2011年12月15日 第59回「トピックス」
「TPP」についての一考察

●(1)数年前、自民党の長老、塩爺が「母屋でおかゆを啜っているが、離れではすき焼きを食べている」という名言を発しました。しかし、これを中心に議論されることがあまりにも少なすぎると思います。

 税収がわずか40兆円台、予算が90兆円台の国家予算をいくら議論しても、わずかな効果しか上がりません。ところが離れでは200兆円規模であり、フリーパス状態です。ここを何とかしない限り、結局は、国家予算さえもがどうにもならないはずです。何故ならば、ひとつには、規模が違うため、節減努力の成果が違い過ぎます。仮に10%の効果を挙げても、桁が違います。民主党はここに斬り込むことで、埋蔵金を掘り出すと言ってたはずが、今や、増税一本槍です。もうひとつは、国家予算を組むときに、官僚は天下り先確保のための密かな「工夫」をしているはずです。

 その工夫にも二つあります。ひとつには、「離れ」が潤うような予算措置をとっているはずです。つまり、余計な仕事を作ったり、不要になった事業に予算をつけ続けたり、「過去官僚」を養うために、割り高になる「離れ」に仕事が回るような工夫がなされているはずです。天下り先を確保し続けるために。

 もうひとつは、特権を悪用できる天下り先で、自己保身のための屁理屈をつけて、企業活動を阻害していることです。自己増殖するために、産業の活力を阻害するという形で、自分たちの存在感を高めていることです。
 一般には目に付きにくいだけで、これこそがもっとも国益を阻害しています。国益を阻害しながら自己増殖するという悪質さは目に余ります。

 日本経団連が政府と密着するのは、国益を阻害してまで自己保身の政策を推進する「政府や官僚」とベッタリになることで、進歩発展する能力が無くなった産業界なり企業(つまり、競争力が無くなった老害的な産業や企業)が、彼らと利害を一致させるために抱きつき作戦を取っているのだと、私(藤森)は思っています。
 「自己成長」の分野で言えば「パラサイトシングル」みたいなもので、日本経団連はある意味で、今や「寄生虫」みたいな存在です。

 その典型例が、「記者クラブ制度」「農業自給率」問題です。

 新聞業界は今や衰退産業ですが、「記者クラブ制度」という「生命維持装置」で辛うじてビッグな体面を保っているだけだと、私(藤森)は思っています。中東を見るまでもなく、インターネットの普及などで、今後、影響力がかなり低下することは間違いないでしょう。「記者クラブ制度」が廃止されれば、それはさらに加速されるはずです。

 現在、1千万部とか、800万部、600万部などと言われている「読売新聞」「朝日新聞」「毎日新聞」などが独力で情報収集するようになり(つまり、政権や官僚の代弁者を止めること)、そして、クロスオーナーシップ(同一資本が新聞、テレビなど複数のメディアを系列化すること)が禁止されれば、政界に激震が走ることと思います。

 逆に言えば、「記者クラブ制度」や「クロスオーナーシップ」がどれほど日本の政界や官界を歪めているかです。「権力」「大マスコミ」が結託したら、多くの問題はフリーパスになる危険性があります。
さらに、この両制度は、日本の「老害的な産業」や「老害的な制度」をどれほど
「温存」させてしまっているか、つまり、日本の産業の発展をどれほど阻害しているか・・・・・老害的な彼らがいくら生き延びても、それは全く構わないことですが、他の産業(新興企業など)の発展を阻害することで、日本を「衰退」させていることが大問題です。

 衰退産業の老害経営者はいかにアホで腐っているか、その一例(「読売新聞」と「農業自給率」)を次に紹介します。

●(2)平成23年12月2日、週刊ポスト独裁帝国の崩壊・ナベツネさんよ、ありがとう。あなたの時代は終わった」

 <巨魁・渡辺恒雄への「引退勧告」><清武は「討ち死に」でも「第2クーデター」が水面下で><略> <日テレが支える砂上の楼閣>

 今年6月の「大粛清」は、一方ではナベツネの絶対支配が今も続いていることを示唆したが、他方で、その統治が緩んでいることも象徴していた。
 内山斉・読売グループ本社社長(兼読売新聞東京本社社長)が「一身上の都合」で辞任したのをはじめ(内山氏のインタビューは49ページ・・・は割愛)、老川祥一・東京本社代表取締役(編集主幹)、滝鼻卓雄・読売巨人軍オーナーが降格や更迭され、すでに飛ばされていた朝倉敏夫・元グループ本社副主筆兼東京本社副社長を合わせて、かつて「ナベツネ側近4人組」と呼ばれた腹心がそろって中枢を追われたのである。

