2011年2月15日、第36回「トピックス」
菅総理大臣についての一考察

●(1)平成18年5月25日、読売新聞「編集手帳」

 19世紀に米国とスペインが戦火を交えた米西戦争の間、米国海軍の死亡率は1000人につき9人の割合だった。同じ期間、ニューヨーク市における死亡率は1000人につき16人であったという。

 海軍の徴募官は二つの数字をもとに、「海軍に入隊するほうが安全だ」と宣伝した・・・・・。統計学者ダレル・ハフが「統計でウソをつく法」(講談社)に引いた事例である。
海軍の分母が壮健な者ばかりであるのに対し、ニューヨーク市の分母には病人も高齢者もいる。分母の中身に目を凝らさないとうっかりだまされるから、分数は油断がならない。

 <略>

●(2)平成23年2月3日、読売新聞「内閣支持率下落27%」

 <小沢元代表「辞職を」56%>(本社緊急世論調査)

 読売新聞社は、小沢一郎民主党元代表が政治資金規正法違反で強制起訴されたことを受けて、1~2日に緊急世論調査(電話方式)を実施した。小沢元代表はどのように対応すべきだと思うかを聞いたところ、「衆院議員を辞職する」56%が最も多く、「議員は辞職しないで離党する」20%が続き、「辞職も離党もする必要はない」は17%だった。

 <略>

●(3)世論調査というものは、質問の仕方でいくらでも欲しい結果のほうに誘導することが可能です。電話調査ですと、さらにその傾向が強くなります。また、電話調査ですと、昼間、家にいる人が対象になり、ワンパターンの傾向になるそうです。

 例えば、サラリーマンやキャリアウーマンなど、政治意識の高い層が対象から外れ、ワイドショーを楽しむ専業主婦的な人が多く対象になります。そういう主婦層が多く対象になることがわかっていれば、そういう層が答えを出しやすい設問にして、世論調査を誘導(?)することも可能になります。

 さらには、大マスコミが洪水のような批判、あるいは、検察のリークを垂れ流せば、世論はかなり誘導されるはずです。ですから、インターネットでの世論調査と、大マスコミの世論調査とはかなり違う傾向にあります。もし、大マスコミが誠実ならば、インターネットでの世論調査も参考に掲載するべきだと思いますが、彼らは決してそのようなことはしません。
<第31回「トピックス」「人の振り見て我が振りは?」>から、下記(13)を転載します。

<<<(13)平成22年9月3日、日刊ゲンダイ

 <国民世論は反小沢という捏造>

 「全国の皆さんに、どちらの候補が首相にふさわしいのか、大いに声を上げてもらいたい」・・・・・。共同会見でも、菅は“国民の声”を強調してみせた。自分の強みは世論の後押し。その世論は「反小沢」に染まっている。国民は必ずオレに味方する。そんな考えでの発言だろう。

 報道各社の「どちらが首相にふさわしいか」という世論調査でも軒並み、菅が小沢に50ポイント以上の大差をつけている。ま、あれだけメディアが連日、小沢叩きを繰り返せば、こんな数字になるだろうが、ちょっと待って欲しい。インターネットの世論調査だと、情勢は一変するのである。小沢が菅を上回る数字を獲得しているのだ。

 ロイター通信のネット調査では1日午後10時30分現在、「小沢6309票、菅6195票」で小沢がリード。ライブドアの調査では66.1%が小沢を支持。スポニチの公式サイトは小沢支持が8割と菅を圧倒した。読売新聞もネット調査だとガラリと結果が変わり、76%が小沢の出馬を支持している。

 「ネットのユーザー層を考えれば、高齢者の意見は反映されず、私の経験上、若い男性が調査に参加する傾向が高いようです。そのため、偏った調査結果になりがちですが、それは報道各社の世論調査も同じ。対象は固定電話を持つ家庭に絞られ、調査の時間帯も夜9時が限度。ケータイしか持たない若者や残業に追われる人の声は反映されにくい。マスコミ調査が逃がした声をネットが拾っているともいえます。なのに、なぜかマスコミ調査だけが“民意”として絶対視され、政治の行方を左右するのはおかしなことです」(明大教授・井田正道=計量政治学)
 反小沢の「民意」を頼りにした菅の選挙戦術など砂上の楼閣、いつ崩れてもおかしくない。>>>

●(4)平成23年2月3日、読売新聞「衝撃 強制起訴(下)」

 <「小沢切り」の目算狂う>

 <略>

 民主党への逆風は、今春の統一地方選の前哨戦とされる6日投開票の愛知県知事選・名古屋市長選に悪影響を及ぼしかねない。選挙結果が不振なら党執行部の求心力低下は免れず、小沢元代表の処分に踏み切るには一層の労力と時間が必要になる。政権浮揚を狙って掲げた「小沢切り」が、菅政権の足かせとなる悪夢のシナリオがささやかれる。

