2011年1月31日 第35回「トピックス」
菅総理大臣についての一考察

●(1)前回の「①」から、次の部分を転載します。

<<<菅総理大臣の人間性は、私(藤森)が持っている「嫌らしい人間性」を見せられているようで、とても耐え難い心境です。あるいは、「普遍的な人間の影(シャドウ)」(普遍的無意識・ユング心理学)を見せているのかもしれません。天下の公職(最高権力者)に就いている人なので、酷評を許してもらえば、「冷酷非情な人」に思えます。生い立ち(脚本)に非常に興味があります。

そして、恐らく、人間である以上、誰もが持っている「嫌らしさ」・・・・・しかし、私たちはその「嫌らしさ」を辛うじて封印したり、「頭かくして尻隠さず」程度かもしれませんが、何とか隠したり誤魔化して、少しでも人間らしく生きようとしますが、菅氏は天下の総理大臣になってしまったが故に、その「嫌らしさ」が露骨に表面化してしまった、あるいは、メディアにバクロされてしまったように思えます。
何かの本で読みましたが、ある武士が「父の敵」をとって切り倒した相手にムシロを掛け、手を合わせたという。これが日本の「武士道精神」、美学ですが、そういう精神の欠片も見られません。

さらには、旦那の職場に奥さんがシャシャリ出る人間にロクなヤツがいないように思えます。「国民のため、天下万民のために」などとは言わず、「でき得ることをやって玉砕するのはいいが、(内閣)支持率が低いと批判されて(首相を)辞めることはあり得ない」「支持率はマイナスが無い」云々などと言えるのは、逆説的に言えば、「根性」があるなあと感心します。根性があり、ヌケヌケと発言できる大胆な人の旦那さんは、大体、「小心者」と相場が決まっています。>>>

と、酷評させていただきました。
その後も、新聞や週刊誌を読むと、ボロボロと菅総理大臣の嫌らしさが出てきて、正直、ただ呆れるばかりです。総理大臣としての能力ではなく、人間の嫌らしさがこれほど露骨に表れている政治家は少ないのではないでしょうか?それでいながら、「クリーンでオープン」であり、「不条理をただす政治をやる」であり、小沢氏の「政治とカネ」を善人者ぶって攻撃できる神経・・・・・こういう精神を政治家向きと言うのでしょうか?

<<<菅直人首相(64)が出演した5日のテレビ朝日「報道ステーション」の平均視聴率6・9%と、前4週平均(14・7%)の半分以下に落ち込んだことがわかった。テレ朝関係者は「菅首相が画面に登場した瞬間、ガクッと視聴率が落ちた」と話しており、改めて不人気ぶりが裏付けられた格好だ。>>>

この感覚がとても分かる気がしています。野党のときはいくらかは「クリーンでオープン」な顔をしていましたが、いまや「悪人顔」と言っても許されるのではないでしょうか?言っていることが、端から矛盾しながら、それを「恬として」恥じない神経は「いよ!日本一!!」と言いたくなります。そのムチャクチャぶりの報道が、次から次へと出てきます。ただ、ただ、驚き呆れるばかりです。

小沢氏の「強制起訴」の問題も、最強といわれる特捜部が、一年かけて強制捜査をしたが、とにもかくにも「無罪」、さらに「検察審査会」が起訴すべきだとしたが、これも「無罪」になりました。
その後、大久保秘書の問題は、逮捕された前田検事が調書をとったために、弁護士から指摘されて5枚の調書を取り下げました。その上、石川議員の場合は、検察に脅された録音が東京地裁に「証拠採用」されることになった。もうこれは常識的に、ほとんど「無罪」が確定的です。それを二回目の「審査会」が「強制起訴」したら、仲間であり、政権交代の恩人である小沢氏を「離党」させようとする執拗さは「偏執的」で、異常としか言いようがありません。
さらには、「TPP」や「消費税増税」の問題など、もしかして「菅政権」は、「売国政権(?)」かもしれません。この2つについては、第36回(2月15日)で詳しく言及します。

また、下記(2)の「与謝野大臣」については、菅総理大臣は屁理屈を述べていますが、元民主党の大江康弘参院議員が離党したときの攻撃と矛盾します。

さらには、下記(3)の「諫早湾開門 尻拭いは丸投げ」ですが、これは「精神分析」でいうところの、トイレットの「しつけ」の時期に大きなトラウマがあることがわかります。精神分析では次のように言います。

<フロイトの発達段階理論>

①口唇期(生後1年半くらいまで)

②肛門期(生後8ヶ月~3、4歳)・・・・・「口唇期の後半と重複」「肛門や尿道の括約筋が完成し、排泄のしつけがなされる」「身体の内部から外部へ出すことに伴う快感を味わう」「排泄訓練により自分自身をコントロールすることを学ぶ」

③肛門期性格・・・・・・・几帳面、しまりや(出し惜しみ)、頑固、けちんぼ、極端な潔癖、依怙地、気がすまない、内気、恥ずかしがりや、被害的な性格。

④肛門期の防衛・・・・・反動形成(しつけをする親に対する反発や攻撃→従順、服従)