 この「突然の粛清」は大きな話題となったが、その理由は今もって謎とされており、同グループの経営幹部は、陰に経営路線の対立があったと指摘する。

 「渡辺主筆は本社の建て替えなどの不動産事業や時事通信社の買収構想など経営多角化と拡大路線をとってきた。内山さんたちはそれに慎重論を唱えた。今は足元を固めるべきという主張です。新聞の発行部数についても、主筆は1000万部死守を至上命題にしてきたが、販売部門を担当してきた山内さんは無理に部数拡大して販売店に負担をかけるより現実路線を目指した。その結果、『若返り』を口実に更迭された」
 <藤森注・・・・・お前が若返れ!!>

 同社は昨年9月から東京・大手町の本社建て替え事業に着手し、地上33階(200メートル)の高層ビル建設を進めている。人呼んで「ナベツネタワー」の総事業費は「200数十億円」(同社関係者)とされるビッグプロジェクトだ。
 渡辺氏が昨年4月の同社入社式でぶった大演説が、鼻息の荒さを伝える。

 「今や不滅の読売を象徴する超高層新社屋をこの大手町に建設することは、私の生涯の最後の使命である。このデフレによる営業収入減の中で無謀ではないか、との批判も出るかもしれないが、わが社の資産力、経営力からしてもいささかの不安もない」
 <藤森注・・・・・お前は「長嶋茂雄」か!!・・・私の生涯・日本の障害!!>

 こういい放つが、同社の不動産開発は東京だけではない。大阪では関西電力と共同で豊中市の「よみうり文化センター」を54階建てのマンションや複合施設に建て替える計画があり、総合事業費は「300億円は下らない」(関西のデベロッパー)と見られている。
 だが、本当に「いささかの不安もない」かは疑問視されている。新聞、出版不況はいまだ続いており、読売とて例外ではない。
 読売新聞の広告収入は9年前(02年3月期)の約1507億円から、11年3月期は約801億円に半減している。渡辺氏が販売店の総会(今年7月)で明らかにした数字だ。

 部数の落ち込みは業界全体の問題ではあるが、日本ABC協会の調査では、読売の販売部数は今年に入って1000万部を割り、さらに、「3月の東日本大震災後に10数万部減った」(同社中堅)と苦境にある。
 巨人戦の観客動員数がそれに追い討ちをかける。今季の主催試合の入場者数は約272万人で昨年より24万人もダウンした。かつてプラチナチケットとして新聞拡販の切り札となった「巨人戦」は、今やダフ屋が投げ売りしている状態だ。

 放送ジャーナリストの金沢誠氏が語る。
 「読売グループ本社の決算(11年3月期)を見ると、“帝国”の実情はかなり厳しいことがうかがえます。営業損益は1億800万円の赤字だが、関連会社の日本テレビが過去最高益を出し、日テレ株の配当金が入って最終損益が黒字になっている。本業が苦しいのに本社ビル建設で巨額の投資が必要な本社を、関連会社の日テレが救済した格好です」

 大手信用調査機関の調べでも、読売グループの連結ベースの売上高は毎年100億円ペースで減り続けている。「巨大ビル」「買収と拡大」「何が何でも1000万部」というナベツネ路線は経営の常識からして危険であり、現場から「現実路線を」という声が出たことこそ当然だろう。

 「渡辺方針に背いて更迭された内山前社長ら4人組にかわって抜擢されたのが、白石興二郎・現グループ本社社長ら新側近衆ですが、実は、清武氏はその中心人物の1人だった。それだけに、新側近から早くも造反者が出たことは、渡辺主筆にとってもショックが大きかったようです」(読売グループ会社の元経営幹部)

●(3)NHKで「坂の上の雲」が毎週放映されています。
 昔、何かで、「乃木希典将軍を、日露戦争での『203高地』攻略の不手際で軍神とは言えない」という意見があるのを知りました。このテレビ番組「坂之上の雲」を見ても、乃木がいかにガンコで融通性が無いかを知ることができます。陸軍は、「戊辰戦争」も「西南戦争」も「日清戦争」も戦い、大いなる戦果を挙げてきました。自分たちの能力を過信するに十分な「根拠」があります。

