2009年1月31日 第78回「今月の映画」
感染列島
監督:瀬々敬久  主演:妻夫木聡   壇れい   藤竜也   佐藤浩市
医療監修:森毅彦(慶応義塾大学医学部血液内科)

交流分析(TA)を学んだことがある方ならば、「A(アダルト)」を働かせて、この映画や、「新型インフルエンザ」に対して、「知性」を働かせてみませんか?
今、何が起ころうとしているのか???脅しでも不安を煽るのでもなく正に「人類未曾有の危機!!」を迎えています。

 全体をお読みいただきたいですが、お忙しい方は、下記の中から、興味・関心がありそうなところからご覧ください。

< 目次 >

(3)~(7)・・・・・・・・・・・今年に入って、中国、インドネシアで発生した「鳥インフルエンザ」での死亡の新聞記事

(8)・・・・・・・・・・・・・・・・2009年1月24日、「報道特集NEXT」 <パンデミックを防げ>のテレビ報道

(9)・・・・・・・・・・・・・・・・2009年2月6日号(1月26日発売)、週刊ポスト<「検証リポート」やっぱり効かない予防接種>
<専門家が断言!
「インフルエンザワクチンは打ってはいけない」

(10)・・・・・・・・・・・・・・・上記7つの報道をどのように読むか?

(11)~(18)・・・・・・・・・「鶴川サナトリウム病院」でインフルエンザ発生。その後、わずか数日間、関連の記事を「朝日新聞」から拾い出しての紹介

(19)~(20)・・・・・・・・・インターネットからの転載・インフルエンザ、万能ワクチン開発…厚労省研究班

(21)・・・・・・・・・・・・・・・とうとう東京都も大々的に広報を打ち出しました!!!「新型インフルエンザに予防の一手」のチラシの内容をリンクしてあります。

(22)・・・・・・・・・・・・・・・夕刊フジ「新型インフルエンザ疑いで成田空港騒然」

(23)・・・・・・・・・・・・・・・朝日新聞「鳥インフル厳戒の中国」・・・<今月5人死亡・春節明け控え対策><火消しに躍起><防ぎきれぬ感染><初期対応が課題><インドネシアは死者減少の傾向><主なアジア各国の鳥インフルエンザ(H5N1)感染者数と死者数(累計)(27日現在、WHOによる)>

(24)・・・・・・・・・・・・・・・私(藤森)は、決して恐怖をあおったり、関連商品を販売したいがために情報を提供しているのではありません。

(25)・・・・・・・・・・・・・・・(映画のパンフレットより)有効なワクチンがない新型ウイルス感染症・数千万人を超えた感染患者・交通機関、凍結。都市機能、停止。日本経済、破綻>

(26)・・・・・・・・・・・・・・・(パンフレットより)“感染爆発”までのカウントダウンが始まった。人類滅亡のシナリオを阻止することができるのか!?

(27)・・・・・・・・・・・・・・・(パンフレットより)Interviewインタビュー・森毅彦(医療監修・慶應大学病院“血液感染リウマチ内科”勤務
<新型インフルエンザウイルスの“感染爆発”を防ぐには?><インフルエンザの症状とは?><インフルエンザを予防するには?><海外からの新型インフルエンザの侵入を防ぐためには?><もし新型インフルエンザが日本に上陸したら?>

(28)・・・・・・・・・・・・・・・(パンフレットより)Report レポート<新型インフルエンザとは><パンデミックとは><防護服とは>

●(1)私(藤森)が新型インフルエンザの知識を十分に持っていなかったならば、この映画を見て、かなりショックを受けたことと思われます。それほど新型ウイルスの「感染爆発」は恐ろしいものです。
この映画を、事前の情報を十分に知らずにご覧になった方は、多分、「日本沈没」みたいに、ありえないこととか、あるいは「新型ウイルス」の問題を、極端に大げさに映画にしたのではないかと錯覚されるかもしれません。
しかし、誠に残念ながら、私が集めた情報の限りでは、この映画に描かれていることは、ほとんどそのまま事実であろうと思われます。ですから、私のホームページをご覧になっていらっしゃる方は、この映画をご覧になるか、または今月の言葉、第78回「強毒性鳥インフルエンザ(H5N1)について」を参考にして、是非、対策を立てられることをお勧めします。●(2)<今月の言葉、第78回「強毒性鳥インフルエンザ(H5N1)について」>でかなり詳しくご紹介しましたが、今や地球は、大袈裟ではなく、まさにタイタニック状況です。
私(藤森)自身がそうでしたので、敢えて言わせていただければ、まさに「平和ボケ日本人」ですが、しかし、一旦「感染爆発」が起これば、今度は「大パニック」になるでしょう。今、どれほど専門家の間で凄いことになっているか、それは連日、なんらかの形で新聞にいくつもの記事が掲載されていることでも、それは容易に推測されます。
そういうことがわからず、「対岸の火事」のように思っていらっしゃる皆さんに、今年に入ってからのわずかの間に新聞などのメディアに掲載・放映された「感染死亡記事」などをご紹介したいと思います。●(3)2009年1月7日、朝日新聞、「地球24時」
<鳥インフルエンザ>
<北京で女性感染、死亡>
北京市衛生局は6日、北京市朝陽区在住の女性(19)が、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)型に感染して死亡したと発表した。新華社通信によると、女性患者と接触した116人について調べた結果、1人の看護師が発熱していたが、すでに回復していたという。
市衛生局によると、女性は昨年12月19日、友人と一緒に隣接する河北省の市場に行き、生きたアヒル9羽を買って自宅に持ち帰り、内臓を取り出すなどの加工をした。5日後に発症、27日に症状が重くなり入院。1月5日朝に死亡した。(この項は、「今月の言葉、第78回」で紹介しました)

●(4)2009年1月19日、朝日新聞「地球24時」
<鳥インフルエンザ感染>

<中国で女性また死亡>
中国衛生省は18日、山東省済南市の女性(27)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し、17日に死亡したと公表した。中国では5日、北京市の女性(19)が同型の鳥インフルエンザで死亡、7日には山西省の女児(2)が発病して重症となるなど、感染が相次いで明らかになっている。
済南市の女性は5日に発病し、入院したが回復せず、17日夜に死亡した。当局が女性と接触した人を調べているが、今のところ異常は見つかっていないという。