<「交流分析専門講座」の中の「性格障害と交流分析」p74~75、講師:杉田峰康先生、主催:自己回復総研>

この年齢のころは、「オムツの中にできる自由な排泄」から、徐々に、「トイレで排泄する訓練」が行なわれます。しかし、トイレへの移行は、親の側のいろいろな事情(多忙やストレスなど)により、なかなかうまくいかないものです。そのため、結構多くの人がここでトラウマを抱えてしまいます。
ここで大きなトラウマを抱えると、どんな特徴が見られるか・・・・・私(藤森)の若いときがそうでしたが、周囲に「尻拭い」させます。日本語は本当に面白く、トイレのしつけの中心は「お尻」を拭くことです。つまり、「尻を拭う」ことです。ですから、自ら「尻」を拭うか、「他者に拭わせる」(尻拭いさせる)かが大きなポイントです。

「諫早湾開門」は、菅総理大臣のライフワークみたいな感じがあります。だから、小泉元総理大臣のように、華麗な政治判断をしたのだと思います。しかし、政治判断をしながら、困難な後始末に乗り出さず、鹿野農水大臣などに丸投げはいただけません。まさに「尻拭い」をさせているわけで、1~2歳時に大きなトラウマ(「影」)があると言わざるを得ません。
そのように考えると、菅総理大臣のいろいろが見えてくるような気がします。

さらに集めた情報をご紹介します。

●(2)平成23年1月22日、夕刊フジ「菅に痛恨のブーメラン」

菅直人首相(64)に痛恨のブーメランが返ってきた。かつて、世論から猛批判を浴びている与謝野馨経済財政担当相(72)と同様の離党劇を行なった議員に対し、「離党と同時に辞職すべき」などと、国会等でののしりまくっていたのだ。過去の言動を平然と覆すのは民主党のお家芸とも言えるが、24日からの通常国会で追及されるのは必至の情勢だ。<比例で当選→離党の議員  「辞職して党に議席を戻せ」この発言をくらったのは、無所属の大江康弘参院議員(57)だ。大江氏は2007年の参院選で、民主党比例で2回目の当選をしたが、翌08年に民主党を離党して改革クラブを作った。昨年4月には同党が舛添要一代表率いる新党改革に衣替えした際に離党、5月に幸福実現党に入党したものの年末に離党したという経歴を持つ。大江氏らが総務省に改革クラブを届け出た08年8月28日、野党・民主党の代表代行だった菅首相は記者会見で「比例で当選された方は、きちっと議席を党に戻した上で行動をすべきだ」と猛批判した。米軍普天間飛行場移設問題や消費税増税方針などマニフェスト変更に代表されるように、野党時代の発言や約束を、与党になってひっくり返すのは民主党政権のお家芸だが、始末の悪いことに、菅首相は民主党が与党になってからも、同様の発言をしている。

昨年3月3日の参院予算委員会。大江氏は自民党会派の質問時間を使い、副総理兼財務省だった菅首相に対する質問を行なった。
このとき、菅首相は大江氏に対し、「大江さんは07年の参院選で民主党の参議院の比例で19位で当選した。今の法律は、比例で民主党で通った人が自民党に移ることはできないことになっている。だから、無所属に出て、そして今度は会派で、まさに自民党の皆さんの時間を使ってこの場でこういう議論をしている。1票の重みは、民主党に議席を1議席ということだった。当然、大江さんは政治家として、もし筋を通したならば、ちゃんと離党と同時に辞職して自民党に入党されればよかった。天につばするものだ」とまで罵ったのだ。

<与謝野はどうなんだ?>

首相の言葉を借りれば、与謝野氏は自民党比例という有権者の『自民党に議席を1議席』という意味で当選したはず。それなのに、離党してたちあがれ日本を作り、菅首相の猛烈なアプローチで、そこを離党して閣僚となって民主党会派入りした。

それだけに、大江氏はこう呆れ気味に話す。
「菅首相は、自分たちに都合のいい人ならば何をやっても問題ではないが、自分たちと考えの違う人には別の反応をする。この一貫性のなさが、政権運営、内閣支持率の低迷につながっている。自分より強い人には全くものを言えず、弱い人間に対してはどんどん追い込んでいくという人間性からしても首相の資質に欠けている。与謝野さんの行為は私の行為と変わらない。私に言ったことを、与謝野さんにも言ったらどうか。子供の教育上、また日本のためにも、一刻も早く退陣したほうがいい」

●(3)平成23年1月24日、日刊ゲンダイ「諫早湾開門 尻拭いは丸投げ」

菅というのは、ホント、無責任な男である。
諫早干拓事業で水門開放の高裁判決に「上告断念」を決めた一件である。一見、初めて政治主導を発揮したように見えたが、地元ではカンカン。中村法道知事が上告を直談判するために官邸に乗り込んできたほどだが、菅はこうした尻拭いにまったく動こうとしない。農相ら担当者に丸投げなのだ。<菅首相のどうしようもない無責任>「23日に農相ら政務三役が諫早湾干拓地の現地視察をします。その後、地元関係者との集会を開く。『なぜ政治決断をした菅首相自身が来ないのか』と地元住民はカンカンです。集会には『開門を受け入れたわけではない。上告断念の理由を聞きたい』と息巻く開門反対派が大挙して駆けつける見通しで、政務三役が糾弾されるのは確実です」(地元事情通)菅首相が自ら現地入りしない背景には仰天の理由がある。
実は諫早湾干拓には「最初からこだわりがない」(農水省関係者)というのだ。菅といえば、ギロチンのごとく、諫早湾が閉じられた時にド派手なパフォーマンスをして話題になった。ところが、今回、農水省の官僚が裁判の結果を受けて判断を仰ごうとすると、「オレに持ってくるな、と言わんばかりの態度だった」(関係者)というのである。こんな調子だから、地元の説得で泥をかぶるわけがない。
そういえば、こういうふうにパフォーマンスだけで尻拭いをしない大臣がもうひとりいる。八ツ場ダムの凍結を打ち出した前原元国交相(現外相)だ。2人はウリ二つである<藤森注・・・前原大臣も徹底的に「考察」する予定です>
●(4)平成23年1月28日号、週刊ポスト「恐れながら申し上げる<支持率、政権浮揚しか見えていない人物に国家運営は不可能だ>」

