2011年10月7日 第56回「トピックス」
驚愕!の陸山会裁判

●(1)表題の通り、陸山会裁判が驚愕の判決を下しました。

 裁判に詳しい多くの(在野の)専門家はほぼ「無罪」を予想していました。それがなんという理不尽な判決がくだされたことか。まったく素人の私(藤森)でも、裁判官が絶対に間違っていると言える事があります。

 以前、私が「トピックス」「陸山会事件に思う(2)」で紹介した内容を下記に再録しますが、超ワンマン・オーナー経営者である水谷建設の水谷元会長が、たとえば「私には考えられない行動」だというやり方で、当時の川村社長が裏金5千万円もの大金を初対面の石川議員(当時の事務担当者)に渡すわけがありません。これは私(藤森)の種々の体験や人生経験、さらには専門とする「深層心理」の観点から考えても絶対にあり得ないことです。

 逆の観点から考えてみると、それでは一体何故、川村元社長は、超ワンマン・オーナー経営者である水谷元会長が、「私には考えられない行動」・・・・・という行動を取ったのか?しかも運転手は、その日に川村社長を現場のホテルに「社長を送った記憶ない」と発言しています。

最大のキーパーソンである「超ワンマン・オーナー経営者・・・・・つまり絶対権力者である水谷元会長」と「絶対に必要な車の運転手」の2人が川村元社長と反対の発言をしています。

しかし・・・・・ここが肝心です・・・・・しかし、5千万円は会社から消えている。領収書も無い!!!立会人もいない!!!会ったこともない初対面の石川議員(当時は事務担当者)に渡したと主張する人間の発言を信じて「有罪」にする裁判官は「異常人格者」と断言して間違いない。

 しかし、多くの元検事の弁護士連中は、いかにも不正があったと「推認!?!?」し、それをクラブ記者連中が喜んで報道する。敢えて名前を挙げないが、彼らには「正義感」というものが無いのか。

 以上がどれほど間違っていることか、少々長いですが、(2)(3)(4)(5)を下記に再録しますので、じっくりとご覧ください。ワンマン・オーナー経営者が絶対に許すわけがないことです。
 絶対にあり得ないことであると思いつつご覧ください。キチンと整理して確認してみれば、いかにおかしいか、いかに間違っているか、いかに国家権力が歪んだ捜査をしているかがわかります。この点に関しては、小沢氏の悔しさが実感としてわかります。

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2011年5月31日、第46回「トピックス」「陸山会事件に思う(2)」の中の(2)(3)(4)(5)

●(2)平成23年5月25日、読売新聞「裏金 水谷元会長が了承」

 <陸山会公判証言「5000万円は私が手配」>

 小沢一郎民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、同法違反(虚偽記入)に問われた元秘書3人の第13回公判が24日、東京地裁であった。公共工事受注の見返りに同会側へ裏金1億円を提供したとされる中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県)の水谷功元会長(66)が弁護側証人として出廷し、1億円の提供を事前に了承していたと証言した。

 水谷元会長は、国土交通省発注の胆沢ダム(岩手県)建設関連工事の受注業者は、下請けの水谷建設も含め、入札前に談合で内定していたと説明。「予定通り受注できるよう、小沢事務所側に了解させるため」、陸山会の元会計責任者・大久保隆規被告(49)と親密になるよう川村尚元社長(54)に指示したと述べた。

 その後、川村元社長から2004年9月頃、受注の了解を得た見返りとして、大久保被告に1億円を提供することを打診され、了承。このうち、川村元社長が翌10月に同会元事務担当者・石川知裕衆院議員(37)(起訴)に渡したとされる5000万円については、「すべて私が手配した」と述べた。

 ただ、弁護側から「裏金が本当に陸山会に渡ったと思うか」と問われると、水谷元会長は、5000万円の授受の日付などについて、「私が報告を受けた内容と(川村元社長らの)証言に食い違いがあり、不自然に思う点もある」と話した。

 <藤森注・・・・・こんなバカな話はありません。オーナーであり超ワンマン会長は絶対です。もし、本当にこういうことがあれば、全てはワンマン会長の指示で動くはずです。絶対的な権威がある超ワンマン会長が指示した5000万円もの大金が、「不自然に思う点もある」ようなことを、元社長がやれるわけがありません。社長といえば最高権力者のように思われますが、超ワンマン・オーナー経営者の前では単なる一社員とあまり変わりがありません>