●(5)2009年1月21日、朝日新聞「地球24時」
<鳥インフルエンザ>

<中国で死者3人目>
新華社通信によると、鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染して治療中だった中国貴州省出身の男子学生(16)が20日、湖南省の病院で死亡した。中国では今月、北京市の女性(19)と山東省済南市の女性(27)も鳥インフルエンザで死亡しており、今年の死者は3人目となった。

●(6)2009年1月22日、朝日新聞「地球24時」
<インドネシア>

<鳥インフルで2人死亡>
インドネシア保健省は21日、鳥インフルエンザウイルス感染による死者が新たに2人判明したと発表した。国内の死者数は115人に達し、世界最多を更新した。死亡したのは、バンテン州タンゲランの女性と、西ジャワ州ブカシの女児。女児は両親と市場で鶏を購入した後に高熱などの症状が出て入院したという。

●(7)2009年1月27日、朝日新聞「地球24時」
<鳥インフルエンザ>

<中国で5人目の死者>
中国衛生省は26日、広西チワン族自治区の男性(18)が同日、鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し死亡したと発表した。19日に発病して入院していた。中国の鳥インフルエンザによる死者は今年5人目。

●(8)2009年1月24日、テレビ「報道特集NEX」

<パンデミックを防げ>
インドネシアを取材。WHO(世界保健機関)や各国からの専門家がインドネシアに常駐し、日本からも、国立国際医療センターの平山隆則医師が常駐し、「新型インフルエンザ(H5N1)」の感染爆発を防ぐべく活動している様子が詳しく報道されていました。
その中で、一人の住民が「ワクチンも打っているし、発生もしていないし、心配ないよ!」と言っているのには、正直、驚きました。

●(9)2009年2月6日号(1月26日発売)、週刊ポスト<「検証リポート」やっぱり効かない予防接種>

<専門家が断言!「インフルエンザワクチンは打ってはいけない」>

118人が感染した町田市「鶴川サナトリウム病院」では9割が注射済み。
「血中に打つワクチンでは粘膜に抗体ができず防げない。死に至る副作用の例も」
(元国立公衆衛生院疫学部感染症室長・母里啓子氏・・・さあ、あなたはどうする?)

インフルエンザが猛威を振るうシーズンが到来した。新型インフルエンザ発生の話題と重なり不安が広がっている中、ワクチンの効果を疑問視し、その副作用による危険性を指摘する声が上がっている。

東京・町田市の「鶴川サナトリウム病院」で起きたインフルエンザ集団感染。1月22日までの発症者数は患者と職員を合わせて計118人で、うち3名が死亡した。
衝撃的だったのは、その発症規模ではない。発症者のうち約9割が予防接種を受けていながら、罹患したことである。
患者さんの89%、職員の92%がワクチン接種を受けていました。基本的に職員には接種を義務付け、患者さんには病院から勧め、昨年の10月に注射を受けていただきました」(総務課)
<略>
実際、「インフルエンザワクチンは効かない」と指摘する専門家がいる。元国立公衆衛生院(厚労省管轄。現・国立保健医療科学院)で疫学部感染室長を務めた経験を持つ、医学博士の母里啓子氏だ。
ワクチン接種とは、死んだウイルス、あるいは弱毒化したウイルス(抗原)を注射などの方法で投与して体内に免疫原(抗体)を作らせること。これによって同種のウイルスが入ってきた際に、抗体がそれらを攻撃・撃退する・・・・・という仕組みとされる。

しかし、母里氏はこう指摘する。
インフルエンザウイルスは変異のスピードが速い。ひとりの患者が罹った時と治りかけの時でさえ、かなり変異している場合があります。つまり、流行の何ヶ月も前にこの変異を予測して、対応するワクチンを作ることは事実上、不可能なんです」
さらに、注射による接種にも欠点があるという。
「ウイルスの侵入口は喉や鼻です。注射によって血液中に抗体を作っても、喉や鼻の粘膜は無防備なままなので、感染を防ぐことはできません」

実は厚労省も“効かない”ことを認めていた。
1962年以降、予防接種法によって3歳から15歳までの児童・生徒に集団接種が義務付けられていた。
しかし、94年に厚生省の公衆衛生審議会が「インフルエンザワクチンは効果的でないので接種対象から除外すべき」との意見書を厚相に提出、それを受けて任意の個別接種へ移行していたのである。

母里氏が語る。
「こうした理由から、『予防接種に意味がない』のですが、それだけでは済みません。マイナス面を考えれば、『打ってはいけない』と断言します」
<後略>

藤森注・・・・・上記の「インフルエンザウイルスは変異のスピードが速い。ひとりの患者が罹った時と治りかけの時でさえ、かなり変異している場合があります。」これが、実は怖いのです。「新型インフルエンザのウイルス」も変異が速いので、人から人への感染力を増したウイルスが発生するのは、時間の問題で、発生してからでは、準備は手遅れだとも言われています。事前の準備こそが肝心ですが、発生するまでは、「今そこにある危機」とはなかなか思えない「平和ボケ」が、私たち日本人全般にあります>