「菅直人総理、あなたには休養が必要だ」

最近の菅直人・総理は、見るに堪えない。カッと開いた両目を真っ赤に充血させ、髪の毛を振り乱し、一心不乱に「小沢排除」を絶叫する。かと思えば、「僕はこんなに頑張っているのに、誰も誉めてくれない」と幼稚園児さながらのダダをこねる。もはや不憫でさえあるが、本当の悲劇は、この人物に「権力の椅子」に座られる国民ではないか。

<「小沢番組潰し」のテレビ出演>

菅首相の様は、まさしく「蟷螂(とうろう)の斧」だ。
中国の春秋時代。斉国の荘公の車列が進む路の前で、小さな蟷螂(カマキリ)が前足を振り上げた。車列を敵と思い、蛮勇を奮い、精一杯威嚇していた。だが、それは決してかなう相手ではなく、そもそも敵とすべき相手でもない・・・・・。

国民には、この国の“蟷螂”首相が、一体、誰を相手に、何のために戦っているのかが見えない。経済を立て直して国民生活を守るためでも、外国の干渉を排して国の針路を定めるためでもなさそうである。

ただ眼を血走らせて拳を振り上げ、あらぬ方向を睨み、雄叫びを上げている様子が滑稽で、たまらなく哀しい。
菅首相自身は、どうやら小沢一郎・民主党元代表に“斧”を向けているつもりらしい。
昨年末から、小沢氏に政治倫理審査会への出席を求め、ついに小沢氏は「国会冒頭か、予算成立後に出る」といった。それなのに今度は、「条件をつけるな」と噛みつき、1月4日の年頭会見では、小沢氏の強制起訴問題に言及して、
「起訴が実際に行なわれた時には、出処進退を明らかにして、裁判に専念されるのであれば、そうされるべきだと考えている」
と、議員辞職勧告まで突きつけた。

菅首相は5日の夜、テレビ朝日『報道ステーション』に生出演したが、その舞台裏を見ると、小沢氏に対する異様なまでの対抗心が見えてくる。実は、その時間帯は小沢氏が日本BS放送(BS11)に出演し、インタビューに答えた時間とピタリ重なっていた。
「小沢氏のBS出演は事前に放映時間がわかっていたから、総理は『小沢に勝ちたい』とムキになり、より視聴率の高い地上波で自分の出演をぶつけて小沢番組を潰そうとした」(官邸筋)

首相側近たちは、民主党内や新聞・テレビの記者に「総理の重大発言が出る。必ず見るように」というお触れを出し、番組進行にまで工夫を凝らした。『報道ステーション』はBSでの小沢氏インタビューが終わるまで、一切CMを入れず、“絶対に小沢の方にはチャンネルを変えさせない”という進行だったのだ。
念の入ったことに、同時間帯に岡田克也・幹事長までネットのニコニコ生放送に出演し、小沢番組潰しの“連携プレー”を演じた。

それで菅首相は、「これで小沢に勝った」と本気ではしゃぎ、次は6月まで消費税増税に政治生命を懸けて取り組むのだと言い出した。
小沢氏に「説明責任」を求めてきた首相と幹事長が、メディアを総動員して小沢氏の肉声を国民に届かないように掻き消そうとする。もはや常軌を逸している
精神科医の町沢静夫氏の指摘である。

「菅首相の行動は強い被害妄想に駆られているように見える。実際はそうではないのに、政権運営がうまくいかないのも、支持率が下がるのも、みんな小沢氏のせいだ。小沢氏が自分を苦しめている、と思い込んでいるのではないか。こうした被害妄想は、心的外傷後ストレス障害や統合失調症の典型的な症状のひとつです」

首相が威嚇している対象は、自分自身がつくりだした妄想なのか。なるほど、攻撃はカラ回りするばかりで支持率は上がらないし、小沢批判を繰り返しても通常国会乗り切りの展望が拓けるわけでもない。論理的に考えれば、自分の行動のおかしさにすぐ気付きそうなものである。

一国の首相が虚空を睨んで、本人しか見えない亡霊でも追い払うように、“斧”を振り回す姿は正視に堪えない。菅首相が『報道ステーション』に登場すると同時に多くの視聴者はチャンネルを切り替え、視聴率はわずか6・9%と散々なものだった。同番組の平常放送の半分の数字である。
菅首相の周囲には、そんな首相の言動に異変を感じ取っている者が少なくない。正月に菅首相と言葉を交わした閣僚経験者の一人は、こう漏らしている。

「昨年の尖閣問題の頃は総理の目が泳いでいたから心配したが、今年に入ると病的なまでに小沢切りに血眼になっている。総理に『今は政策に全力を尽くすべき。あの人が好きの嫌いのなんていっている場合じゃないでしょう』といっても聞く耳を持たなかった」