 「党のカネを握り、子分の数を増やして権力を握りたいだけだ」とは小沢元代表に関する首相の評だ。市民運動家出身の首相にとって、「最後の自民党派閥領袖型政治家」と称される小沢元代表は相いれない存在だ。首相は昨年末、「政治とカネの問題のせいで本来の政治がちっとも前に進まない」と知人に語り、年頭の記者会見では小沢元代表に「けじめ」を迫った。

 ところが、小沢元代表は強制起訴後も党にとどまると表明し、首相の目算は狂った。民主党は3日に臨時役員会を開き、小沢元代表の処分の検討に入るが、党内には「親小沢、非小沢の戦いはたくさんだ」と厭戦気分が漂う。

 <略>

●(5)菅首相のこの発言・・・・・「党のカネを握り、子分の数を増やして権力を握りたいだけだ」とは小沢元代表に関する首相の評だ・・・・・

 この発言には驚きます。党のカネを握り、民主党の議員を大量に当選させたからこそ、民主党は「与党」のウマミを甘受しているし、菅直人氏自身が総理大臣になることができました。その基を築いたのは、まさに小沢一郎氏です(「甘受」という言葉がこの場合ふさわしいのかどうか、辞書を調べてみましたが、オーケーのようにも思えるし、ふさわしくないようにも思えます。「堪能」もふさわしいような、ふさわしくないような?作家のように思う通りに表現できると楽なのですが)。
 菅氏が総理になった昨年の6月を考えれば、小沢氏の莫大な功績があったのはわずか10ヶ月前のことです。その小沢氏の功績により、菅直人氏が総理大臣になれたのに、邪魔だとなると、これほどの悪口雑言を吐ける人格は恐ろしい。さすがの私(藤森)もここまでは酷くありません。

 名古屋市長選・河村たかし氏・662251票(トリプルスコア)
 石田芳弘氏・216764票
 愛知県知事選・大村秀章氏・1502571票(トリプルスコア)
 御園慎一郎氏・ 487896票
 (政権政党が3位のトリプル負け。過去になかったことでしょう!)

 選挙で惨敗につぐ惨敗。彼らのやり方では絶対に政権交代はなかった。

 永田洋子死刑囚の病死に関して、読売新聞の編集手帳は、下記のように書いています(平成23年2月8日)。

 問い・・・以下の行動に共通する言葉を一語で述べよ。
①たくさん食べた
②美容院で髪をカットした
③パンタロンをはいて、おしゃれをした
④こっそり銭湯に出かけた
⑤寝そべったまま、「ちり紙を取ってくれ」と言った

 答えは「死」である。連合赤軍が群馬・榛名山の山岳アジトで犯した大量のリンチ殺人ほど、いまもって訳のわからないものはない。もう39年前の冬になる。

 愚にもつかない理由で“総括”と称してつるし上げ、寄ってたかって凄惨な暴行を加え、12人の仲間を殺す。ただでさえ少ない同志の半数を殺して何の革命か、正気の沙汰ではない。
 <後略>

●(6)平成23年1月10日、10チャンネル「ビートたけしのTVタックル」

 <番組中、コラムニスト、勝谷誠彦氏の発言>

 菅さんがやっていることは、ある所までは論が通るが、そこから先は左翼のセクトの粛清、総括、リンチ・・・・・

 <番組中、白鴎大学・福岡政行教授の発言>

 年末から菅さんがチョット元気になったのは、、財務省のある最高幹部が「菅さんは、こんなに言いなりで、無能な総理で楽だ。その代わり『消費税だけは年頭の挨拶でしっかり言ってくれ』」それから彼は元気になったのでしょう。
<<<藤森注・・・・・テレビ討論での発言ですので、前後がややわかりにくいかもしれませんが、要は、無能な総理だが、言いなりになるので、「消費税だけしっかり発言してくれれば、総理を支えますよ」と言われて、菅総理は元気が出てきたという意味です。しかし、「言いなりで無能な総理」が、萎えても辞めないというのは恐ろしい人格ですね>>>

 <公務員制度改革・天下り根絶のテーマの中で・・・(ナレーション)大きく後退した>

 <番組中、政治評論家・屋山太郎氏の発言>

 菅さんは財務大臣時代に完全に洗脳された。自分で問題意識がないから、あとはもうお役人の言いなりになっている。言っていることが財務省の代弁者だ。

<<<前回の(3)の次の部分を再録します。
菅首相が自ら現地入りしない背景には仰天の理由がある。
実は諫早湾干拓には
「最初からこだわりがない」(農水省関係者)というのだ。菅といえば、ギロチンのごとく、諫早湾が閉じられた時にド派手なパフォーマンスをして話題になった。ところが、今回、農水省の官僚が裁判の結果を受けて判断を仰ごうとすると、「オレに持ってくるな、と言わんばかりの態度だった」(関係者)というのである。>>>

●(7)平成23年2月3日、夕刊フジ「突破する政治」(安倍晋三)

