2010年6月15日 第26回「トピックス」
●(1)平成22年2月11日、日刊ゲンダイ「大阪地検特捜部」
<ズサン捜査 ボロボロ発覚> <「郵便不正事件」公判で大揺れ> 大阪地検に激震が走っている。元厚労省局長の村木厚子被告(54)が特捜部に逮捕、起訴された「郵便不正事件」の公判で、捜査のデタラメが次々と明らかになっているのだ。 <幹部のクビが飛ぶ!?> 頼みの供述調書もウソの証拠を突き付けて作成していたとなれば、信憑性が疑われる。「デッチ上げ不当逮捕」との声が高まるのは必至で、地検幹部のクビも吹っ飛びかねない。 「特捜部の狙いは石井議員だったのでしょう。彼らは巨悪を挙げるのに『犠牲もある』と考える傾向にあり、周辺の関係者を“捨て石”と呼んで引っ張るケースがある。村木や上村がまさにそれです。ただ今回はかなり悪質です。地検は開示対象とされる捜査メモも勝手に廃棄している。ここまでズサンな捜査だと、検面調書に対する裁判所のイメージは最悪になる。無罪になれば、担当検事や幹部の人事にも響くでしょう」(元東京地検検事) 小沢捜査では、東京地検特捜部が逮捕、起訴した石川知裕衆院議員の女性秘書を恫喝し、取り調べしたことが報じられている。もはや取り調べの全面可視化は待ったなしだ。 |
●(2)平成22年3月11日、日刊ゲンダイ
<村木元厚労省局長裁判> <「よく調べなさいよ」石井一議員に法廷で怒鳴られた大阪地検の赤っ恥> 「検察の捜査能力が極端に低下した」・・・・・。8日の外国特派員協会は熱気ムンムンだった。会見した元検事で名城大教授の郷原信郎氏と、ジャーナリストの魚住昭氏がそろって検察の捜査手法をメッタ斬りしたのだ。郷原氏は「2000年以降の特捜案件でマトモなものはひとつもない」と断罪していたが、その言葉を裏付ける公判が今も進んでいる。厚労省の元女性局長が大阪地検特捜部に逮捕、起訴された「郵便不正事件」だ。 この事件は、公判で証人が捜査段階の供述を相次いで覆す異例の展開で話題になっている。とうとう検察は取り調べを担当した検事を証人尋問し、捜査段階の供述調書の信用性を立証する方針だが、村木厚子元局長への「無罪判決」は時間の問題。そんな検察の「捜査能力の低下」は4日の公判でも見られた。 この日は村木被告の上司に“口利き”したとされる民主党の石井一議員(75)が弁護側の証人として出廷。検察は石井議員が04年2月25日に上司と面会したと主張。これに対し、石井議員は自身の手帳の記録から「その日はゴルフに行った。絶対あり得ない」と反論した。 ゴルフに行った議員にアリバイを確認すればいい話だし、委員会への出欠確認なら電話一本で済む。それすらしていないとは、捜査能力の低下以前の問題だ。それにしても、特捜検事が証人出廷する前代未聞の裁判は、一体、何のために続けているのか。 |
●(3)平成22年2月27日、日刊ゲンダイ「郵便不正事件」
<冤罪こうして始まる> 郵便不正事件で虚偽有印公文書作成などの罪に問われた厚労省元局長・村木厚子被告(54)の公判(大阪地裁、25日)で、部下だった元係長・上村勉被告(40)が記録した検察を痛烈批判した被疑者ノートが公開された。 その後、供述調書の訂正を申し入れても検察側から相手にされず「あなただけ違うことを言っていると検事に言われた。多数決に乗ってもいいかと思う」と供述を変遷させた経緯や、6月5日には「もう完全にあきらめた。何も言えない」と精神的に疲れた様子をつづっている。 この日、弁護側はノートの記述をスクリーンに映しながら尋問。上村被告は「検事は都合のいいことしか聞いてくれず、もう好きにしてくれという気になった」と証言。弁護側はこのノートを証拠請求する方針だ。 |
●(4)平成22年2月24日、日刊ゲンダイ「暴走検察」
<冤罪事件が全国で頻発> 日本中を引っかき回した小沢捜査で、目に余る「暴走」が問題視された検察権力。厚労省元局長の村木厚子被告の裁判でも、検察の“証拠隠滅”疑惑が浮上した。証人も「村木さんは冤罪」と断言していて、国民の検察批判は強まる一方だ。 <小沢幹事長、村木元局長だけじゃない> 「検察が大打撃を受けそうなのが、茨城で43年前に起きた強盗殺人事件で、近所に住む男性2人が逮捕された『布川事件』です。最高裁が昨年12月に検察の特別抗告を棄却し、再審開始が確定。弁護側と検察側の第1回協議が来月19日に行なわれる。要するに、足利事件と同じ構図です。裁判の過程で、検察が無罪の証拠を隠していたことや、強引な取り調べをしていたことも明るみに出ている。再びクローズアップされると、検察批判が吹き荒れるのは間違いありません」(司法関係者) 広島で01年に母娘3人が犠牲になった放火殺人事件も、逮捕された男性の無実が濃厚だ。 そこに加えて、村木厚労相元局長の一件も恣意的捜査のにおいがプンプン。今後、検察主導の冤罪事件が次々とはじけそうな雰囲気になっている。 |
