2010年5月16日、第20回「トピックス」
検察審査会についての一考察(2)

●(1)小沢幹事長の問題は、大マスコミの報道を読む限りでは、確かに胡散臭さは感じられます。しかし、もしそうであるならば、「法」の下での平等性が確保されるべきです。小沢問題はあまりにも不平等な捜査です。そのことは、これから多くの情報をご紹介することで証明したいと思いますが、その前に、多分、多くの方は、小沢問題に偏見を持っているように思えますので、謎を解くように、できるだけ分かりやすく、順を追って、いろいろな情報をご紹介したいと思います。

 その前に、今の日本は「戦時状態」です。日本が破綻するか否かという話題は、ほとんどタブー扱いされていましたが、いまや、ワイドショーなどでも、「破綻懸念」の情報がどんどん放映されています。
 4月27日の読売新聞、第一面に大きく、作家の堺屋太一氏の「未来小説2020年」を掲載しました。それは日本がどれほど疲弊しているか、小説の技法を使っていますが、専門家の間では、ほとんど真実のように思われている内容です。
 一例を挙げると、<2018年の秋、世にいう平成30年の大破局で、1ドルが240円・・・・>などが書かれています。お読みになった方も多いかと思いますが、いずれ「日本の方針」と題されて連載されたものをご紹介したいと思います。

●(2) 何を言いたいのかといいますと、こういう「破局」が迫っています。また、「事業仕分け」で、前政権の腐敗があぶりだされていますし、何千億円、何兆円という問題が山積しています。さらには、自民党が下野直前に、官房機密費を不正(?)に引き出しています。
 こういう幕末・明治維新期のような激動の時代に、たかだか10億円程度の問題であり、しかも、それは10年も前からわかっていたことでありながら、「国策捜査(?)」的な手法で捜査し、かつ、政治の停滞を招き、日本中が大騒ぎしなければならない問題でしょうか?

 しかも、大マスコミがこぞって、「小沢=悪」と決め付け(?)て、追い落とさんばかりの報道は、どう考えても行き過ぎています。さらに重要なことは、こういう「戦時状態」の時こそ、剛腕・小沢が必要だと、私(藤森)は思っています。学級委員会クラスの政治屋ではどうにもならない時代です。官僚やマスコミにワイワイ言われたら右往左往するような「お公家集団」には絶対に乗り切れない「全世界的大変な状況」です。
 それらは、追々、書いていきたいと思っています。
 
 今日は、「検察」や「検察審査会」がいかにいい加減かを述べたいと思います。
 まず第一に、「国策捜査」まがいの捜査を、検察はやりました。私は、昨年からずっとマスコミの報道を追ってきましたが、検察は、初めから、小沢氏を追い込むことが目的でスタートしたように感じました。また、そうであるから、かなりの検察批判が噴出したものと思います。

 そうやって、強引すぎるほどの捜査・・・・・多数の専門家集団が1年にもわたって専門に捜査したが、結果、犯罪者として立件できなかったことは非常に重いものです。ところが、「検察審査会」という、順番にくじで当たった人が担当するという「ド素人集団」が、わずか8回(!!!)の審査で、膨大な資料に目を通して、検察の判断は「不当」であると、どういう神経があればできるのでしょうか???
 しかも、洪水のように垂れ流す「大マスコミ」の決め付けた、あるいは「既得権益」を守らんがため(?)の悪意(?)のある情報に接しているうちに「洗脳(?)」されたか、あるいは、幼稚な「正義感」を振り回したとしか思えません。
 しかも、わずか11人の「ド素人集団」が出した「民意!!!」で、大量の「検察批判」が封じられてしまいました。

 本来、「検察審査会」は、検察の暴走や怠慢(つまり、捜査すべき権力者に手抜きをするなど)をチェックするために設けられたそうです。それが逆に、小沢を追い込もうとして、専門家集団が1年かけて必死に捜査したにもかかわらず、立件できなかったことを「不当」だ、つまり、検察よもっと頑張れというのですから、何かが狂ってきています。こういう社会は怖いですよ。

