2008年10月31日 第75回「今月の映画」
監督:ジョージ・C・ウルフ 主演:リチャード・ギア ダイアン・レイン ジェームズ・フランコ スコット・グレン
●(1)今回の映画「最後の初恋」は、親子関係がこじれているご両親が、そのこじれた関係をどうしたら良いかを教えてくれる最高傑作の映画だと思います。私がこれからご紹介する視点は、おそらく監督も俳優陣もまったく予想していないであろう視点だと思います。それを、自己成長や心理学的な観点から、この映画の大切な一面を抽出して説明したいと思います。
さて、その前に、「宮廷画家ゴヤは見た」<http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id331285/>は凄い映画でした。ヤフーの案内を見る限り、そのような感じをまったく受けませんでしたが、宗教の恐ろしさをまざまざと見せ付けた映画でした。 |
●(2)さて、今回の映画「最後の初恋」ですが、特殊な視点から解説しますので、まず、ヤフーに載っている案内を先にご紹介します。
下記のヤフーのホームページより 原題: NIGHTS IN RODANTHE 解説: 嵐が近づくノースカロライナ州の海辺の街を舞台に、運命的な出会いを果たす中年の男女を描くラブロマンス。『きみに読む物語』などで知られる人気作家ニコラス・スパークスの原作の世界を、『コットンクラブ』『運命の女』などで共演歴のあるリチャード・ギアとダイアン・レインが味わい深い演技で体現する。共演にはジェームズ・フランコ、スコット・グレン。偶然が導いた一生を左右するほどの一大ロマンスに、引き込まれる。(シネマトゥデイ) あらすじ: 身勝手な夫や思春期の娘との関係を考え直すため、ノースカロライナ州のローダンテという海辺の小さな街にある友人の宿を手伝いにきたエイドリアン(ダイアン・レイン)だが、大きな嵐が来るという予報を聞く。そこへ宿の唯一の客となるドクター・ポール(リチャード・ギア)が到着するが、彼もまた心に問題を抱えていた。(シネマトゥデイ) 波打ち際スレスレに建っている古い小さなホテルがクセ者。その佇まいは魔法使いの家そのもので、一歩足を踏み入れるとたちまち非現実的な時間に巻き込まれてしまう、ような気になる。ここにたった1人、ワケありの宿泊客が現れ、オーナーから留守番を頼まれたワケありの女がもてなす。しかも外は嵐。閉じこめられた2人が身の上話を始めたら、もう恋に落ちるっきゃないでしょう! 文句のある人は帰りなさいと言わんばかりの確信に満ちた展開、2人の過去話と現在の苦悩もあきれるほど手際良くインサートされ、熟年恋愛の状況描写に手抜かりはない。 主演はリチャード・ギアとダイアン・レインの絵になる2人。ラブシーンもほどほどに美しく、「最後の初恋」の看板に偽りはないのだけど、何故か、恋する切なさが盛り上がらない。2人があまりにベタに恋のコースを進むので、見ているほうは置いてけぼりを食った感じだ。むしろ、ギアの苦悩に絡んで登場する地元の男スコット・グレン(老けた!)が語る妻への愛がしみじみと胸に染みた。舞台はノースカロライナ州の観光地アウターバンクス。防波堤のような細長い島々が130キロも続く海の中道で、素晴らしく美しい。探したら、くだんの魔法使いハウスのようなホテルがあるかもしれない。(森山京子)(eiga.com) [2008年09月26日 更新]http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id330885/ |
●(3)まさに、上記のような映画です。森山京子氏も述べているように、<「最後の初恋」文句のある人は帰りなさいと言わんばかりの確信に満ちた展開 > です。<波打ち際スレスレに建っている古い小さなホテル>に<ワケありの宿泊客(リチャード・ギア)が現れ、オーナーから留守番を頼まれたワケありの女がもてなす。しかも外は嵐。閉じこめられた2人が身の上話を始めたら、もう恋に落ちるっきゃないでしょう!>まず、このワケありの宿泊客、リチャード・ギアは、著名な外科医です。自分が手術をした患者が亡くなりました。彼は必死になって原因を探すが、どうしても自分に落ち度があるように思えない。 最愛の妻を亡くした夫は、この外科医に詰め寄りますが、彼は妻を亡くした夫の悲しさがあまり響かないようです。それよりも名医にありがちな理詰めで説明してしまいます。 そういう父親の姿に嫌気を差した同じ医師の息子は、家出して、遠い南米(?)の僻地に医療活動に行ってしまいました。 一方、ワケありの女は、夫婦関係がうまくいかなくて、離婚か別居中の身です。このように、恋愛に発展する絵に描いたようなストーリーですが、非常に気になる場面がありましたので、それをこれからご紹介します。 ●(4)リチャード・ギア扮する外科医(離婚)は、手術で妻を亡くした夫の「会いたい」という手紙で、この男が住む、この町に来て、このホテルに宿泊しました。この男と会った後、僻地で医療活動をしている息子から医薬品を送るように要請を受けていたために、飛行機で僻地に飛ぶ予定です。 一方、ワケあり女は、高校生くらいの娘と小学生くらいの息子の三人暮らしで、終末には子供たちに会いに(前)夫がやってきます。エネルギッシュなこのワケあり女は、夫に対する不満をぶつけるかのごとくに、ヤンキーな娘にガンガン、あれこれと指示をしたり干渉をします。母親も娘もこの関係に疲れ切っている感じがします。 ●(5)映画は、この両者が「最後の初恋」に陥るために、<親子や夫婦関係のこじれ>を設定したのかもしれませんが、そこには実にすばらしいものが隠されていました。 まず、<外科医>のほうです。 ●(6)次は、<ワケあり女>のほうです。 親子の関係が回復し始めます。娘は母親に対して、心から愛していることを自覚し始めます。本当に行き届いた配慮を示します。 |
●(7)私(藤森)は、自分自身が未熟であるために、ここから教訓的なことを言う資格はありませんが、親子関係を修復する非常に重要な要素が全て含まれているように思えてなりません。 私たちの日常は「認知の歪み」に満ち満ち溢れていて、愛しているはずなのに、相手、特に子供を歪ませてしまっていることが、とても多いように思います。 どうやら「信頼し合うこと」や「温かく見守ること」が大事のようです。愛し合いながら、お互いが理解することができずに、悲惨なできごとや、悲惨な関係になってしまうのは、本当に残念なことです。 このホームページを作成しながら、自分自身の未熟さに涙が溢れてきます。 |
<文責:藤森弘司>
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