<「聞く耳」を捨てた裸の王様>

菅首相が自分の都合の悪い意見に、「聞く耳」を持てなくなっていることも、深刻な“症状”である。「小沢氏排除」を政権の第一の目標に掲げたのは、側近たちからの情報を鵜呑みにしたことが大きかった。昨年暮れに大連立構想が浮上した際、菅首相と自民党の間の伝書鳩役で動いたのが寺田学・首相補佐官だったという。

長年、菅氏を支えてきたベテラン議員が憤る。
「総理は自民党との大連立の可能性をまだあきらめていない。参院選で懲りたはずの消費税増税を再び言い出したのもそのためだ。
その大連立の条件として官邸には“小沢を切ってマニフェストを破棄すれば政策協議に応じる”との自民党サイドの意向なるものが伝わっていた。総理は寺田ら側近を自民党の執行部や首相経験者に接触させ、そういう報告を受けたという。
取り巻きたちはできるだけ長く権力の中枢にいたいから総理の喜ぶ情報しか上げないし、ワラをも掴みたい総理はその情報を信じ込もうとしている。だが、政権を倒したい自民党にすれば、民主党を分裂させるためならどんな空約束でもするだろう。要するに騙されているんだ」

周囲にイエスマンばかり置くのは、孤独な権力者に共通した病理でもある。菅首相は、都合の悪い情報に耳を塞ぐようになった。
ある省の副大臣は、思い当たるフシがあるという。
昨年末の予算編成の際、菅首相は官邸に各省の政務三役を交互に呼んで政策や予算の方向性を協議した。その席でのことだ。
「小一時間ほど総理がまだ納得していない政策について説明をしたが、その後、総理はピント外れな質問をしてきた。同席者はみんな、『えッ、今まで説明したことを全然理解していなかったのか』と驚いた表情でした。菅さんは本来は頭の回転が速く、理解できないはずのない話なのに・・・・・」

社会心理学者の碓井真史・新潟星陵大学大学院教授はこう分析する。
「総理は巨大な権限を持つと思っていたが、どうもうまくいかない。そこから孤立感や無力感が溜まっていく。だから周りをイエスマンと彼らが進言する都合のいい情報で固めるのです。すると、自分が王様になれるから心の疲れが取れる。他から見ると裸の王様ですが、もしそこを指摘するような人がいても、結局はイラついて遠ざけてしまう」

だからといって政策まで頭に入らないのは、首相としての最低限の能力を失いかけている危険信号だ。
そうした菅首相の思考停止は、側近たちの権力への執着を肥大化させた。仙石由人・官房長官らの問責決議をきっかけにした内閣改造では、大臣たちが私利私欲をむき出しにした。

仙石氏は更迭を避けられない情勢になっても、「カネと権力」にこだわった。まずは官房機密費を握る官房長官から「党の金庫」を押さえる幹事長への横滑りを画策。しかし、岡田幹事長の抵抗に遭うと、今度は仙石側近たちから、「佐藤栄作内閣で官房長官から副長官になったケースがある」という副長官への降格情報と、枝野幸男・幹事長代理の官房長官就任説が同時に流れた。

「降格でも官邸に居残れば、子分の枝野を通じて官邸の金庫を仕切れる、という狙いです。総理も“あの佐藤首相と同じことを自分もやってみようか”と前のめりになっていた」(官邸事務方スタッフ)
菅首相の数少ない相談相手とされる北沢俊美・防衛相は、露骨な猟官運動を展開する。目指すのは参院議長の座だ。

「北沢さんは、輿石東・参院議員会長の入閣を総理に進言した。小沢側近の輿石氏を取り込めば、小沢氏の参院への影響力を低下させ、政権維持もできると、総理にとって渡りに船のシナリオを吹き込んだのです。
北沢さんにしてみれば輿石氏を大臣に棚上げして、議員会長の後任には自分が就任したかった。参院議員会長は次期議長の待機ポストで、西岡武夫・現参院議長が菅政権に批判的なだけに、北沢さんは今のうちに議員会長に就任しておけば意外に早く議長の座が回ってくると計算した」(菅側近)

内閣改造で心機一転をアピールするつもりがすでに実態は、菅首相にとって都合のいい話をバラ撒く政権中枢の政治家たちが、権力の分け前に群がる構図になっている。首相が、「気力が萎えても私は辞めない」といっていることも、彼らには好都合なのだ。

<弱った首相につけこみ霞ヶ関が大復活>

漢王朝末期の皇帝・霊帝の即位はわずか12歳の時だった。もちろん、少年皇帝に統治能力があるはずもない。それをいいことに宦官(かんがん・官僚)や諸侯は好き勝手に「皇帝の意志」を騙り、私腹を肥やしたために、大規模な民衆の反乱が勃発した。そして400年続いた王朝は滅亡に向かい、三国志の時代に突入する・・・・・。
御年64歳の菅首相を少年扱いするのは気が引ける。
だが、この政権でも総理が正常な判断力を失ったのを好機と見て、“現代の宦官と諸侯”が私欲を剥き出しにしている。

昨年末の御用納めの日、菅内閣は閣僚懇談会で「政務三役会議への事務次官出席」の方針を決めた。
政務三役会議は政治主導を掲げた民主党が政権交代後に発足させた役所の最高意思決定機関だ。そこに役人を加えることは、官僚主導政治への逆戻りを意味する。政権維持がいよいよ苦しくなった菅首相は、「政治主導」の旗をかなぐり捨てて、官僚に助けを求めたわけである。