 さて、今回は、下記の4つの記事をご紹介したいと思います。ジックリお読みください。いかにメチャクチャかがご理解いただけることと思います。

●(3)平成22年4月27日、日刊ゲンダイ「検察審査会は西部劇映画のリンチか」

 検察の不起訴処分の当否を判断する「検察審査会」(検審)が連日、話題を集めている。昨春に改正検察審査会法が施行され、検察官が独占してきた「起訴権限」に市民感情を反映させるようになったが、そもそも事件について「法と証拠」にのっとって起訴、不起訴を判断するのは検察の仕事だ。法律に素人の一般人が起訴と判断して有罪にできるのなら、司法官庁は必要ないんじゃないのか。 <検察庁が不起訴にした犯罪を法律のシロウトの一般人が強制起訴して有罪にするなら司法官庁は初めから不要> 検審は、くじで選ばれた任期半年の市民11人が、検察官が不起訴処分とした事件を審査。不起訴が妥当なら「不起訴相当」、不適当なら「不起訴不当」か「起訴相当」と議決する。昨年5月の改正法で、「起訴相当」を受けた検察官が再び不起訴にした場合、検審が8人以上の賛成で「起訴すべき」と議決すれば、裁判所指定の弁護士が検察官に代わって起訴することができるようになった。 「日本の検察官の起訴独占主義は独特の制度です。戦後、GHQ(連合国総司令部)は、米国のように起訴権限を持つ大陪審や検事公選制の導入を求めたのですが、日本側が猛反発した経緯がある。代わりに検審が導入されたものの、改正法施行前までは議決に法的拘束力がありませんでした。近年、司法制度改革が叫ばれるようになり、裁判員制度と同様、『司法に市民の目を向けさせる』狙いもあって今の制度に変わったのです」(法務省担当記者)

 「特高警察」と化した一部のカン違い検察官と、身内に甘い法務官僚の“非常識”に市民常識を反映させることは画期的だし、重要だ。しかし、ここで疑問が生じる。はたして、素人がどうやって黒白をつけるのかだ。
 「検審の判断が捜査資料に基づくなら、検察の処分と変わるはずがない。というより、同じ証拠資料で判断が百八十度違ったらそれこそおかしい。一方、市民感情を優先して判断するなら、何も証拠はいらない。これはちょっと恐ろしい。一歩間違えれば、西部劇映画のリンチになりかねません」(司法ジャーナリスト)

 「検察審査会の午後」の著者で、検審に詳しい作家の佐野洋氏もこう言った。
 「検審では審査員らがいろいろと意見を言っているようなイメージがあるが、選ばれた人に取材すると、事務局側の説明資料に沿って淡々と審査が進んでいくようです」
 事務局の“意向”や、世論のムードに流されかねない危険性があるのだ。

 <この国の検察はそれほど腐敗しているのか>

 審査手順もマチマチだ。
 「関西地方のある検審では、不起訴相当以外を選んだ審査員は理由を記入しないといけないため、不起訴相当の結論が出やすいといいます。一方、関東地方のある検審では、単純に起訴相当などを選ぶ無記名投票方式。東北地方のある検審では挙手です。同じ『不起訴相当』『不起訴不当』『起訴相当』議決であっても、やり方が全然違うのです」(前出の法務省担当記者)

 事故発生からきのう(25日)で5年を迎えた兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故では、神戸第1検審が「起訴相当」の議決を下し、JR西日本の井出正敬元相談役(75)ら歴代社長3人が業務上過失致死罪で在宅起訴になった。
 しかし、鳩山首相を嫌疑不十分で不起訴とした東京地検の処分については、きょう(26日)「不起訴相当」を議決した。こうなると、近く結論が出る小沢幹事長の議決は読めなくなる。どう転んでもおかしくないが、検察の「怠慢」や「暴走」を止めるはずの検審が審査の過程や議決の期日さえ明かされない“秘密主義”でいいのか。

 そもそも検察がキチンとした捜査をすればいい話である。そんなに検察は政治に弱いのか。配慮するのか。素人が検察の判断を繰り返し否定するようでは、検察への不信感は消えないのだ。

●(4)平成22年2月20日、日刊ゲンダイ「本紙独占、石川知裕衆院議員が初激白」

<私を貶めた水谷建設は許さない>

 政治資金収支報告書虚偽記載で起訴された石川知裕衆院議員(36)が保釈後、初めて本紙の単独取材に応じた。検察の取調べはどうだったのか。形式犯なのに起訴された悔しさは?石川議員の口からは意外なセリフが飛び出した。

