2011年1月15日 第34回「トピックス」
菅総理大臣についての一考察

 ●(1)1月13日の朝のテレビ番組「スーパーモーニング」で「小泉純一郎」元首相の特集を放映していましたが、これを見る限り、菅総理大臣は小泉元総理大臣と似ているところが多い印象を受けました。
 しかし、似ているところは悪いところばかりで、良いところはかなり違うなと思いました。例えば、サプライズを演出(?)しながら、「決断力」が欠けていたり、「ブレ」まくるところなどです。さらには、子分が少ないところも似ています。さて、菅総理大臣の人間性を、簡略に、的確に教えてくれる新聞の記事を発見しました。総理大臣になってからの菅氏の特徴がよくわかる新聞記事ですので、これをご紹介します。
 さらには、私(藤森)の分析も、最後に掲載します。菅総理大臣はどうやら、私の「影」を見せてくれているようですし、人間の普遍的な「影」を見せているうように思えます。
●(2)平成23年1月7日、日刊ゲンダイ「盗人猛々しい菅首相」

 小沢のクビを差し出して窮地を逃れようとしているが、ずっと以前からカネの問題の疑惑人と手を組み、政権を取ったらクリーンを口にして小沢排除に動いた言動を選挙民はもう全く信用していない

 徳川家康は、秀吉の死後に寝返った豊臣恩顧の大名を信頼しなかったという。そりゃ、そうだ。利害や打算で仲間を裏切るような変節漢は、だれだって信用できない。口が達者であれば、なおさらだ。スラスラと空疎な言葉を並べれば、薄っぺらな人間性が浮き彫りになる。菅首相が人を魅了できないのも当然だろう。

 だれに吹き込まれたのか知らないが、菅は「小沢切り」で人気が出ると思い込み、年頭の記者会見で「不条理をただす政治をやる」「不条理といえば政治とカネ」と小沢批判を展開した。小沢元代表が強制起訴された場合は「政治家としての出処進退を明らかにし、裁判に専念すべき」と指摘し、事実上の議員辞職勧告までやってのけた。
 小沢のクビを差し出せば、20%の低空飛行を続けている支持率が上向くと勘違いしているのだ。まったく、オメデタイ男である。

 国民は、菅が小沢にスリ寄り、権力を手に入れたことを忘れていない。元日に東京・深沢の小沢邸で開かれた新年会では、「今年は太鼓持ちがいないなあ~」と菅をからかう声が聞かれたという。昨年の新年会で家主の間近に陣取り、ペコペコと頭を下げて、乾杯の音頭まで取って喜んでいた幇間への痛烈な皮肉である。

 「当時は、すでに大久保秘書が逮捕されるなど、小沢さんの政治資金問題は表面化していました。菅さんは、カネの問題で疑惑人であることなど百も承知で小沢さんに取り入り、ご機嫌をうかがっていたわけです。いまさら不条理だ何だと小沢切りに乗り出すなんてチャンチャラおかしい。そんな資格はありません」(民主党関係者)

 <大恩人をさらし者にする見苦しさ>

 小沢が鳩山と同時に身を引いたとき、「幹事長辞任で大きなケジメをつけた」と言ったのも菅である。とうに終わった問題だと、ほかならぬ菅自身が宣言していたのだ。
 ところが、外交戦略のなさ、政権運営の不手際を批判され、支持率が急降下した途端、わざわざ問題を蒸し返して、これでもかと叩き続けるのだ。盗人猛々しいとはこのことだ。

 だいたい。小沢の自由党を迎え入れて民主党を拡大したのは菅である。その小沢は、大量にチルドレンを当選させて、歴史的な政権交代を実現した。なにがなんでも首相になりたかった野心家の夢をかなえた大恩人は小沢である。そんな相手も、権力を握り続けるためには、さらし者にしてなぶり殺そうとする。これは普通の感覚ではない。品性がとてつもなく卑しいのである。