 ということは、「陸軍」はすでに「時代遅れ」「衰退産業」になっていると、私(藤森)は考えます。しかし、「過去の栄光」にしがみつくことで、戦況を見誤る結果になったのではないかと推測します。私(藤森)は、歴史に関しても「雑学」程度ですので、詳しいことはわかりません。むしろ、この戦いを評価する考えもあるようですが、乃木将軍がガンコ一徹な人間であったことは間違いありません。

 それは、日露戦争後、乃木将軍が入院したとき、東郷平八郎元帥が見舞いに行かなかった理由として、「自分が見舞えば、乃木は必ずベッドに正座して見舞いを受けるであろう。それでは見舞いにならないから行かない」という理由だったと昔、何かで読んだことがあります。私(藤森)からみると、ただの頑固親父ですね。

 さて、何を言いたいかといいますと、「衰退産業(自己成長も同じ)」は、過去にしがみつくということです。乃木将軍が攻略に苦慮しているとき、時代の先端である「海軍」は「日本海海戦」のために、先を読んでいました。特に、海軍・秋山真之の天才性もあり。

 しかし、その「海軍」も太平洋戦争では、「航空機」の時代になっているにもかかわらず、大艦・巨砲主義で、時代遅れの「戦艦大和」を作りました。

 さらに、戦後は「記者クラブ制度」で大成功を収めてきた「大マスコミ」も、インターネットニコニコ動画などの躍進で、今後は衰退産業の先端を走るのは間違いないでしょう。

 そういう時代に、「老害経営者」は「戦艦大和(「ナベツネタワー」や「54階建てのマンションや複合施設」)」を作ろうとしています。まさに「老害経営者」と「衰退産業」の見本市・一大サンプルのような話です。
 私はとっくの昔に巨人軍に興味を失っているので、清武氏とナベツネ氏との争いの中身は、ほとんどわかりません。ただ、「超老害経営者」がここまで関わることは、そのことひとつを取っても、ナベツネ氏が「悪」と断罪せざるを得ません。良くても悪くても、若い者に好きなようにやらせなさい、ナベツネさん。

●(4)さて、自民党は長期政権で惰眠を貪り、民主党政権は余りにもオソマツなために、官僚はますます増長して、「自分が跨(また)いでいる枝を切る」ほどの、つまり、日本を沈没させるほどの縄張りを広げてしまいました<第81回「自分が跨(また)いでいる枝を切ると?(1)」と、第82回「(2)」>(この「81回」と「82回」、私が尊敬する曽野綾子先生のエッセイと、歴史の天才・井沢元彦氏の「米沢藩・上杉鷹山」の極めて面白い話です。今の官僚にピッタリ官々?です。是非、再読してみてください)。

 さて、「惰眠」と「オソマツ」で、今や、官僚無くして政権運営はまったくできないほどの状況のようです<「今月の言葉」第112回「脚本分析・オバマ大統領は大丈夫か&TPP」の中の(14)「官僚は大臣より偉い!」と、「トピックス」第57回「小沢裁判と幕藩体制」の中の(7)「徹底解剖・財務省の研究」ご参照>。

 財務省にオンブにダッコだとか、財務省の操り人形だとかのレベルでなく、財務省に隷属する民主党政権だと言わざるを得ません。天下の大教授さえもが、野田首相の演説を「戯画化して素晴しい演説」だと言わんばかりに評価しましたが、惰眠を貪った自民党時代ならいざ知らず、大教授さえもが言っているほどの「非常時」に、戯画化した演説をしたり、この非常時の財政運営を、全くの素人を財務大臣に任命したり、デフレ下にデフレを加速させる「増税」にひたすら突っ走る野田首相は、まともな神経とは言えないのではないでしょうか(それを推測させるエピソードを次回、紹介したいと思います)。

 さて、そういう民主党政権下にあって、官界の改革は最大かつ喫緊の課題です。ここを何とかしない限り、他をどんなに工夫しても、花壇の花をいじる程度の瑣末な「改革」に終わってしまうのではないでしょうか。
 官僚がいかにやりたい放題をやっているか、そして、いかに日本の発展を阻害しているか、前回に続いて、「日本は世界5位の農業大国」の本の中から紹介したいと思います。

●(5)「日本は世界5位の農業大国」(淺川芳裕著、講談社+α新書)より抜粋

◆日本は世界でもっとも食料を買いあさっている国というわけだが、実はその認識からして誤っている。
 数字を見れば一目瞭然だ。日本、米国、英国、ドイツ、フランス5か国の農産物輸入額(2007年)を比べると、1位が米国の747億ドル、2位がドイツの703億ドル、次いで英国535億ドル、日本460億ドル、フランス445億ドルという順になる。
 日本は世界最大の食料輸入国ではないのだ!