●(10)上記7つの報道を「どう読むか」です。
失礼な言い方を敢えてしますと、世界中の情報の中で、わずか1人の市民が死亡した程度の事は、わざわざ掲載するほどのことでしょうか?常識的には不要なことだと思われます。
そのように思われる記事を敢えて掲載するところに、この情報が持つ大きな意味があると思います。それは世界中、特に「WHO)」が、特に中国やインドネシアの「鳥インフルエンザ」による死亡の情報を注目しているのだと思います。そしてメディアもどれほとピリピリしているか、それは、この種の情報の多さで、おおよその推測ができます。私(藤森)は、テレビや新聞、週刊誌などの多くをみて、この種の情報を探しているのではありません。たまたまテレビをみていて発見したり、新聞は朝日新聞だけに注目しているだけです。それでも余りにも情報が多いのは驚かされます。
しかし、一般の方々、少なくても、可能な限り情報を流している友人・知人たちの反応の鈍さには、ただただ驚くばかりです。私の個人的な感想として、もうそろそろ政府は、正確かつ厳しい情報を公表して、国民に「覚悟と対策」を促すべきだと思っています。恐らく、日本固有の民族性から、誰も責任を取りたくないために、政府はこの種の対策に逃げ回っている可能性があります。
少なくても、ひとたび、ことがあったとき、「感染列島」でも描かれていましたが、誰も真のリーダーシップを取ろうとしないと思われます。恐らく、手遅れ状態になって始めて、止むを得ず、リーダーシップらしきことを取るのではないかと思われます。仮にそうであるならば、政府を頼らずに、まず「自衛の精神」、可能な限り、自分ができることをすべきだと思います。多分、このホームページをご覧になっていらっしゃる方々は、「交流分析」という心理学に触れたことがある方々であろうと思われます。そうであるならば、まさに今、それを活用して「P、A、C」の何を使うべきかを考えてみませんか?
「対岸の火事」的であったり、怖くて直視しない、あるいは避けてしまうのは、果たして「P、A、C」の何でしょうか???さて、これから朝日新聞に掲載された関連記事をご紹介して、その多さに気付いていただきたいと思っています。連日のように報道されていることから、専門家の皆さんは、いかに脅威を感じているかがわかると思います。ウッカリ、ノンビリしていてよさそうでしょうか???

町田市の「鶴川サナトリウム病院」でインフルエンザの死亡記事が出てから特に多いように思います。その前後、わずか数日間の「朝日新聞」から拾い出して、簡単にご紹介します。

●(11)平成21年1月17日、朝日新聞「タミフル効かぬインフルエンザ」

<拡大の傾向・確認>
厚生労働省は16日、インフルエンザで治療薬タミフルの効かない耐性ウイルスが今季、調べた11都道府県すべてで見つかったと発表した。集まったAソ連型の検体35株のうち、34株(97%)が耐性だった。昨季は同じAソ連型の1713株を調べ、9県の44株(3%)で耐性ウイルスが見つかっていたが、今季までに急増した恐れがある。<後略>

藤森注・・・・・ここから何がわかるでしょうか?今季は全体がわずか35株で、少々、検査数が少ないですが、調べた11都道府県すべてで発見され、しかもほとんど全て(97%)で耐性ウイルスが発見されているわけですから、いかに「ウイルスの変異」が猛烈なスピードで行なわれているかを証明しています。ということは、「鳥から鳥」への感染が、かなり「鳥から人」に感染し始めていて、それがさらに「感染した人から人」への感染が見られ始めています。これがいつ、人から人への感染力が増大し、感染爆発・・・つまり「パンデミック」になるか、まさに「オバマ大統領の就任式」ほどに世界が注目しているわけです>

●(12)平成21年1月18日、朝日新聞「インフルエンザ3人死亡」

<町田、病院内101人感染>
東京都町田市の「鶴川サナトリウム病院」(医療法人財団明理会)で、入院患者77人と病院職員24人の計101人がインフルエンザに集団感染し、17日までに患者3人が死亡していたことがわかった。17日現在、患者や職員の34人に発熱の症状があり、患者1人が重症になっているという。<後略>

●(13)平成21年1月19日、朝日新聞「5病棟・先に職員発症」

<集団感染・院外からウイルスか>
入院患者がインフルエンザに集団感染した鶴川サナトリウム病院の3棟7病棟(フロア)のうち、多くの入院患者が発症した3病棟を含む5病棟では、それぞれの担当職員が先に発症していた。専門家は職員や見舞い客らを通じて外からウイルスが持ち込まれたとみている。<中略>
「新型インフルエンザ・クライシス」などの著書がある北海道小樽市の元保健所長外岡立人さんは「一つの病院内でこれだけ強い感染力を持つウイルスが出ていることは要注意だ」と危機感を募らせ、「現時点でウイルス株の種類がわかっていないのは遅すぎる」と指摘する。
インフルエンザはAソ連型、A香港型、B型の3種類あり、それぞれ特徴があって対策に注意が必要だ。18日現在、今回の感染ではA型としか分かっていない。Aソ連型は今季、多くの患者で抗ウイルス薬のタミフルが効かない可能性が指摘されている。(武田耕太、服部尚)

藤森注・・・・・上記の外岡立人先生は、何を言いたいのでしょうか?私の推測では、「強毒性鳥インフルエンザ(H5N)1」の脅威がこれだけいわれているのに、これだけの感染力がある集団感染が発生したにもかかわらず、「現時点でウイルス株の種類がわかっていないのは遅すぎる」と忠告している、つまり万一「H5N1」の新型インフルエンザであったならば、一体全体どうなるのかとおっしゃっている(怒っている)と推測します。新型インフルエンザの場合であれば、1日遅れる・・・少なくても3日遅れることは、莫大な被害をもたらす危険性があります。それを専門家であれば百も承知でありながら、この集団感染に対する病院の対応の稚拙さ、と同時に政府や関連機関の対応の鈍さは驚くべきことです。ですからこそ「自衛」をすることこそが重要になってきます>

●(14)平成21年1月20日、朝日新聞「インフルエンザ」

<流行本番へ備え急ごう>
高齢者が多く入院している町田市の医療施設で、職員も含めて100人以上がインフルエンザに感染し、3人以上が亡くなった。
最近では珍しい大規模な集団感染だ。なぜこんなに広がったのか、防ぐことはできなかったのか。徹底的に原因を調べて、今後の対策に生かす必要がある。
今冬は、インフルエンザの流行が例年より早く始まった。今月から来月初めにかけてピークを迎えるという。流行本番を前に、改めて備えを固めておきたい。
<中略>
日本のインフルエンザ対策は、全般的に欧米諸国に比べて不十分だと専門家は指摘する。厚生労働省も対策を再点検する必要がある。
<中略>
人には全く免疫のない新型インフルエンザの出現が心配され、対策も検討されている。だがそれ以上に大切なのは、毎年流行する普通のインフルエンザに対する備えだ。それができなくては新型どころではない。
インフルエンザは風邪とは全く別のこわい病気だ。全身に重い症状が出て、子どもや高齢者では命にかかわることもある。過去に大流行したインフルエンザを「スペイン風邪」などと呼んでいることが、日本で誤解を招く原因になっているかもしれない。まず認識から改める必要がある。

