2015年2月28日 第151回「今月の映画」
アニー ANNIE
監督:ウィル・グラック  主演:ジェイミー・フォックス  クワベンジャネ・ウォレス  キャメロン・ディアス

●(1)この映画は単純な物語ですが、でも、私たちにとても大切なことを教えてくれます。

市長選に立候補した主人公が人気取りのために、施設にいる恵まれない少女のお世話をするのですが、やがて別れる時が来た時に「喪失感」を味わいます。
そして、何が大事か、大切なものは何かを学びます。

また、主人公役のジェイミー・フォックスとキャメロン・ディアスがパンフレットの中で重要なことを述べていますので、それをご紹介します。

○(2)<STORY>

 アニーはニューヨークに住む10歳の少女。身寄りのない子どもを補助金目当てで育てている元歌手のミス・ハニガン(キャメロン・ディアス)の家で、同じ境遇の4人の少女と一緒に暮らしている。アニーの宝物は、4歳で置き去りにされたときに両親が残した手紙とハート形のロケット。「すぐ戻ります」という手紙の言葉を信じているアニーは、毎週金曜日、両親が手紙を書いたレストランの前で迎えを待っている。いつかきっと2人が現われると信じて。

そんなある日、野良犬を助けようとして道路に飛び出したアニーは、車にひかれそうになったところをひとりの男性に助けられる。彼の名はウィル・スタックス(ジェイミー・フォックス)、携帯電話会社スタックス・モバイルのCEOで、ニューヨーク市長選に立候補しているIT長者だ。潔癖症で仕事人間のスタックスは、アニーのような子どもが大の苦手。

だがそんな彼も、アニーを助けたことで選挙の支持率が急上昇した事実を無視するわけにはいかなかった。スタックスの選挙参謀を務めるガイは、このチャンスを逃すまいとアニーをランチに招待。さらに、より大幅な支持率アップを狙い、アニーを里子として引き取るようスタックスに進言する。
その結果、アニーはたちまちマスコミの注目の的に。人一倍頭の回転が速い彼女は、自分が選挙に利用されているとわかっていたが、有名になれば両親も自分をみつけやすくなると考え、スタックスの提案に同意した。

こうしてアニーとスタックスの同居生活が始まった。アニーを連れてマスコミの前に出るようになったおかげでスタックスの人気はうなぎのぼり。一方のアニーも、映画のプレミア上映会に友だちを招待させるなど、スタックスのセレブ・パワーをちゃっかり利用した。
対等なギブ&テイクの関係を築いた2人は、だんだんと息ぴったりの名コンビになっていく。それにつれて、スタックスの心にはアニーを実の娘のように愛する気持ちが芽生えていった。彼がアニーを正式な養女にしたがっていることを知ったスタックス・モバイルのVPで側近であるグレースは、アニーとの触れ合いによって他人に心を開き、思いやりの気持ちを持つようになったスタックスが人間的に大きく成長したことに気づく。

しかし、アニーを養女にというスタックスの願いはかなわなかった。アニーの両親だと名乗る夫婦が現われたからだ。この計画の黒幕はガイだった。熾烈な選挙戦を勝ち抜くため、彼はアニーと両親の感動の再会劇を仕組み、再び世間の注目を集めて支持率を稼ごうとしたのだ。そんなガイに、金目当てのミス・ハニンガムも協力。アニーに関する情報を提供し、両親役の夫婦探しを手伝う。

そんなからくりをまったく知らないアニーは、ずっと夢見ていた両親との再会に大喜び。しかし一方で、スタックスに離れがたい思いを抱いていることにも気づいた。その気持ちはスタックスも同じだった。
両親と一緒にブラジルへ移住することになったアニーが旅立つ日、スタックスは大切な家族を失ったような喪失感にかられる。そんな彼のもとに、間違いに気づいたミス・ハニガンがガイのたくらみを告げにやってくる。アニーの行方がわからなくなる前に偽の両親から取り戻さなくては!

大急ぎでヘリに乗り込んだスタックスは、街の上空からアニーの乗る車を見つけようと必死の捜索を開始する。

○(3)<インタビュー>

ジェイミー・フォックス・・・・・すごく裕福な人とすごく貧しい人は、生きる意味を見失う点で本質的に似ている。

(アニーとスタックスの関係を、あなたはどうとらえていますか?)

ジェイミー・フォックス・・・・・すごく裕福な人とすごく貧乏な人は、状況こそ正反対であっても、本質的な部分では似ていたりする。恵まれない人は、あまりのつらさに、生きて行く意味があるのかと思うかもしれない。
逆にすべてを手にした人は、そのせいで、これから先、まだ生きる意味は何だろうかと考えるかもしれない。裕福な男性スタックスは、少女アニーと出会う。最初は成功するために彼女を利用しようとするが、彼女が持っているものに次第に心を動かされていき、心を開いていく。とても美しい物語だ。

キャメロン・ディアス・・・・・他人に意地悪な人というのはたいてい、自分自身に対して、もっと意地悪なのよ。

(意地悪な女性を演じることに、抵抗はありましたか?)

キャメロン・ディアス・・・・・それはなかったわね。ただ、「表情の演技がたくさんあるな」と思っただけよ。劣等感のせいで、彼女は自虐的になっているの。自分をいたわってあげることをせず、薬やアルコールで痛めつける。子どもたちにも、自分に対するのと同じように、ひどく当たる。
彼女を演じて、あらためて思ったのだけれど、世の中には、自分を愛さない人というのがいるの。他人に意地悪な人というのはたいてい、自分自身に対して、もっと意地悪なのよ。私は、人に、自分を愛することを学んでほしいと思う。自分は愛される価値があり、自分も人に愛を与えることができるのだと。みんながそうしたら、世の中はずっと優しいところになるはずよ。

<文責:藤森弘司>

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