 <藤森注・・・・・GDP比や人口比から考えると、日本の食料輸入額はドイツ、英国、フランスなどの何分の一にしかなりません。例えば、英国の人口は6100万人で、日本の半分です。>

◆・・・・・農業の国内生産額(2005年)において、日本は先進国のなかで、米国の1775億ドルに次ぐ826億ドルの2位である。・・・世界全体で見ても、農民が大多数を占める人口大国の中国が1位、そして2位の米国、3位のインド、4位の農業大国ブラジルに続き、日本は世界5位の農業大国となる。
 これはEU諸国のどこよりも多く(6位フランス549億ドル、13位ドイツ379億ドル、18位英国184億ドル)、農業大国ロシア(16位?269億ドル)、オーストラリア(17位259億ドル)の3倍超もある。

◆・・・・・それは毎日大量に処分されるコンビニ食品工場での廃棄分や、ファーストフード店、ファミリーレストラン、一般家庭での食べ残しなどである。誰の胃袋にも納まらなかった食料、つまり誰にも供給されなかったカロリー分も、分母に入れて計算されているのだ。
 その量はといえば1900万トン。日本の農産物輸入量5450万トンの3分の1近く、世界の食料援助量約600万トンの3倍以上に及ぶ。

◆年齢別・性別の適正基準に対し、その人口分布を厳密に当てはめてみると、国民1人1日当たりの平均カロリーは1809カロリーとなる。国産供給カロリー1012キロカロリーをそれで割ると、自給率は56%にもなる。
 政府が定める2015年度目標の45%を軽がると超え、民主党が10年後に目指す50%さえ一気に突破している。

◆そもそも、カロリーベース食料自給率などという指標を国策に使っているのは、世界で日本しかない。それ以前に、自給率を計算している国も日本だけだ。
藤森注・・・・・世界の常識は日本の非常識、日本の常識は世界の非常識!!>

◆国民の意思とも農家の生産意欲とも関係ない、まさに国家カルテル推進法である。自給率目標値の決定プロセスでは、「政府は、(中略)食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない」と定められている。最終的には閣議決定事項だが、農水省がいかようにもコントロールできるわけだ。
 ・・・・・
 つまり、十数年後の1億人レベルの消費者嗜好を、適当に想像して決めただけである。農業生産の増産とも、安全保障上の自給概念とも何ら関連がない空虚な皮算用なのだ。
 ・・・・・
 あきれるのを通り越して笑ってしまう。国民が何を食べるか、箸の上げ下げまで農水省がコントロールできるわけがない。

◆いくら国といえども、各農家の経営判断による、作る自由、売る自由、儲ける自由を妨げることはできない。

◆・・・・・エンゲル係数は、およそ23%。これはほかの先進国に比べて頭一つ抜けて高い。この数字は、高関税に守られたコメと、政府の価格統制下にある小麦の値段が高いことが大きな要因である。

◆国は水田で飼料用のコメを作った農家に、10アール当たり8万円の補助金を支給している。仮に反収(約10アール当たりの収穫量)を10俵で試算すると、税金8万円を投じた生産量は600キログラム。8万円を600キログラムで割ると、飼料米1キログラム当たりの税金投入額が133円。
 これに和牛1キログラム作るのに必要な穀物量(ここでは120キログラムで試算)をかけると、約1600円となる。つまり、国民は牛肉1キログラム当たり約1600円を負担していることになるのだ。

◆日本の反収が伸びない理由は単純だ。毎年安定した収穫が見込めなくても、転作奨励金がもらえる。品質を向上させ、農地を拡大して収穫量を増やし、市場規模を広げていくという真っ当な経営努力をしなくても、一定の収入が確保できるからだ。そのため、小麦の栽培に適さない地域でも無理に作付けし、管理も収穫もしない「捨て作り」もあとを絶たない。完全なモラルハザードである。