●(15)平成21年1月20日、朝日新聞「職員ら介し、拡大か」

<町田インフルエンザ・発症者112人に>
町田市の鶴川サナトリウム病院で入院患者らがインフルエンザに集団感染し、3人が死亡した問題で、19日に病院に立ち入り調査した東京都は、病院内を移動した病院職員らを通じて感染が拡大した可能性があるとの見方を示した。
<中略>
町田保健所が13日に病院を調べた際、病棟内でマスクを着用していなかった職員がいたことも分かっている。
同病院では19日、入院患者4人と職員2人の計6人が新たにインフルエンザを発症し発症者は計112人になった。発熱症状がある人は前日より4人減り、22人になった。

<院内感染「防止を」><厚労省、全国に通知>
厚労省は全都道府県に、各医療機関で院内感染対策を徹底させるよう求める通知を19日付で出した。通知は厚労省が08年に作成したインフルエンザ総合対策をもとに、各医療機関に院内感染対策のマニュアル作成を求めるとともに、高齢者に対する予防接種を推奨。集団感染が発生した際は、保健所が素早く情報を共有するよう求めている。

●(16)平成21年1月20日、朝日新聞「新型インフルのワクチン」

<接種後に発熱や頭痛例>
新型インフルエンザのプレパンデミック(大流行前)ワクチンの安全性を評価している厚生労働省の研究班は19日、調査結果の中間まとめを公表した。試験接種した5561人のうち8人が、発熱などで入院していた。追加調査を実施し、今春、最終報告をまとめる。
代表研究者の庵原俊昭・国立病院機構三重病院院長らが発表した。調査は、昨年8~11月に2回ワクチンを接種した医療機関や検疫所の職員らについて、1回目接種後から2回目接種後30日までの健康状態を調べた。
その結果、1回目の接種後に66.1%で接種部位に赤みや痛みが出た。27.7%に頭痛やだるさが、2.2%に発熱があった。
入院は計8件。ただ、腎結石になったことがある人が尿路結石で入院した例なども含まれており、研究班は「接種との因果関係が考えられるのは2例のみ」としている。

●(17)平成21年1月20日、朝日新聞「独自技術でインフル自衛(シャープ)」

<清浄機1万台、事業所に>
シャープは、新型インフルエンザの流行に備えるため、独自技術で開発した、ウイルスなどの有害物質を分解・除去する「プラズマクラスターイオン」の業務用発生機約1万台を、国内外の事業所に配置する。9千台を国内の工場、オフィスなどのほか、インドネシア、中国、タイにある13事業所にも置く。

●(18)平成21年1月20日、朝日新聞(夕刊)

<町田のインフル「A香港型」検出>
鶴川サナトリウム病院で112人がインフルエンザに集団感染し、3人が死亡した問題で、東京都は20日、発症者11人の検体からA香港型ウイルスが検出された、と発表した。都は同型ウイルスの感染が広がった可能性があるとみている。
都によると、発症した入院患者21人、病院職員3人からのどの粘液を採取して調べた結果、11検体からA香港型ウイルスが検出され、13検体は陰性だった。A香港型は今季流行しているという。
インフルエンザは、大きく分けてA香港型、Aソ連型、B型の3種類があり、A香港型、B型では治療薬タミフルへの耐性は確認されていない。都は「24人は6~19日にタミフルが投与され、陰性の人はタミフルの効果が表われたと考える」とみている。

<A香港型は強力・専門家が指摘>
インフルエンザに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は「Aソ連型、A香港型、B型のうちで、A香港型が最も毒性が強いとされる。オーストラリアでは、07年に従来のA香港型より強力タイプが報告されている」と指摘する。最近、日本ではA香港型の目立った流行が見られなかったため、専門家の間では、A香港型に対する免疫力が落ちている人が増えている可能性を指摘する意見もある。

●(19)インターネットから、本日(1月29日)、見つけましたので転載させていただきます。

インフルエンザ、万能ワクチン開発…厚労省研究班
1月29日3時3分配信 読売新聞読売新聞いろいろなタイプのインフルエンザウイルスに効くワクチンを厚生労働省研究班が開発した。
従来のワクチンと違い、ウイルスが変異しても効果が続くのが特徴で、動物実験で確かめた。実用化までには数年かかるとみられるが、
新型インフルエンザの予防にも役立つと期待される。
研究班は、国立感染症研究所、北海道大、埼玉医科大、化学メーカーの日油。
通常のワクチンは、ウイルス表面をとげのように覆うたんぱく質をもとに作る。接種後、ウイルスが体内に侵入すると、抗体がとげを認
識して増殖を阻止する。だが、インフルエンザは、とげの形が異なる複数のウイルスが流行することが多いうえに、頻繁にとげの形が変異
するため、毎年のようにワクチンを作り直す必要があった。流行する型の予測がはずれると、ワクチン接種の効果が薄れた。
研究班は、表面に比べて変異しにくいウイルス内部のたんぱく質を人工合成。それに特殊な脂質膜をくっつけてワクチンを作った。この
ワクチンを接種すると、免疫細胞が、ウイルスの感染した細胞を攻撃する。
実験では、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高い高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1、Aソ連型、A香港型の3
種共通の内部たんぱく質を調べ、ワクチンを作製。免疫に関与する人間の遺伝子を組み入れたマウスに接種した後、ウイルス3種をマウス
に感染させても症状が表れず、増殖も抑えた。
ただ、これまでにないタイプのワクチンなので、人間に使って重い副作用が出ないか、慎重に確認する必要がある。同じ仕組みのワクチ
ンを英オックスフォード大も研究中という。
研究代表者の内田哲也・感染研主任研究官は「人間に有効で安全な量を調べ、一刻も早く実用化につなげたい」と話している。
最終更新:1月29日3時3分●(20)同じく、インターネットにありましたのでお知らせします。上記のワクチンと同じものです。

