2021年10月31日第225回「今月の映画」「総理の夫」
監督:河合勇人 主演:田中圭 中谷美紀 貫地谷しおり 余貴美子 片岡愛之助 岸部一徳
(1)前回の9月30日、第224回「今月の映画」「アナザーラウンド Another Round」で、北欧の国をご存知ですか?と尋ねました。私は、恥ずかしながら、デンマークが北欧とは知りませんでした。が、北欧はデンマークを含めて、次の5カ国でした。≪≪ノルウェー、スエーデン、アイスランド、フィンランド、デンマーク≫≫
この北欧は、何か、特徴がある国のように思われます。寒くて、日照時間も少なくて、アルコールには寛大だし・・・しかし、今回、それとは無関係に選択した映画ですが、今回の映画「総理の夫」のパンフレットに面白いものが掲載されていました。 それは、このホームページの最後(5)に掲載しましたが、女性の首相がとても多いのです。映画のパンフレットに詳しく紹介されているのは、下記の6人ですが、6人のうちの4人が北欧の国です。 ○アンゲラ・メルケル(ドイツ首相) ○ジャシンダ・アーダーン(ニュージーランド首相) ○サンナ・マリン(フィンランド首相) ○エルナ・ソルベルグ(ノルウェー首相) ○メッテ・フレデリクセン(デンマーク首相) ○カトリーン・ヤコブスドッティル(アイスランド首相) 2番目のジャシンダ・アーダーン(ニュージーランド首相)は、驚くことに、≪≪ニュージーランドは世界で初めて女性に参政権が認められた国であり、アーダーン氏はニュージーランドでは3人目となる女性首相です。1980年生まれの彼女は、2017年10月、37歳の時に首相に就任しました。2018年1月に妊娠を発表し、6月に出産。世界で初めて首相在任中に産休を取った人物になりました。在任中に出産した首相としては、世界で2人目となります(1人目はパキスタンのベナジル・ブット元首相で、1990年に第2子を産休を取らずに出産)。仕事と子育てを両立させ、国民からの人気も高く、自身が党首を務める労働党は2020年10月の総選挙で圧勝しました。≫≫ 首相で出産して、育児と両立させて、総選挙では圧勝したり、さらには、パキスタンの首相は、産休を取らずに出産したり・・・女性には歯が立ちませんね、男は。それなのに、我々男性が偉そうにしていられるのは、顔を立ててくれる女性の皆さんのお陰だということが、私・藤森はよく分かりました😄 |
(2)「Introduction」
大財閥の次男に生まれ何不自由なく暮らしてきた、世間知らずのお坊ちゃん=日和(ひより)。鳥を溺愛する生粋の“鳥オタク”だった日和が、一目惚れの末結婚まで漕ぎつけたのは、年上のパーフェクト美女=凛子。鳥好きが高じて鳥類研究所で嬉々として働く日和と、政治の世界に身を置き多忙な日々を送る凛子は、凹凸夫婦ながら仲良く順調な日々を送っていたはず・・・・だった。だが凛子が日本初の女性総理大臣に就任し、日和は日本初の“ファージェントルマン”にかつぎあげられる! お人よし&根っからの坊ちゃん気質でいろいろ抜けている日和は、突如生き馬の目を抜く政界の荒波に放り込まれることに・・・・。 前途多難な“総理の夫”の行方は・・・!? ぼんやりしているがどうにも憎めない愛すべき年下夫を演じるのは、今や出演作が途切れることのない田中圭。シリアスからコメディまで硬軟自在に演じ分ける、稀代の人気実力派俳優が、突然の”ファーストジェントルマン”という大役に振り回される日和をコミカルさ全開で熱演する。 名は体を表すと言う通り、凜とした佇まいが文句なく美しい凛子を演じるのは中谷美紀。長らく第一線を走り続ける美しきトップ女優が、日本初の女性総理という我々がまだ現実ではお目にかかったことのない存在を、リアリティーと圧倒的な説得力で演じ切る。 政界が最も似合わない能天気な夫と、政界に渦巻く男たちの黒い思惑を涼し気な笑顔でかわしていく妻。最強の”巻き込まれ型主人公”=日和と、才色兼備で誰よりも男前なヒロインならぬヒーロー=凛子のギャップが愛おしい、ヒューマンコメディ大作が誕生した! 2人を取り巻くキャラクターたちにも、豪華出演者陣が集結。貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、片岡愛之助、余貴美子、岸部一徳といった錚々たるメンバーが、【令和の凹凸ビッグカップル】を頼もしく支える。 原作は山本周五郎賞、新田次郎文学賞受賞作家の原田ハマ。日本初の女性総理&ファーストジェントルマンが誕生するというかつてない設定は予想以上に多くの人の心をつかみ、25万部超えのベストセラー小説となっている。 |