 <民主に破壊されていく日本><略>菅直人首相は昨年の正月、小沢邸での新年会に出席している。当時、一連の事件は報じられていた。今になって「『政治とカネ』でケジメをつける」と話しているが、相手に力のある時にはすり寄り、無くなるとたたくのか。その振る舞いは、政治家としてより、人間として卑しい <略>

 与謝野馨経済財政担当相の答弁には、一種の哀れさを感じた。その変節ぶりには、民主党からも「ヨソの大臣!」とヤジが浴びせかけられた。

 <略>

 こうした中、北沢俊美防衛相直轄の「自衛隊情報保全隊」が、陸自OBらの講演を監視していたことが発覚した。防諜・情報収集の根幹を揺るがすだけでなく、「思想および信条の自由」を侵す疑いがある。
 民主党政権に批判的な人物や団体を調査対象にしていたなら、ゲシュタポが反体制分子を摘発していったナチスに匹敵する暴挙だ。中国や北朝鮮も、秘密警察が国民を監視しているが、左翼政権には「批判を許さない」という共通点がある。

 <略>

●(8)平成23年2月11日、夕刊フジ「菅・パニック症候群兆候」

 <略>

 <普天間費用凍結を検討、思考停止状態・・・鬱手前>

 自民党の谷垣禎一総裁や公明党の山口那津男代表が「マニフェスト破綻を認めよ」「衆院解散で国民の信を問え!」などと発言している間、菅首相は着席して聞いていたが、異常な数のまばたきをしていたのだ。
 本紙記者が数えたところ、まばたきはなんと1分間に100回前後。わざとやろうとしてできる回数ではない。そのときの菅首相の顔は真っ赤だった。
 この“症状”について精神科医の日向野春総氏は「25回でも多いのに、100回とは危険。パニック症候群に入っていると言っていい」と話す。

 「自分の生き方(=政策や政治姿勢)を否定されて、不安になり、パニックに陥ったのでは。1分間に100回となると、頭の中の思考は止まっている。論理的な思考ができなくなっており、同時に心拍数も上がる。顔が赤くなっていたのが、その証拠だ。想定していないことを聞かれると、思わぬことを口走る可能性がある。『助けて』と叫んで倒れてもおかしくない。放置すると、次の段階の『鬱』に進む。早く医者に診てもらい、薬を飲むべきだ」

 こんな“診断”を受けるような人物がいま、国政の頂点にいるのだ。

●(9)平成23年1月22日、日刊ゲンダイ「機密外交文書で発見」

 <アメリカ・菅/小沢・分断工作>

 菅首相がきのう(20日)、就任後初の外交方針演説を行なった。中身は案の定、自民党顔負けの「対米追従」路線だったが、そりゃそうだろう。菅内閣はアメリカにつくられた“売国政権なのだ。機密外交公電には、米政府が鳩山政権時代から菅を“ターゲット”にしていた事実が、克明に記されていた。

 <鳩山政権時代から「菅」「岡田」に接触していた>

 「米国のエージェント(代理人)」・・・・・。菅首相にはそんな言葉がピッタリだ。動かぬ証拠は、駐韓米国大使館が昨年2月22日、本国あてに送信した外交公電にあった。
 内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した文書によると、そこには同3日に行なわれた米キャンベル国務次官補と韓国の金外交通商相の会談内容が報告されている。以下はその一部だ。

 <日本の民主党政権と自民党は『全く異なる』という認識で一致。民主党が米韓と連携を強めることの重要性を確認した。(中略)キャンベル氏は、菅直人財務相と岡田克也外相と直接の接触を持つことが重要だと指摘し、金氏も同意した>
 改めて言うが、この会談が行われたのは鳩山政権時代のことである。このころからすでに米国は菅・岡田に照準を絞り、鳩山首相・小沢幹事長の頭越しに民主党政権に手を突っ込んでいたわけだ。

 その後に起こったことは周知の通り。鳩山は普天間問題で「米国が怒っている」の大バッシング報道を浴び、退陣に追い込まれた。小沢も洪水のような検察リーク報道の末、検察審の起訴相当議決が下る。これが「脱小沢」の流れに拍車をかけた。
 「対等な日米関係」を掲げた小鳩体制は、米韓高官の会談から半年もたたないうちに崩壊。その後、アメリカが名指しした菅が首相に就き、岡田はいま党を仕切る幹事長。あまりにデキすぎているのだ。元外交官で評論家の天木直人氏がこう指摘する。

 「菅首相はオバマ大統領の下僕どころか、あおむけにひっくり返って腹を丸出しにして喜んでいるポチですよ。国務次官補のキャンベル氏にまで、『チョロい相手だ』とナメられているのだから情けない。岡田氏もいつの間にか日米核密約の追及をトーンダウンさせました。ハッキリしたのは、小沢問題についてダンマリを決め込んていた菅首相らが、なぜ突然、『小沢排除』の動きを異常なまでに強めていったか。“アメリカを味方につけたという自信が、強烈に背中をプッシュしたのは間違いありません」