◆また日本のコンバイン台数は97万台で、米国の41万台、中国の40万台に倍以上の差をつけた断トツの世界一である。トラクターの191万台も米国に次ぐ2位で、農地面積の違いを考慮すれば、日本中に農機が溢れているといってもいいほどの台数になる。実際に農地面積当たりのエネルギー投入量は世界一だ。
 裏を返せば、作業効率の悪い擬似農家が多いといえる。1年間でそれらの農機を使用するのは実質2週間程度しかないが、各農家がそれぞれに所有しているのだ。
 <藤森注・・・・・畑に「種」を蒔かずに「農機具」を蒔いている!!!>

◆民主党、鳩山由紀夫政権が推し進める自給率向上政策は・・・・・国民の税金1兆円をドブに捨てる「農業の衰退化計画」だ。・・・・・この民主党の政策は、農家の無能さ、生産性の低さを前提としている。黒字を目指す当たり前の事業のあり方を否定し、むしろ赤字を奨励しているのだ。いまだかつて、これほど人間の努力とリターンに逆進性のある制度は存在しなかったのではないか。

◆さらに問題を深刻にするのは、不労マネー争奪戦に、農水省の労働組合が参戦してくる可能性が高いことだ。
 所得補償の制度運用を取り締まる公算の高い組織が、農水省の地方出先機関「農政事務所」である。ここは、民主党の支持母体である農水省職員の労働組合「全農林」の牙城だ。
 ・・・・・
 しかも、全農林は数々の問題を起こしてきた労働組合として悪名高い。彼らの不作為によって国民の食を脅かした「三笠フーズの事故米問題」、組合運動で仕事を放棄し税金を浪費する「ヤミ専従問題」、田んぼの測量に行くといって経費をネコババする「カラ出張問題」など、挙げればキリがない。2009年10月には、農水省が使わずに隠し持っていた国庫補助金、いわゆる「埋蔵金」350億円を返納しろと、会計検査院から求められる異例の事態も起きている。
・・・・・
 自民党農政は、減反政策によって公務員の無駄な仕事を作り続けてきた。

◆なぜ民主党幹部は、この手の惰眠を貪る仕事をたくみに作り出すのか、その理由は、自治労という安定した支持母体集団に対する、媚びへつらい以外の何ものでもない。

◆では、なぜ農水省は企業や国民の負担を増やしてまで、小麦貿易に強制介入する必要があるのか。こちらの答えも単純だ。それは財源と天下り先を確保するためである。

 <藤森注・・・・・等々、どこまでも、どこまでもキリがありません。自分たちの仕事を増やしているだけならばまだ可愛げがありますが、無駄な仕事を増やして、各農家の経営判断による、作る自由、売る自由、儲ける自由を妨げている!!!

 自分が跨いでいる枝を切り始めていることに気付かないとは、一流大学の秀才っていうのは、単純バカなんですね。○×式の単なる学校秀才だったんです。日本の現状を考えたり、東北の被災者を思い遣る「能力」も「知力」も「武士道精神」も「温かい心」も何も無い・・・私がいうところの「勉強マシン」

 さて、前回、民主党・桜井充議員の次の言葉を紹介しました。
 「桜井はこうした歴史的事実を取り上げて、『米国は非常に戦略的にやってきている。TPPの最大の問題は、日本の交渉力のなさなのです。TPPは交渉に勝てれば参加するべきです。交渉事で勝てないから、この辺を考えなければいけないのです』と結んだのだ。」

 日本がいかに舐められているかを、次に紹介して、残りは次回に回します>

●(6)平成23年12月7日、日刊ゲンダイ「あおぞら銀に巣くったハゲタカ・底なしに強欲」

 <株式配当3倍増で舌なめずり>

 あおぞら銀行が11年度中間決算を発表した翌日の先月16日、呆れた人事が発表された。昨年4月まで新生銀行に籍を置き、傘下の消費者金融アプラスの会長だったクラーク・D・グラニンジャー氏を、12月1日付で執行役員に迎えたのだ。