(3)「Story」
良く晴れた日の朝。出張にでかける直前の相馬日和(田中圭)は、最愛の妻=凛子(中谷美紀)から穏やかな笑顔で意味深な言葉をかけられる。 「ねえ、日和くん。もしも私が総理大臣になったら、何かあなたに不都合はある?」 日和は鳥類研究所に勤務する鳥オタク。裕福なソウマグローバルに生まれたこれまで何不自由なく暮らしてきた、お人よしなお坊ちゃんでもある。そんな日和が一目惚れをし、懸命に口説き落として結婚まで漕ぎつけたのが凛子。少数野党の党首として活躍し政界でも注目される存在である凛子のことを、日和は結婚12年目の今も心底愛しているのだ。 あまりに現実離れした凛子の問いに、困惑するしかない日和。真意を聞いても笑顔のままはぐらかす凛子を気にしながらも、大好きな野鳥観察の出張のことで頭はいっぱいだ。 携帯の電波も届かない孤島で10日間の出張を満喫し、伸び放題のヒゲ姿で帰京した日和を空港で待ち構えていたのは大勢の報道陣。わけも分からず混乱する日和を、テキパキと無駄のない動きで車に誘導するのは、富士宮あやか(貫地谷しほり)。何も知らない日和に富士宮が伝えたのは、日和の留守中に”凛子が日本初の女性総理大臣に選出された”という衝撃の事実だった・・・! 日本初の”ファーストジェントルマン”となった日和の生活は、その日を境に一変する。 内閣広報官である富士宮からは携帯にGPSをつけられ、予定外の行動は慎むように厳しく言い渡される日和。凛子の有能な秘書=島崎虎山(工藤阿須加)も、総理の夫の自覚が全くない日和にはあきれ顔。日和の母親でありソウマグローバルの会長でもある崇子(余貴美子)や、ソウマグローバルのCEOを務める兄の多和(片岡愛之助)からも激しくハッパをかけられ早くもヘロヘロになる日和だったが、愛する凛子への想いは揺るがない。 だが当然のごとく今まで以上に多忙を極める凛子と、ゆっくり話す時間も持てないまま、総理公邸への引っ越しが決まる。鳥たちに囲まれた自宅を去ること、これまでのように長期出張に出れないこと・・・何より大好きな凛子とすれ違い続ける生活に、少しずつ心が疲弊し始める日和。 だが凛子の美しさと政治家としてのカリスマ性は国民を熱狂させ、“凛子ジェンヌ”と呼ばれる追っかけが出現。加えて夫である日和にもなぜかその人気は伝染し、”ひよラー”までが登場する。常に監視の目が光り、国民の注目にさらされ続ける日和を、職場の後輩である伊藤るい(松井愛莉)は同情の目で見つめていた。 一方で凛子もまた、山積みの改正法案を前に寝る間も惜しんで働きづめ。政界のドン=原久郎(岸部一徳)の直前の裏切りにより、ついに衆議院解散を決意し、総選挙へとなだれ込む。日和も生まれて初めて選挙カーに乗り、凛子のために選挙応援に駆り出される日々が始まるが、そんな時まさかの事態が2人に襲いかかる・・・! 凛子の政治家生命をかけた総選挙の行方は!? 揺らぎ始めた日和と凛子は、再び夫婦の絆を取り戻せるのか・・・!? |
(4)「政界トリビア&ギモン集」
<<東大クイズ研究会が出題>> (Q1)内閣総理大臣の配偶者は公職か? <A1>いいえ・・・内閣総理大臣夫人においてその職業は公職ではありませんが、内閣総理大臣夫人秘書として国家公務員としての仕事が存在します。 (Q2)内閣総理大臣が男性の場合には、その配偶者を「内閣総理大臣夫人」というが、女性の場合にはその配偶者を何と呼ぶ? <A2>特に呼称はない・・・2021年現在、日本の歴代内閣総理大臣は全て男性なので、総理大臣が女性で配偶者が男性である場合の呼称は存在しません。 (Q3)首相官邸の警備は誰がしている? <A3>警視庁の官邸専門の警備隊・・・2002年に新しい官邸が完成すると、警視庁警備部直轄の専門部隊として新設されました。 (Q4)世界で初めて女性として首相に就任したシリマヴォ・バンダラナイケさんはどこの国の首相だった? <A4>スリランカ・・・1960年~1965年、1970年~1977年、1994年~2000年の3度も首相として活躍しました。娘のチャンドリカ・クマーラトゥンガもスリランカの首相に就任したのち、第5代大統領としても活躍しました。 (Q5)長年ドイツの女性首相として活躍しているアンゲラ・メルケル氏の夫の職業は何? <A5>科学者・・・メルケル氏の夫であるヨアヒム・ザウアー氏は、ドイツの名門大学・フンボルト大学ベルリンで物理などを教える傍ら、量子化学の研究をする科学者です。 (Q6)総理大臣に休みはどれくらいある? <A6>2020年の安倍前首相は6月後半に休みをとっていますが、これは148日ぶりのことだったようです。その後、8月に夏期休暇を3日。かなり忙しそうです。一方でアメリカのトランプ前大統領は年末に2週間程度別荘で休暇をとっていたそうで少しゆったりしていますね。 (Q7)総理大臣専用の飛行機の特徴は? <A7>専用の飛行機は総理大臣だけでなく、政府要人や皇室の方も利用します。赤いラインが入った白い機体は普段新千歳空港に置かれており、目にする機会があるかも。スタッフは全員航空自衛官が務めているそうです。 |