 こんな男だから、慕う仲間も少数だ。現職の総理として元日に首相公邸で新年会を催したというのに、集まったのは50人にも満たなかった。菅グループの中にも誘いを断った議員がいたほどで、ほぼ120人を集めた小沢に完敗している。

 「菅さんは、『こんなときに、よく行くよなあ~』と小沢邸に集まった議員を小バカにしていましたが、自分に人望がないという自覚はゼロ。去年は自分もはせ参じているくせに、エラソーに見下す神経を疑いますよ」(ある議員)
 さすがに小沢憎しの前原外相ですら、「政治とカネの問題は大事なテーマだが、政権が信頼されるために大事なことは政策の中身ではないか」と言い出した。それはど菅は見苦しいのだ。

 <何でもかんでも6月に先送りする愚鈍な首相>

 菅のデタラメは、政策を出しては引っ込める軽挙妄動ぶりにも表れている。政治評論家の有馬晴海氏が言う。
 「菅首相は思いつきのコメントが多く、時間がたつとつじつまが合わなくなるのです。典型的なのが、消費税をめぐる発言。唐突に10%だとぶち上げ、『公約と受け取ってもらってもいい』と大見えを切りながら、参院選で旗色が悪くなると、低所得者には全額還付すると取り繕った。個人が支払った額を捕捉できない消費税を還付するなんて不可能ですが、その対象も200万円以下の低所得者からスタートし、250万円300万円と引き上げ、最終的に400万円以下だと言い放ったのです。これは国民の6割が消費税を免除になる水準です。それでも選挙で負けそうだとなると、『いますぐ導入するわけではない』『検討すると言ったまでだ』などと釈明しています。その姿からは、信念や魂が感じられません」

 その消費税について菅は、昨年のクリスマスイブの会見で、「年明けの段階で方向性を示したい」と表明した。ところが、年頭の会見では、「6月ごろまでをひとつのメドにして方向性を示したい」と半年も先送りである。
 「平成の開国」とか言ってやる気マンマンだったTPP(環太平洋経済連携協定)への参加も、「最終的な判断は6月ごろ」とモニョモニョ言っていた。何ともハッキリしない愚鈍な男である。これが日本の最高指導者というのだからウンザリだ。

 <師匠に破門された男は信頼できない>

 「国民は完全にシラけています。菅首相の言っていることはウソばかりなんだと見抜いています。消費税も何もかも、なぜ6月がメドになるのかも説明されないのです。真剣に取り組む気があるとは思えません。多くの人が、どうせ口先だけなのだろうと見ていますよ。国民は政権交代で政治も暮らしも変わると期待しました。しかし、この1年半、政治は支持率目当ての小沢叩きが繰り返され、経済はちっとも上向かず、雇用も悪化の一途です。期待と現実のギャップは、菅首相になって、さらに大きくなっています。この政権は、期待も信用もできません」(政治評論家・山口朝雄氏)

 菅は代表選で「市川房枝先生の選挙ボランティアから政治活動をスタートさせた」と話すなど、“市川門下生”を売りにしている。だが、晩年の市川は菅に愛想を尽かしていた。人間だから、好き嫌いは付きものだ。ウマが合わない相手もいる。しかし、「菅から届けられた花束をゴミ箱に投げ捨てたこともあった」(事情通)というから穏やかではない。よほど腹に据えかねることが重なったのだろう。