霞ヶ関は引き換えに露骨な態度を取った。天下りのなし崩し自由化である。
その手始めに、経済産業省が今年1月1日付で、石田徹・前資源エネルギー庁長官を東京電力顧問に天下りさせた。経産省は代々、有力OBを東電の役員に送り込んでおり、石田氏もいずれ副社長に就任すると見られている。典型的な「役所の指定席」への天下りである。

国家公務員法では役所の天下り斡旋は厳しく禁止されている。しかし、経産省は今回のケースを、「役所の斡旋ではなく、東電側が直接、雇用した」という理屈で強行したのだ。
わずか4ヶ月前までエネ庁長官として電力業界を監督する立場にあった人物を、企業側が“この人を採用したい”と要請したとすれば、現職時代に便宜をはかるなどの癒着がなかったかを厳しく検証しなければならないはずだ。
しかし、菅首相は、これをあっさり黙認したのである。

政治チェックがないままこうした天下りを解禁すれば、各省幹部たちは現職時代から企業に恩を売って天下りさせてもらおうと“利益誘導競争”を繰り広げるようになり、厚生労働省は製薬会社、国土交通省はゼネコン、金融庁は銀行といった関連業界と一層癒着して行政の大汚職を招く危険がある。まさに官僚の暴走だ。
諸侯・・・つまり大臣たちも遅れるなと走り出した。

インフラ輸出による海外ビジネスに力を入れる仙石官房長官は党内議論を経ないまま、行革で日本政策金融公庫に統合されていた旧国際協力銀行(JBIC)を再び独立させる方針を決め、政府の機密保全委員会など研究会を次々に作り、官房長官を更迭される前に「将来の仙石政権」のレールを敷こうと動いている。
前原誠司・外相は岡田前外相がクビにした外務省有力OBを顧問に復活させ、「日韓軍事同盟」や「日朝交渉再開」という重要な外交方針を次々に打ち出している。政権全体に菅首相のコントロールが利かなくなっているのだ。

菅首相が権力の虜となって国民の姿を見失い、国民の声も聞こえなくなったことが、こうした事態を招き、政権の統治能力は著しく低下してしまった。このままでは国が滅びる。仮にも国家の指導者として仰いだ人物に、こんなことはいいたくない。が、事ここに至っては修正は難しいだろう。菅首相には、国のため、国民のため、ここは一旦、休養が必要だと申し上げたい。

●(5)さて、「気力が萎えても私は辞めない」という報道はかなりなされました。
しかし、何故、メディアはこれを「指弾」しないのだろうか?こんなバカな話はありません。「どんなに支持率が下がっても、気力を萎えさせず頑張りとおす」というならばわかりますが、「気力が萎えても辞めない」とは、「やる気がなくなっても辞めない」「しがみつく」という意味で、これを指弾しないメディアはおかしい。これでは
「老害政治家」の哀れな末路を予感させます。
エジプトのムバラク大統領を連想させるフレーズです。
菅総理大臣は、かつて、官僚を評して「成績が良かっただけの大バカ」だと国会の場で大言壮語したのに、今や、官僚と酷い癒着がなされています。歴代でも最悪レベルの癒着ではないでしょうか。
また、与謝野氏を大臣に一本釣りしましたが、政策通ともてはやされる与謝野氏は「財務省の意をくんだ財務至上主義者でしかないのです。だから節々でとんでもないピンボケ発言をしでかしている。リーマン・ショック時には“ハチに刺されたようなもの”と発言し、その
認識の甘さが失笑を買ったものです」(経済ジャーナリスト、平成23年1月29日、日刊ゲンダイ)菅直人氏は、ただ、政治をメチャクチャにしただけの政治家みたいで、菅総理大臣がメチャクチャをやっても神経が麻痺してしまって、批判さえもする気力が無くなってしまっているようです。読売新聞の一面に東大教授の御厨貴氏が寄稿しています。
●(6)平成23年1月31日、読売新聞「地球を読む」(東大教授・御厨貴)

<脱「烏合の衆」><「統治の術」民・自とも欠如>

政治を見たくない、語りたくない、メディアの報道から思わず顔をそむけてしまう。国会の冒頭、菅直人首相が、谷垣禎一自民党総裁が、何といったかをフォローする気にもなれない。

大多数の国民が、今そんな無気力感脱力感に陥っている。このところずっと何だかダメなものを、やはりダメだと確認し続けてきたせいだ。
政局でも政策でもない。もはや政治や行政を統べる“統治”の構造や場を、何とかせねばならない段階に来てしまったためではないか。明治維新直後の政府のあり方にアナロジー(類似)を見る。今は亡き政治学者、佐藤誠三郎によれば、大久保利通が当時目のあたりにしたのは、「真の法則立たずして、各自に専恣(せんし)して、乱るること麻の如き」維新政府の実情だった。
そこで大久保は「人々物数奇を以(もっ)て申し立て、それを政府にては押さえる手もできず、言うままに動く」現状を変革せねばならぬと考えていたのだ。大久保の言は、それから140年たった今の政府に、ぴたりあてはまるではないか。
<後略>

●(7)平成23年1月26日、日刊ゲンダイ「施政方針で致命的ミス」

<「最高」不幸を実現するって・・・・・>

「我々の内閣で、『最高』不幸社会の実現を確実に進めます!」・・・・・。オイオイ、それはないだろう。きのう(24日)の施政方針演説で、菅首相が自身の政治哲学である「最小不幸社会の実現」をおもいっきり言い間違える場面があった。