●(5)さて皆さん、ちょっと考えてみてください。
私たち一般の「善良」かつ「気の弱い人間」が拘置されて、外部との関係を遮断された上に、毎日、心身が疲労困憊になるほどの強烈な取り調べを受け、かつ、検察にストーリーがあり、その線に沿ってほぼ強制的に供述させられるかのような態度で迫られたとき、私たちはどれほど、自分の主張を通しきることが可能でしょうか!!! しかも、孤立無援状況の中で、何年にもわたって「お前が犯人ではないか」と攻めまくられたならば、「もうどうにでもなれ!」「犯人でも何でもいいから楽になりたい!」という心境になるはずです。 ですから、「深層心理」の専門家としての私(藤森)の立場から考えてみますと、「死刑囚」が長年、「無実」を訴えている場合、ほとんどの場合、その、いわゆる「死刑囚は無実」であると思っています。本当に無実でなければ、根性が枯れてしまいます。根性が枯れていないということそのものが、「無実」を証明しているというのが、私の考えです。 もし、それに反論したい方は、ご自分が「外部から遮断され、長年拘束されて、しかも、鬼のような検察に攻(責)めまくられること」を想像してみてください。とても耐えられるものではありません。 しかし、検察は、それよりも遥かに強烈な強制を、一方的に強いるだけの存在、ほとんど「虐待」に近い存在です。いいことは何もしてもらっていません。とても耐えられるわけがありません。そういう中で、無実の罪を着せられる屈辱感は、私の想像を遥かに超えます。それがエネルギーになって、絶望的な環境の中でも「無実」を訴え続けることができるのだと思われます(「救う会」などの存在も大きいでしょう)。 厚労省の局長を辞めてしまった村木厚子さんの人生は、これから一体どうなるのでしょうか。何の罪もない一人の人間の人生をメチャクチャにした「検察」に良心があるのでしょうか!!! 自分が出世してぬくぬくとしている間に、一人の人間が無実の罪で「懲役刑」に服していることを考えてみて、どんな神経があれば平気でいられるのでしょうか!!! 私が尊敬する曽野綾子先生は、「裁判員」にはなりたくないと、エッセイで書いていました。私(藤森)も同様、「裁判員」も「検察審査会の委員」にも絶対(!)なりたくありません。素人の「感性」を検察官や裁判官に伝えて、その感性を参考にしてもらう制度ならば賛成ですが、知識も経験も無い「ど素人」がどういう神経があれば、1人の人間を処罰できるのでしょうか!!! <第20回「検察審査会についての一考察(2)」>の中で、福島県知事の事件を紹介しましたが、それを再録します。ジックリとじっくりとご覧ください。 <<<●(6)平成22年1月28日、日刊ゲンダイ「元福島県知事が語った、検察の暴走と恐怖(下)」 <知事は日本にとってよろしくない。抹殺する> 「私の事件では、特捜部の過酷な取り調べによって、弟の会社の総務部長と私の支援者、そして東急建設の支店長2人が自殺を図りました。総務部長は一命を取り留めましたが、今も意識は戻らないまま。ベッドの上で男性の声を聞くと、検事の声を思い出すのか、険しい表情を浮かべ、顔を背けるのです。よほど取り調べがツラかったのでしょう・・・・・」 東京地検に出頭した佐藤氏の後援会の幹部たちは「栄佐久の悪口を何でもいいから言ってくれ」「15分以内に言え」「想像でいいから言え」「もう図は完成していて、変えられないんだ」と執拗に迫られたという。 「いま、『取り調べ可視化』が取り沙汰されていますが、検察の恫喝には抜け道がある。弟は拘置所に向かう車中で『中学生の娘が卒業するまで出さない』と脅されました。相手は今から取り調べを受ける検事ですよ。あまりに卑劣です」 一方で検察は有利な証言をした人物を手厚くもてなすようだ。 東大法卒、参院議員を経て知事5期。「改革派知事」として霞ヶ関と戦ってきた佐藤氏には、今の検察の動きこそ、「霞が関官僚の行動原理の縮図」と映る。 <特捜部長の出世と引き換えに私は政治生命を絶たれ、4人が自殺を図った> 佐藤氏の事件については、「当時の大鶴基成特捜部長が、『これができるかどうかで自分の出世が決まる』と息巻き、乗り気でない現場を怒鳴りつけていた」と報じられたものだ。 佐藤氏の裁判は現在上告中だが、検察の強引な筋立てと捜査が、いかに多くの悲劇を招くか。小沢事件を指揮する大鶴最高検検事と佐久間特捜部長は、肝に銘じておいた方がいい。>>> |
<文責:藤森弘司>
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