 <このままでは死んでも死に切れない>

 石川議員の話を聞いたのは議員会館の事務所だ。部屋にはベビーベッドが置いてある。子どもが生まれたばかりの女性秘書のためである。検察は乳飲み子がいる女性秘書も呼んで、長時間の聴取をした。本人は逮捕、起訴され、今後、長い裁判が待っている。まず、検察が憎くないのか。

 「いえ、私が許せないのは水谷建設の方です。なぜ、私に5000万円を渡したというウソをついたのか。彼らは東京地検特捜部もだましたのです。なぜ、そんなことをする必要があったのか。水谷功氏の脱税を隠すためなのか。それとも誰かが絵図を描き、私や小沢幹事長を貶めようとしているのか。背後にどんな力が動いているのか。真相が判明しなければ、死んでも死に切れません」

 石川は2月15日に逮捕された。直前にガサ入れがあり、その後もきちんと聴取に応じていた。それなのに、国会開会直前の逮捕。国会関係者も驚いた。
 「13日に強制捜査があり、14日にも取り調べられ、15日も行く予定でした。でも、連日はきついし、地元に戻ろうかとも思ったので、弁護士が連絡し、15日は回避してもらい、その代わり16、17日に行くことにしたのです。ところが、15日の夜7時になって、どうしても今から会って話をしたいと言ってきた。これは逮捕だなと思いました。検事が帝国ホテルの1階まで迎えに来てくれて、午後10時3分に逮捕されました。逮捕前は水谷建設からのお金のことばかりを聞かれました。ずっと事実ではありませんと申し上げた。そうしたら、政治資金収支報告書の虚偽記載で逮捕になったのです」

 「自殺の恐れは」は、うかがえない。水谷の裏献金で口を割らないものだから、吐かせるために逮捕した。検察権力の横暴、不当な取り調べと言うしかないが、石川は実に人がいい。
 「いや、自殺の気はなくても、知人や検事に弱気の発言をした事実はありますからね。検察のご判断なのでしょう。取り調べの検事さんは人間的に優れていました。そういう人が特捜部の検事になるのでしょう。私は2人の検事から聞かれましたが、普段であれば、一杯やりたいな、という人たちでしたよ」とか言うのである。

 <連日9時間に及んだ聴取の怖さ>

 検事が声を荒げたことは?「小沢はもう守らんぞ」と脅されたことは?
 「取り調べの中身については言わない約束をしたので、ご想像に任せますが、取り調べは紳士的で、怒鳴られたのは1、2度です。ただ、肉体的にはつらかった。取り調べは午前中1時間、午後に3時間、夜に5時間。毎日9時間前後に及んだのです」

 一番、つらかったことは?
 「何度言っても裏献金の事実がないことを信じてもらえなかったことです。『証拠はそろっている、あとはあなたが真実をしゃべるだけだ』と言うのです。私は水谷建設が私に金を渡したという10月15日のアリバイを示せなかった。だから、堂々巡りになるのは仕方ないのかなとも思いましたが、許せないのは裏献金話を捏造した水谷です。水谷の幹部とは懇親会で名刺交換をした程度だし、功元会長については、捜したけど名刺もなかった。それなのに、現金を渡した日付まで指定して、私にアリバイがあったら、どうするつもりだったのでしょうか」

 洪水のようなリーク報道に怒りはないのか。中には金の受け渡し現場を見たという第三者の証言を報じたテレビもあった。
 「あれはひどいです。何らかの抗議、訴えることを検討しています」
 それでも、一連の責任を取り、離党を余儀なくされた。今後は孤独な裁判が待っている。さぞ、悔しいのではないか。裏金でなければ、収支報告書の修正で済む話ではないか。

 「虚偽記載については公判で明らかにしていきますが、反省すべきところもあります。離党については北海道11支部の人々が『離党すべきではない。強制的に離党させられるのであれば、我々も集団離党する』と言ってくれた。でも、私は離党せざるを得ないと思っていました。小沢幹事長とは会っていません。接触が禁止されているわけではありませんが、会えば何かと誤解されますから・・・・・」