●(3)上記の読売新聞の違う場所で詳しく掲載されています。

 <裏金、工事受注のため>
<水谷元会長証言 元社長の手法には
不信感

 「川村から『1億円くらい渡します』と聞いて、私も了承しました」
 24日午後1時半から始まった水谷功元会長の証人尋問。「裏金提供は事実無根」とする弁護側の証人として出廷した元会長だが、尋問の開始直後、1億円の裏金提供について、川村元社長に同意したことを認めた。

 裏金提供は、「社運をかけた営業」だった胆沢ダム建設関連工事を事前の談合通りに受注するためで、川村元社長が04年10月に1回目の5000万円を渡す際、海外出張中の元社長に代わり、自身が裏金の準備や運搬方法を細かく指示したとも証言。険しい表情で質問を重ねる木下貴司弁護士を遮り、「当社の関係で皆様をお騒がせし、深くおわびします」と頭を下げた。

 ただ、木下弁護士から「川村さんは本当に裏金を渡したと思うか」と問われると、「私はその場に立ち会っていないので、分からない」と答えた。
 水谷元会長は、同社では裏金授受の際、①相手方と複数人で会う②受け渡しの当日朝まで金庫から現金を出さない・・・などのルールを設けていたと説明。しかし、川村元社長は4月27日の公判で、1回目の受け渡し日の2日前に現金を本社から東京支店に運ばせ、受け渡し場所のホテルで元会計責任者・大久保隆規被告の代理人の元事務担当者・石川知裕衆院議員と1人で会ったと証言した。

 水谷元会長は「私は(川村元社長から)『大久保さんに渡した』と聞いていたから驚いた。私には考えられない行動です」とかつての部下への不信感も見せた。
 閉廷後、水谷元会長は「記憶に基づいて証言した」と話した。

 <指示は俺が出す>

 16日の第12回公判には中村重幸元常務が出廷。同工事受注を巡り、水谷元会長が川村元社長に「俺は小沢事務所から嫌われているから、川村が営業に行け。指示はすべて俺が出す。何としても食い込むんだ」と発破をかけたと証言した。

 川村元社長が04年10月、石川被告に5000万円を渡す際、本社から東京支店に現金を運んだ尾納忍元専務も「携帯電話で水谷元会長から運び役を指示された」と証言。同月13日早朝、現金を運ぶために本社で中村元常務と合流した際、札束で膨らんだ紙袋を前に「また金がたくさんかかるから大変やな」と、2人でため息をついたと話した。

 一方、弁護側は2人の法廷での説明と供述調書の食い違いを指摘し、「検事の誘導による調書では」と追及。高部道彦弁護士が、水谷元会長から預かった裏金の保管状況などを覚えていないのは不自然だと指摘すると、中村元常務は「当時は記憶していたと思いますが・・・・・」と言葉を濁した

 <藤森注・・・・・このメチャクチャな論法は酷いです。何度も書きますが、超ワンマン会長にたてつくようなことを役員がやれるわけがありません。さらには、この業界の常識とされている「数人で会う」こともせず、現金は当日の朝出すことになっているのに、2日前に出しているし、大久保被告に渡したはずが石川被告だったと言う奇妙なところが多い。しかも、超ワンマン会長が「私には考えられない行動です」というところは、私のように深層心理を扱う人間にとっては、最大のポイントのように思われます。

 アリバイ的なものは、いくらでもウソやゴマカシが可能です(仮に、将来バレルとしても)が、深層心理は誤魔化せません。ですから、どこかに誤魔化しがあると言わざるを得ません。
例えば、極端な例として、ネコババしたとか・・・・・?「指示はすべて俺が出す」というほどの超ワンマン会長が、本当に「私はその場に立ち会っていないので、分からない」などといういい加減なことがあるわけがありません。確かに、その場にいないからわからないというのは事実でしょうが、5000万円もの大金を渡すのに、しっかり判断できないのはおかしいです。

 恐らく、読売新聞を始め、大マスコミは、この裁判のおかしさを見抜いているはずです。しかし、小沢憎しで凝り固まっているために、証言がおかしいところはチョコッと載せるだけにして、仮にウソっぽい証言でも、小沢氏の犯罪性を証言するところは誇大に紹介しているように思えてなりません。>

●(4)平成23年5月24日、読売新聞「陸山会事件 社長を送った記憶ない」

 <水谷建設元運転手が証言>

 <略>

 川村元社長が2004年10月、東京・赤坂のホテルで石川被告に5000万円の裏金を渡す際、元社長をホテルに送ったとされる元運転手の男性が、弁護側の証人尋問に「社長を送った記憶はない」と述べた。
 川村元社長は4月27日の公判で、胆沢ダム建設関連工事の受注で便宜を受けた見返りとして、04年10月15日にホテルで石川被告に現金を手渡したと証言していた。