 仲間から嫌われ、“師匠”からも破門同然という男が、国民の信頼を得られるわけがない。内閣改造などやらなくてもいい。もう十分だ。即刻退陣すべきである。

●(3)平成23年1月8日、夕刊フジ「テレ朝生出演も撃沈 菅視聴率6・9%」

 菅直人首相(64)が出演した5日のテレビ朝日「報道ステーション」の平均視聴率6・9%と、前4週平均(14・7%)の半分以下に落ち込んだことがわかった。テレ朝関係者は「菅首相が画面に登場した瞬間、ガクッと視聴率が落ちた」と話しており、改めて不人気ぶりが裏付けられた格好だ。菅首相は番組で、社会保障と消費税改革などに「政治生命を懸ける覚悟でやる」と表明。通常国会については「政策実現のために最も力を発揮できるような党と内閣の体制を整備したい」と、内閣改造・党役員人事の断行まで言及し、永田町で大きな波紋が広がった。しかし、こうした気迫とは裏腹に、視聴者は菅首相の顔を見るのも飽き飽きな様子。同時間帯では、日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース 命をかけた女性の大変身ビューティー祭り第2部」(18・8%)などに大きく水を開けられた。
首相は7日夜、インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」の番組に生出演予定。ネット放送は政敵の小沢一郎元代表も多用しているが、アクセス数でどちらに軍配が上がるか。
●(4)平成23年1月10日、日刊ゲンダイ「菅直人とは何者か」

 この国のトップ、菅直人とは一体何者なのか。半年間でだんだんとハッキリしてきたのは、「サルマネ男」という正体だ。
 慶大教授の金子勝氏は本紙コラムで「菅直人は演技力のない小泉純一郎だ」と指摘していた。確かに、何でも小泉政治のマネをして、支持率頼みの政権長期化を狙う下心がロコツになっている。金子氏は、小泉政治の猿マネとして、財界ベッタリアメリカ追随一辺倒党内に抵抗勢力つくって支持率アップ事業仕分けで公務員叩きのテレビパフォーマンス小泉のハンセン病控訴断念をマネた諫早湾開門問題の上告断念・・・を例として挙げている。

 その上で、「タダ、二番煎じのうえに、菅首相は自信がなくオドオドしていて、小泉純一郎のような詐欺師的演技力もないから、まったく支持率が上がらない」と呆れ果てていた。
 よりによって、政権交代を成し遂げた民主党政権の首相が、自民党の小泉純一郎をマネる神経が分からない。構造改革、緊縮財政で庶民生活をボロボロにし、財界・米国に富を捧げてきた小泉政治に対し、逆のことをやるのが民主党政権ではなかったのか。しかし、権力亡者にはそういうことはどうでもいいのだ。

 <猿マネ男よりも卑しく汚い男>

 政治評論家の淺川博忠氏が言う。
 「小泉さんは、低支持率で行き詰った森内閣の後を引き継いだが、子分はおらず、党内基盤も弱く、当初は都議選、参院選用のワンポイント起用でした。ところがうまく世論を味方につけ、5年もの長期政権になった。菅さんも、党内基盤はほとんどなく、参院選対策で首相に起用された。“生い立ち”が似ているから、小泉さんのマネをすれば、長期政権も夢じゃないと思っているんでしょうが、それは大きな勘違いです。ブレまくり、他人に責任を負わせ、やりたいことが何もない菅さんが、形だけ小泉手法を模倣しても、支持率が上がるわけがありません。浅はかすぎますよ」

 先の金子勝氏はこう断じている。
 「米国、経済界、官僚など強者の言うがままになっている菅首相は、本当に市民運動出身で市民派の代表なんだろうか。もはや支持しているのは、マニフェストを無視して何でも言うことを聞いてくれるので喜んでいる財界くらいではないか」

 情けない。官僚や財界のために消費税増税をぶち上げたり、法人減税をするために、有権者は民主党政権を選んだのではないのだ。ましてや「市民派」とか「サラリーマンの子供」と称しながら、強者ばかりにスリ寄り、それを政権維持に利用する菅直人という男は、ヘドが出る許しがたい存在だ。単なる猿マネ男よりも、もっと卑しく汚くて腐っている。
 権力にしがみつくしか能がない、「市民運動家」を騙る政治的ペテン師そのものだ。