「最小不幸社会」は、菅首相がナントカのひとつ覚えのように、繰り返してきたスローガンだ。この日の演説でも「私が掲げる国づくりの理念」として、堂々としてブチ上げたばかり。そんな大事なフレーズを間違えるなんて・・・・・。

とはいえ、菅が「最高不幸」と言い間違えても、本会議場は反応なし。ヤジも飛ばなければ、菅本人だって言い直そうとしなかった。スッカラ菅政権が本当に最高不幸社会を実現させそうなだけに、チョット怖い光景であった。

●(8)平成23年1月29日、読売新聞「直前打ち合わせ 格付け話題なし」

菅首相が日本国債の格付け引き下げに関し「そういうことに疎い」と発言したことを受け、民主党で首相への情報伝達のあり方を問題視する声が出ている。

首相の発言は、27日夜に首相官邸で記者団の取材に応じた際に出た。首相は28日、記者団に、「本会議にいたので、その情報は聞いていないという意味だ」と釈明したが、取材は首相が衆院本会議を終えてから約35分後だった。

首相は取材を受ける直前、福山哲朗官房副長官らと打ち合わせをしたが、参加者によると、格付けは話題に出なかったという。党内では、「これだけ重要なテーマなのに、質問が出ることを想定しなかった首相周辺が問題だ」という声が上がっている。
安住淳国会対策委員長は首相周辺に対し、取材に応じる前には首相に必要な情報を伝えるよう注文を付けた。

●(9)平成23年1月29日、読売新聞「編集手帳」

結婚披露宴の媒酌人は新郎新婦以上に緊張するらしい。言い間違えも起きる。ある披露宴での、新婦紹介の一節を。
「新婦XXさんはピアノにご堪能で、シロウトハダカでございます」
その道の専門家がはだしで逃げ出すくらいに、技芸や学問がすぐれている「くろうとはだし」と言うつもりだったのだろう。

財務省経験者で財政・金融はクロウトハダシでもよかろうに、思わずズッコケそうな発言をしてくださる。米国の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げたことを記者団に問われ、菅首相は「そういうことに疎いので・・・・・」と答えた。
<略>
「詳しく聞いていない、という意味で言った」と首相は釈明しているが、<社会保障と税制の一体改革>を政権の金看板に掲げた人である。多少ともクロウトの匂いがする反応が欲しかった。
政権半年を顧みて「今までは仮免許」と語ったことがある。「防衛相は自衛官じゃないんだね」と、勉強の成果を披露したこともある。シロウトハダカの発言は、そろそろ打ち止めに願いたい。

●(10)平成23年1月28日、読売新聞「与野党に波紋 首相発言、火種にも」

<略>

一方、首相は民主党幹事長だった02年5月、別の米格付け会社が日本国債の格付けを下げた際、公式サイトで「外国に資金が流出し始めれば一挙に国際は暴落する恐れがある。能天気な総理や財務大臣には分かっているのだろうか」と当時の小泉首相や塩川財務相を批判。

政権交代後も「国債市場での信認が失われれば、財政破綻に陥る恐れがある」などと述べており、整合性や情報伝達のあり方が問われる可能性がある。

●(11)平成23年1月28日、読売新聞「政府・与党 不手際国会」

 <答弁漏れ・議事録削除・早口演説>

首相らが、通常国会冒頭から答弁漏れなどの不手際を繰り返えしている。ねじれ国会を乗り切るため、政府・与党は「平身低頭」で臨む姿勢を強調しているが、かえって野党の反発を買う事態を招いている。

27日の衆院本会議冒頭、首相は自民党の小池総務会長が26日行なった代表質問について、「二つの答弁漏れがあったことをおわび申し上げ、改めて答弁させていただく」と陳謝し、補充答弁した。ところが、直後に質問した公明党の井上幹事長への答弁に漏れがあり、陳謝追加答弁した。

27日の衆院本会議場では、みんなの党の渡辺代表への首相答弁を巡り、野党側が「質問に十分答えていない」と反発する場面や、共産党の志位委員長への答弁で首相がTPP(環太平洋経済連携協定)を「IPP」、法人実効税率引き下げを「引き上げ」と言い間違える場面もあった。
これだけではない。

この日の衆院議院運営委員会理事会では、自民党が26日の本会議中に小池氏の質問への再答弁を求めたにもかかわらず、民主党が「場内協議」をしないまま散会となったことについて、川端達夫委員長が民主党を厳重注意。菅首相が施政方針演説で、TPP参加問題に関し、「自民党は3月中に党の賛否をはっきりさせる意向を明らかにしている」と述べたことについても、同党が「方針は決まっていない」と抗議し、議事録からの削除が決まった。

27日の参院本会議では、前原外相も自身の外交演説に野党から「早口で原稿を読むだけだった」などと批判が出たことを受け、「丁寧さを欠いた」と謝罪した。相次ぐ不手際に、民主党内からは「あまりにも稚拙で、先が思いやられる」とぼやき声が出ている。

●(10)平成23年1月24日、日刊ゲンダイ「暴走・民主党執行部・政倫審と予算委から外す」

<見せしめ人事の狂気>

<川内博史議員を狙い撃ち>

民主党は完全に「敵」と「味方」に二分されてしまった。“粛清”に“見せしめ”。恐ろしい政党だ。
24日召集の通常国会に向け、民主党執行部は、小沢に近い政倫審委員1人と予算委委員11人を外す人事を断行した。予算委員会は証人喚問の舞台となる。委員外しの予兆を察知した議員らが、「委員を辞任しない」という署名を安住国対委員長に提出していたが、完全に無視された形だ。