 この日の公判で弁護側は、元運転手をの手帳には、10月15日正午過ぎに元社長を東京駅で出迎えたと記されているが、それ以降の記載はないと指摘。元運転手は、「15日に社長をホテルに送った」とする供述調書に署名したことについて、「私は覚えていないと答えたが、検事に『サインしてもらわないと困る』と言われ、署名させられた」と述べた。
 一方裁判官は、手帳の記載内容について「突然の送迎の場合は書き忘れることもあるか」と質問。元運転手は「そういうこともあると思う」と述べた。

 <藤森注・・・・・裁判官の「突然の送迎の場合は書き忘れることもあるか」との質問に対しては、「そういうこともあると思う」と答えるのは当然のことです。そうでなければ、私は完璧にやっていますということになり、神を宣言することになってしまいます。しかも、5000万円もの大金を用意しているのに、突然に送迎を依頼されるわけがありません。

 さらには、検事に「社長を送った記憶はない」と述べたが採用されなかったということも証言しています。この事実は重いです。しかし、検事のストーリーに沿った調書にサインをさせられています。かなりの剛の者でも、拘束されて、拷問とは言いませんが、ほとんどそれに近いことをされたならば(リクルート元社長の江副浩正氏は、壁に顔を近づけるほどの位置で何時間も直立させられたとテレビで述べていました)、もうどうでもいいやという心境になってしまうようです(実は、私たちの「人間性(パーソナリティー)」が形作られるのも、この状態に似ています)。

 それにしても、調書にサインをしたにも関わらず、裁判ではそれをひっくり返す証言をしたのは、こちらのほうが正解であるはずです。「陸山会事件」をきっかけにして、検察の取り調べに関心を持って、メディアの情報を拾ってみると、どうやら検察のストーリーには逆らえない強制力があることがわかります。それはそうでしょう。脅迫まがいのことをできる上に、社会と遮断して孤立させられるわけですし、関係者に迷惑がかかりそうなことを言われたら、誰でも参ってしまいます>

●(5)平成23年5月26日、日刊ゲンダイ「ミスター裏金 水谷元会長が法廷で語ったワイロの『心得』

 「自分は現場に立ち会っていないし、不明朗な点が多々ある」「実際に裏金が渡ったかは分からない」・・・・・。誰のセリフかというと、水谷建設の水谷元会長だ。元部下たちは「小沢事務所への計1億円提供」を証言したが、“ミスター裏金”といわれた水谷は、きのう(24日)の公判で首をかしげた。水谷建設には裏金授受の「マニュアル」みたいなものがあるそうで、元部下の証言はそれに反するというのである。

 <やっぱり検察のストーリーは無理がある>

 「特別なお願いを口利きしてくれた『成功報酬』でなければ、盆と正月以外に裏金は渡さない」「社員何百人が汗水たらして稼いだカネ。価値のない使い方はできない」「裏金の管理はオモテのカネより厳格だった」

 スキンヘッドにレスラー体形、張りのある野太い声を響かせ、水谷元会長は法廷で「(創業者の)父親から教育を受けた」という独自の“裏金哲学”を披露した。「こんな話もせなダメですかねえ」とためらいながらも、自分と幹部社員に徹底させていた「心得」を打ち明けたのである。

 いずれも「社員が稼いだ大事なカネ」の紛失や横領を防ぐ措置で、検察が描く裏金提供のシナリオは「心得」に反する。つまり、「考えにくい」ということだ。
 「検察側は04年10月15日に、川村元社長が全日空ホテルに『単独』で出向き、大久保元秘書の代理で現れた石川議員に『預かり証ナシ』で紙袋入りの裏金を渡したと主張しています。この時、川村本人は『大久保元秘書に確認の電話はしていない』と法廷で証言しました」(司法関係者)

 水谷元会長は、川村元社長から「中国出張からの帰国翌日の14日に渡す」との報告があったので裏金を手配。尾納忍元専務に対し、13日に東京支社に裏金を届けて、翌日の授受現場に立ち会うように指示したという。