 <「古い政治」と決別できないのは小沢でなくて菅>

 バブル崩壊後の経済縮小と、小泉デタラメ改革の総貧乏化で、この国は1990年代、2000年代と「失われた20年」が続いてきた。ほとほと国民は疲れ果て、なんとか流れを変えてくれと、機能マヒの自民党政治にオサラバし、新鮮で未知の民主党に政権を託したのである。

 それなのに、このザマは何だ。菅政治は、自民党政治の最低の失敗部分だけをマネて生き延びようとしている。こんなロクデナシ首相は即刻辞めさせないと、失われた20年が、あと10年も続き、国は滅びてしまう。

 筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)がこう言った。
 「アメリカに追従し、官僚にお膳立てしてもらって財界が儲かる政治をしていれば経済は発展するという戦後日本のパターンはもう通用しない。壊れてしまった。この国は餓死者があちこちで見つかる貧しい国になってしまっているのが現実です。そんな中で民主党政権が誕生し、鳩山・小沢時代はこの国のアメリカ偏重、官僚支配の仕組みを何とか変えようともがいてきた。政治とカネの問題で旧勢力に邪魔されながらも、国民生活が第一のマニフェストを掲げ、改革の志は捨てなかった。ところが、菅首相になって全部逆戻りです。自分の権力欲が第一の人だから、旧勢力と組んで日本を衰退させた古い政治に戻そうとしている。狂気の沙汰です。これでは衰退がひどくなるだけです」

 <三流四流の大マスコミに騙されるな>

 狂ったような小沢排除劇も、結局のところ、小沢政治=民主党マニフェスト=官僚打破を捨てさせ、旧態依然政治へ戻す地ならしの面もあるだ。
 菅は口を開けば、小沢問題について「古い政治と決別しなければ」と言うが、古い政治にドップリなのはお前なのだ。自分の延命のためなら同志を売り、魂も売り、国民が拒否した自民党政治を再現し、国を衰退させる。これが国のトップとは、もう極悪犯罪である。

 「この国は、大マスコミが三流四流だから、国民はすっかりダマされてしまっている。デフレ不況がどんどん悪化しているのは、菅内閣と財務官僚が消費縮小のデフレ政策を続けている結果なのですが、そんなことは報道されない。悪いのは全部、小沢氏。カネの問題があるから、この国は前に進まないみたいな報道の洪水になり、国民はうのみにしている。国民の将来不安や景気への不満を、小沢氏を叩くことで発散させている。悪者をこしらえて石を投げさせる。そうやって国民を違う方向へ向けさせておいて、菅内閣と財務省は消費税増税を急ピッチで進めようとしている。こんな狂気の政治を許していたら、日本のGDPはいずれ3分の2、半分に縮み、完全に立ち行かなくなってしまいますよ」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 国民生活を潰すためだけに存在するようなペテン菅政権を、一日でも長く続けさせる理由など、ひとつもなのだ。

●(5)平成23年1月12日、夕刊フジ「鈴木棟一の風雲永田町」

 <新年は菅の「小沢切り」から>

 新年の政局は菅首相の小沢攻撃から始まった。4日、官邸で年頭の会見で言った。
 「小沢氏が強制起訴されたら政治家として出処進退を明らかにすべきだ」
 強制起訴が必至なのを見越して、あえて大声で言い放った印象がある。これは小沢氏と小沢グループの意表をついた。小沢氏側近の話。
 「元旦の小沢邸の新年会までは、まだ強気だった。年頭会見で『菅は本気だ。かなりシビアだ』と認識させられた」

 <「優先順位違う」との声も>

 首相は党内、マスコミ、世論に対して「勝負手」を放ったのだ。しかし当然のことながら党内から反発がある。代表選で菅氏に投票した有力幹部が顔をしかめて言った。
 「首相の年頭の会見は、この国をどうするか、最重要課題にどう取り組むか、だろう。ところが『小沢を切りたい』と。これはないだろう。優先順位がちがう

