思う壷であるから、避けるべきである>

 私は、小沢革命断行を熱烈支持する一方で、今は出るべきではないと、主張し続けてきた。今回の結果を予見していたからである。
 小沢一郎は、菅直人と代表選を戦って敗れたのではない。小沢は、アメリカと官僚の連合に叩き潰されたのだ。

 日本は、アメリカという帝国(世界覇権国)に支配された属国である。私は『属国・日本論』で20年間、こう唱えてきた。この視点から見れば、自民党政権時代の権力者たちが、アメリカの意に添い国民の富を差し出すことを条件に権力の座を維持していたことが分かるはずだ。

 それに対して「少しずつ独立しよう」と立ち上がったのが、小沢一郎という政治家である。その姿は、小沢が“オヤジ”と慕ってきた故・田中角栄を彷彿とさせる。角栄はアメリカの支配から部分的独立を果たそうと独自のエネルギー資源外交を展開して“アメリカの手先”連合の怒りを買い、検察に逮捕された。

 では、小沢一郎はどのように闘う人間か?その極めつけが、今年2月2日、国会内の幹事長室で行なわれた小沢とカート・キャンベル国務次官補、ジョン・ルース駐日大使との3者会談である。新聞報道ではアメリカ側の表敬訪問とされているが、真相は全く異なる。二人が小沢に会談を申し込んだ目的は、小沢一郎を屈服させることにあった。このとき、アメリカは小沢を検察に狙わせ、いつ逮捕になるか、分からない状態であった。だが地検特捜部は、アメリカの圧力で小沢不起訴を決めた。

 アメリカは、小沢に対して検察の捜査を「不起訴」にしてやったから、いうことを聞けと突き付ければ、小沢は転ぶと思ったその見返りに日本から莫大な金を引きだす。「米国債を20兆円分買い増ししろ」とか、「普天間基地を移転してほしかったら、あと5兆円出せ」、そんな交渉を仕掛けたのは容易に想像がつく。しかし、小沢は、アメリカの要求を敢然と突っぱねた

 この会談後、小沢は二人を従え、堂々と幹事長室から出てきた。もし、アメリカの条件を受け入れていたら、小沢の方が二人につき従ったはずだ。小沢は、一貫している。アメリカにいわれるまま、米国債を買い続け、莫大な富を差し出すのは、もうやめよう。日本人の稼いだ富は、日本の国民に還元すべきだ。多くの政策を昨年8月のマニフェストで約束し、その実行を果たそうとしてきた。

 それを裏切ったのが菅直人と仙谷由人である。今年1月30日、普通は首相が出席すべきダボス会議(世界経済フォーラム・賢人会議)に出席してはしゃいでいる仙谷(当時、国家戦略相)、4月22日、ワシントンのアーリントン墓地で神妙な顔つきで献花している菅(当時、財務相)の姿を見た時、私は、この二人はアメリカに「転んだな」と、ピンときた。自民党政権時代同様、アメリカと官僚連合のいうことを聞いて名前だけの地位を与えてもらえればいいと。卑屈な人間どもだ。

 <2012年小沢復活>

 そしてアメリカの小沢一郎潰しが始まった。5月19日、IMF(国際通貨基金)は、日本政府に対して消費税を引き上げろと、異例の声明を出した。同じく5月、USTR(米通商代表部)が、郵政改革法案、即ち郵政「再国有化」法(日本の金融を戸閉まりして迫り来る世界恐慌へ備える)が国会を通過するなら、WTO(世界貿易機関)への提訴も辞さないと声明。

 内政干渉といっていい脅しをアメリカが公言した。これに呼応して国内の反小沢勢力がいっせいに動き出した。霞ヶ関のオール官僚たち、アメリカの支配を是とする新聞やテレビ、そしてアメリカに寝返った菅と仙谷たち、である。6月2日、突然の鳩山首相と小沢幹事長辞任の真相は、アメリカが陰で糸を引いた「反小沢クーデター」だと私が初めて書いた。

 首相に就任した菅直人は「消費税を10%に引き上げる」といって、自傷行為でわざと参院選で敗北した。こうして国民民主革命は徹底的に破壊されることになった。ここまでする連中に、まっとうな代表選を期待するほうが間違っている。

 今後、国民の生活は、ますます酷いものになっていく。今年の暮れから衰亡(フォールダウン)するアメリカに抱きつき心中させられて、日本経済もどん底に陥るだろう。アメリカは、11月の中間選挙で大敗するバラク・オバマが「病気」を理由に辞任、ヒラリー・クリントンへの異例の政権交代が起こると私は予測(予言)してきた。これも当ててみせる。

 日本への搾取はいっそう強まり、来年には70円台どころか、60円台まで円高は進むだろう。ヒラリー新政権はその強い円で「紙くず」(アメリカ国債)を買えるだけ買えと命じるだろう。そうなればアメリカ隷属を旗頭にしてきた日本の富裕層だって無傷ではいられまい。やがて全てを失ってから、彼らは、ようやく気付くのだ。小沢が正しかった、と。

 そのときまで小沢は待ったほうがよかった。あと2年、次の代表選の行なわれる2012年こそ立ち上がるべき時だったのだ。私は2年後の小沢復活を望む。

 <そえじま・たかひこ氏・・・・・1953年生まれ。早稲田大学法学部卒。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授などを歴任。副島国家戦略研究所主宰。近著に『新たなる金融危機に向かう世界』『世界権力者 人物図鑑 世界と日本を動かす本当の支配者たち』など>

●(6)第38回「トピックス」の下記の部分を再録します。

<<<(10)平成23年3月4日、週刊ポスト「大メディアが報道しない『小沢処分』の内幕」

 <「法律に疎かった」弁護士・仙谷>

 小沢一郎・元代表の処分方針を決めた2月15日の民主党常任幹事会。仙谷由人・代表代行の重大発言を大新聞・テレビは黙殺した。
 「検察が(小沢氏を)起訴猶予にした。だから、検察審査会が扱ったんだ」
法務省訓令によると、起訴猶予とは、「被疑事実が明白」にもかかわらず起訴されないケースを指す。
 仙谷氏は、検察が起訴猶予にしたのだから、「被疑事実は明白」で、処分も当然といいたかったらしい。

 これは完全な間違いである。東京地検特捜部は、小沢氏を嫌疑不十分で不起訴にしている。つまり、「犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分」という判断である。起訴猶予とは全く意味が異なる。
出席者は口々に「小沢さんは不起訴でした」と訂正を求めたが、仙谷氏は「いいや、起訴猶予だ」と5回も繰り返す。業を煮やした常任幹事の川内博史・代議士は、起立してこう反論した。
 「ここに検察の資料を持っておりますが、小沢元代表は不起訴処分です。法律のプロ中のプロである仙谷代表代行が起訴猶予だと思っておられたということは、執行部の処分案は事実誤認に基づいている。再検討する必要がある」

 仙谷氏が黙り込むと、マズイと思ったか、執行部派から突然、緊急動議が出され、怒号の中で小沢氏への党員資格停止処分方針が強行採決された。「法律のプロ」である弁護士議員の仙谷氏は、事実誤認のまま賛成した。
 会場では各紙の記者が、いわゆる「壁耳」で会議の一部始終を取材していた。だが、書かない。重大事実を隠してでも官僚とマスコミの守護神である現執行部を守り、敵対する小沢支持派を潰したいのである。>>>

<文責:藤森弘司>

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