 サバサバと吹っ切れたような表情で語る石川だったが、その胸中は察するに余りある。決して検察批判を口にしなかったのは、それだけ、検察の怖さを思い知らされたからなのだろうか。

●(5)平成22年1月27日、日刊ゲンダイ「“地獄”から生還できた佐藤栄佐久氏が語った福島県知事“汚職事件”(上)」

<どんな筋書きもデッチ上げる検察の手口>

手段を選ばない検察捜査で、前福島県知事の佐藤栄佐久氏(70)は政治生命を絶たれた。担当副部長として事件を手がけたのは現在、特捜トップの佐久間達哉部長だ。佐藤氏の控訴判決で、検察の主張がことごとく崩された焦りが、強引な小沢捜査を生んだともいわれる。冤罪を訴える佐藤氏は今、“暴走検察”に何を思うのか。話を聞いた。

<特捜部、土地取引、水谷建設・・・・・小沢事件とソックリ>

「小沢事務所に入る特捜検事の姿を見て、私はナチス将校の行進を連想しました。ナチスにもナチスなりの正義があった。しかし、正義の暴走ほど恐ろしいものはない。私はそのことを身をもって体験したのです」

特捜部が佐藤氏を収賄の罪で逮捕・起訴したのは、06年10月のこと。捜査の端緒は小沢事件と同様に、土地取引をめぐる疑惑だった。02年夏、実弟の経営する縫製会社「郡山三東スーツ」が旧本社用地を売却した。約8億7000万円で購入したのは水谷建設。小沢事件でも「裏ガネの証言者」として登場してくる中堅ゼネコンだ。

「当時、弟が土地を売ったなんて寝耳に水。当然、売却代金は三東スーツに入ります。私の手元には、一銭もカネが入っていなかったのです」
それでも検察は、この取引に固執した。取引の2年前に県発注の木戸ダム建設を準大手ゼネコンの前田建設工業が約200億円で受注。水谷は前田の下請けだった。前田は下請けの水谷に三東スーツの土地を購入させたのではないか。知事が“天の声”を発した見返りに違いない・・・・・。そんな筋書きをハナから、特捜部は描いていた。
「収賄で立件するため、検察が持ち出した“ウルトラC”が『土地の売却価格と時価相場との差額』。私と弟が一蓮托生となって時価よりも高い値段で土地を買い取らせ、その差額が賄賂にあたると決めつけたのです」

佐藤氏が土地の“時価”をしらされたのは、逮捕後に収監された東京拘置所の独房の中だ。
「独房のスピーカーからNHKニュースが流れ、『(三東スーツの)土地の実勢価格は3億円』と伝えました。バブル期には200億円程度の価値があった土地です。収賄罪に問われた私が“賄賂にあたる額”を聞くのも変な話ですが、『そこまで、値が崩れるはずがない』と思い、取り調べ検事に実勢価格の真偽をたずねたのです」
すると、検事は「別の新聞は2億7000万円と書いている。(検察の)上の方は勝手なことを言うからね」と答えた。

「小沢事件でも大手マスコミは『検察からのリーク情報はない』と言い張っていますが、現場の検事はリークの実態を認めていますよ(笑い)」
結局、検察側は土地の時価を8億円と設定。売却価格との差額と、水谷から三東スーツへの追加融資1億円を合わせた計1億7000万円を賄賂と主張し、佐藤氏を起訴した。このシナリオは、昨年10月の2審判決で一蹴された。

「時価の鑑定結果がまちまちで『証拠上不明』として『賄賂額はゼロ』とする実質無罪の判決をいただきました。現在、三東スーツの土地はショッピングセンターとして賑わっています。不動産業界では、土地開発後の収益を見越して高値で取引するケースも珍しくありません。そんなことはマスコミもちょっと調べれば分かったはずです。事件後に水谷建設は購入価格を上回る9億6000万円で土地を手放し、さらにファンドに転売された時の価格は12億円を超えました。これで収賄の罪で有罪と言われても、中身のないヘビの抜け殻のようなもの。納得しかねます」