 さらにこう続けた。
 「検察審査会が強制起訴を決めた。他党ではない。仲間の議員のことだ。党として何か対応したのか、というとそうでない。小沢問題を党として調べる。事情を聴く。ここから始めるべきだ。それをせず『辞めてしまえ』とぬけぬけと言う。こういう党に私自身、居ることが怖い

 1年前に小沢邸で菅氏は乾杯の音頭をとった。これとの整合性はどうなるのか。別の党幹部が説明した。
 「菅はある意味、たいしたものだ。昨年は副首相になれた。政権交代の立役者に敬意を表した。今年は政治とカネの問題を抱え、間もなく刑事被告人になる小沢。これへの非情の割り切り方だ」

 情も遠慮もないのだ。
 「小沢と菅は何もかも水と油だ。価値観、国家観も。小沢は保守本流で権力の中枢を歩いてきた。菅は市川房枝の市民運動で政界の片隅だった。遠慮していたら生きていけない。市民運動に遠慮はない

 次の説明も。
 「菅からすれば野党のとき敵は自民党。敵の敵は味方として小沢と付き合ってきた。碁を打ち酒も飲んだ。状況が変わった」
 これからの見所は。
 「これは権力闘争だ。小沢は『菅は腰砕けする』と見ている。菅も岡田も必死に仕掛けている。敗ければ全部やられる。パワーバランスが揺れており、毎日、目が離せない」(政治評論家)

●(6)どうやら、良し悪しや、政策論争の域を超えて、何十年前の自民党の派閥政治の復活のような、凄まじい「権力闘争」に突入したような感じがします。この凄まじい権力闘争が収束するまで、日本の政治は、実質的に停滞せざるをえないのではないでしょうか。

 連立をどこと組むかとか、自民党との大連立がどうであるか、なども皆、日本をどうするとか、政策がどうであるかなど、本来、政治家が取り組むべき課題から発生しているのではなく、生きるか死ぬかの凄まじい権力闘争(私利私欲)を勝ち抜くための合従連衡・・・・・戦国時代の遠交近攻・・・・・政略結婚、騙しあい、謀略・・・・・ありとあらゆる策謀がうずまいているような感じがしてきました。

<<<平成23年1月13日、日刊ゲンダイ「言論封じに狂奔する菅執行部の恐ろしさ」
 <略>姑息な執行部だ。何が「開かれた政党なのか」と言いたくなるが、ある民主党議員はこう言っていた。
 「左翼は時にエスカレートする。粛清とか言い出し、多種多様な意見を認めない。今の民主党執行部はまさにこれです」<略>>>

 私(藤森)は、このように見ます。菅首相は非常に気の弱い人である。こういう人は「攻撃」に強い。自民党の誰かが言っていましたが、野党時代の菅氏が質問に立つときは、他の人の何倍も答弁に注意をした、と。
 つまり、「論客」なわけで、今まで、論客としての菅氏をみてきて、私たちの多くは拍手喝采をしてきましたが、実は「打たれ弱い人間」だったのだと思います。選挙にも落選の経験があり、代表選挙にも落選の経験がありますが、本格的な「負け」の経験がなかったのではないかと推測します。これは「オバマ大統領」にも共通しています。
 菅氏の負けの経験は、決定的な敗北ではなく、「自分を納得させられる負け」ではなかったかと推測します。市民活動家として、選挙に落ちても、バックもないし、金もない自分が落ちるのは止むを得ない、これをバネにして、さらに頑張ろうと思える「心の余裕」があったように思えます。

 つまり「決定的な敗北」、心理学的な表現をすれば「劣等感コンプレックス」にぶち当たるような「衝撃的な敗北」を経験してこなかったのではなかろうか。私(藤森)は、オバマ大統領の場合と違って、菅氏の人となり・・・・・つまり、生い立ち(脚本レベルの情報)が全くわかりませんので、かなりの部分は推測ですが、菅氏は決定的な敗北、それは経済レベルでもいいし、健康的なことでも、あるいは社会的なことでもいいですが、「劣等感コンプレックス」にぶち当たる決定的な「敗北」を経験していない人だと思います。
 多分、今までに体験した「敗北」は、自分を納得させられる敗北だったのでしょう。