鳥インフル万能ワクチン、日本のチームが開発へ
2008年03月10日 22:09 発信地:東京

関連情報鳥インフルエンザ

【3月10日 AFP】北海道大学、埼玉医科大学、化学企業・日油(NOF Corp.)や政府機関の研究者らによる産学協同チームは10日、高病原性
鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスに対する万能ワクチンの開発が可能になったと発表した。世界的流行を引き起こす可能性が懸念されて
いる変異ウイルスにも有効なワクチンだという。
新しいワクチン手法ではリポサムと呼ばれる脂肪を少量注射し、リポサムの表面に抗原を乗せて体内に運ばせる。この抗原の分子が免疫
系の中でウイルスに反応する。
現在の鳥インフルエンザ・ワクチンは免疫系自体のウイルス攻撃力に依存しているが、ウイルスが変異してしまうと無効になってしまう

新ワクチンは、ウイルスの内部構造がほとんど変化しない点に着目し、「ウイルスの表面ではなく内側を攻撃する」と国立感染症研究所
(National Institute of Infectious Diseases)の内田哲也(Tetsuya Uchida)氏はAFPに語った。これによりウイルスの自己増殖を阻止
するという。また、ここから複数のインフルエンザ・ウイルスに効果のあるワクチンが生まれる可能性もあるという。
同研究チームはマウス実験を行い、鳥インフルエンザの異なるウイルス株にこのワクチンが有効であることを確かめたと発表している。
2003年に鳥インフルエンザの発症例が確認されて以降、世界各地の死者は200人を超えている。(c)AFP/Miwa Suzuk

●(21)本日(1月29日)、新聞の中に、東京都の「新型インフルエンザに予防の一手」というチラシが入っていました。非常に重要なことが書かれています。このようなチラシを全都民に配布するということは、多分、この映画「感染列島」も大きな影響を及ぼしていると思われます。
とうとう東京都までが、このように大々的に広告するようになったかと驚いていますが、案外、このチラシを見落としている方もいるのではないかと思いますので、是非、上記のリンクを参考にしてください。その中の「都知事からのメッセージ」だけを掲載します。<都知事からのメッセージ>
 人類は有史以来、コレラ、ペスト、天然痘といった感染症の脅威にされされてきました。20世紀には、スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜといった新型のインフルエンザが周期的に発生し、多くの死者と社会的混乱をもたらしています。

そして今、世界保健機関(WHO)をはじめ多くの専門家が、新型インフルエンザについて、「もはや発生するかどうかの問題ではなく、いつ発生するかの問題だ。」と警鐘を鳴らし、世界中で対策が進められています。
私は、都民のみなさんの生命と健康を、そして首都東京を新型インフルエンザの脅威から守るため、医療体制の整備や抗インフルエンザウイルス薬の備蓄など、出来る限りの対策を講じてまいります。
しかし、新型インフルエンザへの備えは、行政だけの問題ではありません。感染拡大による被害を最小限にするためには、行政、事業者、都民のみなさんが協力して事前に準備し、対策を十分に講じ、発生した際には冷静に行動することが必要です。
このリーフレットは、都民のみなさんに新型インフルエンザについて正しく理解していただくために作成しました。
あなたとあなたの家族、そして東京を救うのは、正しい知識と冷静な行動です。
●(22)2009年1月30日、夕刊フジ「新型インフル疑いで成田空港騒然」

<職員らも隔離も実は>
香港から成田空港に到着した台湾人の男が入国チェック中に突然倒れ、簡易検査で新型インフルエンザの発症を疑われたため、立ち会った東京税関や入国管理局の職員らが一時隔離されるなどの騒ぎがあったことが29日、分かった。
関係者によると、騒ぎがあったのは22日。男はその後の精密検査で大量の覚せい剤入りの袋を飲み込んで中毒症状を起こしていたことが判明、騒動は終息した。関係機関の幹部は「思わぬ実地訓練になった格好で、検討課題が確認された」と話している。
関係者の話では、男は22日午後1時55分ごろ、香港発のキャセイ航空で到着。午後4時ごろ、空港ターミナルビルの税関検査場内でけいれんを起こして倒れ、昏睡状態に陥った。
高熱があり、すぐに空港内の日本医科大成田国際空港クリニックでインフルエンザの簡易検査を実施したところ、陽性反応が出た。けいれんなど特異な症状も出ていたことから、クリニックは新型インフルエンザの可能性も考えられるとして関係機関に通報。
男に近づいた税関や入管の職員や航空会社のスタッフらに隔離措置が取られ、クリニックは閉鎖。男が接触した場所を消毒するなどの騒ぎになった。
しかし男はその後搬送された成田市内の総合病院で精密検査を受け、反応は陰性と出た。さらにエックス線検査で飲み込んだ約90個もの覚せい剤入りの袋が腸の中から見つかり、職員らの隔離措置は解除されたという。

●(23)2009年1月31日、朝日新聞「鳥インフル厳戒の中国」

<今月5人死亡・春節明け控え対策>
中国で鳥インフルエンザ(H5N1型)のヒトへの感染が広がっている。公表された感染者は今年になって7人、うち5人が死亡し、すでに昨年の死者数を上回った。中国政府は「感染拡大の兆候はない」としているが、旧正月(春節)を故郷で過ごした人たちのUターンラッシュが始まり、警戒を強めている。
<略>

 <火消しに躍起>
かつてない速いペースでの死者の増加に中国政府は警戒を強める。国営新華社通信は「現在の感染は散発的」「大規模で爆発的な感染が起きる証拠はない」などとする専門家の意見を紹介。ヒトからヒトへの感染拡大でないことを強調して、国内外に広がる不安を打ち消そうとしている。
中国中央テレビも、死者が出るたびに情報を詳しく報じている。各地で緊急対応措置が発動され、専門家チームが感染者と接触した人を特定し、発熱などの症状が出ていないか7日間様子を見ていることなどが伝えられている。
政府は、春節明けを前に多くの人が都会に戻るのに備え、原因不明の肺炎患者が出た場合に医療機関に報告の徹底を求めるなど、対策を強化する。