(5)「世界の女性指導者たち」
日本では、女性総理大臣はまだ誕生していませんが、世界を見渡せば、すでに多くの女性リーダーが活躍しています。ここでは、その一部をご紹介します(2021年8月現在)。 ○アンゲラ・メルケル(ドイツ首相)・・・米フォーブス誌の「世界で最も影響力のある女性100人」ランキングでは、10年連続で1位に選ばれるなど、圧倒的な存在感を示しているメルケル氏は、1954年、ドイツ北部に位置するハンブルク生まれ。大学で物理学を専攻し、卒業後は研究者となり、1986年には博士号も取得しています。1989年、35歳の時にベルリンの壁崩壊を経験し、政治の道へ。2000年にキリスト教民主同盟(CDU)の党首に就任。2005年11月に女性として初めてドイツ連邦共和国の首相となりました。以来、15年以上にわたりその手腕を発揮してきましたが、2021年9月での政界引退を表明しています。 ○ジャシンダ・アーダーン(ニュージーランド首相)・・・ニュージーランドは世界で初めて女性に参政権が認められた国であり、アーダーン氏はニュージーランドでは3人目となる女性首相です。1980年生まれの彼女は、2017年10月、37歳の時に首相に就任しました。2018年1月に妊娠を発表し、6月に出産。世界で初めて首相在任中に産休を取った人物になりました。在任中に出産した首相としては、世界で2人目となります(1人目はパキスタンのベナジル・ブット元首相で、1990年に第2子を産休を取らずに出産)。仕事と子育てを両立させ、国民からの人気も高く、自身が党首を務める労働党は2020年10月の総選挙で圧勝しました。パートナーは釣り番組のホストを務めるクラーク・ゲイフォード氏。 ○サンナ・マリン(フィンランド首相)・・・ジェンダーギャップ指数2021で世界2位のフィンランド。2019年12月に、女性としてはフィンランド歴代3人目となる首相に就任したのが、1985年生まれのサンナ・マリン氏です。当時34歳で、フィンランド史上最年少での首相就任となりました。2018年1月に娘を出産しており、仕事と子育てを両立させています。 ○エルナ・ソルベルグ(ノルウェー首相)・・・1961年生まれのソルベルグ氏は、1989年に国会議員初当選。2004年から保守党の党首を務め、2013年10月より現職。2017年9月には再選を果たしました。ノルウェーはジェンダーギャップ指数2021で世界3位、歴代2人目の女性首相となりました。 ○メッテ・フレデリクセン(デンマーク首相)・・・1977年生まれ。2001年に国会議員に初当選し、2019年にデンマーク史上最年少、女性としては2人目となる首相に就任しました。2020年7月に、3度の延期(新型コロナウィルスの影響や、EUの首脳会議と日程が重なるなど)を経て、パートナーと結婚式を挙げています。 ○カトリーン・ヤコブスドッティル(アイスランド首相)・・・ジェンダーギャップ指数が12年連続世界1位で、世界で最も男女平等が実現されている国、アイスランドで首相を務めるのが、1976年生まれのカトリーン・ヤコブスドッティル氏。2017年11月に首相に就任しました。 ・・・・・・・・・・ そのほかにも、セルビア首相で同性愛者を公言しているアナ・ブルナビッチ氏、バングラデシュの国父と呼ばれるムジブル・ラーマン氏の娘でバングラデシュ首相のシェイク・ハシナ氏、スコットランド自治政府で初めての女性首相となったニコラ・スタージョン氏、台湾で初めての女性総統で、2016年より現職の蔡英文氏、2021年1月にエストニア初の女性首相となったカヤ・カラス氏など、数々の女性指導者が活躍しています。日本でもいつか女性総理大臣が誕生する日がくるかもしれません。 |
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