2023年7月31日第246回「今月の映画」「リトル・マーメイド」
(1)今回の映画、リトル・マーメイドの素晴らしさ、美しさ。その印象がとても強かったので、漫画的な映画でしたが紹介したいと思います。
まず素晴らしいのは、魚の人間、人魚、水の中にいる人魚がとても自然に泳いだり、生活している姿にとても感動しました。下半身が魚になっているにも関わらず、海の中、海水の中で自然に泳いで生活している姿は、一体全体、どんな工夫があるのだろうか? 水槽の後ろの部屋で、水の中のように演技できるとは、私・藤森にはとても思えないし、さらには、潜水用具を身に付けているのでもありません。完全に海の中のように見えるにもかかわらず、本物の「人魚」のように活動しているのには、本当に驚きました。 さらに主人公のアリエルがとても素晴らしかったです。そして海水の中、人魚たちの活動の素晴らしさにとても感動しました。 |
(2)「Introduction」(映画に触れているページがあるとのことです)
<この夏、ディズニーが贈るプレミアム・エンターテイメントが開幕! アリエルの歌声が、世界中に魔法をかける> アカデミー賞を受賞したミュージカル・アニメーションの名作『リトル・マーメイド』(89)を、ロブ・マーシャル監督が実写映画化!本作『リトル・マーメイド』は、冒険心にあふれた美しく元気な人魚、アリエルの物語。トリトン王の娘のなかで最も若く、最もアグレッシブなアリエルは、海の上の世界についてもっと知りたいと願い、海面を訪れるうちに、勇敢なエリック王子と恋に落ちます。人魚は人間との交流を禁じられていますが、アリエルは自分の心の声に従い、邪悪な海の魔女アースラと契約し、陸の上での生活を経験するチャンスを得ます。しかし、それは最終的に自分の人生と父親であるトリトン王の王座を危険にさらすことになるのです。 ヒロインのアリエルに大抜擢されたのは、歌手でもあるハリー・ベイリー。セバスチャンの声にはトニー賞受賞者のダヴィード・ディグス、フランダーの声にはジェイコブ・トレンブレイ、スカットルの声にはオークワフィナ、エリック王子役にジョナ・ハウアー=キング、グリムズビー役にアート・マリク、女王役にノーマ・ドゥメズウェ二、そしてトリトン王役はアカデミー賞受賞者のハビエル・バルデム、2度のアカデミー賞ノミネートのメリッサ・マッカーシーがアースラ役を演じます。 本作『リトル・マーメイド』は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの小説と、ロン・クレメンツとジョン・マスカーによるアニメ版『リトル・マーメイド』(89)を基に、アカデミー賞ノミネートのロブ・マーシャルが監督、2度のアカデミー賞ノミネートのデヴィッド・マギーが脚本を担当しています。製作は、ジョン・デルーカ、マーク・プラット、トニー賞を3度受賞したリン=マニュエル・ミランダ、ロブ・マーシャルが務め、製作総指揮をジェフリー・シルヴァーが務めました。音楽は、『リトル・マーメイド』(89)でアカデミー賞作曲賞と主題歌賞を受賞したアラン・メンケンが、音楽監修兼プロデューサーをマイク・ハイアムが担当しています。素晴らしい数々のミュージカルナンバーは、作曲をアラン・メンケン、作詞をハワード・アシュマン、新曲作詞をリン=マニュエル・ミランダが担当しました。 自分を信じ、心のままに新しい世界へ飛び出すアリエルの姿が、今を生きる私たちに一歩踏み出す勇気を与えてくれます。 |
(3)「Story 1」(THE LITTLE MERMAID Make a Splashより翻訳して掲載)
海には、冒険が大好きな若い人魚が住んでいます。彼女の名前はアリエル。トリトン王の七つの海の娘のひとりです。しかし、この若いプリンセスは、宮殿から遠く離れ、のんびりと海のなかを泳いでいます。親友であるフランダーといっしょに、難破船を探求しているのです。アリエルは、人間界のものを見つけて集めるのが大好きです。 アリエルは新しい宝物を発見しますが、その宝物が何に使われるのか、想像するしかありません。彼女はそれを友だちのスカットルに見せました。スカットルは人間に関するあらゆることに精通しているのです。「それは“カミスキー”だよ」と、彼女はアリエルに教えてくれました。 そんなアリエルの冒険を知ったトリトン王は、人間や彼らの世界にかかわるものに近づかないように警告します。トリトン王は人間を危険だと考えており、娘の安全を守りたいのです。 日が沈むとともに、アリエルの気持ちも沈みました。アリエルはこっそりと秘密の洞窟にやってきます。彼女は小さな装置や珍しい道具など、たくさんの宝物のなかを泳ぎながら、「こんな素敵な宝物が悪いはずがない」と思いました。 ふとアリエルは、海面の向こうに不思議な光を見つけました。好奇心旺盛なアリエルは、初めて海面を泳いでみることにします。