 ところが、元専務は「東京支社の金庫にカネを預け、三重に帰った」と証言した。見届け人がいなければ、裏金を渡したかどうかが分からない。元社長が裏金を渡したのも、心得に反して翌々日の15日午後である。
 「私は(元社長から)大久保さんに渡したと報告を受けた。事件が明るみとなり、初めて石川さんに渡ったと聞いてビックリした。私が教育してきたことと違う」とも言った。

 「水谷元会長は、胆沢ダム関連工事の下請けJVの幹事の座を『社運をかけて目指していた』と証言した。営業担当の川村元社長から『大久保さんと合意ができた』と報告を受けたので裏金を手配したのに、実際には幹事になれなかった。その点も『おかしいやないか』と悔しがっていました」(司法関係者)
 裏金の授受は本件の収支報告書の虚偽記載とは無関係。しかも、検察のストーリーには、こうしたほころびがいくつもある。

 <水谷流裏金の「心得」>
*裏金の準備は原則、受渡日の朝。それから三重・桑名市の本社を出ても、相手先に着ける時間にアポを入れるべし。
*受渡日の前に裏金を持ち出す場合は翌朝一番で相手先に届けるべし。
*現金は1人で渡さず、「見届け人」を立ち会わせるべし。
*代理人が受け取りにきたら、約束の本人に電話で確認し、代理人にも預り証を書いてもらうべし。

 <藤森注・・・・・超ワンマン会長が、会社の「心得」として、幹部社員に教育してきたにも関わらず、5000万円もの大金を、この心得から全て外れて手渡すとは考えられません。しかも、運転手が送っていないと証言しています。余りにもズサンな裁判です。
検察側は、これらの事情が分かっていたから「立件」しなかったはずです。それをまた、日本の危機的状況の中で、延々と
「ヨタ話」の裁判を行なうのかと思うとやり切れません。今の日本はどこかおかしいです>

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●(2)どうでしょうか。どこから考えてもおかしいでしょう。私(藤森)からみると、これはもうメチャクチャという以外に表現のしようがありません。こんなバカバカしいことが正しいことだとされるとは「正気の沙汰」ではありません。

 こんなメチャクチャなことを、法律の第一級の専門家が集まって、長時間も割いて、裁判所で真面目に論じ合うなんてことは、まともな人間だとは思えません。つまり「狂っている」と言わざるを得ません。日本という社会もどこか狂ってきています。

 紹介すればキリがないほどおかしいことが沢山ありますが、厳選していくつか紹介したいと思います。キチンと整理して考えれば、いかにメチャクチャな裁判であるかがわかります。

●(3)平成23年10月6日、日刊ゲンダイ「小沢元秘書裁判」

 <東北ゼネコン幹部は「天の声」判決に大笑い>

 トンデモ裁判長が認定した小沢事務所の「天の声」と「裏金授受」。東北のゼネコン談合に小沢事務所が決定的な影響力を持っていて、だから、水谷建設は計1億円の裏金を渡した・・・というストーリーなのだが、東北のゼネコン業者も「100%あり得ない」とクビをひねる。

 「判決では小沢事務所の大久保元秘書が『天の声を発した』なんて決めてかかっていましたが、大笑いです」と話すのは、東北の大手ゼネコン幹部のA氏だ。90年代から談合にも関与し、小沢事務所の実情にも詳しい。A氏はこう証言する。

 「業者にパーティー券の大量購入や選挙協力などムチャなことを言ってきたのは、00年まで小沢事務所で秘書を務めた高橋嘉信氏です。東北談合のドンといわれた鹿島の幹部と太いパイプを築き、われわれも仕事欲しさにムチャな注文に渋々従った。大久保秘書は鹿島とのパイプを高橋氏になかなか譲ってもらえず、鹿島のドンからはほとんど相手にしてもらえなかった。大久保氏は迫力もないし、紳士。パーティー券の購入枚数を減らして欲しいと頼んでも、文句さえ言いませんでしたよ」

 A氏は水谷建設からの裏金についても「あり得ない」と呆れていた。
 「ホテルの喫茶店でカネを渡すのは、建設業界の常識として考えられない。渡すなら、料亭の個室など人目につかない場所にします。それにただの下請けにすぎない水谷が5000万円を2回持っていきますか。どうしても信じられません。100億円の工事を元請けのゼネコンが取っても経費が約3割で、残りを複数の下請けに叩いた金額で割り振る。元請けならともかく、下請けが1億円もの巨額の裏金を捻出できるはずがない。『ようやく利益を出せる』というのが下請けの実情なんです」

 妄想判決は建設業界の元談合担当者からみても、笑い話にしかならない。

 (取材協力=ジャーナリスト・横田一)