 しかし、政権政党の総理大臣になった瞬間、それまでの・・・・・多分、生い立ちからは想像もできない立場になって、「無意識」は予想外の気持ちになっているのではないでしょうか?
 つまり、無意識の「インナーチャイルド(内なる子)」は、人格が高揚して判断力を失っている気がします。喩えて言えば、私(藤森)は車を持っていません。もちろん、それだけの経済力が無いことが第一の理由ですが、それと同様に重要なことは、快適に走る自動車を運転しているうちに、私の能力が肥大したかのような錯覚に陥り、私の「人格」が変わってしまうのがわかるからです。車を運転すると人格が変わるというアレです。
 私のような人間は、自動車だけでなく、刃物などの「武器」を持たせたり、大金を持たせると人格が歪んで、結局は、不幸な人生を送ることになるものです。ですから、意識的に「自動車」を持たず、意識的に「武器になるような刃物」を身の回りにおかず、「大金」も持たず(持てず)、「自転車」を乗り回すことで、自分を満足させています。

 比較するのに余りにも失礼な例ではありますが、ひとまずお許しいただいて、菅氏もこのような心理状態「高揚感」になっていることを推測させます。極端に言うと「幼児の万能感」みたいな高揚感に浸る瞬間があるのでは?
 今までは、市民運動の弱い立場であったり、小政党に所属していたり、頑張って民主党を大きくしたりしたが、でも、自民党に比べると「万年野党」として、子供が大人に喧嘩をふっかけるような気安さがありました。
 少々、過激な発言も、大政党の自民党をやっつけるためには、むしろ、歓迎された傾向にありました。ところが、今や、日本最大の権力を握ってしまいました。ここから「あ~あ、勘違い」(平成21年7月31日、週刊ポスト「ああ勘違い!州知事辞任で突っ走るペイリン「大統領候補」に問われる資質」池上彰氏)の人生になっているように思えてなりません。

 恐らく、ヒットラーも根性は小さい人間だったと思います。万一、私の妄想がいくらかでも当たったら、これから凄まじい権力闘争が始まるように思います。そして、人生初めて、本格的な「敗北」を体験する「恐怖」は凄まじいものがありますので、その「恐怖」を避けるために、何でもアリの状態に突入するのではないかと心配します。

 「窮鼠猫を噛む」ではありませんが、本来、この喧嘩は小沢氏の圧勝に終わると思っていましたが、弱い人間が銃を乱射するような「やぶれかぶれ」、負けるならば・・・・・猪突猛進の道を選びかねない「菅総理大臣」の人間性が、小沢陣営にどれだけ理解され、計算されているか、ここが勝負の分かれ道のように思われてなりません。常識的な判断はしないほうが良いでしょう(市民運動家にとっては本来敵に当たる検察・警察とも・・・・・精神分析では「両極は相通ず」と言います)。

 菅総理大臣の人間性は、私(藤森)が持っている「嫌らしい人間性」を見せられているようで、とても耐え難い心境です。あるいは、「普遍的な人間の影(シャドウ)」(普遍的無意識・ユング心理学)を見せているのかもしれません。天下の公職(最高権力者)に就いている人なので、酷評を許してもらえば、「冷酷非情な人」に思えます。生い立ち(脚本)に非常に興味があります。

 そして、恐らく、人間である以上、誰もが持っている「嫌らしさ」・・・・・しかし、私たちはその「嫌らしさ」を辛うじて封印したり、「頭かくして尻隠さず」程度かもしれませんが、何とか隠したり誤魔化して、少しでも人間らしく生きようとしますが、菅氏は天下の総理大臣になってしまったが故に、その「嫌らしさ」が露骨に表面化してしまった、あるいは、メディアにバクロされてしまったように思えます。
 何かの本で読みましたが、ある武士が「父の敵」をとって切り倒した相手にムシロを掛け、手を合わせたという。これが日本の「武士道精神」、美学ですが、そういう精神の欠片も見られません。