検察の有力証拠もひっくり返った。1審で「『(前田から)いい値で買ってやってくれ』と言われ、恩を売るつもりで、その通りにした」「ダム受注の礼に高く買うと思った」と証言した水谷建設元会長の水谷功も、態度を豹変させたのだ。
「2審開始の直前、水谷元会長は脱税事件で実刑判決を受け、服役することが決まった。すると、私の弁護士に『実刑を回避するため、検察の言われるままに証言した』『土地取引は自分が儲けようとしてやった』と連絡してきたのです。正義の検察は一度立てた“正義のストーリー”のためならどんな証拠や証言もデッチ上げます。その結果、私の事件では多くの命が犠牲となりました」

●(6)平成22年1月28日、日刊ゲンダイ「元福島県知事が語った、検察の暴走と恐怖(下)」

<知事は日本にとってよろしくない。抹殺する>
<取り調べ中の検事の言葉です>

「私の事件では、特捜部の過酷な取り調べによって、弟の会社の総務部長と私の支援者、そして東急建設の支店長2人が自殺を図りました。総務部長は一命を取り留めましたが、今も意識は戻らないまま。ベッドの上で男性の声を聞くと、検事の声を思い出すのか、険しい表情を浮かべ、顔を背けるのです。よほど取り調べがツラかったのでしょう・・・・・」

東京地検に出頭した佐藤氏の後援会の幹部たちは「栄佐久の悪口を何でもいいから言ってくれ」「15分以内に言え」「想像でいいから言え」「もう図は完成していて、変えられないんだ」と執拗に迫られたという。

「いま、『取り調べ可視化』が取り沙汰されていますが、検察の恫喝には抜け道がある。弟は拘置所に向かう車中で『中学生の娘が卒業するまで出さない』と脅されました。相手は今から取り調べを受ける検事ですよ。あまりに卑劣です」

佐藤氏も約50日間に及んだ拘置中に精神的に追い込まれ、ほぼ全面的に供述してしまった。

「逮捕後2日間は検事と怒鳴りあっていましたが、次第に『私が自供すれば支持者は解放される』『早く“火の粉”を消さなければ』『検事に身を任せよう』と思うようになったのです。私は“ストレイシープ(迷える羊)”になっていました」

一方で検察は有利な証言をした人物を手厚くもてなすようだ。
「検察に『私から“天の声”を聞いた』と証言した元県幹部は、私の事件に絡み、競争入札妨害罪で特捜部に逮捕されましたが、起訴を免れました。公判の過程では、この人物の口座に約3000万円の出所不明な入金記録があることが発覚。特捜部はこのカネの流れを取引材料に県幹部を締め上げ、“天の声”をデッチ上げたのではないかと思っています」

東大法卒、参院議員を経て知事5期。「改革派知事」として霞ヶ関と戦ってきた佐藤氏には、今の検察の動きこそ、「霞が関官僚の行動原理の縮図」と映る。
「ダム建設や原子力行政と同じで、一度決めた方針を覆そうとしない。いかにムチャな方針だろうと、保身に走って突っ走ってしまう。完全に『経路依存症』に陥り、捜査そのものが自己目的化しています。検察の正義は国民にとっての正義であるべきなのに、国民不在の捜査が今も続いています。政権交代を選んだ国民の意思を踏みにじってまで、強引に小沢捜査を進める必要はあるのか。はなはだ疑問です」

<特捜部長の出世と引き換えに私は政治生命を絶たれ、4人が自殺を図った>

佐藤氏の事件については、「当時の大鶴基成特捜部長が、『これができるかどうかで自分の出世が決まる』と息巻き、乗り気でない現場を怒鳴りつけていた」と報じられたものだ。
「特捜部長の出世と引き換えに、私の政治生命は絶たれ、弟の会社は廃業し、100人以上の社員が路頭に迷うハメになったのか。今後、私の無実が証明できても自殺した人々は戻りません。検察と一体化したマスコミも共犯です。『知事は日本にとってよろしくない、抹殺する』。弟の取り調べ中に検事が吐き捨てた言葉です。事件の犠牲となった人を思うと、その発言のあまりの軽さに驚かされます。強大な捜査権力は実に気まぐれで、特捜検事にとっての“おもちゃ”に過ぎないのです」

佐藤氏の裁判は現在上告中だが、検察の強引な筋立てと捜査が、いかに多くの悲劇を招くか。小沢事件を指揮する大鶴最高検検事と佐久間特捜部長は、肝に銘じておいた方がいい。

<文責:藤森弘司>

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