 <藤森注・・・・・水谷建設の水谷元会長の発言と一致しませんか?>

●(4)平成23年9月29日、日刊ゲンダイ

 <「史上最低!」と言われた・陸山会裁判・登石裁判長の過去>

 小沢元秘書3人に有罪を言い渡した東京地裁の登石郁朗裁判長には、司法関係者からも「この裁判長は何を考えているんだ」「検察が描いたシナリオの丸のみじゃないか」と疑問の声が噴出している。

 だが、そもそも登石裁判長の判断が「おかしいんじゃないの?」と言われたのは今回が初めてではない。実は西松事件裁判で手詰まりとなった検察が強行した「訴因変更」の一件にも、登石裁判長は関わっていた。

 「大久保被告の裁判で、検察側証人に証言を翻されて慌てた検察は、西松事件に陸山会の政治資金収支報告書虚偽記載をくっつけて、2本立てにする訴因変更を行いました。公判前整理手続きを終えた裁判の訴因変更は、判例では認められていない禁じ手です。そんな検察の“後出しジャンケン”を認める決定を下したのが登石裁判長でした。当然、弁護側は最高裁に特別抗告したが、これを棄却した古田佑紀裁判長は、かつて最高検次長検事だった元検察の大幹部。今回の裁判は、ハナから検察と裁判所が持ちつ持たれつ、ナアナアの関係で進められたようなものです」(司法関係者)

 <法廷が混乱、どよめくことも>

 登石裁判長は、東京都出身。1985年に判事補となり、札幌地裁判事や司法研修所教官などを経て、06年から東京地裁判事を務めている。が、過去に手がけた裁判にも批判の声は出ていた。

 「東京地検で07年、異動前の検事が強制わいせつ被害に遭った女性の告訴取り下げ書を偽造し、不起訴にした事件があった。この捏造検事の裁判で、登石裁判長は『精神的に不安定だった』などの事情を酌量し、執行猶予を付けたのです。今から思えば、一連の検察不祥事の走りで、司法の根幹を揺るがす大事件でしたが、このときも『検察に甘すぎるのでは』との指摘が出たものです」(司法ジャーナリスト)
 06年に法大で学生運動を行った参加者らが一斉に逮捕された事件の裁判では、抗議する被告人らを次々と退廷させ、弁護人から「史上最低の裁判長だ」とも言われた。

 一方、08年にお台場でフィリピン人女性が殺害された事件の裁判では、過去にも女性を殺害したことのある被告に対し、無期懲役(求刑は死刑)を言い渡した。「矯正の可能性がないとは言い切れない」という理由だが、遺体をバラバラにして洗濯機で洗い、トイレに流した殺人鬼だっただけに、法廷がどよめいた。
 何かと不可解な判決の多い裁判長である。

●(5)平成23年9月29日、日刊ゲンダイ「小沢秘書判決・また分かった検察と裁判、グル・一体の仕組み

 この国では裁判で1審無罪となることはメッタになく、死刑囚が何十年も経ってから冤罪だったという事例が文明の今でも続いている極めて異常な仮面先進国の野蛮な正体。「疑わしきは罰せず」という原則は放棄され「天の声」とかいう奇妙な状況証拠で有罪にされたら知恵を絞って生きている一般庶民は浮かばれない。

 <検察に狙われたらお終いなのか>

 「非常に危険な裁判だと思いました。たとえば“天の声”の問題です。東京地裁の裁判長は、小沢事務所が“天の声”を利用して献金を集めていたとか、岩手県や秋田県では公共工事の談合において小沢事務所が決定的な影響力を持っていたと判断しましたが、そんなことはありません。私もこの問題は徹底的に取材しました。東北の談合は小沢事務所が仕切っていたといえば構図が分かりやすいし、そういう固定観念があるのは事実ですが、真相は違い、結論は小沢事務所に出る幕はなかったというものです。それをなぜ裁判官は簡単に決めつけたのか。1億円の裏献金問題も同じです。

 明確な金銭授受の証拠は最後まで出ていない。だから地検特捜部も詰め切れなかった。それなのに裁判官は、渡した側が渡したと証言しているから間違いないんだ、被告たちの供述は信用できないと一蹴です。ハッキリしないこと、明白でないことが多いのなら、“疑わしきは罰せず”が裁判の基本なのに、疑わしきことを有罪と決めつけてしまう。こんな判決が恒常的になったら、人権が守られず、裁判制度そのものがおかしくなってしまいますよ」

