2003年3月 第8回「今月の映画」

・・・・・ヒーロー誕生に秘められた、感動の実話・・・・・

監督:ジョン・リー・ハンコック   主演:デニス・クエイド   レイチェル・グリフィス   アンガス・T.ジョーンズ


●(プログラムより)1999年9月18日、テキサス州ザ・ボールパーク・イン・アーリントンで、男はついに夢を叶えた。男の名は、ジム・モリス。35歳の史上最年長ルーキーとして、この日初めてメジャーリーグのマウンドに立った彼に、人々は惜しみない喝采を贈った。それは、心が綴るアメリカの歴史に刻まれた、鮮やかな栄光の1ページ。
そして、あらゆる苦難を共に乗り越えてきたモリス家の人々の、勝利の瞬間だった。
世界中の心を震わせた奇跡の実話、本作品は、35歳でメジャーリーグの投手になったジム・モリスの半生を描いたベストセラー小説の映画化であり、全米で興行収入100億円突破のロングラン・ヒットを記録した感動のドラマである。ジム・モリスは35歳。愛する妻と子供たち、そして高校の教師と野球チームの監督という充実した仕事・・・この平穏な日々に不足はないはずだったが、時折、若き日の夢が彼の心を騒がせる。「メジャーリーガーになること」・・・・・・それはもう捨てたはずの、遠い日の思い出。だがある日、彼の人生に転機が訪れる。 

ジムのくり出す豪速球に、プロ選手への道が開かれたのだ。これまで築いてきた全てを捨てて、無謀な賭けをするなど馬鹿げている・・・・・・躊躇するジムを最後に決意させたのは、妻のローリーだった。
「8歳の男の子が、自分の父親の夢が叶う日を待ちわびているわ。今辞めたら、あの子に何て言うの?」
●(私見)多くの大リーガーが引退するような年齢で「新人」として登場するジム・モリス。その父親を見る、8歳の息子の「天真爛漫」な笑顔。「天使」のような笑顔を見るだけでも価値のある映画です。笑顔のすばらしさ、大切さ。

 

さて私の友人が、2~3年早い定年退職をして、第二の人生を楽しんでいるという年賀状をいただきました。世の多くの人たちは、孫が居て、老後を考えるときに、私はやっと一人前になって、これからの人生を考えることができる年齢になったような気がしています。友人・知人たちが定年退職したり、第二の人生を楽しむころになって初めて、私は、自分らしい人生を歩めるようになりました。まさに「オールド・ルーキー」です。


しかし、誠に不思議なことに、ありとあらゆる横道にそれた人生を生きてきて、今、カウンセラーをさせていただいてみると、今まで横道にそれていると思われた私の人生体験の全てが、役に立っています。
そうしてみると、人生、無駄とか「失敗」というものはないんですね。多くの方が、例えば試験に不合格になったときに、「失敗した」と言いますが、失敗と言うものはないんです。不合格という体験をしているんです。
また例えば、「不登校」の問題がそうです。多くの親御さんが、そして、ご本人が「失敗」という捕らえ方をしますが、実は、ただ学校に行かないだけで、家に居るという「体験」をしているんです。
学校に行かないことが「悪いこと」「マイナスなこと」なんて決め付けることは、誰にも、絶対にできません。
私たちは、ある「単一」的な価値観にとらわれ、あるいは、縛られてしまっていて、物事を「良い」か「悪い」かという見方をしすぎてしまっています。何をもって「良い」とか「悪い」といえるでしょうか。率直に言って、私たちは実にいい加減な

「思い込み」や「価値観」を基準に物事を判定しているだけで、仏教では「無分別(いいとか悪いとかの分別をしない)」を大事にします。

単に学校に行っていないというだけで、落伍者のレッテルを貼られかねませんが、不登校児のほうが、よりまともな「人間性」より瑞々しい「人間性」を有している傾向があります。
そういう意味で、結果論になるかも分かりませんが、私が「紆余曲折の人生」を長くやったがために、いろいろな「価値観」に触れることができ、それが、カウンセラーという職業にどれだけ役に立っているか分かりません。「オールド・ルーキー」としての不思議さを感じています。
私たちは、私たちの人生について「安直な結論」を出すべきではありません。何が良くて、何が悪いなんてことは、神のみぞ知ることで、私たちにとっては、生涯、判断できることではないのかもしれません。
いや、むしろ全ては、その人にとって「意味のある価値ある生き方」であることに気づいてほしいものです


生きている限り「人生」は、何度でもやり直せるものです。私自身の体験から、それは自信を持って言えます。
そうだ、第二の人生(老後)も「オールド・ルーキー」なんですね。


                 (文責:藤森弘司)

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