特に尋常じゃないのは、残留希望の署名提出を主導した川内博史衆院議員に対する仕打ち。川内ただ一人、政倫審委員と予算委委員の両方を外され、新設の科学技術特別委員会委員長に就任することになったのだ。川内は現在、予算委の理事だから、委員長へ“昇格”になる。「文句は言わせない」という人事である。

それにしても、ここまでやるか。川内議員は憤りを越えて、嘆き節だ。「不条理を感じます。執行部の権限でおやりになるんでしょうから、私たち弱い立場の議員は、党の方針に従わないなら出ていけということでしょう。しかし、食らいついて小沢さんを守って、日本の政治を根底から変える仕事を続けるしかない。執行部に対しては、『そんなにいじめなくてもいいじゃない』という気持ちです」
内ゲバ、ここに極まれり、である。

●(11)平成23年1月25日、夕刊フジ「鈴木棟一の風雲永田町」

<亀井静香「菅が招いた乱」>

国民新党の亀井静香代表は1月13日の民主党大会で「民主党はみっともない」と演説して評判となった。さわりはこうだった。
「皆さん、いまの民主党でいいんですか。みっともない。みっともないと、こう言わざるをえないではありませんか。皆さん方、いままで、いまのような大きな歴史的責任を負わされたことはありますか。皆さん方の奮起を心から切望いたし、挨拶にさせていただきます」

21日、亀井氏に聞いた。民主党はどこがみっともないのか。亀井氏が答えた。
「政権としての自覚がない。第一に政策を実行しようとしない。第二に仲間割れしてケンカばかりしている」
実行力がないと、とは。
「内閣改造をみても、頭のいいシンクタンクの適材ばかり集めている。内閣はシンクタンクではない。執行体だ。ブレーンストーミングでやって夢みたいな政策を打ち上げてもしょせん実行できない。こんなことを繰り返している。政策なんか野村総研か大和総研に依頼すればよい」

<「小沢の頭、叩かずなでろ」>

仲間割れは。
「苦しい立場にいる仲間をいじめてはだめだ。小沢は一緒に政権をとった。起訴される。大変だな、頑張れよ、と励ますのが正しい。菅に、小沢の頭を叩かず、なでてやるようでなければ、と言った」
他に仲間割れは。
「社民党の神経を逆なでしている。補正予算に賛成し、問責決議案に反対した友党をきちっと味方につけるべきなのに、おろそかにして他の野党を口説いてばかり。社民党が逃げたら、衆院3分の2の伝家の宝刀が抜けない」

国民新党は。
「ゲタの雪と思うなよ、と言っている。郵政法案は国民新党の提出でなく、内閣提出だ。今国会で成立させられないはずがない」
政局展望は。
「乱がくる。これは菅が自ら招いている。参院で過半数割れは自民時代に何回もあった。菅は乱をでかくしている。熱帯低気圧を台風にしている」
そのポイントは。
「党内を一体化する努力をしていない。小沢グループは表立って反対しなくても、予算関連法案の衆院再議決で5人が病気で欠席されたらアウト。統一地方選で負けるから、乱を起こす名分ができる」
<政治評論家>

●(12)菅政権下での選挙は酷すぎる。菅総理大臣の中選挙区時代の地元、西東京市議選では、現職市議5人のうち、4人が落選した。当選した1人も28人中26位、大惨敗である。他に新人が2人当選で、民主党の市議は3人。

平成22年12月29日、夕刊フジ「鈴木棟一の風雲永田町」

<西東京市議選、民主一人負け>

師走の26日に西東京市(保谷・田無)の市議選があり、民主党が一人負けの惨敗を喫した。ふつうは注目されないローカルの市議選だが、菅首相のおひざ元でもあり、全国ニュースとして流された。
定数は28人で34人が立候補。自民は推薦を含め9人立てて8人当選。公明は6人で6人当選、共産は4人で4人当選なのに、民主は7人立てて3人当選。みんなの党が3人で3人当選だったので、第4党で並んだ。

落選者6人のうち、民主が4人を占めた。いずれも現職の市議だった。これをどう見るか。選挙の専門家が語った。
「最近の民主に対する大逆風の流れが続いている。民主は組織がない。地盤が弱い。地力がついていない。風がやむと墜落する。このことを立証した」
ベテラン記者が言った。
「三多摩地域は昔から社会党が強いところ。菅もここから出た。しかし、社民党が虎の子の1議席を失ったことも含め、流れは止まった」

<「菅では戦えない」強まる>

さらに次の指摘も。
「菅は小沢が民主の支持率を下げたと責任を転嫁しているが、どうやら違う。菅自身の責任のほうが大きい」
この市議選には、菅首相の伸子夫人、蓮舫行政刷新相、河村たかし名古屋市長らが応援に入ったが、当選した民主党市議から次の声が出た。
民主党色を出さなかったから当選できた」

さきの松戸市議選では、民主は11人を立てて9人落選、2人当選だった。選挙専門家の話。
「民主の惨敗続きは、民主離れより、民主候補を落としてやろう、という有権者の意図さえ感じる」
来年4月の統一地方選が近づいており、解散・総選挙も視野に入ってきた。ベテラン記者が言った。
「出口は菅の退陣しかないが、菅は辞める気がない。1月13日に党大会があるが、2001年3月の武道館での自民党大会を連想する」