 政治評論家の森田実氏はこう語った。その通りだろう。「疑わしきは全部有罪」という東京地裁(登石郁朗裁判長)の今回の判決は、どう考えても暗黒裁判だ。判決を聞いて検察は「満点」の評価らしいが、東京地検特捜部が決め手を得られずに立件を断念した「1億円裏献金」を、裁判所が勝手に踏み込んでデシャバってクロと断定してしまう。これじゃあ、検察そのものが不要。ムチャクチャすぎるというものだ。

 <藤森注・・・・・私が何度も強調したいことですが、「1億円裏献金」は絶対にあり得ないことです。私の「体験や人生経験」から考えても絶対にあり得ないことですが、水谷元会長や東北の大手ゼネコン幹部も、政治評論家の森田実氏も、公平に見ることができる人や実情を知ることができる人は皆、おかしいと言っています。
 小沢氏を批判的にみているのは、体制側や判決文だけで偉そうに論評している日和見的な連中だけです。>

 <「憲法違反」の声も出るデシャバリ判決>

 元外交官で評論家の天木直人氏はこう言った。
 「裁判官が勝手にストーリーをつくってしまうという点であるまじき裁判ですよ。これまでの裁判は、検察調書を99%根拠にして有罪判決にしていたが、今回は満足な調書もないのに、状況証拠だけで有罪にしてしまった。裁判の慣例がいきなり変わったのです。それなら国会でまず制度改正をすべきなのに、裁判官個人が勝手にやってしまう。こんなことがまかり通っていいのか。

 それに裁判官は1億円裏献金を事実と認めた。これは大変なことです。それならばなぜ贈収賄事件に切り替えてやらないのか。巨悪事件を追及しないのか。なぜ被告たちに裁判官は執行猶予をつけたのか。おかしなことだらけなのです。反小沢、親小沢といったことを超えて、国民的に疑問視しなければならない大問題判決ですよ」

 検察が有罪を立証できない事件を、裁判所が代わってアレコレ類推解釈して検察調査の欠陥まで補強して有罪にしてしまう。「憲法31条、39条違反」の指摘も出ているが、それが今回の小沢秘書裁判の本質だ。空恐ろしい話である。小沢問題に関係なく、これが当たり前になったら、知恵を絞ってどうにか生きている庶民はやってられない社会になってしまう。検察に狙われたが最後、オシマイということだ。

 <検察官と裁判官は身内。改革者を抹殺してきた戦前と同じ体質を維持>

 なぜこんなデタラメが起きたのか。要は、検察と裁判所が一体のグルであることが改めて証明されたのだ。今回は、検察の権威失墜を仲間の裁判所が救ってやったということなのである。

 厚生労働省の局長だった村木厚子さんのデッチ上げ冤罪事件で大阪地検特捜部は壊滅状態。おまけに東京の小沢捜査においても、石川知祐被告などに対する強引な特捜部捜査が明るみに出て、「政治謀略」の批判の中、検察は瀬戸際だった。そこで東京地裁は、いったん検察調書をことごとく却下するという作戦に出て、いかにも公正中立に審理する形をとりながら、小沢事務所を厳しく断罪した。そうやって検察捜査にお墨付きを与え、威信を回復してやったのである。これで東京地検特捜部は危機を脱し、安泰だ。

 官僚機構をよく知る前出の天木直人氏は「ここで逆の判決を出したら、検察機構の信用は失墜した。裁判官も官僚。検察を守ることがプラスか、小沢につくことがプラスか、当然計算して保身の道を選んだ」と言ったが、そういうことなのだ。

 これまでの刑事裁判を振り返れば、どんな無実の人であってもデタラメ捜査で逮捕・起訴されれば、裁判所は検察捜査を丸のみ追認し、有罪にしてきた。それで死刑を宣告されながら、何十年後に冤罪になった事件が免田事件、財田川事件など数多くあるし、最近も足利事件、布川事件の冤罪が証明された。検察と裁判官の持ちつ持たれつ、ズブズブの関係が優先され、とても文明国と思えない人権無視のファッショ司法が続いてきたのだが、その野蛮な正体は根幹の部分では今になっても変わらないのである。

 <藤森注・・・・・恐らく、1997年に起きた「東電OL殺害事件」で無期懲役が確定しているネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)も冤罪だと、私は推測しています>

