2020年5月15日第152回「トピックス」「検察庁法改正案についての一考察②ー①」

(1)「検察庁法改正案」について、野党寄り、与党寄り双方のメディアの情報が真逆で、何か、違和感を感じながら、私・藤森は読んでいました。

 しかし、どちらかと言えば「与党寄り」の夕刊フジに、とても納得のいく、バランスのとれた情報がありました。多分、この辺りが一番妥当なところではないかと思い、ご紹介したいと思います。

 情報は、常に、バランスを意識しながら読む、接することが大事だと思っています。今回の問題は、私がかなり信頼している評論家たちでさえ、少々、偏っている論評だと不思議に思っていましたが、私としては、全く納得のいく情報が得られました。

 ご覧ください。

(2)「泥沼に入った検察庁法改正」(鈴木棟一の風雲永田町、夕刊フジ、5月16日)

 <焦点の黒川検事長、辞任か>

 検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案が国会で紛糾し、国論を二分する状況である。

 問題の焦点は検察官の65歳への段階的定年延長に加えて、「特例」を設けていることだ。

 「内閣が認める場合、引き続き次席検事や検事長を続けることができる」

 野党が「内閣が恣意的に人事に介入できる」と攻撃し、安倍晋三首相に近いとみられる産経新聞も、13日の社説でこう主張した。

 「疑念を持たれぬよう説明を尽くせ。法案の特例は『黒川弘務東京高検検事長の定年を半年間延長する』という前例のない閣議決定が行われた直後に、加えられた」

 ベテラン記者が言った。

 「安倍首相は、あえて国民の分断を招くタネをまいている。いま、政府が新型コロナウイルス対応で自粛要請をして、国民が一致団結して立ち向かおうとしているときなのに。それに、やり方が姑息ではないか」

 「姑息」とは。

 「森雅子法相の答弁が下手だというので、法務委員会ではなく内閣委員会に法案をかけている。そこで、武田良太行政改革担当相が答弁しているのだが、法案を理解していないようで、『所管大臣ではないので・・・』などと言っている。産経の社説も『法務委での審議が必要だ』と指摘した」

 法案の行方は。

 「政府・与党は強行採決は避けたい。野党は『内閣が認めれば検察官の定年を最長3年まで延長できる』という特例既定の削除を求めている。それに、焦点の黒川検事長が辞めるのではないかと予想する」

 どういうことか。

 「この問題は、法務省の官房長、事務次官を計6年間務め、安倍首相とも近いとされる黒川氏を、『論功行賞』で政権側が検事総長にしようとして、起きたといわれる。しかし、国論を二分する事態となり、黒川氏が検事総長になっても、権威がない。一度も記者会見できない検事総長になる可能性がある。何をしても、腹を探られるのではないか」

 芸能人ら「500万人」がネット上で同法案に反対のツイートをしたとされる。別のベテラン記者が言った。

 「国民は『安倍首相はよくやっているけれども、不公平な人ではないか』と思っている。『桜を見る会』では地元・山口の人を多く呼んだ。森友問題では昭恵夫人に近いといわれた学園が、安価で土地を入手したといわれた。それが、ネット上で『反対』と出ている」

 そして、結んだ。

 「安倍政権は黒川氏を安直に検事総長にしようとしているのでは。定年延長をし、後付けで法改正して正当化し、泥沼にはまり込んでいるようだ」
(政治評論家)