<防ぎきれぬ感染>
ただ中国には感染になりうるアヒルやニワトリを飼う農家が多く、感染の危険性が元々高い。感染の約8割が冬から春(11月~3月)に集中しており、増加は避けられそうにない。陳竺・衛生相も「今はヒトへの感染が多発する季節で、感染防止は厳しい状況にある」と散発的な感染が続くことを認めている。
ヒトへの感染が続けば、やがてウイルスが進化してヒトからヒトに感染するタイプが現われる可能性がある。万一、人口が密集する都市部でウイルスが広まれば、一気に流行する危険性が高い。

<初期対応が課題>
大流行(パンデミック)を防ぐには、発症初期に患者を隔離するなど感染封じ込めが欠かせない。だが、北京で死亡した女性の場合、病室などで家族や医療関係者116人が二次感染の危険にさらされるなど当局の対応に不安が残った。
現地紙によると、女性は地元の医院で「風邪」「肺炎」などと診断されて転院を繰り返し、家族に鳥インフルエンザ感染の疑いが告げられたのは発症から11日後の死亡前日だった。中国のある医療当局者は「患者側が医療費の負担を心配して症状が重くなるなで受診しないことや、高額な検査を受けたがらないことが多く、感染確認が遅れることはあり得る」と認める。

<インドネシアは死者減少の傾向>
鳥インフルエンザ感染による死者数が世界最多の115人に達するインドネシアでは、08年の感染者は24人でうち死者は20人。ピークだった06年(感染者55人)と比べると減少した。
同国では多くの住民が感染源となる家禽類を飼う習慣がある上、医師の知識不足による診断遅れが死者数の多さを招いたと指摘されてきた。このため保健省は全国的に約100ある指定病院を中心に医師や職員らに研修を実施。各病院にタミフルを配備するなどして対策を強化してきた。
しかし医療態勢や設備に差があるのが実情だ。また「国の評判を落とす」として、感染死が判明しても即座に発表しない方針をとっているため、集団感染が疑われた地域でうわさで住民がパニックになった例もあり、情報提供のあり方が問われている。

<主なアジア各国の鳥インフルエンザ(H5N1)感染者数と死者数(累計)(27日現在、WHOによる)>
①インドネシア・・・・・141人(115人)
②ベトナム・・・・・・・・107人(52人)
③中国・・・・・・・・・・・ 37人(25人)
④タイ・・・・・・・・・・・・ 25人(17人)
⑤カンボジア・・・・・・  8人( 7人)

藤森注・・・・・上記の国の感染者数の合計318人、死亡者数の合計216人・・・・・感染者に対する死亡者の割合は、約68%にものぼります。感染爆発が万一、発生した場合、死亡率は大幅に下がるとしても、かなり脅威的・驚異的な数字です。死亡率が68%の3割で約20%、1割になっても約7%です。>

●(24)さて、これからパンフレットに沿って、映画の内容をご紹介します。多少の違いはあっても、ほとんどこの映画と同様のことが起こると覚悟を決めたほうが良いように思います。
発生するか否かではなく、もういつ発生するか・・・・それも国立感染症研究所の岡田晴恵先生は「3年以内に発生する確率は99%」と、テレビで発言されたのですから、これはもう覚悟を決めて対処することこそ、大人の判断だと思います。ましてや小さい子どもや孫がいらっしゃる家庭ではなおさらのことです。
私(藤森)は、決して恐怖をあおったり、関連商品を販売したいがために情報を提供しているのではありません。一部、そのように心配してくださっている方もいますが、私は、単に、自分の知り合いの方々の一人でも多くが、被害を避けられる事を切に祈って、全力で対応しています。万一、そのような誤解が生じても、被害が少なくなるよう、情報を提供していきたいと思っています。
何かお尋ねになりたいことがある方は、メールをください。具体的な対策商品などをお教えします。○(25)<パンフレットより>Story ストーリー有効なワクチンがない新型ウイルス感染症・・・・・
数千万人を超えた感染患者。
交通機関、凍結。都市機能、停止。
日本経済、破綻。
 08年5月、カンヌ国際映画祭。世界各国から集まってきた映画関係者たちの注目を集めた日本映画の企画があった。その作品は製作が開始されて間もないため、プロモーション用の映像はおろかポスターすらなかった。あるのは、作品の企画概要を英訳したチラシ1枚のみ。しかし、そこに記されたタイトルは、世界中の映画人に衝撃を与えるのに十分だった。

『PANDEMIC(パンデミック)』・・・・・本作『感染列島』の英題である。
その衝撃的なストーリーが瞬く間に話題となり、買い付け担当者からの問い合わせが殺到。有名コミックの映画化作品や海外受けするアニメーションでもない、このオリジナル脚本の日本映画に、数十カ国を超える配給会社からオファーがあり、さらに、作品完成前であるにもかかわらず、ハリウッドメジャーがリメイクに意欲を示すという異例の事態まで巻き起こった。

新型ウイルス感染症とその対策については、連日、世界中のメディアが関連情報を報道しており、世界各国が急務として取り組むべき問題であることは周知の事実だ。
<略>
しかし、新型ウイルスの感染拡大が実際の社会や人々にどのような影響を与えるか、感染爆発の過程そのものをリアルに描いた映画は、いまだ存在していない。
映画『感染列島』は、現代社会の“パンドラの箱”ともいえる、“疫病と人類の戦い”という深遠なテーマに真っ向から挑む、新機軸のパニック・ムービーにして、世界で初めての映像プロジェクトである。本作が、現代を生きるすべての人々に問題提起し、警鐘を鳴らす衝撃作として、世界中を震撼させるであろうことは間違いない。