 結果として、民主党は真っ二つに分断され、力を大きくそがれてしまった。政権維持しか頭にないスッカラ菅は、ますます米国の威光を借りようとスリ寄る。まさに連中の思惑通りの展開で、普天間TPP思いやり予算と、何から何まで言いなりになっている。
 菅政権がこれ以上続いたら、この国はアメリカにケツの毛まで引っこ抜かれてしまう。

●(10)平成23年1月26日、日刊ゲンダイ「金子勝(慶大教授)の天下の逆襲」

 <なぜ大マスコミはTPPの問題点を報じないのか>

 いまや大手メディアは「TPP(環太平洋連携協定)推進」の大合唱だ。初めにTPP参加ありきで、肝心なことは報道しない。イラク戦争開戦当時にそっくりだ。
 菅首相は「平成の開国」というが、すでに日本の平均関税率は3%前後。ほとんど裸同然だ。農産物の平均関税率も約12%。韓国よりはるかに低く、20%を超えるEUと比べても低い。

 なのに、次々とFTA(自由貿易協定)を結んでいる韓国に日本は後れをとっている、日本企業は韓国企業に海外市場で負けている。だからTPPを推進しろという。しかし、韓国は米国とのFTAも、EUとのFTAも締結したばかりでまだ発効もしていないぞ。日本企業は失われた20年の間に技術開発が遅れ、リストラされた技術者が韓国企業に雇われたこともあってキャッチアップされたのだ。

 しかもFTAとTPPの違いが無視されている。FTAは1割程度の例外が認められ、米韓FTAでもコメは例外扱いだが、TPPは例外なしの関税ゼロが原則である。
 TPP参加で農産物が打撃を受ける一方で、工業製品の輸出が伸びるかのようにいわれているが、TPPはあくまでも5年間で輸出を倍増させ雇用を200万人増やすというオバマの国家輸出計画の一環である。大手メディアの一部は、TPPに参加し中国やアジアへの輸出が伸びるというが、中国は参加していない。おまけに、TPPは「広範なパートナーシップ協定」なので、米国の対日要求を背景に24項目が交渉項目になる。

 米国企業が日本市場に参入していないこと自体がおかしいという、とんでもない理屈に基づいて、郵政事業の資金運用に米国企業を参加させろとか、公共事業の入札条件を下げろ、自動車の安全基準を緩和しろといった交渉項目が並ぶ。TPPは日米経済の一体化なのだ。

 もちろん、農業が大打撃を受けるのは間違いない。規制を緩和し、株式会社化すればいいという意見を聞くが、日本の平均耕作面積が1・9ヘクタールなのに対して、アメリカは180ヘクタール、オーストラリアは3400ヘクタールだ。TPPに参加したら、基地・エネルギーだけでなく食料まで米国頼みになる。日本は米国の51番目の州になりたいのだろうか?

●(11)平成23年2月8日、日刊ゲンダイ「オバマの都合に合わせる必要ナシ」

 <『TPP6月に結論』は米国の身勝手カレンダー>

 先週4日の予算委員会でTPPについて質問された前原外相は「向こう(米国)から(日本参加を)言ってきたことは一回もない」と米国の圧力を否定していたが、米国に尻尾を振る“ポチ”の言うことなんか、とてもじゃないが信用できない。ポスト菅になれるのなら、日本より米国の国益を優先しそうな売国政治家だからだ。

 菅首相が「TPP参加の是非は6月に結論」と表明したが、この「6月」こそが米国のカレンダーだと民主党の福島伸亨衆院議員(40)が言う。福島議員は経産省出身で官僚時代は規制緩和政策に関わった。
 「オバマ大統領は、今年11月に生まれ故郷のハワイで開かれるAPEC首脳会議で、TPPの締結を目指しています。TPPは『ファストトラック条項』(貿易問題などに関して大統領が一括して交渉する権限)で、交渉の3ヶ月前に議会の承認を得なければならない。11月のAPECに間に合わせるタイムリミットは8月ですが、7、8月はTPPの会議がないので、6月にベトナムで行なわれる会議までに日本の参加表明が欲しいのです」

 実際、米国関係者はTPP推進派の民主党議員に水面下で接触、参加を働きかけているという。「米国にとってTPPはアジア戦略の一環だから、日本を何としても参加させたい。しかし、米国が主導するTPPは、公平な競争ではなく、全て米国の基準に合わせられる協定なのです」
 時代に逆行するような片務協定に加わること自体ナンセンス。そのうえ米国の都合優先で「6月」なんて、言語道断である。

●(12)平成23年2月8日、日刊ゲンダイ「TPP反対の大義(農文協編)」(農山漁村文化協会 800円)という本の紹介

 <TPP参加という愚作の構図を明らかにする!>

 学者や評論家など総勢26人の執筆陣が、世間を惑わす論調に反証している。
 TPPとは、環太平洋全域にわたって関税を撤廃し、貿易自由化を目指そうという構想である。菅首相は参加表明の際に「明治維新と戦後に続く第3の開国」などと表現したが、これには現状認識の甘さがあると本書。