 「グラニンジャー氏は、現あおぞら銀行社長のブライアン・F・プリンス氏と新生銀行時代の同僚で、友人関係にある。その引きで今年2月からあおぞら銀行のコンサルタントを務め、今回、晴れて執行役員に就任した。2人とも、あおぞら銀行の筆頭株主である米投資ファンド、サーベラスの息のかかった『進駐軍』なんていわれています」(あおぞら銀行関係者)

 ハゲタカ外資は新生銀行を食い物にしただけでは飽き足らず、あおぞら銀行までシャブり尽くそうとしているらしい。
 その強欲ぶりはあからさまだ。グラニンジャー氏のあおぞら銀行入りと前後して同行は驚愕の増配を決めた。10月31日に、2012年3月期の業績予想(当期純利益)を330億円から450億円に上方修正するとともに、普通株式の年間配当を1株当たり3円から一挙に9円に上方修正したのである。

 「いくら業績が上向いたとはいえ、この環境下で配当を3倍に引き上げるのは常識を疑います」と、あるメガバンク幹部も唖然としている。
 しかも、あおぞら銀行にはいまだ1794億円の公的資金(優先株式)が残っており、来年10月には普通株式に転換される予定になっている。その返済もままならない中での増配は、大株主サーベラスと“進駐軍経営者”の懐を肥やすだけだ。

 あおぞら銀行については今年9月、発行済み株式の55%を保有するサーベラスがオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)と売却交渉に入っていたことが明らかになっている。しかし、この売却交渉は不調に終わった。売却できないなら、配当で暴利をむさぼろうということか。

 国が税金を毀損させずに公的資金を回収するためには、あおぞら銀行の株価は400円台まで上昇しなければならないが、同行の株価は200円そこそこで低迷している。これ以上食い物にされたら、回収は絶望的だ。

●(7)リーマンショックの後、NHKスペシャルで数回、特集が放映されたことがあります。そのときにしばしば使われた言葉が「強欲(greed・グリード)」でしたが、まさに「グリード」そのものです。

 彼らは「強欲」であることは間違いないでしょう。しかし、ただそれだけではありません。「強欲」な上に日本を軽蔑しています。1794億円もの公的資金が投入されているにも関わらず、何故、これほどのムチャクチャな・・・・・「強欲」丸出しのことができるのか。ここが大問題なのです。

 私がみるところ、理由は2つあるように思われます。
①そもそも、日本という国そのものを「ジャップ」という言葉で軽蔑的にみているはずです。「アヘン戦争」で中国がメチャクチャにされたように、そして、なんだかんだと言いながら、オバマ大統領を侮蔑的に見るアメリカ人が多いのと同様に、日本人を心の底では軽蔑的に見ているはずです。

②さらには、弱虫日本人を俺たちが守ってやっているのだ。ロシアや中国から脅されても、ビクビクしている日本人。その日本国を俺たちアメリカが守ってやっている。だから日本人は安心して「エコノミック・アニマル」もやれたのだ。その「安心料」「軍事費」のいくらかを俺たちが掠め取ったって構いやしない。

 そういう驕りが彼らだけでなく、経済人や政治家の中に多く存在しているはずであると、私(藤森)は推測しています。自国の人間、つまりアメリカ人たちからも「グリード」と言われるくらいです。ましてや、太平洋戦争で完膚なきまでにやっつけた日本、その後は軍事力で守ってやっている日本から、いくらかの富を搾取したからって、昔のお代官様と同様、良心が痛むわけがありません。

 世界的に見て、自国を他国に守ってもらっている国は無いのではないでしょうか。特に、日本のような大国の防衛を他国に守ってもらっている国があるのでしょうか。
 もちろん、日本の事情だけでなく、アメリカの事情があるにせよ、アメリカに防衛してもらっているという事実には変わりはありません。しかも、アメリカに守ってもらっている間に、腰抜けばかりになって、チョット驚かせばなんでも言うことを聞く「ポチ・属国」になっている。まさに「進駐軍」の心境でしょう。

 日本の公的資金が1794億円も投入されている会社ですよ。その返済がなされないうちに、配当金を3倍にされても、なにも言えないのですか。
 それでどうして「TPP」がまともに交渉できるのですか。相手は、日本を防衛しているアメリカ政府です。その政府を相手に交渉するのです。この日本国の中にある会社で、1794億円も投入していて、彼らの好き勝手をやられている「腑抜けジャップ」に、一体どんな交渉ができるのですか?

<文責:藤森弘司>

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