○(26)“感染爆発”までのカウントダウンが始まった。
人類滅亡のシナリオを阻止することができるのか!?
正月明けのいずみ野病院。救命救急医・松岡剛(妻夫木聡)のもとに1人の急患が運び込まれてきた。高熱、痙攣、吐血、全身感染とも言える多臓器不全・・・・・患者の症状はすべて新型インフルエンザに想定されたものだったが、何かが違っていた。その感染症にはあらゆるワクチンが通用しない上に有効な治療法も見つからず、患者はついに死亡してしまう。
松岡が無力感に襲われる間もなく、事態はさらに深刻化する。松岡の先輩の医師・安藤一馬(佐藤浩市)たち医療スタッフや、外来・入院患者たちまでもが次々と院内感染し、病院はたちまちパニックに陥る。事態の調査と拡大を防ぐため、WHO(世界保健機関)からメディカルオフィサー・小林栄子(壇れい)が派遣されてきた。
ただちに病棟全体を隔離すると、新規一般患者の受け入れを拒否するよう病院側に要請した。非常なまでのトリアージ(患者の重症度・緊急度によって治療の優先順位を決めること)を進めていく栄子の強引な姿勢に、当初は反発していた松岡だったが、やがて栄子を信じて共に戦っていくことを決意する。看護師たちも、患者の応対に臨戦態勢であたっていた。一方、大学教授の仁志稔をはじめとする究明チームが、ウイルスの感染経路を調査していた。感染源は鳥インフルエンザのウイルスと目され、市内の養鶏場が調べられるが、鳥ともっとも頻繁に接触しているはずの経営者はウイルスに感染していない。松岡は、養鶏場に侵入して独自にウイルスの感染源を調査しようとする無名の研究者の言葉を聞いたこともあり、今回の感染症は新型インフルエンザとは違うのではないかという考えを栄子に打ち明ける。栄子も松岡と同様の疑念を抱いていた。

松岡は、第一感染者真鍋の妻・麻美から、夫婦が発病前に、東南アジアのアボンという小さな国で医師を務める麻美の父と接触していたという話を聞き、感染源を突き止めるために仁志と一緒にアボンへと飛び立った。
しかしその間にも“ブレイム”と名付けられた正体の判明しないウイルスの猛威は留まるところを知らず、恐るべき速度で全国的に拡がっていった。このままでは感染患者は数千万人を超えることになる。交通網は凍結、都市機能は停止、経済は破綻をきたし、日本の社会は崩壊してしまうだろう。そして、ウイルスが世界各国へと拡がれば、人類は滅亡に向かうことになる・・・・・。

○(27)Interview06 インタビュー⑥森毅彦(医療監修)

<新型インフルエンザウイルスの“感染爆発”を防ぐには?>
(今回の映画で医療監修を担当した慶応義塾大学医学部血液内科の森毅彦医師は、作品の中の松岡と同じく臨床医である。インフルエンザに対する予防、体に異常を感じた場合にはどうすればいいのかを、現場の医師の立場から意見を伺った)

<インフルエンザの症状とは?>
インフルエンザは鼻や口から入ってきて、喉に感染して発熱などの全身症状を引き起こします。一番大きな特徴は38℃以上の高熱であり、その他の症状としては関節(筋肉)痛、鼻水、咳、咽頭痛などが出現します。喉の痛みを感じても、発熱を伴わなければインフルエンザの可能性は低いと言えます。例えば喉が痛い患者さんが来ても、発熱がなければ基本的にはインフルエンザの検査をする必要はないと言えます。

<インフルエンザを予防するには?>
うがいと手洗いにより、完全ではありませんが効果的に感染を予防することができます。インフルエンザのウイルスは喉に付いたとしても、そのウイルスが感染・増殖する前にうがいで洗い流すことで予防できます。また手洗いも非常に重要です。例えば電車の中で感染者がくしゃみや咳をした際に手で口を覆い、その後に吊り革や手すりに掴まったとします。それを知らずに別の人が吊り革に触ると、容易にその人の手に大量のウイルスが付着する。人はよく自分の手で鼻や唇に触れるでしょう。そうしてウイルスが体内に入ってきてしまうことになります。それを防ぐために、特に外出から戻られた際に手洗いは簡便な、最も効果的な予防策と言えます。

また感染者がマスクをすることでウイルスを撒き散らすことを効果的に防げます。逆に普通の方もマスクをすることで感染者からウイルスの侵入をある程度、防ぐことができます。医療者はインフルエンザの疑いがある患者の診察をする時には、必ずマスクを着用しますし、患者さんにもマスクをしてもらうようにしています。
もうひとつはインフルエンザワクチンを接種することです。ワクチンを接種しても、100%予防できるわけではありませんが、もしかかったとしても軽症で済む可能性もあります。ですからワクチンは可能な限り接種することをお薦めします。

<海外からの新型インフルエンザの侵入を防ぐためには?>
映画の前半で、猛威を振るう感染症は従来のインフルエンザよりも強い毒性を持つ、新型インフルエンザではないかと劇中の医療者たちは予想します。作品の中にも出てきますが、実際の場合、現時点ではタミフルなどの抗インフルエンザ薬を投与する以外に治療方法はなく、対症療法のみとなります。現在、新型インフルエンザは世界で散発的に発症例が出ていますけれど、幸い日本での発症例はまだありません。
しかし、今後、我が国で発生する可能性は十分にあると思います。インドネシアでは主に鳥と濃厚に接触していると思われる人が発症しているのですが、インフルエンザウイルスは常に変異しておりますので、いつ人から人へ感染するウイルスに変異するかは分かりません。国外でそのようなウイルスが発生した場合は海外渡航を控えることは勿論ですが、帰国時の入国審査で厳しいチェックが必要になります。
ただ、潜伏期間もありますので、水際で完全に食い止めることは不可能だと思います。また通常のインフルエンザと同様に、うがい、手洗い、マスク着用は有効な予防法となります。

<もし新型インフルエンザが日本に上陸したら?>
強毒性の新型インフルエンザが発生した場合、一般の病院で対応することは不可能だと思います。一般の病院には隔離室もありません。おそらく医師も看護師も不足するでしょう。国や自治体が全面的にサポートしなければ、事態を収拾することはできないと思います。
しかし、日本全国に新型インフルエンザが広がったとしたら、大変なパニックになることは間違いありません。初期の段階で特定の病院が対応しますが、これらの病院の許容量を超えたら、それ以外の病院も受け入れなくてはならなくなります。その場合は通常診療や手術に制限を設け、病院機能の一部あるいは大部分を停止させなくてはならなくなります。
他の患者さん達とは導線の異なる「発熱外来」「隔離病棟」を配備して、疑いのある患者さんはすべてそちらで対応するようにします。医師や看護師だけでなく、レントゲン技師、検査技師などもその発熱外来専属にすることが必要です。この対応は医療者への負担が非常に大きいものとなります。医療者自身が感染する恐れもありますし、長時間の診療・業務を余儀なくされるでしょうから、著しく体力を消耗し、神経をすり減らすことになります。
またその医師・看護師たちがそれまで診ていた患者さんは、他の医師・看護師たちが診ることになり、「隔離病棟」担当以外の医療者への負担も確実に増えます。このような状況で医療者を支えるのは「自分がやらなくては!」という使命感だけだと思いますが、現実的にそれだけで診療を何週間も続けるのは不可能だと思います。