 例えば、日本農業研究所客員研究員の服部信司氏によると、日本の関税率は全品目平均で3・3%であり、実は世界で最も低いのだ。さらに、農産物関税も平均12%で、EUの20%よりも低くなっている。この状態を“鎖国に近い状態”とし、開国をあおるのはおかしな話である。

 また、評論家の関曠野氏は“TPPに参加しなければ貿易立国の日本は取り残される”という風潮に異議を唱えている。世界銀行の統計では、日本経済の輸出依存度は16%。貿易がGDPに占める比率は世界170国中164番目で、日本は企業が国内市場だけで商売ができる“ガラパゴス”が可能な国であることを、まず認識すべき、と説く。

●(13)上記の中の、下記の二点がとても気になっています。

■平成23年1月22日、日刊ゲンダイ「機密外交文書で発見」
 <鳩山政権時代から「菅」「岡田」に接触していた>

■平成23年1月26日、日刊ゲンダイ「金子勝(慶大教授)の天下の逆襲」
 郵政事業の資金運用に米国企業を参加させろ・・・・・

 菅首相は、当時、副総理兼財務大臣という要職にありましたが、鳩山首相が「普天間」問題で悪戦苦闘しているとき、私(藤森)の記憶では、副総理でありながら、菅氏はほとんど沈黙を保っていました(しらんぷりを決めていました)。
 しかし、今思えば、その当時、アメリカからの接触があり、次の首相のサインが出ていて、鳩山前首相を見殺しにしたのではないかと推測します。事実、そういう報道もありました。今までのいろいろな報道を総合すると、かなりこれは信憑性が高い推測ではないかと思います。

 もう一つ、私が、前から気になっていたことがこれです。
<<<郵政事業の資金運用に米国企業を参加させろ・・・・・>>>

 私は国民新党の亀井静香代表が好きです。亀井氏は、小沢一郎氏と同様、顔や態度が「古い自民党的」であり、少々やんちゃっぽいために、能天気な有権者から疎んじられ、単に見栄えがいいというだけで、胡散臭い前原大臣などが次の首相候補に最も近いと言われています。しかし、亀井氏は小沢氏と同様、非常に革新的な考えを持っている政治家であると思っています。

 自民党全盛時代の政調会長をやっているとき、すでに亀井氏は不要なダムの建設を中止しています。小沢氏も、記者クラブ開放を日本で最初に実行した政治家ですし、検事総長を国会で同意が必要な制度に改正しようとか、かなり先進的な改革を実行しようとしています。

 後述しますが、小沢氏は無駄な農政である「土地改良事業」を縮小させていますし、「予算の組み替え」も主張しています。官僚の積み上げた予算案では、絶対に減らすことはできないから、大幅な組み換えが必要だと強調しています。だから既得権益を死守しようとする組織から猛攻撃を受けているものと思っています。
 小沢氏の政治姿勢や過去のいろいろは、私(藤森)はよく知りません。ただ現在、いろいろ批判されているものを吟味しますと、特に批判の側はあまりにも一側面だけを見て、小沢氏の業績を見なさ過ぎる気がしています。これほど「毀誉褒貶」の激しい政治家はいないのではないでしょうか。

 特殊な例での「強制起訴」の問題や「10億円」がどうであるか否かを大問題にしていますが、前原大臣や仙石前官房長官、あるいは菅首相の政策判断ミスによる損害はどれほどになるでしょうか?私が知る限りでも数千億円単位です。幼稚な国家運営により、数千億、数兆円単位の損害を国家に与えながら、たかだか10億円程度のことで大騒ぎをするのは、どちらかといえば「既得権益」を死守したい側だといえます。

 もちろん、小沢氏がすべて「キレイ」で「善」などと言う気は毛頭ありません。言いたいことは、政治は「戦場」見たいなものです。昨日、「太平洋の奇跡」という戦争映画をみてきましたが、戦場では奇麗事は一切通じません。修羅場を生き残るために、あるいは「良い政治」を行なうためには資金がなくてどうやって戦うのですか?その恩恵を受けた連中が、まるで、親の金で大学に行きながら、親の金の稼ぎ方を批判するようなバカどもです。

 もし、彼らが主張するように、自分たちがキレイで小沢氏が汚いならば、汚い金で政権を取ったのですから、キレイな連中はここで「下野」すべきではないでしょうか。旨いところだけもらって、残りを批判する汚い根性極まれりです。民主党の、特に「凌雲会」のどうしようもない連中と「検察審査会」の胡散臭さも追って掲載します。
 今の閉塞した日本を変える最も簡単ですぐに実施できる制度は、「記者クラブ」の廃止です。その気になれば、明日にでもやれることです。そうすれば日本の世論は劇的に変わり、政治家もマスメディアも本気になると思います。それを何故「菅政権」はやらないのか?どこが「クリーンでオープン」なのか?
 これをすぐに実行したことだけでも、小沢氏は稀有の政治家=国士です。「記者クラブ」に関しては、次の37回でやります。