海面にたどりつき見上げた空は、虹色の花火で埋めつくされています。そして乗組員たちで賑わう大きな船が見えました。彼らはエリックという若者の誕生日を祝っていました。王子であるエリックは、アリエルと同じように冒険が大好きでした。 ふいに空が暗くなり、大きな波が前後左右に船を揺らしました。嵐が急速に近づいていたのです。エリック王子とその仲間たちは、嵐には勝てません。ついには船はギザギザの岩に激突、炎が上がり船は燃えはじめます。エリック王子は乗組員たちを助け無事に船を降りますが、取り残された愛犬のマックスを助けるために船に戻り、海に投げ出されてしまいました。 アリエルは、若い王子を助けようと泳ぎだします。彼女はヒーローなのです! エリック王子を助けだしたアリエルは丁寧に彼を浜辺にあげ、甘い歌を歌います。彼のいる世界に興味津々でしたが、急いで王国へ戻らなければなりません。エリック王子が目を覚ましたとき、もうアリエルはいませんでした。彼はアリエルの歌だけを覚えていました。 トリトン王にとって最も頼りになる執事長、カニのセバスチャンは、アリエルが人間を助けたことを話してしまいます。激怒したトリトン王は、アリエルの秘密の洞窟に現れ、「もう2度と彼を探さないと約束しなさい」と命じます。しかし、アリエルは約束できませんでした。言うことを聞かないアリエルに怒ったトリトン王は、魔法のトライデントで彼女の宝物を破壊してしまいます。トリトン王が去ったあと、アリエルは壊された宝物を悲しげに眺めるしかありませんでした。 そんなアリエルの前に現われた2匹のデンキウナギを通して、海の魔女アースラが話しかけてきました。彼女はアリエルを人間に変えて助けてくれると言います。 アリエルは、アースラの隠れ家まで泳いで行き、自分のウロコを1枚渡して、取引をしました。しかし、3日目の日没までにエリック王子と真実のキスをしなければ、アリエルは人魚に戻され自由を失うのです。しかも、人魚の贈り物である声を、アースラに渡さなければなりませんでした。 |
(4)「Story 2」
人間になり水中での呼吸ができなくなったアリエルは、急いで海面に浮かびあがり、遠く離れた陸地へと泳ぎだします。幸いなことにフランダーとセバスチャンが、ずっとそばにいてくれました。ところが、漁師がうっかりアリエルを網ですくい上げてしまいました。親切な彼はアリエルを王宮へと連れて行き、彼女はエリック王子と再会しました。 しかしアリエルは声を失い歌えないので、エリック王子は彼女が命の恩人であることに気付きません。それでもそれは障害にはならず、直ぐにふたりは仲良しになりました。エリック王子はアリエルと同じコレクターで、自分の大好きな宝物を見せてくれました。 冒険家のふたりは、翌日から島を探検することにしました。アリエルが3日目の日没までに、エリック王子と真実のキスをしなければいけないと知っているセバスチャンは、自分の手でアースラの呪縛を解く決意をし、友人たちの協力のもと、ロマンティックな夜を演出します。しかし、アリエルとエリック王子がキスをしようとした瞬間、アースラの手下である邪悪なデンキウナギたちが、ふたりの乗るボートをひっくり返してしまいました。 アリエルが王宮に来て3日目、アリエルはエリック王子が、バネッサという女性との結婚を決めたと知ります。エリック王子は、バネッサこそが浜辺で自分を助けてくれた女性だと思っているのです! 「早急なのはわかっています。でも彼女は僕の命の恩人なんです」エリック王子は、女王と宰相のグリムズビーに、そう話すのでした。 幸いなことに、人魚姫にとってすべてが失われたわけではありません。スカットルは、バネッサが変装したアースラであることを突き止めます!アースラはアリエルの歌声を使い、エリック王子をだましたのです。 婚約パーティで、スカットルとマックスがアースラの邪魔をしたすきに、アリエルは自分の声が封じられたアースラのネックレスを壊し、自分の声を取り戻して歌いました。 「自分の命を救ってくれたのはアリエルだ」その歌声を聞いて、エリック王子は真実に気が付きました。 しかし、すべては遅すぎました。アリエルとエリック王子がキスをする前に、日が沈んでしまったのです。アリエルは人魚に戻り、アースラは彼女を海に引きずり込みました。 海の魔女がトリトン王にアリエルとの取引を伝えると、トリトン王はアリエルの解放と引き換えに、魔法のトライデントをアースラに渡してしまいます。 新たに強い力を手に入れたアースラは無敵に思えました。でも、アリエルはあきらめません。難破船をあやつりアースラに突っ込ませて倒したのです! アースラがいなくなり、力を取り戻したトリトン王は、アリエルに最高の贈り物・・・「選択」という贈り物を与えました。アリエルは人間になることを選び、トリトン王は彼女の願いを叶えるために、その力を使いました。 アリエルとエリック王子は、一度は離れたと思われた二つの王国を結びつけました。そして今、まだ見ぬ世界を探検し次の冒険を見つける旅に、ふたりは出ようとしています。 |