この映画を観て、皆さんが普段から手洗い・うがいに努めていただき、感染予防を心がけ、ご自分が咳・咽頭痛、発熱がある時は他の人のことを考えてマスクを着用するといったことを始めていただければ、僕がこの作品に関わった意義もあると思います。このような日々の注意により、もし国内で新型インフルエンザが発生した場合にも被害が少なくなるかもしれません。主人公や登場人物とご自分を置き換えて考えていただき、まったくありえないことではないと感じてもらえればと思います。
<取材・構成:金澤誠>

<医療監修・森毅彦・・・1969年1月生まれ。東京都出身。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院(血液感染リウマチ内科)勤務。専門は血液内科学、造血幹細胞移植、感染症学。本作では医療監修を務めている>

○(28)Report レポート

<新型インフルエンザとは>
従来型のインフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がある。そのほとんどがA型に分類されるが、このA型は元々鳥インフルエンザだったものが、突然変異を遂げて人にも適合するようになったものである。鳥インフルエンザが人同士でも感染する新型インフルエンザに変異することは、過去に何度も繰り返されてきた。現在懸念されている新型インフルエンザもまた、鳥インフルエンザである。
最近東南アジアで発症例が見られる鳥インフルエンザは、元来野鳥などが保有しているウイルス。野鳥同士ではほとんど発症しないが、鶏や七面鳥などの家禽類に感染すると突然変異して発症し、ひどい時には死に至らしめる。問題はこの高病原性の鳥インフルエンザ(H5N1型)が、強い毒性を持ちながら人へも感染し始めていること。現在は鳥から人への感染で、その感染者から他の人への感染例はないが、いつウイルスが変異するかわからないため、世界的な不安が広がっている。
<文:金澤誠>

藤森注・・・・・感染した人と濃厚に接触した人、例えば看病した人などに感染者が稀に出ていて、死亡例まで発生しています。ですから上記の金澤氏が取材したころよりも、一歩、変異が進んでいることを意味しています>

<パンデミックとは>
パンデミックとは、限られた期間にある感染症が世界的に大流行することを言う。現在インフルエンザによるパンデミックが起こった場合、多くの感染者や死者が出ることが予想され、その防止対策が各国で叫ばれている。これまで発生したインフルエンザによるパンデミックには1919年のスペインインフルエンザ、1957年のアジアインフルエンザ、1968年の香港インフルエンザ、1977年のソ連インフルエンザなどがあり、スペインインフルエンザの例を挙げると、世界中でその感染者は約4000万人、当時の日本でも感染死者は約39万人に達した。
今は当時よりも飛行機などの交通機関が発達し、人口の増加や都市への人口集中も考え併せて、パンデミックが発生したら、もっと短期間に地球全体で感染者が出るだろう。 米国疾病管理センターでは、日本では人口約1/4の人が感染すると予測。それを考えると、映画『感染列島』に描かれている事態は絵空事ではないのだ。
<文:金澤誠>

藤森注・・・・・人口の約1/4が感染するとは、約3000万人です。現在、鳥インフルエンザに感染した人の死亡率は、なんと5~6割りになっています。パンデミックになると、毒性は弱くなるようですが、それでも例えば10%だとしても、300万人になります。5%でも150万人です。「覚悟」と「準備」ですね>

<防護服とは>
新型インフルエンザをはじめ、致死率の高い感染症の脅威から身を守るには、ウイルスの感染を防ぐしかない。その対策に欠かせないのが映画の中でも様々なスタイルで登場する“防護服”だ。店頭で見かける機会はまだ少ないが、ネット通販などで入手が可能。マスク、ゴーグル、手袋(インナーとアウター用の2種)、靴カバー、防護服の必要最低限のものが1セット3000円前後で購入できる。
実際に防護服を手にすると、見た目は紙のようだが摩擦に強く、つなぎタイプで150g程度と以外に軽量。装着する時は軽装かつ廃棄できる着衣が望ましい。また感染を防ぐため、着る際には細心の注意が必要で、使用は一回限りが原則だ。現在、厚生労働省では人口の約1/4が感染するという政府の仮定に基づき、新型インフルエンザ対策のガイドラインを示しているが、具体的な対応は他の先進諸国に比べて遅れている模様。防護服を含め、パンデミックに対する備えを一度考えてもいいかもしれない。
<文:宇田夏苗>

藤森注・・・・・2月15日の第79回「今月の言葉」で詳しく説明する予定ですが、せっかく対策を講じるのであれば、ウイルスのサイズ(大きさ)と、例えばマスクの網目のサイズがどうであるかなど・・・・・しかし、無いよりは良いわけです。とにかく、より正しい情報を得て、それに相応しい対策を講じることだと思います。不安を煽ったり、いかさま商法もあるようなことも聞いています。それらに惑わされずに、より良い対策が講じられる事を祈っています。
そして、
万一、特効薬が発見されて、準備が不要になったということであれば、ガッカリすることではなく、喜んでいいのではないでしょうか!?今、そこにある危機に何も準備をしない危険性よりも、ムダになる喜びのほうが嬉しいと私は思っています。
また、準備したものがムダになるものは、ほとんどありません。みな、後日、利用できるものばかりです。ハイキングに行って食べるオニギリやお弁当を考えれば、ほとんどものはムダになりません。無事に通過できた幸運を噛みしめながら、カンパンなどを食べてもよいのではないでしょうか?価値観は人それぞれです>

<文責:藤森弘司>

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