 <疑問点を封じ込む大新聞もグルだ>

 「検察官と裁判官は交流が多いし、司法研修所などで同じ釜の飯を食った関係で、身内意識が強い。彼らが国家体制維持のためにファミリーで団結するのは自然のこと。検察に目をつけられた小沢一郎氏が不幸であり、甘かったのです。権力の組織体と、個人である政治家が戦っても、絶対に個人が負ける。戦前から政治色の強い事件が何度も起き、決まって政治家が排除されてきた。

 いくら力のある政治家であっても、権力に狙われたら潰されてしまうのです。おまけに大権力である大新聞が体制側にいる。きのうの朝刊で大新聞は1面で“天の声”と“ゼネコン裏献金”認定をデカデカ報じていました。一番疑問があり、ジャーナリズムが検証しなければいけない問題なのに、1面で強調して、読者国民に疑いを持たせないように、疑問点をコンクリートで固めてしまった。これで読者国民は小沢氏のクロを信じて疑わなくなる。それだけに、ひっくり返すのは簡単なことじゃない。非常にきつい裁判闘争になるでしょう。私は、離党して、政治と離れて裁判に専念すべきだと思いますよ」(森田実氏=前出)

 この国の沈滞衰退の元凶である官僚支配を少しでも崩そうと政権交代を仕掛けた小沢一郎は潰され、暗黒デタラメ判決を称賛する大マスコミと息を吹き返した特捜検察。支配層の高笑いが聞こえてくる。それに丸め込まれ、利用される野田民主党政権。「これでいいのか日本は」と、ますます絶望的な気持ちになるしかないのだ。

●(6)平成23年9月29日、日刊ゲンダイ「世紀の魔女狩り・小沢元秘書裁判の不当<1>」

 3人の元秘書らに有罪判決が下った陸山会裁判から一夜明け、きのう(27日)、石川知裕衆院議員ら3被告は揃って、判決を不服とし、東京高裁に控訴した。小沢一郎元代表は「あんな判決はあり得ない」と周囲に強い不快感を示したというが、当然だ。前代未聞のデタラメ判決には、多くの法曹関係者がのけぞっている。

 <小沢サイドも「憤る」前に「驚き」「呆れた」デタラメ杜撰判決文

 小沢元代表の周辺は3被告の控訴を受けて、こう言った。
 「おそらく、大久保、池田の2被告は微罪であれば、控訴しなかったと思います。石川氏は政治資金規正法違反は公民権停止につながり、立候補できなくなるので、控訴を検討したでしょうが、2人は違った。それが3人とも控訴となったのは、判決理由の中に絶対に容認できないことが含まれていたからです。

 判決では、大久保氏がゼネコン業界に天の声を発し、水谷建設からは大久保、石川両氏が5000万円ずつ1億円の裏金をもらったと断じた。ここで控訴しなければ、裏金を認めたことになってしまう。これだけは認めるわけにはいかないのです」

 小沢が怒ったのもここで、「検察でも認定できないものなのに、あんな判決はあり得ない」と周囲に語った。検察でも認定できない……とは、もちろん、水谷建設からの裏金のことだ。物証がなく、あるのは水谷サイドの証言と、カネを渡した日のホテルのレシートだけ。もらった側が全面否定し、検察も立件を見送ったのに判決では「一切現金を受け取っていないという大久保、石川の供述は信用できない」と“疑わしきは罰する”のである。

 さて、面白いのはこの判決文に小沢サイドは憤る一方で、一種の余裕を見せていることだ。
 「あまりにもデタラメすぎて、検察サイドも驚いているのではないか。こりゃ、控訴審で検察は大変ですよ。こちらは突くべきところがたくさんある」(関係者)と言うのだ。

 「本当に裏金が渡ったのであれば、なぜ、執行猶予付きの判決で済むのか、聞きたいものです。それに、判決文では、水谷からの裏金があったので4億円の記載をゴマカしたという論法が展開されているが、小沢氏が4億円を用立てしたのは2004年の10月初旬で、水谷が最初の裏金を石川氏に渡したとされる10月15日の前なのです。つまり、4億円の中に水谷マネーは入りようがない。これだけで検察の論法は崩れるのです」(同)

 <証拠もないのに天の声や裏金授受を事実認定>

 衆院議員で弁護士の辻恵氏は「判決は捏造魔女狩り裁判のようだ」とこう言う。

 「裁判所は公判請求された公訴事実について真偽を判断するのが仕事です。裏金授受については判断する必要もないのに、虚偽記載の悪質性を強調するために証拠がないまま事実認定し、断罪した。大久保被告が天の声を発していたというのも同様です。さしたる証拠もないまま大久保被告が天の声を発していたと事実認定し、だから、水谷建設も大久保被告に裏金を渡し、虚偽記載では共謀していると断じた。