(5)「ロブ・マーシャル監督・製作」<主な作品『シカゴ』(02)、『メリー・ポピンズリターンズ』(18)>
アリエルは情熱と勇気をもって、壁を壊し、他者(彼女の場合は人間界ですが)を恐れないことを学びながら、自分探しの壮大な旅に出ます。この現代的なテーマは、世界の分裂を緩和する解毒剤のように思えました。これは私のキャリアのなかで最も挑戦的な映画で、今まで培ってきた経験がなければできなかったと思います。 映画制作において最も重要な三つのことは何かと尋ねられて、「キャスト、キャスト、キャスト」と答えました。ハリー・ベイリーを初めて見たとき、とても若くて別世界の人のようで、さらに声は天使のようでした。 監督として望むのは、俳優がやってきて、「この役は私のものだ」と言ってくれること。ハリーはまさにそうでした。メリッサ・マッカーシーのカリスマ性と佇まいは、アースラにぴったり。彼女は驚くほどの深みと、弱さ、激しさ、そしてもちろんユーモアをもたらしてくれました。 観た人は圧倒されるでしょうね。ハビエル・バルデムの俳優としてのパワーは絶大で、とても繊細で真実味のある感情を表現しています。彼との仕事は、一秒一秒がとても楽しかった。 ダヴィード・ディグスはクリエイティブの天才。たくさんの色とニュアンスを与えてくれて、その無限の想像力、ウィットとユーモアで毎日私を驚かせてくれました。オークワフィナの輝きは測りがたいものがあって、本当に私たちよりひとつ進んだところにいますね。彼女が持つ独創性、ユーモア、情熱は、とても稀有なものです。彼女と一緒に仕事ができて、どんなに楽しかったことか!これだけ多様な才能を持ったキャストが揃うことは稀なこと。リハーサルや撮影の間中、本当に素晴らしいキャストが集まったと実感していましたし、彼らはそれぞれの役に命を吹き込む運命だったと思いました。 アリエルの3人の仲間は『リトル・マーメイド』(89)から変わっています。フランダーは小さなスズメダイを基にした熱帯の岩礁に棲む魚です。セバスチャンのルックスは、キューバに棲むカニから生まれ、その仕草はホワイトクラブから拝借しました。そして、スカットルはカツオドリと呼ばれる黒と白の潜水鳥になりました。これは、冒頭のアリエルは、海面に出る勇気がないので、スカットルと水中で会う必要があったからです。 アラン・メンケンとリン=マニュエル・ミランダは、本作のために3曲のスリリングな新曲と1曲の新たなリプライズを書いてくれました。アランと一緒に仕事をしたいとずっと思っていましたが、これらの壮大な新曲でアランと協力できたことは、なんという喜びだったことか。 もちろん、今は亡き偉大なハワード・アシュマンを抜きにして制作することは、控えめに言っても気が遠くなるようなものでしたが、幸運にも私の親愛なる素晴らしい友人であるリンが作詞家として加わってくれて、ハワード自身とオリジナルの楽曲に対して尊敬と愛情を注いでくれました。もちろん、この34年の間に文化や感性は変化していて、その変化に敬意を払うことも大切なので、リンには「キス・ザ・ガール」の歌詞に若干の調整をお願いしました。 「The Scuttlebutt(邦題:スカットル・スクープ!!)」という新曲は、スカットルのために楽しくて風変わりなパターソング(早口で歌う楽曲)を探していたら、製作のジョン・デルーカが「Scuttlebutt」という単語を思いついたんです。早口でしゃべり、なかなか言葉がまとまらないスカットルのために、ラップ調の曲を用意できたのはちょうどよかった。プロットの重要な情報を伝える曲でもあるので、この曲がないとストーリーが成立しないんです。 生身の俳優が1人しかいない状況で、特に「アンダー・ザ・シー」なんて、ウォルト・ディズニーならどうしただろうか?と思いました。彼が『ファンタジア』(40)の「くるみ割り人形」のダンスシークエンスに取り組んだとき、アナハイムのディズニースタジオにロシアのバレエ団バレエ・リュスを呼び寄せ、アニメーションアーティストたちが彼らの踊りをテンプレートにして、花やキノコ、雪の結晶を踊らせるようにしたことを思いだしたんです。 そしてアルビン・エイリー舞踊団のことをすぐに思い浮かべ、あの素晴らしいダンサーたちが、海中の素晴らしい生き物たちの代役を務めるのに最適だと思いました。「アンダー・ザ・シー」には、1フレームに500体以上の生物たちが同時に登場するシーンがあります。すべてが簡単に見えるでしょうが、もちろんスタッフ全員の努力の賜物で、その結果、とても素晴らしいものになっています。 |
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