武道館前で自民の都議たちが「森首相では都議選は戦えない」というビラをまき、森退陣につながった。
「民主党大会で地方議員が『菅では戦えない』と突き上げるか、統一地方戦後に『菅のせいで負けた』と責めるか。いずれにせよ、反乱は必至だ」
<政治評論家>

●(13)平成23年1月31日(発行)、夕刊フジ「菅政権脅かす“新爆弾”」

<与謝野“金”醜聞>国会は31日、いよいよ2011年度予算案が実質審議入り、本格的な論戦がスタート。政府が野党からの批判で大炎上するのは必至だが、数あるアキレス腱の中でも最悪の存在が、与謝野馨経済財政相(72)だ。その変節ぶりが総スカン状態を招いているだけでなく、「政治とカネ」問題も抱えているからだ。民主党は政権交代直前の09年夏、自公政権の財務相だった与謝野氏の迂回献金疑惑を追及し、参院予算委員会での集中審議を求めた。これを逆に自民党が徹底追及する構えをみせているのだ。この問題を巡っては仙石由人代表代行(65)の名前も浮上。菅直人首相(64)はこの古くて新しい爆弾を処理できるのか。<略>09年6月、麻生内閣の財務相だった与謝野氏の資金管理団体「駿山会」が、商品先物取引会社「オリエント貿易」などが作った2つの政治団体「政経政策研究会」と「平成の会」から、約1億円の献金を受けていたことが発覚した。
問題視されたのは、カネの流れ。まず、どちらもオ社が幹部職員の給与から「政経政策研究会」への寄付金を天引きし、献金の原資の一部となった。天引きされたカネの一部もしくは全部が、給与などで補填された。つまり、2つの団体から駿山会への献金は事実上、オ社から与謝野氏側への献金ではないかという理屈で、個人の資金管理団体への企業献金を禁止する政治資金規正法に違反する疑いが指摘されたのだ。
加えて、社員の一部が所得税の寄付金控除を受けていたうえ、与謝野氏は金融担当相を務め、先物取引の規制問題にかかわったことで“不適切な関係”も疑われた。<略>

鳩山由紀夫代表(当時)は「まずは自身で調査し、事実関係を明らかにされることが大事だ。国民の皆さんに説明責任を果たすということだ」と述べたうえ、参院で「政治とカネ」の集中審議を求めた。ただ、「麻生降ろし」や衆院選をめぐる政局などのため、与謝野氏の問題はくすぶったままになっていた。
一方、この問題には、仙石氏も絡んでくる。仙石氏の関連団体「仙石由人全国後援会」の07年分の収支報告書によると、前述の「平成の会」から10万円の寄付を受けていた。

民主党の小沢一郎元代表に近い民主党若手議員はこう話す。
「西松事件を思い出してほしい。西松事件では、西松建設が幹部社員にダミー政治団体への会費を納めさせたうえ、小沢氏側へ献金していた。会費分は賞与で補填していた。小沢氏と与謝野氏で、どう構図が違うのか。菅首相は『不条理を正す』と言って小沢氏を国会に突き出したり、党から追い出そうとしているが、与謝野氏や仙石氏はおとがめなしか。自分に都合のいい“身内”には、相変わらず甘い」

菅首相は27日、与謝野氏起用について、「国民利益のための改革を実現する大義において起用した」と胸を張った。さらに、民主党代表代行時代、同党の参院比例代表で当選しながら離党した議員に「議席を党に戻した上で行動すべきだ」と発言したことについては、「過去に発言した例とは異なる」と強調。なんともご都合主義的に逃げた。
自民党国対筋は「与謝野氏の裏切り行為が、国民の政治不信を招いている。迂回献金疑惑の資料も集めており、予算委員会で徹底追及する」と手ぐすねを引いている。

●(14)菅氏は、大変失礼ながら、余りにもご自分が分からなさ過ぎます。次から次へと、切りがないほど、ボロボロと恥ずかしい問題が噴出してきます。
野党時代にこれほど大きな問題があって追及したにもかかわらず、さらには、過去最大級のイレギュラーなケースでありながら、与謝野氏を大臣に起用しようと思う神経・・・・・これほど自己矛盾することに気がつかないとしたら、かなり人格的に問題があります。クリーンでオープンを謳う菅直人氏にとって、わずか1年7ヶ月前に1億円もの疑惑の献金があり、集中審議を求めたほどの大問題であり、さらには、わずか10ヶ月前、財務大臣だったときに、民主党を離党した大江議員に「議席を返せ」と国会で迫ったにもかかわらず、この2つに引っかかる与謝野氏を1本釣りしようと思う神経は怖ろしいものがあります。何度も繰り返しますが、古い話であったり、小さな問題であるならば止むを得ないこともあるでしょうが、両方とも大きな問題であり、しかも最近の出来事です。さらには、クリーンでオープンを謳う自分自身が頭からスッポリと抜けてしまうとしたならば、一国の最高権力者として大問題です。
その最高権力者が「気力が萎えても私は辞めない」と言うのは、エジプトのムバラク大統領を連想させます。世界の大問題が山積する時代に「気力が萎えても辞めない」総理大臣で良いのでしょうか???ただ、怖ろしいだけです。
とにもかくにも、キリがありませんので、今回は、ここで終わります。

<文責:藤森弘司>

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