 さらには、旦那の職場に奥さんがシャシャリ出る人間にロクなヤツがいないように思えます。「国民のため、天下万民のために」などとは言わず、「でき得ることをやって玉砕するのはいいが、(内閣)支持率が低いと批判されて(首相を)辞めることはあり得ない」「支持率はマイナスが無い」云々などと言えるのは、逆説的に言えば、「根性」があるなあと感心します。根性があり、ヌケヌケと発言できる大胆な人の旦那さんは、大体、「小心者」と相場が決まっています。

●(7)平成23年1月13日、日刊ゲンダイ「薄汚い正体示す証拠写真」

 <菅直人が封印したい過去>・・・・・新聞をスキャンしましたので、ご覧ください。小沢氏の両隣のお二人の嬉しそうな顔、そして、平野元官房長官と一緒に写っている嬉しそうな御仁、しかし、この三人は過激に攻撃しています。

●(8)平成23年1月14日、21日号、週刊ポスト「大勲位、国難に獅子吼(ししく)す」

 <略>

 <P66、小沢にとっては蠅のようなもの>

 ・・・・・うぶな鳩山政権が国民を不安にしたのは事実だが、かつての自民党政治に回帰しようとしている今の菅政権にも、政権交代を支持した国民は失望している。

 中曽根康弘氏・・・処女性の魅力を失ってはいけないが、しかし未熟さを早く脱却しないと国民に見捨てられる、そういうジレンマですね。
 しかし、そう短気になってはいけないんです(笑い)。この選挙制度、政治制度というものが成熟するには3年、5年はかかります。新しい路線を目指して進むという以上は、国民にも忍耐する義務があると私は思いますね。

 ・・・・・民主党政権のどこが新しいのかが見えない。

 中曽根・・・自民党政権との違いということならば、自民党が官僚寄り、財界寄りであった点を是正しようということでしょう。最初は極端にやろうとして官僚からも財界からも見放された時期が続いた。それを反省して修正し、その修正が続いているのが今の段階でしょうね。しかし、修正の時代は、長く続く、太く強靭なものを国民に示すというところまでできない。そこがこの政権の弱みです。小沢君はそれをやろうとしたのでしょうけれどね。

 ・・・・・小沢氏は、今のような政治では政権交代の意味がないと批判している。

 中曽根・・・独立性を明示することを心掛がけているのでしょう。菅君の場合は、鳩山君の行き過ぎを是正するあまり、自民党に近寄り過ぎてしまった、と。

 ・・・・・そうした路線対立の結果、小沢氏は、石もて追われる身になっている。

 中曽根・・・小沢君にとっては、蠅が飛んでるとか、蜂がブンブン回っているとか、その程度に思っているんじゃないですか(笑い)
 要するに政治力の差ですよ。今は内部で党員やら議員をどちらが掴んでいるかという勝負をしている。議員総会やら党大会が、その前哨戦になっているわけですね。小沢君を見ていると、今は我慢の時期だと腹を決めて、党の議論より世論を中心に自分の進む方向を決めているんだろうと思います。それは次の天下を狙う者の当然の在り方ですね。

 ・・・・・国民に見える「政局」では、小沢氏は追い詰められているようにも見える。

 中曽根・・・それは一種のマヌーバ(戦略)ですよ。初めからいうことを聞いたら存在意義はないわけですから。今は代表選で互角の勝負をした勢力を非常に大事にして、これから外縁勢力を発展・拡大させるということでしょう。それまでは、国民世論やジャーナリズムの批判に対して非常に自重した態度に出ていますね。

 <後略>

<文責:藤森弘司>

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