 検察は村木冤罪事件で違法な聴取をし、それと同じことを西松・陸山会事件でもやっていた。裁判所はそれをたしなめる立場なのに、小沢はうさんくさい、金権だという世論やメディアに流され、証拠に基づかない事実認定をした。これぞ、魔女狩り裁判で司法の危機だと思います」

 こんな判決を許していたら、誰でも簡単に社会的に葬り去ることができる。
 世論が騒がない方が不思議である。

●(7)平成23年10月14日、週刊ポスト「これでいいのか暗黒ニッポン」

 <秘書3人の「とんでもない有罪判決」に誰もが口をつぐんだ>

 <小沢抹殺裁判」>

ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕したらどうか。秘書3人に対する東京地裁判決によれば、小沢はゼネコン談合の元締めで、見返りに1億円の闇献金を受け取った重罪人だ。しかし、判事も検察も、「アイツは大悪人」と吠え立てる新聞・テレビや野党さえも、そうはいわない。「法と証拠」に基づく公正な裁判だと誰も信じていないからだ。目的は「小沢の政界退場」のみ。日本は恐ろしい国になった。

 <裁判長は「検事の身内」>

 小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の判決内容は1週間も前からリークされていた。

「全員有罪で禁固刑が出される。判決文は相当長いものになる」

 という内容で、もちろん政界にも広く伝えられていた。日本の司法が、いかに政治権力、行政権力、報道権力と癒着し、最初から出来レースで進められているかを示す“証拠”だ。
 情報通り、9月26日、登石郁朗・裁判長ば3時間以上にわたって判決文を読み上げ、石川知裕・被告以下3人全員に執行猶予付きの禁固刑を下した(3人はただちに控訴)。

 「異例の法廷」だった。検察が提出した証拠のうち、石川被告らの調書11通を「不正な取り調べが行われた」と認定して不採用にしており、一時は「無罪判決確実」とみられた。なにしろ、もともと物証のほとんどない裁判で、検察の頼りは、脅しや不正によって作り上げた調書ばかりだったのだから当然である。
 村木事件で証拠のフロッピーディスクを改竄して冤罪事件を起こした前田恒彦・元検事が取り調べを担当し、石川被告は別の検事が不正な取り調べを行なった模様を録音していた。

 この奇怪な判決文を書いた裁判長の経歴に、ヒントがあるかもしれない。
 登石裁判長は93年から3年間、法務省刑事局付検事として勤務した経歴を持つ。裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)は毎年、数十人規模で行なわれており、かねてから「99・9%有罪」という日本の「検察負け知らず裁判」の温床だと批判されてきた。

 そうした声も意識したのだろう。裁判官が法務省に出向する場合、ほとんどが民事局で、刑事局は少ない。法廷で顔を合わす検事と隣の席で仕事をするのは、いかにも癒着に見える。が、登石氏はその数少ない1人だった。その“貴重な人材”が検察の威信をかけた裁判を担当し、現場の検事からは「これで勝った」と喝采が出たのは偶然なのか。

 結果を見て思えば、登石氏は最初から判決を決めていたのではないか。だからこそ証拠不採用で「検察に対しても厳しい姿勢」を演出し、癒着との批判をかわそうと考えたなら筋は通る。
 判決のおかしさは、「小沢は大悪人」と叫ぶマスコミや野党、そして検察にもよくわかっている。だから、はっきりと「談合の見返りに裏献金を受け取った」と認定されているにもかかわらず、これを「贈収賄事件だ」という者が出てこない。

 新聞の論調も判決直後は威勢がよかったが、その後は「野党が証人喚問を要求」「求心力に陰り」などと、ずいぶん及び腰である。
 「さすがに判決文を読んで、社内やクラブ内でも、これはヤバイんじゃないかという声が多かった。報道も慎重にしている」

 民放司法クラブ記者は声を潜めて語る。そう思うなら、「慎重に小沢批判」ではなく、「堂々と裁判所批判」をすればいいが、そんな度胸はどこにもない。

 <以下、10月20日の「トピックス」に続きます>

 <藤森注・・・・・あまりにもデタラメすぎて、却って「裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)」など、「裁判所や検察庁」の改革の大きなきっかけになるのではないかとさえ思えます。その程度の良心が日本に残っていることを祈りたい。>

<文責:藤森弘司>

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