2010年3月15日 第8回「トピックス」
映画「インビクタス」のラグビーチームの真実

●(1)ラグビーが大好きだとおっしゃる方に、映画「インビクタス」をご存じないかもしれないと思い、私のホームページを紹介しました。映画では、弱いチームが1年で優勝したとあります。
 しかし、ラグビーが大好きだとおっしゃるH・Wさん(女性)は、さすがに大好きだとおっしゃるだけあって、非常に詳しい情報をお寄せくださいました。私自身、弱いチームが、1年後に優勝というのはあまりにもうまくできすぎているという思いはありました。

 また、一部、私の思い違いもあったように思えますので、H・Wさんがお寄せくださった文章をそのまま転載させていただき、より真実に近いものにしたいと思います。ご参照ください。

●(2)以下は、H・Wさんが送信してくださった文章です。

 <<私のラグビー好き?を覚えていて下さり、インビクタスのご紹介まで頂き、重ねて御礼申し上げます。お昼休みに、HPの今月の映画を拝見し、いろいろな角度からこの映画が取り上げられているのに感心し、楽しく読ませて頂きました。
 ところで、私はこの映画を3回観ております。2回は試写会(1回はラグビーマガジン主催、もう1回はJスポーツというCS放送)で、1回は渋谷の映画館で観ました。
映画でのマンデラ大統領。人間的な弱さも描かれており、魅力的ですね。3回観ましたが、回を重ねるごとに細かいシーン(特にラグビーの試合に関して)もマニアックなところがあるのがわかり、その度に楽しめました。
 ただ、パンフレット等の解説と異なるのは、スプリングボクスは決して、弱いチームではなかったということです。ラグビーというゲームは、番狂わせの少ないゲームであり、力の差がそのまま勝負に出ます。弱いチームが1年位でワールドカップで優勝するはずはないのです。

 アパルトヘイトの頃、スプリングボクスは国際試合に出られなかったのですが、世界一強いという噂がありました。そしてアパルヘイトが撤廃されて国際試合に復帰する時、いよいよベールを脱ぐと評判になりました。
 当時、南アの恥と言われたのは、ラグビーがアパルトヘイト時代、白人が好んだスポーツであり、白人しか選手がいなかったところからきています。(これは直接、ラグビージャーナリストの方から聞いた話です)

 また、映画ではワールドカップ以前に、イングランドやワラビーズ(豪州)と試合をして負けてはいますが、いずれも世界ランキング5位以内のチームですから、それだけで弱いということにはなりません。
 解説を書く方が、必ずしも世界ラグビーに詳しいわけではないので、仕方がないのかもしれないのですが…。

 また、マニアックな話では、ワールドカップでスプリングボクスは西サモア(現在はサモア)と対戦しており、映画でもその試合シーンが出てくるのですが、その際のサインプレーは当時のサインプレーそのままとのことです。(これは当時日本代表でプレーし、南アフリカ大会にも出場した梶原さんという方から、試写会の時に伺いました)

 あまり映画に関係のないことをいろいろと書いてしまい、失礼いたしました。つい、ラグビーのことになると熱く?語ってしまいます。
 まずは一言、HPご紹介のお礼まで。>>

●(3)やはり、その道に詳しい方は違いますね。たまたま、その方がラグビーが好きだとのことでしたのでお知らせしたのですが、却って、貴重な情報をいただくことができました。
 当然、映画ですから、この程度の脚色はあって当然でしょう。そうではあっても、さらに具体的かつ正確な情報がいただけて本当に良かったと思っています。やはり情報というのは、より優れたもの、より正確なものに辿りつくことがいかに大事かということが再認識されました。

 私(藤森)が専門としている「深層心理」もそうです。多くの専門家がいかにむちゃくちゃなことを言っているか、ほとんど毎日のように、メディアなどを通して感じています。特に「深層心理」は、専門家も含めて、ほとんどすべての人が見たことも聞いたこともないものであり、また、それを簡単に証明できるものではない上に、証明しようとすると、クライエントの方のプライバシーに触れることになるために、一切がほとんど不可能に近く、残念な思いをすることが多いです。

 ●(4)平成22年3月12日、夕刊フジ「人生の掘り起こし」(堀尾正明)

 <米アカデミー賞発表>

 <「アバター」「ハート・ロッカー」もかなわない「インビクタス」のメッセージの崇高さ>

 <略>

 アメリカでさえも今回ばかりは大いに話題になったようです。でもはっきり言って私は悲しい。今年の最優秀作品賞はクリント・イーストウッド監督の「インビクタス 負けざる者たち」じゃあないかな・・・。こんなにヒューマンでハートフルな作品は、イーストウッドとしては珍しいですし、もうすぐ南アフリカでサッカーのワールドカップが開かれることを考えたら見過ごせない名作です。

 私は正直言って上映中泣きっぱなしでした。もちろん「アバター」のリアルな特撮映像技術には圧倒されましたよ。また「ハート・ロッカー」のハンディカメラワークが醸し出す、まるで戦争当事者になった気持ちで見られてしまう恐怖感も味わいましたよ。
 でも、「インビクタス」のメッセージの崇高さにはかなわない気がしました。人間社会の差別と融和の難しさ、そして素晴らしさをラグビーを通して教えている映画。何よりも史実に基づいた物語だから説得力がある。モーガン・フリーマン演じるマンデラ大統領は白人政府によって反逆罪で30年近く投獄されたにもかかわらず、大統領に就任しても「復讐はいけない」と白人と一緒に新政府を作ろうとする。白人に優しい。

 この映画は、敵を排除しようとするのではなく、許すことこそが最大の「政治」であることも教えてくれます。それに自国開催で南アフリカ代表のラグビーがマンデラの励ましを受けながら奇跡の優勝を遂げるのも圧巻、感動的です。なぜならば弱小国が優勝をすることが、アパルトヘイト政策で地に落ちた国のプライドを回復できる道だとマンデラが信じたから。
 一国の政治家のトップはどうあるべきか・・・、はたまた6月のサッカーワールドカップで勝ち抜くにはどうしたらいいかヒントが詰まっています。ハトさんにオカチャン、是非見てください。
 <フリーアナウンサー>

<文責:藤森弘司>

トピックスTOPへ