2003年7月 第12回「今月の映画」

THE  (コア)

監督:ジョン・アミエル    主演:アーロン・エッカート   ヒラリー・スワンク


●(プログラムより)地球の核(コア)停止。人類は1年以内に滅亡する・・・・
ペースメーカーを付けた人々の一斉の突然死、方向感覚を失った鳩の無数の死骸、制御不能に陥るスペースシャトル。世界各地で起きる不可解な異常現象。その原因は地球の核(コア)の停止にあった。

この緑の星が軋みをあげ、我々を宇宙放射線から守っていたコアの回転を停止させた今、地球上のあらゆる生命が1年以内に焼き尽くされてしまう。残された唯一の方法は地下1800マイルへと潜ること。
果たして人類は、地球が我々につきつけた滅亡のシナリオを書き換えることができるのか?今、全ての生命の生存を賭けて、選ばれし6人が、地球の摂理に無謀ともいえる戦いを挑んでいく・・・・・・・。●地球磁場消失のメカニズム
地球の磁場は安定していたものではなく、通常60~70万年ごとに弱まり、消滅し、次に南北の極が逆転して現れ、しだいに強まり、それがピークに達した後、再び弱まり、消滅するというサイクルを繰り返している。
長期的に見れば、この周期も、ピーク時の磁場の強度も大幅に変化するし、時には数百万年にわたって磁場が完全に消滅した時代もあった。現在、地球物理学者たちは、次のモデルでこれを説明している。●①地球中心部に「コア(核)」と呼ばれる、鉄とニッケルの塊があり、内核は約5、000度C、350万気圧で固体。
外核は軟らかく、上部のマントル(3,500度C)に冷やされて下降し、下部は5,000度Cの内核に加熱されて上昇して、「対流運動」を起こす。
②一方、地球は東向きに自転している。したがって、いちばん遠心力の強い赤道平面に沿って沸き上がる外核の流れは、西向きに渦を巻いて沈み込むことになる。伝導性の流体がこうして回転運動を行なうことにより、この流れに対して右ねじを巻く方向に磁場が発生するのである。
●上記の渦は、氷河期や大きな隕石の衝突などのささいなきっかけで、簡単にブレーキがかかったり、崩れたりするという。こういう事態になったらどうするか。耐圧、耐熱に優れた容器の中に核爆弾を積んで、「コア」の外核内で爆発させて、「対流運動」を起こさせようと決死のチームが・・・・・・・・。●(私見)荒唐無稽な内容かと思いましたが、プログラムを読むと科学的に十分裏づけのあることがわかりました。まさにアメリカ映画で、十分に楽しめました。この種の映画で必ずテーマになるのが、決死隊のチームです。
1969年、私が若い頃のことです。アメリカのロケットが月面着陸する場面をテレビで見ながら、友人が言いました。
「このように注目され、栄光のあるミッションならば命の危険があっても、私でもやりたい」と。
私は妙にこの言葉が印象深く心に残っています。

●それにつけても最近のいろいろな分野のトップの在り方です。まさに友人の言葉を借りるのならば、「注目され、栄光ある立場」にありながら、使命感の欠如たるやすごいものがあります。

●例えば「総理大臣」の椅子です。良し悪しは別にして、昔は、まず派閥のトップになり、「総理大臣」になるための心の準備や政策を練りに練ったように思われます。そのため政策を遂行するために「命」を賭けるくらいの覚悟があったのではないでしょうか。例えば「予算」を通すために、自分の首と引き換えにしたりしました。
しかし最近は、ヒョンなムードで「総理大臣」になるからでしょうか、政策に対しての必死さが不足しているように思えます。強力なリーダーシップを発揮するわけでもないし、自分の政策を遂行したいという強い使命感にも乏しく、簡単に丸投げしてしまいます。
旧社会党の元総理は、サミットで胃を悪くし、阪神大震災では全くリーダーシップを発揮できませんでした。
あの時、もし「全責任は自分が取る」と指示を出せば、自衛隊を早い内に出動させることができたでしょうし、外国の犬を、検疫のためと称して1週間も放置するような官僚もいなかったでしょう。もう少し多くの人命が救助されたかもしれません。

●友人の言葉が身に沁みます。「ならばお前はどうなんだ!?」と問われると辛いところです。


 (文責:藤森弘司)

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