 さて、ここで私(藤森)が一番言いたいことは、<郵政事業の資金運用に米国企業を参加させろ・・・・・>です。亀井静香代表が郵政事業を守ろうとしている最も重要なことはこれではないかと推測しています。
 そして、妄想を許していただければ、当時の亀井金融大臣と斉藤新社長が、私の尊敬する曽野綾子先生のご自宅に伺い、社外重役を要請した理由の一つがこれではないかと推測しています。

 日本財団のトップを務めた手腕と同時に、私利私欲がなく、国益を考えて行動し、顔の広い曽野先生を応援団に考えたのではないかと密かに妄想しています。
 小泉元総理大臣はそもそもから「郵政民営化」を主張していた政治家であることは間違いありませんが、と同時に、アメリカの年次改革要望書で郵政の民営化が要求されてすぐに実行したのも、これまた事実です。菅総理大臣にしても、前原外務大臣にしても、国益のために一身を捧げる政治家とはとても思えません。むしろ私利私欲のために、国益を差し出すような政治家です。

 亀井氏は広島県の片田舎出身です<今月の言葉、第88回「知足観(1)」の(12)ご参照>。過疎地でも存在する郵便局網などを大切に思っていて、それらを守ろうとすると同時に、国益を考えずアメリカのポチになる政治家が多い中で、真に国益を考えて行動する国士(①一国中のすぐれた人物②一身をかえりみず、国家のことを心配して行動する人物。憂国の人物・・・電子辞書、広辞苑)で、<日本郵政の資金>を死守しようと孤軍奮闘しているように思えてなりません。

 アメリカが「日本郵政」の資金を狙っていることは有名な話です。その資金で、傾き始めたアメリカの国債を買わせたいはずです。それを守るために強力な応援団として「曽野先生を味方」につけたように思えてなりませんが、皆さんはいかがお考えでしょうか?

 さて、「週刊ポスト」で井沢元彦氏が「逆説の日本史」を連載中ですが、今、ちょうど幕末を扱っています。その中で、「幕末にアメリカやロシアと結んだ不平等条約」のことが書かれています。その不平等条約を解消するために、明治政府がずいぶん苦労したようです。
 菅首相は「TPP」を「明治維新と戦後に続く第3の開国」と喧伝していますが、まさに幕末の「不平等条約」を結ぼうとしています。評論家の竹村健一氏はテレビでしばしば「歴史」に学ぶことをすすめていましたが、歴史に学ばない「売国」的政権が「菅政権」のように思えてなりません。

 井沢元彦氏は、昨年の7月2日号の「週刊ポスト」で緊急寄稿を出しました。「拝啓 岡田外務大臣 なぜあなたは<海外初・建設37億円の自衛隊基地><活動拠点>と言い換えるのですか<トピックス、第30回「ゆうパックの遅配と民族病について」の中の(11)ご参照>と同様、平成の不平等条約を是非、指弾してほしいものです。「明治維新と戦後に続く第3の開国」という「言霊(ことだま)」にだまされないように。
 上記の中で井沢氏は次のようにも書いています。<「一致させたくない時は、言葉の方を換えればよい」ということにもなるポチの本性を隠すためには「明治維新と戦後に続く第3の開国」はピッタリです。

●(14)平成23年2月11日号、週刊ポスト「天下の極論“日本リセット計画”第3弾」

 <TPPだの「平成の開国」だの、たわ言をいうな!>

 <「インチキ農家」を潰してしまえば、日本農業は劇的に復活する>

 この国に「農家」はどれだけいるか。答えは、農家を「農業で生計を立てる者」と見るか、「農地を持っている者」と見るかで大きく違ってくる。
菅内閣が打ち出したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加を巡り、「農業再生」が重大な政治テーマになる中、誰が日本の農業を支え、誰が農業をダメにしているかを見極めなくてはならない。


 <TPPでまたも国を売り渡す>
<菅首相は「コルホーズ」か「人民公社」でも作る気か>

 「平成の開国だ」とTPP参加方針を打ち出した菅首相は、農業団体や族議員から「日本の農業が滅びる」と猛反発を浴びると、慌てて「農業再生」を唱え始めた。
 1月21日には自身が議長を務める「食と農林漁業の再生実現会議」で、「農地を村全体で所有し、使いたい人が使えることにしたらどうか」と農地制度の見直しを提案。土地公有による農村の組織化といえば、旧ソ連の集団農場「コルホーズ」や中国の「人民公社」の発想だ。

 そのアイデアによほど自信があるのだろう。24日の施政方針演説では、
 「貿易を自由化したら農業は危うい、そんな声があります。私は、そのような二者択一の発想は採りません。過去20年で国内の農業生産は2割減少し、若者の農業離れが進みました」
 と農業の危機を強調した上で、
 「農地集約で大規模化する。こうした取り組みを広げれば、若い人たちが参加する農業、豊かな農村生活が可能なのです」

 そう“バラ色の農村”の夢を振りまいたのです。
 だが、この演説は、菅氏が日本の農業が抱える問題を全く理解していないことを露呈したといっていい。
 認識が誤っているのは、「過去20年間で2割減少」を農業の危機と考え、その打開策を農業人口を増やすことに求めている点だ。
 「20年前」にあたる90年の農業算出額(農家の農産物売り渡し価格で、流通コストなどは含まれない)は11・4兆円。09年が8・1兆円だから、2割どころか、3割近い減少なのだが、ただし、それはこの20年で農業が衰退したことを示すわけではない。90年には、農業産出額の約3割を占める生産者米価が1俵(60キログラム)1万6500円という高水準にあった。しかし03年に政府の買い取り制度は撤廃されて米価は下落し、農業算出「額」を引き下げた。すなわち、補助金が減っただけなのである。

 菅氏のデータの読み方は、むしろ逆だ。消費者米価が現在とほぼ同水準だった35年前、高度経済成長期が終わった75年には、日本の農業人口は790万人、産出額は約9・1兆円。それが10年には農業人口は261万人と3分の1に激減しているが、前述の通り産出額は8・1兆円と1兆円減にとどまっている。

 神門(ごうど)善久・明治学院大学教授(農政学・経済学)がこの理由を解説する。
 「高度成長期に農村から都市に労働力が流出し、農家とは名ばかりの兼業農家が増えた。それでも産出額がそれほど減っていないのは、一部の専業農家が生産性を大きく伸ばし、農業を支えているからなのです」
 詳細は次稿で述べるが、日本の農業の歪みの原因は「土を触らない農家」が農業従事者の大半を占めていることにある。そんな農村に農地を共有させて「菅コルホーズ」を作れば、旧ソ連と同様、意欲ある農家はやる気を削がれ、農業は崩壊に向かうだろう。

 <TPP参加動機は「米国の圧力」>

 日本のコメ生産量は、ピーク時の60年代後半には年間約1400万トンだったが、減反政策により830万トン(09年)まで減った。価格はカリフォルニア米の2~3倍、タイ米の約7倍だ。これでは国際市場で戦えない。
 その障害になっているのが、土地を手放さない兼業農家と、米価を高く維持する政策だ。元農水省農村振興局次長で、ガット室長や食糧庁総務課長を歴任した山下一仁・キャノングローバル戦略研究所研究主幹が指摘する。

 「兼業農家の大部分は米作主体です。週末しか農業をしない兼業農家にとって、手間のかかる野菜などの商品作物より、年1回収穫のコメの方が作りやすい。当然、米価は高い方がいい。政治家は数が多い兼業農家を優遇した方が票になるから、小規模な兼業農家の歓心を買うために、減反で生産量抑えて値段を高く維持する政策を続けてきた」
 山下氏は、減反を撤廃すれば、生産量は1000万トン以上、米価は1俵9500円まで下がると試算する。
 「価格が下がれば、品質の高い日本のコメは十分な国際競争力を持つ。兼業農家はコストが合わなくなるので主業農家に農地を貸すようになり、農地の集約化も進む」(山下氏)

 菅首相は「大規模化」というが、施政方針演説に盛り込んだ「農家の個別所得補償制度」の現実を見れば、「農業をしない農家」を生き残らせようとしていることがよくわかる。
 本来、民主党の個別所得補償制度は、主業農家にコメを増産させて価格を下げ、農業を輸出産業に転換しようという戦略に基づいていた。自由競争で価格が下がり、コスト割れする場合は税金で補填する制度だ。
 ところが、菅政権が実施している所得補償は、政府の「生産数量目標(減反)」を守る農家に交付金を払うもので、増産政策とは正反対のものに変質した。これでは自民党時代の減反補助金の引き上げと変わらない。

 その結果、農業の大規模化どころか、逆にこれまで主業農家に農地を貸していた兼業農家が「補償がもらえるなら自分たちの食べる分は自分たちでつくる」と農地の貸し剥がしをする。そうして農業基盤をさらに弱体化させたうえでTPPに参加しようという菅内閣の政策は、農業再生どころか、「農業絶滅策」にほかならない。

 そもそも、菅氏は最初から農業のことなど何も考えていなかった節がある。

 貿易関税の完全撤廃を掲げるTPPは、当初はシンガポール、ブルネイなど4カ国が参加するマイナーな協定であり、鳩山政権時代、日本政府は参加の検討さえしていなかった。しかし、昨年11月に横浜で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)でオバマ大統領がTPP推進を打ち出すと、菅首相は、唐突に「日本も参加を検討する」と口にした。経産省幹部が舞台裏を語る。
 「TPPの狙いは農業分野だけではない。郵貯や簡保などの金融分野や労働市場の開放も含まれる。米国は自民党政権時代には毎年、日本に年次改革要望書を出して各分野の市場開放を迫り、小泉政権下で郵政民営化や労働者派遣法改正を実現させてきた。
 日米の政権交代で年次改革要望書は09年以降中断しており、民主党は米国の意向に逆らって郵政民営化や労働者派遣法の見直しを始めた。そこでオバマ政権は、今度は拘束力を持たない要望書ではなく、より強力なTPPという形で日本に圧力をかけてきた」

 これに、自由貿易で潤う財界の勢力が加担し、菅政権はすっかり丸め込まれたというわけだ。
菅首相が叫ぶ「平成の開国」は、自民党政権と同様、「ガイアツ」にひれ伏した結果でしかない。

 <「家庭菜園」への税制優遇に浴する“偽装農民”たち」>
 <作物を出荷しない農家が3割超という「農民」の真実>

 <略>

 <脱会者が明かした恐るべき内情>
 <金融と選挙が主たる業務・・・農業に寄与しない農協の「矛盾」>

 <略>

 <「小沢潰し」の真相はここにもあった>

 <いまなお農業ゼネコンを牛耳る「元大物代議士」>

 日本の農業関連補助金は、政府予算(10年度)では約1兆5000億円だが、自治体や輸入農産物にかかる高い関税、コメのミニマムアクセスの費用などを含めると5兆5000億円と見られている。米国通商代表部は、「日本の補助金総額は農業算出額の59%に達し、農地1ヘクタール当たり9709ドル、EUは676ドル、米国は117ドル」(03年報告書)とレポートしている。
 国会で審議がスタートした11年度予算案でも、農道やダムの建設、農協に交付される農産物の共同集荷施設(倉庫)などのハコ物建設の補助金の他に、農道の脇に花を植える「共同活動支援交付金」に227億円の予算が組まれている。

 中でも農政の矛盾を象徴するのが土地改良事業だ。
 農村地域に行くと、休耕田や雑草が茂った耕作放棄地のすぐ隣で、重機で田畑を掘り返している土木工事を見かける。小さな田畑の区画整理や、畦道の整備などの「農地づくり」である。事業を行なう際には複数の農家が土地改良区(組合)を結成し、費用の9割は国と自治体の補助金で賄われる。

 自民党政権は、最盛期には毎年1兆円を超える予算を組んで全国で土地改良事業を推進し、農村には農業土木工事の受注をあてこんだ農業ゼネコンや零細土建業者が増加。地域ごとに「土地改良建設業協会」「土地改良測量設計技術協会」などの業界団体が組織された。そうして農業土木業界は農協と並ぶ自民党の有力な集票マシーンとなり、その頂点の「全国土地改良事業団体連合会」や都道府県団体の会長には、自民党の有力政治家が名を連ねて補助金を減らされないように睨みを利かせた。現在の全土連会長は野中広務・元自民党幹事長である。

 コメ余りで減反政策が始まってからも、自民党は毎年5000億円規模の土地改良費をかけて新たな農地を整備しながら、一方で年間2000億円近い減反補助金を出して農地を減らすという税金を使ったマッチポンプを長年にわたって続けてきた。
 その結果、今や全国の耕作放棄地は埼玉県の面積を超える約40万ヘクタールに達した。さらに、09年からは「耕作放棄地解消緊急対策」として、放棄地での草むしり作業や木の伐採に、3年間で総額1700億円の補助金が投じられている。

 農地を造成して放棄させ、さらに草むしりと土木工事で“再生”するというのだから、農業ゼネコンにとってこれほどうまみの大きい公共事業はない。土地改良事業は農家ではなく、農業ゼネコンにカネを落とすための仕組みなのだ。
 しかし、政権交代で状況は一変する。09年末の10年度予算編成の際、民主党幹事長だった小沢一郎氏が、「無駄遣いだ」と鶴の一声で土地改良予算を7割カットさせた(5770億円から2129億円)のだ。
 ところが菅政権はそれさえも再び逆戻りさせようとしている。

 昨年10月、野中氏が鹿野道彦・農水大臣と会談して土地改良事業費の増額を陳情すると、菅政権は小沢氏が削った分を補正予算で約700億円も積み増した。野中氏と当時の仙石由人・官房長官とは「反小沢路線」で一致しており、「予算復活は仙石ー野中ラインで決まった」(民主党幹部)と見られている。
 減反を含め、このバカバカしい農地政策を改めれば、財政再建を進めながら、遊ばせている優良な農地を利用した新しい農業が始められるはずである。しかし、利権農政にどっぷり浸かった自民党と、それに手を貸す菅政権では無理だろう。

 <高い技術、広大な農地、やる気ある農民>
 <日本は「最強の農業国家」になれる>

 <略>

<文責:藤森弘司>

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